「あいうえおあいうえおあいうえお……」 そのノートには、ひらがながびっしり。別のノートは、「春春春……」と漢字でいっぱいだ。 福岡市博多区の市立千代中学校に設けられた自主夜間学級「よみかき教室」。様々な事情で十分な教育が受けられず、読み書きなどを学びたい人が通う。そんな生徒らの文章を収めた文集に、こんな一文がある。 「私は小さい時から勉強がゆめでした。(中略)学校は私の生きがいです」 書いたおばあちゃんは80年ほど前、日本が統治していたころの朝鮮半島から来た。福岡県飯塚市の炭鉱で働く日本生まれの朝鮮人の夫との結婚のためだ。 八百屋、衣料品店、行商……… この記事は会員記事です。残り510文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学入試の時事問題 何が出る?どう対策? 塾講師がずばり予想
まもなく中学入試本番。毎年のように出題されるのが、前年に起きた出来事を踏まえた時事問題です。どんなニュースに注目すればいいか、どう対策するのか。各科目について塾講師に聞きました。周囲の大人の協力が決め手になるそうです。(高浜行人) 社会 コロナ関連、ジェンダー… 「大人がニュースの話を」 毎年12月に時事問題の講座を開く学習塾「SS―1」の馬屋原吉博副代表は、「新型コロナウイルス関連は外せない」と話す。 例えば、世界各国のコロナワクチン接種率の推移を表すグラフを見て、世界の格差をどう考えるか説明する問題。「社会科では前提として『アメリカの新大統領の名前は』など知識のみの問題は減っている。何を考えてニュースを見ているか問い、問題をどう解決するかを答えさせる設問が増えている」と話す。 コロナについては、昨年以来、テレワークによって電子機器の需要が高まり、世界的に半導体不足に陥ったこと、それによって自動車の生産が打撃を受けたことなど、影響の広がりもおさえる必要があるという。「半導体や自動車など、多くの産業と関わるトピックは注目。知識を結びつける力が問われる」 例年頻出のテーマが、社会の格差や不公正について。「僕だったら、ジェンダーの問題をつくります」と馬屋原さん。夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲とした今年6月の最高裁判断を巡って、姓を変えるのは女性の方が多いという現状にはどんな問題があるか。10月の衆院選にからみ、国会議員の女性比率の低さやその弊害は何か。説明できるようにしておくといいという。 気候変動も無視できないトピックだ。今年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)でも話題になった二酸化炭素の排出量をめぐる先進国と途上国の対立や背景。また火力や原子力、水力といった発電方法や、再生可能エネルギーのメリットやデメリットについてはそれぞれ知っておく必要がある。ハイブリッドカー(HV)や電気自動車(EV)といったエコカーの特徴もおさえておいた方がいいという。 世界遺産も出そうだ。特に「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、青森県の三内丸山遺跡を場所も含めて把握するのはもちろん、北海道も含む全体の広がりもみておくべきだという。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は、国内5件目となる自然遺産であることをおさえる。 国際関係では世界の難民問題が重要。クーデターのあったミャンマーや、事故のあったスエズ運河など、ニュースがあった場所については地図上の位置を確認しておくとよいという。キャッシュレス決済やセルフレジなど、生活に関連する身近な話題も大事だ。 時事問題の関連知識は問題文中で説明されることが多く、出来事の知識自体はそう重要ではないという。ただ、背景や他の出来事との関連など前提知識は必要で、考えたことがあるかどうかで差が付きやすい。 対策について馬屋原さんは「世の中に関心を持てとよくいわれるが、中学受験生は忙しい。周囲の大人がコミュニケーションをとってあげてほしい。ご飯を食べながらでもいいので、テレビや新聞のニュースについて気付いたことや感じたことを話し合うとよい」と話す。時事問題集に取り組む場合は、書いてあることをすきま時間に読み、基本用語を20~30程度確認するような使い方で十分だという。 2022年社会の時事問題例(馬屋原吉博さん作成) 問題① 2021年7月、青森県の(ア:三内丸山、イ:吉野ケ里)遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が新たにユネスコの世界(ア:自然、イ:文化)遺産に、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界(ア:自然、イ:文化)遺産に、それぞれ登録されました。 問題② 2021年9月、事実上、内閣総理大臣がトップを務める(ア:ICT、イ:デジタル)庁が新たに組織されました。(ア:ワクチンパスポート、イ:マイナンバーカード)を普及させ、様々な手続きがオンラインで行えるようになる状態を目指します。 問題③ 2021年10月の衆議院議員総選挙の投票率は約(ア:56%、イ:49%)で、戦後、3番目に低い投票率となりました。また、新たに選ばれた衆議院議員のうち、女性が占める割合は(ア:22.9%、イ:9.7%)となり、前回をさらに下回る結果となりました。 問題④ 2019年4月から「特定技能」を持つ外国人が一定期間日本で働けるようになりました。対象となる業種は(ア:医療、イ:介護)などで、この結果、現在、日本で働く外国人労働者の国籍は(ア:中国、イ:ベトナム)がもっとも多くなっています。 問題⑤ 新型コロナウイルスに関連して、2021年10月31日に「明白なワクチン格差、アフリカは1割未満」という見出しの記事(朝日新聞デジタル)が報道されました。この見出しの意味するところを、「先進国」「発展途上国」ということばを使って分かりやすく説明しなさい。 <解答> ①ア、イ、ア ②イ、イ ③ア、イ(49%は前回の参院選の投票率、22.9%は現在の参院の女性比率) ④イ、イ ⑤例:先進国に比べ、発展途上国ではワクチンの供給が遅れているということ。 記事の後半では、理科の時事問題に出そうなトピックについて、進学塾の講師が語っています。理社だけでなく、算数や国語にもその年ならではの問題があるそうです。理科と算数の予想問題もあります。 理科 断トツは地学、災害関連の問題が頻出 「断トツに出やすいのが地学… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「空き家だと…」事件直前に燃えた男の家、1~2カ月前から出入りか
大阪市北区の雑居ビルで起きた放火殺人事件で、事件の約30分前、放火に関与した疑いが持たれているクリニック患者の男(61)の自宅とみられる大阪市西淀川区の住宅でも火災があった。大阪府警は18日、雑居ビルに加え、この住宅についても現場検証を始め、大阪市消防局と合同で出火時の状況を調べている。 西淀川区の住宅は、放火殺人事件の現場となった堂島北ビルから西に約3・5キロ離れている。不動産登記簿によると、1987年に建てられ、3階建てで延べ約60平方メートル。所有者は男の名義になっていた。 大阪市消防局によると、火災は17日午前9時45分ごろ、「煙が出ている」という近所の人の119番通報で覚知。駆けつけた消防隊が外から呼びかけたが応答がなく、窓ガラスを割って室内に入った。焼けたのは2階の一部で、ぼや程度だった。室内にはだれもいなかった。 近所の女性は消防隊の突入時に、室内に布団が敷かれ、カセットボンベが置いてあるのを見たという。 地元の町内会長は「この住宅には春ごろまで別の家族が住んでおり、空き家だと思っていた」と話す。 近所の女性によると、長らく空き家で郵便受けにチラシがたまっていたが、1~2カ月前から男が出入りしている様子だったという。自転車で出かける姿を何度か見かけ、火災当日の午前8時半ごろにも、玄関前にいる男を見たという。 近くの80代女性は5日ほど前、この住宅のガレージから自転車に乗った男が出て来るのを見た。女性が「おたく、引っ越してきはりました?」と聞くと、男は「はい」と答え、自転車で走り去ったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪府警、ビル放火殺人事件の容疑者名を発表 現場に容疑者の免許証
大阪市北区の雑居ビル内のクリニックで24人が死亡した放火殺人事件で、大阪府警は19日未明、火を付けて殺害した疑いの男について、住所、職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)と発表した。谷本容疑者の運転免許証が現場のビル内で事件後に見つかっていたことが、捜査関係者への取材で判明。生活していた住宅からはクリニックの診察書類が見つかっていた。 府警は18日、17人の司法解剖を終えた。うち5人の死因が同日までに判明し、全員が急性一酸化炭素(CO)中毒だったと発表した。 火災は17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地1丁目の「堂島北ビル」で発生。心療内科の医院「西梅田こころとからだのクリニック」がある4階の一部約25平方メートルが焼け、27人が心肺停止状態で搬送された。 捜査1課によると、119番通報の直前、クリニックに紙袋を持った男が訪れていた。男が入り口近くで紙袋を蹴り倒すと液体が流出し、暖房器具の近くで火が燃え上がったという。 捜査関係者によると、事件後にクリニック入り口付近から油分が検出され、天井近くまで燃え上がった痕があった。当時受付近くにいた女性2人は「男が紙袋を床に置いた後、突然高い火が出た」と府警に証言したという。府警は、流出した液体は揮発性が高く、爆発的に燃えるガソリンだった可能性が高いとみて成分を鑑定する。 ビルから3・5キロ離れた谷本容疑者が生活していた住宅では、ビル火災の30分ほど前に放火とみられる火災が起きていた。焼損はわずかで、捜査関係者によると、谷本容疑者が事件が起きたクリニックで診察を受けていたことを示す資料が見つかった。谷本容疑者の名前があり、免許証の表記と一致した。府警は、谷本容疑者がクリニックの患者で、通院先に放火した疑いが強いとみている。 谷本容疑者は事件後、重いやけどを負うなどして救急搬送された。18日午後現在、危険な状態という。事件では他に、意識不明の重体で病院に搬送された女性2人が治療中という。 逮捕状の請求前に容疑者名を公表した理由について、捜査1課の冨山浩次課長は、「被害者・ご遺族が被疑者の早期特定を望んでいる。重大事案と鑑みて公表した」と説明した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
紙袋二つを蹴飛ばした後に出火 谷本容疑者、現場へは自転車で移動か
大阪市北区の雑居ビル内のクリニックで24人が死亡した放火殺人事件で、男が二つの紙袋をクリニック内に持ち込み、直後に出火する様子が防犯カメラに映っていたことが分かった。大阪府警はこの男が放火して殺害したとして、現住建造物等放火と殺人の疑いで捜査している。 府警は19日未明、男を住所、職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)と発表した。重度の一酸化炭素(CO)中毒などで重篤という。 府警の発表によると、院内に設置されている複数の防犯カメラのデータを18日に確認。谷本容疑者とみられる男が出火直前、両手に紙袋を持ってエレベーターで来院し、受け付けをした後に紙袋を床に置いて蹴飛ばし、しゃがみ込んだ際に出火した様子が映っていた。谷本容疑者が避難する様子はなかったという。 府警は紙袋に可燃性の燃料が入っていたとみている。事件現場からは油分が検出され、ガソリンの可能性があるとみて分析している。 谷本容疑者は現場から搬送されたが、催涙スプレーのようなもの2本をポケットの中に入れていたことも確認された。府警は、谷本容疑者が計画的に多くの人たちに危害を加える目的でクリニックを訪れたとみている。 ビルの中にはクリニックの診察券や運転免許証が入った財布が残されていた。府警はこれらの資料や身体的特徴から、谷本容疑者と特定した。 ビル火災の約30分前、大阪市西淀川区の住宅で起きた放火とみられる火災の現場からも油分が検出された。この住宅には谷本容疑者が滞在していた可能性があり、府警は住宅を家宅捜索して調べている。住宅と火災が起きたビルの距離は約3・5キロある。 この火災の後、クリニックの方向に向かって自転車で移動する谷本容疑者とみられる男の姿も防犯カメラで確認された。自転車のかごには紙袋が積まれていたという。この男が事件のあったビルのそばに自転車を止め、紙袋を持ってビルに入っていく姿も周辺の防犯カメラに映っていたという。府警は18日、この自転車を押収した。 府警は谷本容疑者が事件前に書いたとみられるメモを押収しており、内容を分析している。 捜査1課によると、谷本容疑者は17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地1丁目の「堂島北ビル」の4階にある心療内科の医院「西梅田こころとからだのクリニック」で、何らかの方法で火をつけて、数十人を殺害した疑いがある。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「無理しなくていい」と患者支えた 火災で不明の院長、信頼厚く
大阪市北区で起きた放火殺人事件で、火元とされる心療内科の医院「西梅田こころとからだのクリニック」が入る雑居ビル4階の窓は、一部が焼け落ち、黒く焦げた痕が広がっていた。事件当時に院内にいたとみられる院長の西沢弘太郎さん(49)とは、1日経った18日も連絡が取れていない。 「多くの働く人にとって、この場所は希望だったはず」 18日午前11時。現場となった雑居ビル前の路上で、3年前からうつ病などの治療を西沢さんから受けていたという大阪市の自営業の男性(39)が、手を合わせた。 最後に会ったのは、事件4日前。「新型コロナの影響で、仕事の収入が厳しい」と不安を打ち明けた。 白衣姿の西沢さんは、さえぎ… この記事は有料会員記事です。残り1025文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
オミクロン株感染、沖縄で新たに2人 米軍クラスターは計158人に
沖縄県は18日、県内で新たに男女2人が新型コロナウイルスの変異株オミクロン株に感染したと発表した。米海兵隊キャンプ・ハンセン(金武町など)に勤める米国籍で軍属の50代女性と、その夫で日本国籍の60代男性。また米軍からはキャンプ・ハンセンで新たに59人の新型コロナへの感染が確認されたと県に報告があった。同基地内でのクラスター(感染者集団)は計158人となった。 17日に感染が判明した同基地従業員の50代男性も含め、県内のオミクロン株確認はこれで計3人。一方、クラスターについては、米軍基地内にゲノム解析の機器がなく、オミクロン株によるものかは不明。県が日本側での解析を申し入れているが、米軍側は個人情報保護を理由に断っているため、疫学的な関係は明らかになっていない。 県によると、夫婦は基地の外に住んでいる。ワクチンを2回接種しており、50代男性との接触は確認されていない。感染経路は調査中で、濃厚接触の疑いがある人が基地内外で約60人いるという。 一方、50代男性の濃厚接触者のうち、新たに1人の感染が判明した。県はゲノム解析を行ってオミクロン株かなどを調べる。 また県によると、基地内では米国などから着任した軍人らについて、ワクチンを2回接種していれば待機期間などを設けず、行動を制限しない運用になっていたことがわかったという。日米地位協定では、米軍関係者は検疫について国内法の適用外となっている。今回の158人についても、隔離されるまでは基地内を自由に行動していた可能性があるため、県は対策の強化を米側に要請する方針。 キャンプ・ハンセンでは昨年7月にも、米本国などからの入国者によるクラスターが発生した。県はその際、着任する米軍関係者について検査が陰性でも2週間の隔離を行うことを米軍に確認していたが、その後の運用について米軍から説明はなかったという。(国吉美香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
現場に61歳患者の免許証、出火させた男か 大阪のビル放火殺人
大阪市北区の雑居ビルで24人が死亡した放火殺人事件で、現場のビル内で事件後、同市西淀川区の男(61)の運転免許証が見つかったことが、捜査関係者への取材でわかった。男が生活している住宅からはクリニックの診察書類が見つかった。大阪府警は、現場で出火させたのを目撃されたのは、この男とみている。 府警は18日、17人の司法解剖を終えた。うち5人の死因が同日までに判明し、全員が急性一酸化炭素(CO)中毒だったと発表した。 火災は17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地1丁目の「堂島北ビル」で発生。心療内科の医院「西梅田こころとからだのクリニック」がある4階の一部約25平方メートルが焼け、27人が心肺停止状態で搬送された。 捜査1課によると、119番通報の直前、クリニックに紙袋を持った男が訪れていた。男が入り口近くで紙袋を蹴り倒すと液体が流出し、暖房器具の近くで火が燃え上がったという。 捜査関係者によると、事件後にクリニック入り口付近から油分が検出され、天井近くまで燃え上がった痕があった。当時受付近くにいた女性2人は「男が紙袋を床に置いた後、突然高い火が出た」と府警に証言したという。府警は、流出した液体は揮発性が高く、爆発的に燃えるガソリンだった可能性が高いとみて成分を鑑定する。 ビルから3・5キロ離れた男の自宅とみられる大阪市西淀川区の住宅では、ビル火災の30分ほど前に放火とみられる火災が起きていた。焼損はわずかで、捜査関係者によると、男が事件が起きたクリニックで診察を受けていたことを示す資料が見つかった。この61歳男の名前があり、免許証の表記と一致した。府警は、男はクリニックの患者で、通院先に放火した疑いが強いとみている。 男は事件後、重いやけどを負うなどして救急搬送された。18日午後現在、危険な状態という。事件では男の他に、意識不明の重体で病院に搬送された女性2人が治療中という。 クリニックに入るには、エレベーターとそのそばの階段がある。府警によると、被害者の多くは階段から離れた奥の診察室や廊下に倒れていた。出入り口近くで火が出たため階段に向かえず、他の通路がなくて避難できなかったと府警はみている。 大阪市北区の雑居ビル内のクリニックで発生した放火殺人事件で、大阪府警は18日、死亡した24人のうち17人の司法解剖を完了したと発表した。死因が18日までに判明したのはそのうち5人で、全員が急性一酸化炭素中毒だった。 捜査1課によると、18日までに死亡が確認されたのは男性14人、女性10人。 また、同課は死亡したうち6人の身元を発表した。いずれも大阪府内在住で、20代~40代の男女という。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
直径1メートルのトンネルに47時間、一時は肩まで水 作業員救出
寺沢知海2021年12月18日 20時00分 大阪府守口市の水道管埋設工事で、掘削中のトンネルに土砂などが流れ込んで取り残されていた男性作業員(25)が18日、救出された。直径わずか1メートル余りの空間に約47時間にわたって閉じ込められたが、意識ははっきりしているという。 トンネルは、浄水場の地下約30メートルからシールドマシンで掘っていた。横穴を掘り進めながらトンネルの壁をつくれる装置だ。 府警や守口市門真市消防組合などによると、16日午前9時半ごろ、起点の浄水場下から約960メートル進んだところで水がトンネル内に流入した。 先端部分で作業をしていた男性は、背後にあるトロッコが土砂で動かなくなり退路を塞がれた。トンネルの直径は約1・1メートル。立ち上がることもできない。一時は肩のあたりまで泥水につかり、何とか呼吸できる状態だったとみられる。 ただ、トンネルは上向きに傾斜をつけて掘り進められていたため、男性がいた先端部は水がたまりにくかった。半日後の16日夜には排水作業が終わり、救助隊員が呼びかけると、トンネルの奥から男性が応じる声が聞こえたという。 救助隊員らは手作業でトロッコの周りにあった土砂をかき出し、まる一日以上たった17日午後1時ごろ、男性の所まで通じるわずかな空間を確保。そこから飲み物やゼリー状の補給食、さらに防寒用のシートを、棒を使って届けた。 救助隊員の呼びかけに対し、男性は座った状態で「寒さはもう大丈夫」などと答えたという。 男性の健康状態を確認できた後は、周囲の土砂がさらに流出しないよう薬品を使って固めるなど、救助活動は慎重に進められた。18日午前8時20分、隙間を広げて男性を救い出した。 男性は病院へ搬送され、経過観察のため入院したが、自分で歩ける状態だという。(寺沢知海) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「袋小路で逃げようない」出入り口に炎、クリニック奥に犠牲者が集中
大阪・北新地の8階建て雑居ビル放火殺人事件で、病院に運ばれた28人のうち、27人は4階のクリニックで心肺停止状態で見つかった。捜査関係者によると、1カ所しかない出入り口に近い受付近くで男が放火し、診察室などがある奥のスペースに多くの人たちが倒れていた。煙と炎が広がる出入り口に逃げるのは難しかったとみられる。 クリニックのスタッフだった女性によると、患者や従業員らは出入り口にあるエレベーターか屋内階段を利用。どちらも1カ所のみで、外階段はなかった。 階段には重い扉も設置されていた。扉はふだん半開きになっているが、力を込めて開けないと通れなかったという。女性は「私の力ではかなりしんどく、簡単には開かなかった」と振り返る。エレベーターは4人ほどしか乗れない小さい造りだった。 大きな窓は待合室にあった。レバーを倒して外側に押し出すと、隙間から頭と腕がかろうじて出せる程度。通常は閉められていたという。受付付近にも一つ小窓があるが、いつも閉められていたという。 幅1メートルほどの廊下の一番奥に診察室があり、院長がここで患者を診ていた。週1回は看護師も勤務していた。手前には、職場復帰をめざす講習をする「リワークルーム」があり、毎週金曜日、臨床心理士による講習を開催。10~15人ほどの患者が参加していた。最も多く患者が訪れるのはたいてい金曜日。出入り口に近い待合室には、多いときで約20人が集まっていた。 リワークルームの手前にはカウンセリングルームがあり、臨床心理士がカウンセリングにあたっていた。リワークとカウンセリングの部屋には扉がなく、患者はカーテンを開けて出入りしていた。 診察室、リワークやカウンセリングの部屋に窓はなかったという。捜査関係者は急速に煙が充満した可能性があるとみている。 登記簿によると、クリニックは約90平方メートル。うち約25平方メートルが焼けた。女性は「院内は狭いし、出入り口付近で煙や炎が上がったら逃げようがなく、袋小路の状態。患者さんやスタッフのことがとても心配です」と話した。 逃げ道は階段1カ所 「第2の避難経路を」 火災の2週間前、診療に訪れ… この記事は会員記事です。残り322文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル