太平洋戦争の戦端が開かれた12月が巡ってくるたび、北海道七飯(ななえ)町の元教師、庭山啓子さん(88)には戦時中の日々がよみがえる。開戦から80年。「風化する戦争の記憶を、教訓として後世に伝えたい」と願う。 日本軍は1941(昭和16)年12月8日、ハワイ真珠湾を奇襲した。当時、小学3年だった庭山さんの一家は江差町に暮らしていた。 朝起きると、営林署員だった父が居間で真珠湾攻撃を伝える新聞を手にして「大変なことになった」とうなるように言った。「日本は負けないべさ」と言う母に、父は「ばか! 勝てるわけがない。力が違う」と怒鳴り返した。 不条理な戦争の中で、庭山さんにはとりわけ特攻隊の記憶が鮮明だ。 江差出身の富沢中尉が特攻隊員として出撃し、45年1月に戦死した。教師を目指して師範学校に通う優秀な若者だった。「私たちのために命を投げ出してくれたという気持ちで、町中が静まりかえった」 「なぜ死に急がねば…」 泣きながら拒んだ両親 「英霊」が帰って来る日。大… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
回転ずしの人気者、北東北で養殖が急拡大 天然ものは記録的不漁に
北欧やチリ産がほとんどだった「サーモン」の養殖が、青森や岩手で急拡大している。大手企業も進出し、生食向きだが飼育が難しかったニジマスの大量生産に成功。海峡サーモン、青い森紅サーモンなど小規模ながらブランド化した特産品も人気を集めている。天然サケの記録的不漁、塩ジャケから生食への食文化の変化が背景にあり、「需要は伸びる」と漁業者らは将来を託している。 12月上旬、津軽海峡からの冷たい風が吹き付ける津軽半島先端の漁港。まだ小ぶりのニジマスが、水が流れるスロープをつたい、トラックから湾内の巨大ないけすに次々と入っていく。陸地の中間養殖場で500~800グラムまで育て、11月から12月初旬にかけていけすに移す。3キロほどに育てて翌春水揚げする。 日本サーモンファーム(本社・青森県深浦町)が県内3カ所に海面養殖場を設けて手がける「青森サーモン」だ。今年は1100トンを水揚げした。 親会社のオカムラ食品工業(青森市)は海外からすしネタ用の養殖サーモンや魚卵を仕入れており、その一環で2005年にデンマークの養殖会社を買収。その後、自前で養殖にも取り組もうと、技術やノウハウを学び始めた。 サケ・マスの養殖は、1970年代に宮城県三陸沿岸でギンザケの養殖が広がり、国内生産量の9割を占める。ただ、肉質がしまっていて生食での人気が高いニジマスは飼育方法が確立されていなかった。 オカムラは2014年、日本… この記事は会員記事です。残り2440文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【1/24まで】2つの記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高知・香南市長が辞職 談合事件への関与は「記憶にない」と否定
会員記事 冨田悦央 羽賀和紀2021年12月23日 10時35分 高知県香南市の清藤真司市長(56)は22日、市発注工事を巡る官製談合事件で贈賄罪などで起訴された建設会社元社長から商品券を受領した責任を取り、辞職した。この日は市議会12月定例会の最終日で、閉会後にあいさつに立ち、「開会中に私が辞任表明したことで、いろいろとご迷惑をおかけし、心からおわびを申し上げたい」と述べた。 清藤市長は午前8時20分すぎに市役所に入り、午前9時半からの市議会本会議に臨んだ。官製談合事件に関する質疑はなく、議案の採決などを見守った。 閉会後に記者会見し、「こういう形で辞任したので、志半ばというところもあるが、致し方ない。期待に応えることができず、心からおわび申し上げたい」と話した。 一方で、17日に高知地裁であった官製談合事件の初公判で、元市議の志磨村公夫被告(61)が昨年12月8日に清藤市長に工事の最低制限価格を教えてほしいと頼み、1週間後の15日に電話で清藤市長から教えられたなどと述べたことに対しては、「そんなことはない」「記憶にない」と話した上で、「今後、(捜査当局の)任意聴取などもあると思う。そういった所でも協力していくなかで(自らの潔白の)証しになると思う」と説明し、改めて事件への関与を否定した。 清藤氏は午後2時半ごろ、市職員から花束を受け取り、市役所を後にした。 市議会ではこの日、議員提出… この記事は会員記事です。残り736文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 【1/24まで】2つの記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「自分たちで決まる」武蔵野市住民投票条例案否決の重圧と反対の訳
武蔵野市議会で反対の討論をする本多夏帆市議=2021年12月21日、東京都武蔵野市 外国籍住民にも門戸を開く東京都武蔵野市の住民投票条例案。反対14票、賛成11票で否決に至った21日の市議会本会議で、キャスティングボートを握ったのが、中立を掲げる2人会派だった。反対の討論で「今回勇気を持ってブレーキを踏むことを決めました」と語った本多夏帆市議が、その判断の背景を語った。 ◇ 重圧を感じていました。自分たちで結論が決まるというのがのしかかったのは初めてで。普通は、大きな会派の動向で決まるので。 思想信条によらない、自分たちの思いをどう打ち出すかを考えての結論でしたがどこまで伝わったかは、わかりません。 ほんだ・なつほ 1988年生まれ。武蔵野市議1期目。行政書士。カフェ付きのコワーキングスペースを市内で運営。1歳と4歳の2児の母でもある 条例案については、今年8月の素案公表のあたりから、ネット上では話題になり始めていました。国籍の区別なく参加資格を与える点に、主には保守的な人たちが懸念を示していた。私は、その前の骨子案公表後の3月の市民意見交換会にも参加していて、ずっと動向を見てきました。 3月の参加者は私を含めて3人だけ。明らかにコロナ禍の影響です。これはまずいと思いました。 住民投票のようなわかりにくい制度には人が来ない傾向がありますが、コロナ禍の中で市民の関心が向いていないし、その余裕もない。私も発信しなければという思いでした。 この場に反対の立場の人が来ていれば、もう少し違う議論になったと思うが、特に反対の声もなく、リスクを発見できなかった。 私の会派は、もともと党派制がないので、こういうものについてはおおまかに反対するとか、もろ手を挙げて賛成するとか、ではなく、どういう風になっていくんだろうというのを注意深く見ていく。当然、市民の方に相談したりしながらです。私たちが賛成・反対と先に言ってしまうとそれにひきずられてしまうので、もろ手を挙げてこれはいいよねとかどうとか、評価を勝手にせずに市民とコミュニケーションをとることを心がけてきた。今回も同じように臨みました。 8月の意見交換会にはネットの情報を見て来た方もいた。この状況でなぜ急ぐのかという声も出ていた。コロナ禍を理由に事業を見直して先送りしたものもあるのに、市側はそのまま進めていった。 そして報道を契機に、外圧的に武蔵野市を否定する動きが広がった。市民全体に負の感情を向けられ、すごく嫌で、悔しかった。 後半に本多市議の反対討論の前文を掲載しています ■「私たちは置いてけぼりにさ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
郵便局長705人、顧客情報の流用など申告 自民候補の得票増狙いか
藤田知也2021年12月23日 7時00分 多くの郵便局長が顧客情報や経費で買ったカレンダーを政治流用した疑いが出ている問題で、日本郵便は22日、全国で計705人の局長が情報流用などを申告したと発表した。全国郵便局長会が参院選で擁立する自民党公認候補の得票につなげようと、郵便局の顧客情報の悪用が横行していた疑いが強まった。 全国の局長を対象にした13~16日のアンケートの回答を集計した。当初は1246人の局長が流用などを申告したが、500人超が撤回した。2018年度以降、顧客情報を無断で郵便局長会の支援者名簿に記したことがあるとの回答は74人▽顧客情報を使って政治活動の戸別訪問をしたと答えたのは257人▽営業での訪問時に政治活動の支援依頼をしたとの回答が130人▽局内で顧客に政治活動の声かけや支援依頼をしたとの回答が363人、など。カレンダーを政治活動に使ったと答えた局長は119人だった。 顧客を標的にした政治活動の指示は、朝日新聞が入手した複数の地方郵便局長会の資料などに記されていた。接客や営業に合わせて支援者を物色するよう求める内容で、日本郵便もそうした指示を確認。専門家から「情報漏洩(ろうえい)や目的外利用が疑われる」との指摘が出ていたが、局長会幹部らは「顧客情報の流用はない」と否定していた。 今回のアンケートは局長自身の流用などの申告を求めるだけで、情報流用などを促した幹部らの指示については尋ねていない。朝日新聞の取材では、顧客情報を政治活動に利用していても正直に申告しなかった局長がいる。また、情報流用を申告した局長にコンプライアンス担当社員が連絡し、回答期限前に申告を撤回させた例が多く、調査の公正さを疑う声が出ている。 全国郵便局長会は約1・9万人の旧特定郵便局長らでつくる任意団体。参院選では組織内候補を擁立し、元会長が再選した一昨年は比例当選トップの60万票を獲得。来年の参院選には前副会長を候補者として立てる方針だ。(藤田知也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山口県副知事ら きょうにも書類送検 自民候補後援会に職員を勧誘か
10月の衆院選で山口3区から立候補した自民党候補の後援会に入会するよう部下を通じて山口県や山口市職員らに要請したとして、同県警は23日にも小松一彦副知事(65)と市幹部2人を公職選挙法違反(公務員の地位利用)の疑いで山口地検に書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。 衆院選山口3区では、自民党の林芳正・現外相が当選した。県関係者によると、後援会への勧誘は県庁や出先機関にある複数の部署で行われ、幹部職員が勤務時間中に後援会の入会申込書を部下に手渡し、記入を要請していた。県警はこうした情報を把握し、小松副知事を含む100人超の県職員から任意で事情を聴いていた。 また、山口市関係者によると、林氏後援会への勧誘は市の幹部職員も行っていたといい、伊藤和貴市長は22日、記者団の取材に対し、複数の幹部職員が県警の事情聴取を受けていることを認めた。 捜査関係者によると、小松副… この記事は会員記事です。残り431文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
米軍基地を中継地点に薬物密輸か 沖縄県警、米兵ら10人摘発
国吉美香2021年12月22日 20時32分 営利目的でコカインや大麻を米国から輸入したなどとして、沖縄県警は22日、在沖米軍人を含む男女10人を大麻取締法違反容疑などで摘発したと発表した。県警は、沖縄の米軍基地が違法薬物輸入の中継地点となって、県外に流通していた可能性があるとみて捜査している。 摘発されたのは米軍属のドミニク・ウィリアムズ被告(29)や米海兵隊員のニコラス・ガーナー被告(24)、住所不定無職の小南賢被告(29)ら。一部にはすでに有罪判決が出ている。組織犯罪対策課によると、6月4~13日にそれぞれ共謀しコカインや大麻を米国から密輸した疑いなどがある。県警は認否を明らかにしていない。 10人は関東や福岡、沖縄に住む知人同士で、小南被告の指示で、米軍属や海兵隊員が基地内にある私書箱で米国から密輸した大麻などを受け取り、基地外で受け渡していたと、県警はみている。今年6月、在日米海軍犯罪捜査局から県警に情報提供があり発覚した。 一方、この事件とは別に、20代の在沖米海兵隊員2人が米国から大麻約150グラムを米海兵隊牧港補給地区(浦添市)内の郵便局に非公用軍事郵便として営利目的で密輸したとして、大麻取締法違反などの罪で在宅起訴されていたことが22日、那覇地検への取材でわかった。(国吉美香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新東名の23年度の全線開通、困難に 新泰野―新御殿場の工事難航
2021年12月22日 20時57分 中日本高速道路の宮池克人社長は22日の記者会見で、2023年度の新東名高速の全線開通が困難になっていることを明らかにした。同年度に開通予定の神奈川県の新泰野インターチェンジ(IC)―静岡県の新御殿場IC間(約25キロ)の工事が難航しているという。 同社によると、同区間の高松トンネル(2・8キロ、神奈川県)の地盤が想定以上に軟弱で、トンネル内の変形や大量の湧水(ゆうすい)が発生。有識者に相談して慎重に工事を進める必要があるという。工程を精査した上で新たな開通時期を明らかにする。今月16日に東京都内で開いた会議で、国や両県に伝えた。 同社は、同トンネル付近でのり面の崩落があったことなどから、19年に新東名の全線開通を20年度から23年度に延期していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ヤフコメ、月35万件削除 全体の3% 「過度な批判や誹謗中傷」
中島嘉克2021年12月22日 21時00分 IT大手ヤフーは、ニュースサイト「Yahoo!ニュース」のコメント欄をめぐり、今年3月には1カ月間で約35万件のコメントを削除したと公表した。全体の3%にあたる。削除した理由の65・4%は、過度な批判や誹謗(ひぼう)中傷など「不快な投稿」が占めた。 同社が初めて取りまとめた「透明性レポート」で明らかにした。同社は人の目や人工知能(AI)で監視体制を強化するが、適切な投稿まで過剰に削除する懸念もある。透明性を求める外部有識者の提言を受け、レポートを公表した。 人の目では約70人の体制で24時間365日パトロール巡回。AIでは不適切な投稿を点数化し、掲載順位を変えたり自動的に削除したりしているという。削除したコメントの71%は自動削除で、22%はパトロール巡回による削除。7%は利用者からの指摘を受けて削除したという。 今回のレポートは今年3月を含めた2020年度の対応状況について。同社は今年10月、コメント欄を自動で非表示にしたり、違反コメントを繰り返す利用者への警告を強めたり、対応をさらに強化している。こうした対応については、今後も定期的に状況を公開するとしている。(中島嘉克) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NHK施設の工事用生コンがヘリから流出 群馬・桐生
磯部征紀2021年12月22日 23時24分 22日午前11時ごろ、群馬県桐生市付近の上空約50メートルで、約800~900キロの生コンクリートを運搬していた朝日航洋(東京都江東区)のヘリコプターのパイロットが重量が軽くなっていることに気づき、同市内のヘリポートに引き返した。生コンはNHKの放送施設の工事資材で、運搬用につり下げていた容器から流出したとみられる。 けが人はいなかったが、国土交通省は深刻な事故につながりかねない重大インシデントにあたると認定。運輸安全委員会は調査官の派遣を決めた。 国交省やNHKによると、ヘリは同日午前10時48分ごろ、桐生市内のヘリポートを離陸。同市の「桐生梅田テレビ中継放送所」の工事のために資材を運搬中、徐々に生コンが山中に流出した可能性があるという。 NHKは「事故状況の把握を進めるとともに、工事の施工会社などに安全管理の徹底を求める」とコメントしている。(磯部征紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル