60代女性です。シングルマザーとして育てた娘との関係でご相談申し上げます。 6年前、大学院を終えた娘が失踪しました。警察に捜索をお願いし、無事が確認されましたが、「親とは絶縁する」と伝えられました。その後、海外へ行くというメモ書きと、不要になった荷物が届きました。昨年、がんが再発し、遺伝性だと判明しました。その事実だけでも伝えたいと、元の大学院の教授宛てに手紙を送ったところ、幸いにも娘には伝わったようです。 ここからが問題なのですが、娘から手紙が来て、内容にあぜんとしました。ほとんどが私への罵詈(ばり)雑言で、事実無根のことも書かれており、精神的に壊されたとありました。「面倒などみないので勝手に生きろ」という言葉で終わっていました。 以前から老後の生活を娘に頼るつもりはありませんでした。今も働いていますし、平均寿命くらいまでの生活設計はできています。ただ、子供に誤解されたままの状態は避けたいですし、また子供が誤解ゆえに私に対する憎悪の感情を持ったまま生きていくのはふびんで仕方ありません。こういう場合にはどうしたら良いのでしょうか。 シングルマザーになった経緯は、夫の暴力と不貞です。養育費などは多少負担してもらいましたが、大学卒業までの負担は全て私一人でまかないました。元夫はすでに他界しています。 回答者 社会学者・上野千鶴子さん シングルマザーとして育てた… この記事は有料会員記事です。残り962文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山形県の新型コロナ感染者257人 最多更新
山形県は30日、新たに257人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。28日発表の230人を上回り、過去最多を更新した。累計の感染者数は5499人。入院中は62人で、病床の使用率は26・2%。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
母親の蘇生断られた後に発砲か 立てこもり容疑者、名指し呼び出しも
山田暢史2022年1月30日 13時28分 埼玉県ふじみ野市の立てこもり事件で、銃で撃たれて殺害された医師の鈴木純一さん(44)ら医療関係者は、無職渡辺宏容疑者(66)=殺人容疑で送検=に「線香をあげにこい」などと容疑者宅に呼び出されていたことが捜査関係者への取材で分かった。 捜査関係者などによると、渡辺容疑者と同居していた母親(92)は他の医療機関に受け入れを断られ、数年前から鈴木さんが関わる在宅クリニックを利用していた。職員らは渡辺容疑者からたびたび罵声を浴びることがあったという。 これまでの県警の調べでは、母親は今月26日に亡くなり、鈴木さんが渡辺容疑者宅で死亡確認をした。その日のうちに渡辺容疑者からクリニック側に連絡があり、「線香をあげにこい」などと言われた。数人は名指しで、医療関係者の男女7人は、渡辺容疑者に指定された27日午後9時ごろに容疑者宅に赴いた。 渡辺容疑者は鈴木さんらを1階の部屋に通し「心臓マッサージをしてほしい」などと、部屋に安置した母親の蘇生措置を依頼したが、鈴木さんに対応を断られたという。その後、散弾銃を少なくとも3発発砲した。 渡辺容疑者は調べに対し、鈴木さんを最初に撃った後、重体になっている理学療法士の男性(41)に発砲したとし、その場にいた他の医療関係者にも催涙スプレーをかけたり発砲したりしたと説明しているという。 県警は渡辺容疑者宅の2階に銃や弾の保管庫があることを確認。渡辺容疑者があらかじめ銃弾を入れた散弾銃を1階に移していた可能性もあるとみている。(山田暢史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
手法公開 基幹統計4兆円過大 朝日新聞はこう試算した
国土交通省による基幹統計「建設工事受注動態統計」の不正。本省職員らがデータを無断で書き換えて二重計上したことで、統計はどれだけ過大になっていたのか。朝日新聞が2020年度分に絞って過大額を試算したところ、約4兆円に上っていた疑いがあることがわかった。試算は公表済みのデータを基に専門家らの助言を得ながら慎重に進めた。 単純な引き算だが…… 過大になっている不正な統計から、正しい統計を引けば、差額がわかる。その差額が「過大額」だ。単純な引き算ができればいい。 不正な統計をAと表記して考えていく。公表済みだが、書き換えにより過大になっているものだ。 正しい統計をBと表記して考える。これは公表されていないものだ。 AとBを使って式に表すと簡単に見える。 A-B=過大額 この計算をすることが目標となる。 20年度の統計は2パターンあった 20年度の1年間だけに絞って考えることにした。 20年度は、国交省の本省職員が書き換え行為を行っていた時期だ。具体的には、本来、合算すべきでない受注実績を、計2カ月分、合算して集計していた。 まず調べたのは、そもそも何が公表されているのか、だ。 Aは公表されている。Bは非公表。そのほかに、Aとは別のパターンの20年度の統計が公表されていた。これをCを表記して考えることにした。 Cとは何か。具体的には、21年度から新たに導入された計算ルールをさかのぼって20年度の統計に適用したものだ。書き換え前の正しいデータを基につくられているから、二重計上による上ぶれは原則として生じていない。 AとCの違いを整理するとこうなる。 A 旧計算ルール(~20年度)で計算した20年度の統計。不正な書き換えによる過去分データの合算あり。 C 新計算ルール(21年度~)をさかのぼって使い計算した20年度の統計。不正な書き換えによる過去分データの合算なし。 前提が違う 計算ルールが新旧で異なるため、AとCを単純に比べることはできない。Aは過去分のデータが不正に合算された過大な統計で、Cは過去分の合算がなく過大になっていない統計だが、単純に「A-C」という計算をしても「過大額」を知ることはできないわけだ。 そこで、前提条件をそろえる方法を探ることにした。 まず欠かせないの、新旧の計算ルールの違いを理解することだ。国土交通省はホームページにその説明文を掲載していた。 新計算ルールでは、旧計算ルールに新たに「係数」(母集団の欠測値を埋めて補正するためのもの)をかける、という概要だ。単純にイメージを記すと次のようになる。 旧計算ルールの統計×係数=新計算ルールの統計 記号で書くとこうだ。 B×係数=C この式を次のように書き換える。 B=C÷係数 係数さえわかればBもわかることになる。Bがわかれば答えもわかる。少し光が見えた気がしたが、その先が険しかった。 迷路に迷い込んだ 公表されているAには、書き換えられたデータが使われている。同じく公表されているCには、書き換えられたデータが原則として使われていない。書き換えありと、書き換えなし。違いのあるデータを、同じ式の中に入れて考えることはできない。 取材チームは迷路に迷い込んでしまった。ゴールにつながる道がどこかにないか。手分けをして探るかのように、複数の専門家の助言を得ながら検討を続けた。 カギは「4月」だった 浮かんできたキーワードは「4月」だった。 今回の統計不正で問題になっ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「とことん付き合ってやろう」 タフな文筆家魂、不治の病でも健在
ノンフィクション作家・井口隆史さん 告知から一夜が明けた。自分でも意外に思うほど、前夜の落ち込んだ気持ちを引きずっていなかった。幸か不幸か、病院生活はけっこう多忙で、感慨にふけっているひまがないのだ。 検査中からリハビリテーション科に通わされていて、この日課にも変更はなかった。理学療法(私の場合はもっぱら杖で歩く練習)と作業療法(手作業の訓練)、言語療法(発声・発語など口の訓練)を受ける。担当の療法士は、いずれも20代の若い男女だった。 彼らは私が病名を告知されたことを、すでに朝のミーティングで知らされていた。病室までやってきた女性の言語聴覚士は、「次回から、透明文字盤の使い方を練習しましょうね」と告げた。 ALS患者は病気が進行する… この記事は有料会員記事です。残り1199文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「親ガチャ」論争火付け役が語る「意識高い系」 浮く浮かないの境目
会員記事 聞き手・高橋豪2022年1月30日 10時00分 若年層の政治離れや気候変動問題を何とかしようと若者が行動を起こすと、同世代から「意識高い系」との言葉が向けられることがあります。社会問題を解決しようと動く若者が、そうした言葉でくくられるのはなぜか。社会を変えようとする若者を憂鬱(ゆううつ)にさせる言裏の裏には、どんな事情や背景があるのか。「親ガチャ」論争の火付け役で、若者分析に詳しい土井隆義・筑波大教授にききました。 ◇ 今の30代以下は「努力したって社会は変わらない」と思う人が多い世代です。日本の1人当たりの国内総生産(GDP)が、右肩上がりから平らに変わるのが1990年代。それ以降に思春期を迎えた世代は、社会に追い風が吹いていた経済の成長期に比べ、努力しても結果が返ってくる実感が少ないのです。 野心的でなく、良く言えば洗練されている傾向がある。年金問題や少子化、気候変動など取り巻く社会課題は多いのに、変えられないから自分がそれに対応しようと防衛的になる。年金制度を変えるのではなく、貯金をしておこうと考えるわけです。 経済成長のない社会で、若い人は将来が今より素晴らしくなるとは思いづらく、変わるとすればむしろ悪くなるのではと感じてしまいがちです。かつては希望だった変化を今はリスクとして嫌う傾向が強いのです。だから変わらないことを望む。革新志向だった僕らの時代と違い、選挙では政権が変わることより現状維持を選ぶことに安心感を覚えるのです。 加えて、教育現場では政治的な議論を遠ざけ、政治や社会課題について話し合う機会が少ないので、自分たちの将来にかかわる不安や課題は共有できずに個人化されていきがちなのです。お互いに語り合えないと不安ばかりが募りますよね。 このような若者の中で「意識高い系」と言われる人について考えてみましょう。私は大きく2種類いるように思います。社会を「変えよう系」と、この社会でいかに生き延びるかを考える「生き抜こう系」です。今の若い人に人気があるのは、起業を考えたり、承認を得る手段として学歴や資格を追い求めたりする後者の方でしょうね。 少数派の「変えよう系」は大… この記事は会員記事です。残り793文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
バイク神社で愛車をおはらい 全国からライダー「気持ちが入ります」
「バイク神社」の愛称で全国からファンを集める神社がある。北海道から九州までライダーたちが集まってくる。 栃木県高根沢町の安住(やすずみ)神社。899年に創建された。禰宜(ねぎ)の荒井清律(きよのり)さん(44)は38代目にあたるという。 日曜日、田んぼの真ん中にそそり立つ高さ12メートルの朱塗りの大鳥居に向けて、エンジン音を響かせたバイクが続々と通り過ぎた。大型バイクから原付きまで100台あまりが神社の駐車場を埋め尽くしていた。 安全祈願のおはらいをしてもらった東京都足立区の遠藤浩さん(55)は仕事仲間とバイクで訪れた。「バイクのおはらいはなかなかない。気持ちが入ります」と満足そうだった。原付きで走ってきた埼玉県ふじみ野市の学校事務員斎藤淳さん(52)は「毎年何回も来ています。今年一年、バイクも元気でいるようにお願いしました」。 韓国から来てくれた人も 駐車場の一角で、四方からバイクに御幣(ごへい)をかざしてお祈りする。祈禱(きとう)料は1台3千円~6千円。荒井さんは「車はよく聞くけれども、バイクのおはらいをやる神社は珍しいと思います」。 大鳥居の前でライダーが巫女(みこ)さんと撮った写真がSNSで拡散し、訪れるライダーが増えていった。愛好家の間で「バイク神社」と呼ばれるようになった。2016年、安住神社は「全国バイク神社認定第1号」の商標登録を取得した。 バイクの祈禱を始めて以降、地元飲食店から「週末に店がにぎわうようになった」と感謝の声が寄せられるようになった。荒井さんは「ライダーさんは気さくな人が多く、店のことも神社のことも口コミで広めてもらえる」と喜ぶ。 雑誌広告を出すのは1年に1回程度。「広めてくれたライダーのおかげ。うまく時代に乗ることができました。韓国から来てくれた人もいるんですよ」 ヘリコプターもおはらいできる? なぜか、バイクが集まる駐車… この記事は会員記事です。残り610文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学校教諭、児童29人分の名簿を漏らす 売却しようとしたか
岩城興2022年1月30日 7時17分 山梨県市川三郷町教育委員会は29日、町立小学校の20代男性教諭が、金銭を目的に、勤務校の児童29人分の名簿をSNS上で知り合った相手に漏らしたと発表した。最終的に金銭を受け取っていないが、聞き取りに「お金に困っていた」と話しているという。町教委は教諭を自宅待機とし、処分を検討する。 町教委によると、漏洩(ろうえい)したのは小学3年生11人、4年生18人の氏名、住所、電話番号など。教諭は今月24日、金を借りるためにツイッターで連絡を取った相手から「児童の個人情報を買う」と持ちかけられた。学校のデータからダウンロードした児童の名簿を印刷し、スマートフォンで撮影した画像を相手に送信した。 27日に相手がツイッターに教諭を名指しし、画像を黒塗りにした状態で投稿。町職員が28日朝に見つけて発覚した。その後、投稿は削除され、現在のところ悪用の被害は確認されていないという。教諭は聞き取りに漏洩の事実を認め、反省の意思を示しているという。 小学校の規定では、個人情報の持ち出しを禁じている。町教委は29日、保護者に経緯を説明して謝罪。渡井渡教育長らが、同日の記者会見で「町民、県民のみなさまに多大なご迷惑をかけ、申し訳ありません」と陳謝した。31日に緊急校長会を開き、教職員による個人情報の取り扱いについて管理監督を徹底するなど、再発防止をはかるという。(岩城興) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地球かけ巡る衝撃波、巨大すぎる傘型噴煙 トンガ噴火に残された謎
会員記事 山野拓郎、竹野内崇宏、香取啓介2022年1月30日 8時00分 トンガ諸島で起きた大規模噴火 世界中を駆け巡った衝撃波 南太平洋のトンガ諸島で15日に起きた海底火山の大規模噴火。噴火の規模が徐々に明らかになりつつあるが、多くの謎を残している。 「聞いたことのないような巨大な音、近くで大きな大砲を発射したような『バンッ』という音が空から響きわたりました。続いて、経験したことのない衝撃が駆け抜けました」。宗永健作・駐トンガ大使は大使館のホームページにつづった。 噴火したのは日本時間15日午後1時10分ごろ、首都ヌクアロファから60キロあまり離れた「フンガトンガ・フンガハーパイ」と呼ばれる海底火山だった。「巨大なキノコ雲が空の半分を覆い隠し、危機が今、目の前に迫っているのは誰の目にも明らかでした」 トンガ政府は声明で3人の死者と14人の負傷者を確認したとし、火山灰と津波の影響で「国民の約84%(にあたる約9万人)に被害が及んだと推定」されるとした。 気象衛星などの観測から、噴煙は一時、半径約260キロまで広がったとみられる。藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所長によると、噴煙が傘のように広がる「傘型噴煙」と呼ばれる巨大噴火に特徴的な現象だった。噴火の規模を示す火山爆発指数(VEI)は当初、5~6とされ、日本に記録的な冷夏をもたらした1991年のフィリピン・ピナトゥボ山の噴火に匹敵すると思われた。 ただ、国連衛星センター(UNOSAT)などによる現地の被害の映像では、首都付近に降った火山灰は数センチほど。藤井さんは「噴煙の規模に比べれば火山灰などは限定的だった可能性がある」と指摘する。 藤井さんが原因として可能性… この記事は会員記事です。残り824文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
行動する若者に向けられる「意識高い系」との視線 足かせ?それとも
先の衆院選では、若年層の政治離れなどを何とかしようと動いた若者がいました。共感が広がる一方で「意識高い系」と同世代から浮いた存在に見られた人も。問題解決に動こうとする若者を憂鬱(ゆううつ)にさせる意識高い系という言葉との向き合い方を考えます。 NO YOUTH NO JAPAN代表 能條桃子さん(23) いま社会活動に関心があるという大学生の相談に乗ることがありますが、必ず「意識高い系」という言葉が出てきます。「行動したいけど、意識高いと言われたくない。どうしていましたか?」と。 昨年の衆院選でインスタグラムを通じて若者の政治参加を呼びかける「NO YOUTH NO JAPAN(NYNJ)」の活動をしましたが、起点になったのは2017年の衆院選でした。 能條桃子さん=能條さん提供 SNSの運用方法を学びたくて候補者事務所でインターンすると、1票のために大人たちが全力で動いていた。文化祭みたいで楽しかったんです。でも、私の周りは「意識高いね」と冷ややかでした。 単に「偉いね」という意味だったのかもしれないけど嫌でした。その言葉に含まれる「自分はあなたとは違う」という意識は、社会への無関心につながっていると思ったからです。その時は、無理やり相手を変えようとしなかったし笑って受け流しました。 その2年後、若者の投票率が80%を超えるデンマークに留学しました。先生も学生も普通に支持政党について話すし、校則などのルール作りにも生徒が携わります。仕組みを作る側としての意識がありました。意識が「高い」「低い」に関係なく、政治参加が当たり前だったんです。NYNJを立ち上げたのは、そんな社会を実現するため、政治への「入り口」を作りたいと思ったからでした。 「意識高い系」と言われて思うことがあります。自分だけが高いところにいると、見える景色は広がっても、周りを巻き込めなくなる。意識は「高く」持つのではなく、広げることが大事だと思います。興味の起点は人によって様々。正義感だけを振りかざしていたら、ギャップはどんどん大きくなる。あくまで「入り口」であることを大切にしています。 政治に関心が無い人にアプローチするには、周りの「関心がある人」が誘うしかない。選挙だって「大学の友だち」が投票に行っていたら「自分も」と思うでしょう。一人ひとりが発信するのはハードルが高いので、さくっと、ずうずうしくなく政治の話ができるような価値観を広げたいと思っています。 同世代の中でも、届かない層があることは実感しています。SNS中心に活動してきたからこそ、自分が見たい情報しか見えない「フィルターバブル」が私たちの周りにも起きている。インスタのフォロワーは8万5千人に増えたけれどSNSでの発信だけでは入り口になりきれないし、選挙期間だけ動いても広がらない。参院選に向けてはオフラインの活動にも取り組んでいきます。(聞き手・寺島笑花) 環境活動家 露木志奈さん(21) 2020年の夏、入学したばかりの慶応大を休学し、環境活動家になりました。全国の中学や高校で講演活動をするのは「大学は待ってくれても気候変動は待ってくれない」からです。 講演で環境保護の大切さを訴える露木志奈さん=2020年12月18日、東京都中野区の新渡戸文化学園中、上田幸一撮影 高校時代、インドネシア・バリ島に留学し、「世界一エコな学校」と言われるグリーンスクールで初めて「教科書では詳しく学べない」気候変動問題を知りました。授業の一環で先進国から集められたごみの山を見て、私も加担していると気づきました。校舎は竹でできていて電力も自給。同級生でポリ袋やペットボトルを使っている人をほとんど見たことはなく、私も水筒やエコバッグを持ち歩くことが当たり前になりました。 環境問題に関心があっても、学生が知る機会は限られます。多様な人がいる学校という場にこだわるのは、接点のない人に知ってもらいたいからです。希望者だけが参加する形の講演はあまり行いません。 どんな活動にも批判は付きものです。私に意見があるように他の人にも違った意見がある。「ビジネスだ」とか「見せかけだけ」というコメントが付くこともあります。それぞれ異なった視点を持っているからこそ、世の中がよくなっていくのだと思います。小さな成功体験を重ねて自信が付いたからか、批判はあまり気になりません。むしろ、他の人と同じことをしている方が不安になります。 環境問題を「知った上で興味がない」人まで変えたいとは思わない。伝わらないことに落胆したり、憤ったりしていたら疲れちゃうから。講演でも100人中1~2人呼応してくれればいいと思っています。 気候変動は調べれば調べるほど、本当に間に合うのか不安になる。地球温暖化は今も進んでいて、講演活動をしてもすぐに目に見える効果があるわけでもない。でも、希望はあると思っています。その方が行動しやすいからです。 気候変動は誰もが必ず加担しています。それは誰もが解決策を持てるということです。電力会社を選ぶ、食べるものを選ぶ。私たちの「選択」が未来を変えます。めざすのは「環境活動家がいない未来」です。実現するための方法は先生になることでもいいし、アイドルでも政治家でもユーチューバーでもいい。時代に合わせて手段を変えればいいと思っています。 この先、何をするかは自分でも分かりませんが、これからの世代を生きていく同年代の「変わるきっかけ」を作れるとしたら、ワクワクします。もちろん「未来のため」ではあるけれど、自分の活動が楽しいからこそ続けられる。結局は行動するのは「自分のため」だと思います。(聞き手・寺島笑花) ■春から教員になる 別木萌果… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル