【動画】Uターンラッシュがピークとなり、東名高速道路の上り線は渋滞した=平野真大撮影 Uターンラッシュ、全国各地で 正月三が日の最終日となった3日、年末年始をふるさとや旅先で過ごした人たちのUターンラッシュがピークを迎えた。新型コロナウイルス禍で多くの人が外出を控えた昨年と異なり、新幹線や高速道路は家路に向かう人たちで混雑した。 JR東京駅の新幹線ホームでは、スーツケースやお土産の紙袋を抱えた人たちが次々と降り立った。東京都三鷹市の男性会社員(48)はコロナ禍で、初めて滋賀県守山市の実家に家族4人で帰省。オミクロン株の感染者が増える中、帰省するか悩んだ。それでも80歳になる父親に孫の姿を見せたいと思い、帰ることを決めた。「こういう状況だから、外出も初詣など最低限にした」という。 JR各社によると、東京駅着上り新幹線の指定席はほぼ満席となり、自由席の乗車率が170%に達した列車も。高速道路の上り線も各地で渋滞が発生。日本道路交通情報センターによると、午後8時時点で東名高速の綾瀬スマートインターチェンジ付近から52キロ、中央道の小仏トンネル付近から13キロ渋滞した。 強い冬型の気圧配置となった北海道では2日から3日にかけ、荒天の影響で新千歳空港で欠航や遅れが相次ぎ、身動きがとれなくなった約690人が空港内で一夜を過ごした。3日は午後6時半時点で計6便が欠航、計105便に30分以上の遅れが出た。 【大阪】「今しかないと思って」 正月三が日の最終日となる3日、年末年始を故郷や行楽地で過ごした人たちのUターンラッシュが本格化し、各地の駅や空港が混雑した。大阪(伊丹)空港では、変異株「オミクロン株」を警戒しつつ、久しぶりの帰省や旅を楽しんだ家族連れらの姿が見られた。 午後1時過ぎの伊丹空港の飲食店街は、帰省客らでにぎわった。夫と娘と共に長崎県を旅行したという兵庫県尼崎市の女性(45)は、昨年10月に予約したが、直前までキャンセルするか迷った。「今後また感染者が増えそうなので、今しかないと思って行きました。去年は自宅にこもっていたので久しぶりに旅行ができて良かった」と笑顔で話した。家族3人で宮崎県日南市の実家に帰省した会社員の男性(28)は「去年は帰れなかったので、息子を連れて帰れて良かった。事前にPCR検査を受けていきました」と話した。 年末年始を島根県出雲市の父方の祖父母宅で過ごし、3日から大阪府内の母方の祖父母宅で過ごすという東京都世田谷区の浅津美緒さん(13)は、「久しぶりにいとこたちと遊べて楽しかった」。昨年は外食もせずに世田谷の自宅で過ごしたと言い、妹の莉子さん(11)は「お肉とか豪華な料理が食べられてうれしかった」と話した。 JR東海によると、東海道新幹線では目立った混雑は見られなかったが、一部で100%を超えた。3日の始発から午後4時までの自由席乗車率は、新大阪駅発着の上下線で最高130%。前年同時期の同60%を大幅に超えた。 JR西日本によると、3日の在来線の自由席乗車率は、城崎温泉発の特急「こうのとり」が200%(前年同時期110%)になるなど、軒並み前年を超えた。 【名古屋】「孫の成長を抱っこの重みで感じられて幸せ」 年末年始を帰省先などで過ごした人のUターンラッシュが3日、ピークを迎えた。JR名古屋駅では、新型コロナウイルスの感染拡大で閑散とした昨年とは打って変わり、混雑した。 上りの新幹線ホームではたくさんの荷物やお土産を手にした人が新幹線に乗り込んだ。妻の実家がある愛知県犬山市に帰省し、子ども3人を連れて東京に戻る堀潤さん(41)=会社員=は「オミクロン株の心配はあるが、感染は落ち着いているので久々に戻ってゆっくりできた」。長男の匡太郎(きょうたろう)君(10)は「坊主めくりを楽しんだ。勉強を頑張るので、コロナが少なくなってほしい」と話した。 見送る側の親の姿も。約1年ぶりに東京で暮らす次男や孫と会えた西端惇二さん(78)=岐阜県各務原市、団体職員=は「コロナで夏に東京を訪れるのを取りやめて、LINEでのやり取りばかりだった。孫の成長を抱っこの重みで感じられて幸せ」と語っていた。 JR東海によると、この日午後、上りの新幹線の指定席はほぼ満席。自由席の乗車率は、名古屋駅午後2時36分発のぞみ24号(博多発東京行き)で140%になった。(土井良典、東谷晃平) 【福岡】上り新幹線、指定席がほぼ満席 年末年始をふるさとで過ごした人たちのUターンラッシュが3日、ピークを迎えた。高速道路では渋滞が発生し、駅や空港は終日混雑した。 西日本高速道路によると、3日夕、九州自動車道広川インターチェンジ(福岡県広川町)付近の上り線で、事故も重なり、最大32キロの渋滞が起きた。 JR西日本によると、博多駅を出発する上りの山陽新幹線は、午前中から「のぞみ」「みずほ」「さくら」ともに指定席がほぼ満席。JR九州によると、同日午後4時半現在で鹿児島中央発新大阪行きの新幹線「さくら560号」の自由席乗車率が167%、佐世保発博多行きの特急「みどり18号」などが最大150%の乗車率となった。 福岡空港も利用客で混み合い、東京に向かう便などがほぼ満席だった。(前田伸也) 【宮崎】空港で別れ惜しむ姿も 正月を郷里や観光地で過ごした人たちのUターンラッシュが宮崎県内でも3日にピークを迎え、宮崎空港も終日混雑した。宮崎空港ビルによると、予約状況は新型コロナ前の2年前の7、8割ほどまで回復。混雑は6日まで続くという。 空港の保安検査場前では、家族連れが大きな荷物や土産を手に地元の親族との別れを惜しむ姿があった。延岡市の早瀬幸子さん(64)は仕事で一足先に大阪市に戻る次男の見送りに。次男は新型コロナのため2年ぶりの帰省で、その間に生まれた孫との初対面を果たせたという。「久しぶりにみんなが帰ってきて、うれしいお正月だった。2年ぶりににぎやかに過ごせた」と話していた。(平塚学) 【福島】大きな荷物抱えて新幹線に 年末年始をふるさとで過ごした人たちのUターンラッシュが3日、ピークを迎えた。JR福島駅の新幹線ホームでは、大きな荷物を抱えた家族や子や孫らを見送る人の姿が見られた。 東京都立川市から桑折町に帰省していた会社員の相島歩惟さん(34)は、5歳と3歳の子ども2人を連れてこの日午前の東京行きの新幹線に乗り込んだ。「親戚の集まりもなく、ステイホームでしたが、子どもが雪で大喜び。ずっと遊んでいました」と話していた。 JR東日本福島支店によると、東北、山形新幹線ともに上りの指定席はほぼ満席。盛岡発東京行きのやまびこ58、60号は、仙台駅を発車する時点で自由席の乗車率が170%だった。(笠井哲也) 【広島】祖母宅の雪に「びっくりした」 年末年始をふるさとで過ごした人たちのUターンラッシュが3日、ピークを迎えた。 JR広島駅では東京・新大阪方面に向かう新幹線ホームに、たくさんの土産や荷物を抱えた家族連れらによる長い列ができた。家族4人で神奈川県茅ケ崎市に帰る小学6年、鈴木優衣奈さん(12)は三次市の祖母と2年半ぶりに再会。祖母宅では神奈川ではなかなか見ることのできない雪の量に「びっくりした」といい、大きな雪だるまもつくったという。弟で幼稚園児の涼介さん(6)も「すごく楽しかった」と笑顔だった。 JR西日本広島支社によると、3日午前の「のぞみ8号」(東京行き)の広島駅発時点での自由席乗車率は80%。昨年よりは回復したが、コロナ禍前の2020年よりは2割ほど少なかった。(大久保貴裕) Uターンラッシュで渋滞する九州自動車道鳥栖ジャンクション付近。写真上は福岡方面=2022年1月3日午後6時13分、佐賀県鳥栖市、朝日新聞社ヘリから、金子淳撮影 Uターンラッシュで渋滞する九州自動車道鳥栖ジャンクション付近=2022年1月3日午後5時59分、佐賀県鳥栖市、朝日新聞社ヘリから、金子淳撮影撮影 Uターンラッシュで渋滞する九州自動車道鳥栖ジャンクション付近=2022年1月3日午後6時4分、佐賀県鳥栖市、朝日新聞社ヘリから、金子淳撮影撮影 帰省先の場所などから、Uターンラッシュで東京方面(手前)へ向けて車が渋滞する東名高速道路の上り線。後方は富士山=2022年1月3日午後5時24分、神奈川県海老名市、朝日新聞社ヘリから、山本裕之撮影 帰省先の場所などから、Uターンラッシュで東京方面(左)へ向けて車が渋滞する東名高速道路の上り線=2022年1月3日午後5時34分、神奈川県海老名市、朝日新聞社ヘリから、山本裕之撮影 Uターンラッシュがピークを迎え、JR東京駅の新幹線ホームは混雑していた=2022年1月3日午後、東京都千代田区、金子和史撮影 上りの新幹線に乗り込む人たち。Uターンラッシュでホームは混雑した=2022年1月3日午前、JR名古屋駅、土井良典撮影 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
箱根駅伝、沿道観戦者は60万人 自粛呼びかけあったが昨年の3倍超
2、3日に行われた第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)を沿道で観戦した人は、約60万人にのぼった。大会を主催した関東学生陸上競技連盟が3日、発表した。 新型コロナウイルスの感染拡大によって初めて観戦の自粛を要請した2021年大会の約18万人から3倍以上増えた。 関東学生連盟は昨年に引き続き、今大会でも沿道での観戦自粛を呼びかけた。レースが行われた両日はコース沿道に警備スタッフを置いて対策するとともに、学生補助員がプラカードを掲げて観戦しないよう訴えた。それでも、復路のゴール地点となった東京・大手町付近などには多くの人だかりができていた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京大神宮で職員11人感染のクラスター 16日まで参拝中止
東京大神宮(東京都千代田区)は、職員11人が新型コロナウイルスに感染したとホームページ(HP)で2日に発表した。3日~16日の一般参拝を中止するとしている。 東京大神宮によると、昨年12月31日に職員の感染が確認され、これまで濃厚接触者を含む職員計11人の感染が判明。クラスター(感染者集団)と認定されたという。 元日は多くの参拝客でにぎわったが、千代田保健所は、職員がマスクを着用していたことから一般参拝客との濃厚接触はなかったとしている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
人に上下をつけないアイヌの教え 自然に学ぶ大切さ 宇梶静江さん
社会に存在するさまざまな「境界」の今を探り、問題解決には何が必要か、望ましい境界の未来を模索する連載企画「ボーダー2.0」。今回は、詩人でアイヌ文化伝承者の宇梶静江さんに、人に上下をつけない社会のあり方や、災禍があれば自分たちの行いを改める機会だととらえるアイヌ民族の考え方について語ってもらいました。 65年前に札幌から上京し、東京を拠点に暮らしていました。向こうで骨をうずめるつもりでいましたが、昨年11月に北海道白老町に引っ越しました。88歳になり、やっぱり私はアイヌなので、色々な活動に関わっているうちに「せっかく長生きしたんだから、皆さんが仲良くしていくのを見届けて死にたい」という思いになりました。 空き家を借り、敷地内の倉庫を改修して、アイヌの人々が集える場所をつくる予定です。ここを拠点に、アイヌ民族がこれからどう生きていくかを語り合う「アイヌ学」を立ち上げたい。初めて会う人も訪ねてくるようになり、同胞の期待を感じています。 アイヌ民族の人権をめぐってもたくさんの会があり、さまざまな考え方があります。首都圏では民族として主張するのが難しかった。アイヌが一つになって何をするのか、どうやって生活をしていき、自分たちの人権を確立するのか。周りは「北海道には昔アイヌがいた」という程度の認識で、訴える力は弱かった。 北海道では、大地に足をつけて生きていくための訴えをしていける。河川の一本でもアイヌ民族に返してもらい、自分たちのためにサケを捕るというふうに。植物採集やその食べ方といった文化の継承も、関東では個々が家々に分かれて暮らしているので不可能でした。これから立ち上げる「アイヌ学」では、考え方の違いや何かの問題への賛否に関係なく、語り合って手をつないでいきたい。 和人との間にあった「境界」 かつてはアイヌ民族と和人との間に厳然とした「境界」がありました。 人種差別はどこの国でもあると思います。アイヌ民族が目立たない本州では、アイヌだからといって特別苦労することはありませんでした。けれども、北海道でのすさまじい差別が忘れられなかった。同じ村で育ったのに村の外で会うとまるっきり無視される。市町村単位で仕事があっても、和人が仕事を取ってしまい、アイヌが仕事をしたくても出る幕がない。そういう圧力がありました。 150年以上にわたり、アイ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
橋から友人を突き落とし、死亡させた疑いで逮捕 初詣に行く途中か
2022年1月3日 8時11分 愛知県警岡崎署は1日、橋の欄干から友人を突き落として死亡させたとして、岡崎市の自称会社員の男(22)を傷害致死容疑で逮捕し、発表した。調べに対し、「お酒をたくさん飲んでいて細かいところまで覚えていない」と話しているという。 署によると、男は12月31日午後11時50分ごろ、同市明大寺町の橋の欄干の上を歩いていた同市の無職の男性(21)の体を押し、約7メートル下の歩道に転落させ、死亡させた疑いがある。2人は高校時代からの友人で、事件当時は別の友人と計11人で初詣に行く途中だったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
準強制わいせつ容疑 未成年者誘拐容疑の男を再逮捕 薬物中毒死事件
安藤仙一朗2022年1月3日 13時30分 薬物で抵抗できない状態の女性の体を触ったとして、滋賀県警は2日、無職の入江公史郎容疑者(39)=守山市勝部3丁目=を準強制わいせつの疑いで再逮捕し発表した。「さわったが、同意を得ていた」と話しているという。 守山署によると、入江容疑者は12月中旬、自宅のアパートで、薬物の影響で抵抗できない20代の無職女性の下半身をさわった疑いがある。女性とは薬物を過剰摂取する「オーバードーズ」の仲間として会っていたという。 入江容疑者は、京都市の女子高校生(19)が薬物中毒死した事件にからみ、先月、未成年者誘拐の疑いで逮捕された。事件の捜査の過程で今回の容疑が発覚したという。(安藤仙一朗) 滋賀県警本部=大津市打出浜 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「無限ピーマン」の発信者をたどって… 最新型は丸ごとレンジへ
「無限キャベツ」に「無限モヤシ」……。「おいしくて無限に食べられる」ことを想起させ、レシピ名としてすっかりおなじみになった「無限○○」。 その「元祖」として思い浮かぶのは、やはり「無限ピーマン」だ。ほどよく歯ごたえの残る細切りピーマンに、ツナと顆粒(かりゅう)だしのコク、ごま油の香ばしさが加わり、やみつきになる。しかも調理は電子レンジという手軽さ。ツイッター発と言われるこのレシピは、どのように誕生したのだろう。 梅吉さんの「無限ピーマン」レシピ 【主な材料】 ピーマン10個、ツナ缶1缶、顆粒だし(鶏ガラ)大さじ1弱、ごま油適量、黒コショウ(塩コショウでも) 【作り方】 ピーマンはヘタと種を取って千切りにします。 耐熱容器に入れ、ツナ、鶏ガラ顆粒、ごま油、黒コショウを入れて軽く混ぜます。 ラップをして、電子レンジ(600W)で約3分半加熱すればできあがり。 子ども向けには塩コショウにすると黒コショウより辛みが和らぎます。 加熱時間を3分ほどにすると、シャキシャキ感もあり、少し苦みも味わえる大人向きの味付けに。 「できたての熱々もおいしいですが、一晩寝かせて味をしみこませるのもおすすめです」(梅吉さん) インターネットで「無限ピーマン」を検索すると、様々なレシピにたどり着く。中でも「無限ピーマン」「元祖」などでヒットしたのが、梅吉(@AUME100)さんが2016年7月に投稿したツイートだ。 140文字までの世界の妙 「無限ピーマン凄(すご)い」で始まり、料理の写真と、簡単な作り方を記載したつぶやき。寄せられた「いいね」の数は3万件を超える。 早速、取材を申し込んだところ、意外な答えが返ってきた。「実は、私が元祖ではないんです」 梅吉さんによると、自身の投稿の少し前、ツイッターで「無限に食べられるピーマン」として、細切りにしたピーマンのおかずを紹介した投稿があったそうだ。それをきっかけに様々にアレンジした「無限ピーマン」のレシピがツイッターに出回り、自分もその一人だったという。 その後、最初に見たツイッターの投稿は削除されてしまった。「ウェブの世界では、『発信源と特定されるのをあまりよしとしない』という文化が少なからずあった。それが、影響しているかも」 以来、梅吉さんが「無限ピーマンの生みの親」として勝手に紹介されたりすることがあるという。もちろん、直接確認されれば否定している。 ◇ ただ、当時の熱気は覚えている、という。 梅吉さんによる最新型は「千切りすら…」 シンプルな材料に鍋も火も使… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
古川日出男×山田尚子対談 「平家物語」とあの作品の共通点
第1話から。主人公のびわ(声・悠木碧)。フジテレビ「+Ultra」枠で水曜深夜(木曜午前)0時55分。12日深夜(13日午前)の第1話は10分遅れ。ほか各局でも放送予定。FODでも全11話配信中 (C)「平家物語」製作委員会 古典文学「平家物語」がアニメ化された。原作となった現代語訳を手がけた小説家・劇作家の古川日出男さんと、監督を務めた山田尚子さんが対談し、現代にも通じる「平家」ワールドについて語り合った。古川さんは山田さんの監督作「聲(こえ)の形」とのある共通点を鋭く指摘。山田さんからは「憎めないおじさん」たちのキャスティングの裏話なども飛び出して……。 山田「最初からびわの声は悠木さんだと」 ――主人公は琵琶法師の少女「びわ」。アニメオリジナルのキャラクターです。 古川 違和感がありませんでした。誰かが、傍観者だけど語る意思をもって関わってくるというやりかたをしないと「平家物語」はよみがえらせられない。 山田 シリーズアニメなので、少しでもわかりやすい方がいいというか、見ている人が一緒に平家物語を知っていくのも理想でした。見ている人の目や、物差しのような役割です。 古川 びわの関わった平家の一人一人のリアクションによって、そのキャラクターがわかりますよね。 山田 人となりを大事にしたかったので、びわは必要不可欠でした。 ――原作、アニメへのお互いの印象は。 山田 古川先生の書かれる琵琶法師は、めくるめく状態で語り口が変わってくる。清盛が亡くなる「入道死去」ではっとしました。そこまでとても美しい丁寧な言葉で語られていたのが、そこから文体が変わる。どんどん引き込まれていきました。最後、先生のあとがきを読んで、すとんと落ちた。「ただ一人の作者など、ここにはいないのだ。だから私は無数の語り手を呼び出した」と。そこにものすごく胸を打たれました。 古川 原典を訳すときにどういう文体にするかは、小説家の最初のジャッジなんですよ。語り手が一人ではないということに気付くのにものすごく時間がかかりました。これは誰かが語るというか、そういう設定を用意しない限り語りきれない大きな物語なんだな、と。 アニメはすごくよかったです。最初はどういう物になるか全く分からなかったんですが、山田さんの作風なんでしょうか、別の世界が見えてきて、4話目ぐらいから自分が見ようとしている世界とかみ合い、歴史絵巻のようなものに巻きこまれていった。最後、巻物の軸の部分のところにきたら、頭の部分とつながって。この物語世界に入れてもらった感覚がありました。 山田 ありがとうございます。 ――平家物語のアニメ化と聞かれたときは。 山田 名前が大きすぎて、本当にびっくりしました。ちょっと怖いお話と思っていたところもあって、勉強できるチャンスと思いました。授業で冒頭だけ覚えるじゃないですか。あそこだけ覚えると「盛者必衰」みたいなところだけで、「おごれる者は久しからず」と皮肉っぽく使われるイメージがある。それって本当なのかな、と。実際勉強してみたらそこだけをピックアップして要約してしまっていいような話ではないように思いましたし、また冒頭に戻って読んだら感じ方が違いました。 古川 アニメになると聞いて楽しみでした。僕は耳が聞こえない子どもが登場する小説を書いていたこともあって、山田さんが監督をされたアニメ映画の「聲の形」も見させて頂いた。とてもいい作品で。 山田 ありがとうございます。 古川 だからこそ「平家」をどう仕上げるのだろうと思いました。「聲の形」のヒロインの妹の少女結絃ちゃんは、びわのように最初は少年のような感じで出てきて、主人公たちの傍観者なんだけど、最終的に彼女が全部動かしてつなげていく。びっくりしたのが、クレジットを見たら、声優がびわと同じ悠木碧(あおい)さんで。最後の最後、腑(ふ)に落ちました。 山田 最初からびわの声は悠木さんだと思っていました。 ――びわと結絃が重なるようなイメージは山田監督にもあったんですか? 山田 あー、でも、スタート… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
寅さんの旅は「放浪と定着の相互憧憬」 東海3県の12カ所でロケ
「とら」といって思い浮かべる一つに「寅(とら)さん」がある。言わずと知れた、昭和から平成にかけて、お正月とお盆の封切りが定番だった国民映画「男はつらいよ」の主人公だ。渥美清さん演じる寅次郎は、シリーズ48作の中で、東海3県の各地を旅している。寅さんにとって旅とは何だったのか。「完全版『男はつらいよ』の世界」の著者で映画評論家の吉村英夫さんに聞いた。 「男はつらいよ」のロケ地は、愛知、岐阜、三重の3県で合計12カ所ある(別表、吉村さんまとめ)。「柘植駅(三重県伊賀市)は、渥美さんや山田洋次監督は足を運ばず、スタッフだけで撮影したようです。東海3県で本格的なロケは、第3作の湯の山温泉と四日市市の磯津、第39作の伊勢志摩と、なぜか三重県が多い」 吉村さんは伊勢志摩のロケにエキストラとして参加している。「松竹から連絡が来て、寅さんファン10人ぐらい集めてくれ、と言われて。二見浦でお正月のシーンを撮るから、いい服を着てくれ、と」。日当は1300円。「妻は、ラストシーンで自分の和服姿がちらっと映った、と言っていますが」と笑う。 岐阜県でのロケも印象的だ。第38作の岐阜市の長良川河畔、第45作の下呂温泉は「寅さんが啖呵(たんか)バイ(露天商で販売することの隠語)をするシーンが記憶に残ります」と吉村さん。第44作のロケ地・恵那峡には記念碑が残る。 ちなみに、映画の中で寅さんが訪れていないのは、富山県と高知県だけだ。寅さんは、なぜ、全国を旅したのか。 「放浪と定着の相互憧憬(し… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
寅ゆかりの寺へ臨時列車 3本のうち1本は 「乗れたら幸運」
2022年1月3日 8時30分 干支(えと)の寅(とら)をあしらったマークをつけた臨時列車を、巨大な張り子の寅を飾っている信貴山(しぎさん)朝護孫子寺(ちょうごそんしじ、奈良県)の参拝客向けに、近鉄が走らせている。 元日から3日までと8~10日の午前10時、11時、正午に大阪上本町駅を出発。終点の信貴山口駅から寺まではケーブルカーとバスに揺られて20分ほどだ。 3本のうちの1本は、行き先表示板にも寅がいる。どの便かは日によって違う。「乗れたら幸運。トライしてみて」と広報担当者。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル