埼玉県ふじみ野市で起きた立てこもり事件で、人質になっていた医師の鈴木純一さん(44)が銃で撃たれて死亡した。在宅医療に携わっていた鈴木さんは、他の医療関係者とともに容疑者の男に呼び出されて現場の住宅を訪れ、事件に巻き込まれたとみられている。 東京慈恵会医科大の医学部で鈴木さんと同級生だった東京都内の40代の男性医師は、鈴木さんが亡くなったことを知って涙が止まらなかったという。 28日朝に「医師が心肺停止になっている」とのニュースを見た。そのときは「同世代の人だな」と思った程度だった。その後、昼過ぎに先輩医師から「お前の同級生じゃないか」と尋ねられ、「まさか」と思った。医師が亡くなったことを報じるニュースを確認すると、鈴木さんの顔写真が映っていた。「本当に純一だ」。ぼうぜんとした後、悲しさがこみ上げてきた。 大学時代、教授に近い前の席… この記事は有料会員記事です。残り237文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「てめえの立場をわきまえろ」 課長のパワハラ、県が減給処分
高木文子2022年1月29日 7時25分 部下の男性職員4人に対しパワハラをしたとして、岐阜県は28日、航空宇宙産業課前課長の男性(51)=28日付で商工労働部付課長=を減給10分の1(3カ月)の懲戒処分とし発表した。 県によると、前課長は2020年4月~21年5月、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(各務原市)の企画・運営にあたる部下3人に対し、打ち合わせの際などに「分限免職ものだぞ」「主事じゃないんだから、係長職に応じた仕事をしろよ」「子どもみたいなことをやってんじゃない。自分の年齢を考えろ」などと発言。博物館に派遣された別の部下にも「てめえの立場をわきまえろ」と発言したという。21年9月に県職員組合から人事課に情報提供があり発覚した。 職員のうち2人は発言後、「慣れない仕事で体調不良になった」などと前課長に説明して1~2カ月の病気休暇を取り、別の部署に異動した。前課長は聞き取りに「仕事を優先しなければと思い、厳しい発言をしてしまった」と話したという。県の人事担当者は記者会見で「ハラスメントを防止すべき所属長が自らやった行為で、非常に重く受け止めている。早い段階で分かっていればパワハラの拡大が防止できたのではないかと反省している」とした。 県は、上司にあたる商工労働部長と次長(当時)、課のナンバー2にあたる管理調整監(当時)も文書や口頭による厳重注意処分とした。(高木文子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
運転免許を偽造、陸自の陸士長を停職「上司への報告がわずらわしく」
2022年1月29日 7時27分 陸上自衛隊湯布院駐屯地は28日、運転免許証を偽造したとして、水陸機動団特科大隊の男性陸士長(23)を同日付で停職4日の懲戒処分にしたと発表した。 駐屯地によると、男性陸士長は普通自動二輪の免許を取得したが、上司にそれを隠すため2020年8月1、2日に免許証を偽造したとされる。実家のスキャナーで取り込んだ免許証の画像から、パソコン上で「普自二」の文字を消し、交付日を書き換えて普通自動車のみの免許証に見えるようにしたという。 同月4日、県運転免許センターで隊へ提出する運転経歴証明書の交付手続きをした際、偽造した免許証を提出したのがきっかけで発覚。同年10月8日に有印公文書偽造・同行使の容疑で大分県警大分東署から大分地検に書類送検され、同年12月22日に不起訴処分となった。 男性陸士長は理由について、「免許を取ったことを上司に報告するのがわずらわしかった」と話しているという。 水陸機動団特科大隊長の村嶋良太2等陸佐は「国民の生命と財産を守るべき自衛官がこのような事件を起こし、深くおわび申し上げる」などとコメントを出した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
警察の備品を盗んでフリマアプリで売った疑い 30代職員を書類送検
谷瞳児2022年1月29日 7時36分 香川県警の備品を盗んだとして、県警は28日、人事課の30代男性職員を窃盗容疑で高松地検に書類送検し、発表した。県警は同日、減給6カ月(10分の1)の懲戒処分とし、男性は同日付で依願退職した。 県警監察課によると、男性は昨年6月と11月、県警本部の倉庫にあった靴や雨具などの備品13点を持ち出し、一部をフリマアプリで売却した疑いがある。男性は「商品が売れてお金が増えるのが気持ちよかった」と容疑を認めているという。 河合潤一郎・首席監察官は「県民の皆様の信頼を裏切ったことに対し、深くおわび申し上げます」などとコメントした。(谷瞳児) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福島原発事故「息子を被曝させた」 苦しみ続ける父 法廷で訴え
2011年の東京電力福島第一原発の事故で、福島県などから北海道内に避難してきた住民らが国と東電を相手取り、慰謝料など約13億6千万円の賠償を求めた控訴審の口頭弁論が28日、札幌高裁であった。原告の避難者が意見陳述し、事故から11年経っても癒えることない苦悩を訴えた。 「原発事故がなかったら長男はおそらくこの病気にはならなかったのではないでしょうか」 現北海道赤平市議の鈴木明広さん(61)は、法廷でこう訴えた。昨年3月に長男(26)が悪性リンパ腫を発症し、札幌で入院治療中であることを明かした。「私は、避難行動が遅れたことによる健康への影響について、毎日自分を責め続けており、長男が苦しみから解き放され健康が回復することを願う、やりきれない日々を過ごしております」と述べた。 鈴木さんによると、事故当時、停電した福島市内の自宅で、ラジオで原発事故を知った。最も気がかりだったのが、当時高校2年と中学2年の息子の健康被害だった。 すぐに避難を考えたがガソリンが手に入らず、震災の約2週間後に新潟に一時避難できた。息子たちの健康を考えて、学習塾を営んできた故郷の福島市を離れることを決意した。11年9月、先に長男が転校していた北海道函館市に次男とともに避難した。 16年に赤平市に移り住んだ。長男は大阪のIT企業に就職し、次男は道内の食品会社の直営農場で働き始めた。19年、「新しい風を入れてほしい」と請われて赤平市議選に立候補し、当選を果たした。 北海道十勝地方の高校に勤める妻とは同居の見通しは立たないが、苦難の多い避難者がいるなか、「自分たちは、ソフトランディングできたほうではないか」と思えるようになっていた。そんな矢先に襲った長男の病気だった。 長男は発病後、半年間にわたり抗がん剤治療を受け、一時寛解ともいえるほどに回復。しかし12月に再発がわかった。薬の副作用で髪が抜け、吐き気に苦しむ長男の姿を見るのは「心がずたずたに引き裂かれる思いだった」。 福島市内にとどまっていた間に、息子たちを被曝(ひばく)させたと考えてきた。法廷に立つのは気が進まなかったが、「事故から11年たち、世間に避難者の声を忘れさせないため」と意見陳述することにした。 鈴木さんは閉廷後の取材に「原発事故禍から一生抜けられないのか。事故の記憶も消えかけている世の中だが、事故は決して終わっていないことをわかってほしい」と静かに語った。 控訴した原告の大半は、国の避難指示の対象にならなかった「自主避難者」だ。20年3月の一審・札幌地裁判決は、国と東電の責任を認めて賠償を命じたが、自主避難が妥当だと認められる期間を、政府による原発事故の「収束宣言」が出た11年12月末までとした。このため、賠償を受けられる対象が原告253人のうち4割弱に限られ、金額も約5300万円にとどまった。(中沢滋人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
裁判所に行かないまま判決 25年度にも民事裁判すべてIT化へ
民事裁判を提訴から判決まで全面的にIT化する内容の答申案を法制審議会(法相の諮問機関)の部会が28日まとめた。訴状などのオンライン提出や、口頭弁論などへのウェブ会議での参加を可能とすることが柱。裁判の迅速化や利便性の向上に加え、国際紛争への対応強化を図る狙いがある。 2月に予定される法制審総会での答申を経て、法務省は民事訴訟法などの改正案を今の通常国会に提出する方針。セキュリティー対策も講じたうえで2025年度の全面実施を目指す。 原則「書面」「対面」、海外から敬遠 答申案によると、裁判所に持参や郵送をする必要がある訴状や準備書面の提出方法を見直し、ネットを通じて裁判所の専用システム上でできるようにする。これらの書面を相手方に郵送するなどしている送達手続きでは、提出の通知を受けた相手方が自分でシステムにアクセスして閲覧・ダウンロードする「システム送達」を導入。何もしなくても通知から1週間が過ぎれば送達されたと見なす。 また、口頭弁論の手続きを裁判所に行かず映像と音声によるウェブ会議で行えるようにする。証人尋問も、証人が遠くに住んでいる場合などに加え、新たに年齢や心身の状態から出頭が難しい場合や当事者に異議がない場合にも、同様に可能とする。裁判官は従来どおり法廷で手続きを進め、審理の傍聴もできる。 裁判官が紙に署名・押印して当事者に郵送するなどしている判決文は、電子データで作成してシステム送達を可能にする。準備書面や書証なども含む裁判記録を紙で裁判所ごとに保管している現状を改め、電子化して一元管理し、閲覧・ダウンロードをシステム上でできるようにもする。 日本の民事裁判は「書面」と「対面」が原則で、米国や中国、韓国などの諸外国と比べIT化が遅れている。外国企業は日本での裁判に消極的とされ、取引上のトラブルなどをめぐり他国の法制度下で争うのを余儀なくされる日本企業も少なくない。政府は17年に閣議決定した成長戦略にIT化の推進を盛り込み、国民の利便性や紛争解決における国際競争力などの観点から検討。これも踏まえ、法制審では20年から議論が行われてきた。 7カ月で終結の新制度に懸念も 民事裁判の全面的なIT化を盛り込んだ28日の答申案で、法制審議会(法相の諮問機関)の部会は、7カ月以内の短期間で裁判を終える新たな制度の創設も提示した。終結までの期間を民事訴訟法に基づく制度として見通せるようにすることで、裁判を利用しやすい環境を整えたい考えだ。ただ、「権利が制限される」などと懸念する声もある。 新制度は、当事者の申し出や… この記事は会員記事です。残り648文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
昨年の入国外国人35万人、2年前の1%に コロナで大幅減
伊藤和也2022年1月28日 20時38分 昨年1年間に日本に入国した外国人は約35万3千人で、前年の約430万7千人から91・8%減少した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による水際対策の強化を受け、過去最多の約3118万7千人だった2019年から2年連続で大幅に落ち込み、1966年以来の低水準となった。出入国在留管理庁が28日発表した。 入管庁によると、昨年は前年よりさらに水際対策が強化され、在留資格のある人の再入国を除く新規入国を1月21日に原則停止した。新規入国者は同月に約3万7千人、東京五輪・パラリンピックの開催に伴い7、8月に計約6万4千人だったほかは、各月とも1万人程度までにとどまり、通年では計約15万2千人だった。 新規入国者を在留資格別にみると、「短期滞在」が最多の7万2千人で、「技能実習」約2万3千人、「留学」約1万2千人と続いた。国籍・地域別の最多はベトナムの約2万5千人。次いで中国約1万9千人、米国約1万4千人だった。(伊藤和也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生乳廃棄問題、給食ない春休みに再燃の可能性も 業界団体が見通し
川見能人2022年1月28日 20時50分 年末年始に牛乳の原料となる生乳が余り、廃棄のおそれが生じた問題で、酪農・乳業の業界団体「Jミルク」は28日、学校が春休みに入る3月の年度末に再び生乳が余る可能性があることを明らかにした。廃棄の回避に向け、消費の拡大や、一時的な出荷抑制などを呼びかけるという。 Jミルクによると、2022年度の生乳の生産量は全国で771万トン(前年度比0・8%増)が見込まれる。一方、消費はオミクロン株による新型コロナの感染拡大で不透明とし、牛乳の約1割を消費する学校給食がなくなる春休みや、季節的に生産が増える4、5月には、需給バランスが崩れるおそれがあるという。 Jミルクの内橋政敏専務理事は28日の会見で、春に廃棄問題が再燃する可能性について「予断を許さない」とし、「春は年末年始より対策期間が長期にわたる。関係者一丸となって(廃棄の回避に)取り組むとともに、給食がない期間は、子どもの体調を整える意味でもぜひ乳製品を活用してほしい」と話した。(川見能人) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ感染は「申し訳ない」なのか 芸能人の謝罪がもたらすものは
新型コロナウイルスの「第6波」で感染が急拡大するなか、芸能人や所属事務所が感染を報告する際、「謝罪」の言葉を述べるケースが相次いでいる。対策をしていても感染は防ぎきれないが、それでも謝罪が必要なのだろうか。 「関係者の皆様、いつも応援してくださっている皆様に、多大なるご心配とご迷惑をお掛けしますことを心よりお詫(わ)び申し上げます」。24日に感染がわかったフリーアナウンサーの古舘伊知郎さんの所属事務所は翌25日、ホームページ上で報告文とともにおわびを掲載した。 「ご迷惑」「ご心配」相次ぐ謝罪 今月、同様に感染が判明した俳優の吉岡里帆さんや芳根京子さんの所属事務所も「ご迷惑」「ご心配」をかけたとして、おわびの文章を公表した。タレントの小島瑠璃子さんはツイッターで「関係者の皆様、大変ご迷惑をおかけいたします。申し訳ありません」と投稿した。 芸能人に限らない。大相撲の八角理事長は1月の初場所初日で、複数の関係者の感染に触れ、「ご心配をおかけしましたことをおわび申し上げます」とあいさつした。 感染で仕事を休むとその影響は避けられず、著名な芸能人だととりわけ影響は大きくなる。ただ、どれだけ気をつけても、完全に感染を防ぐことは不可能だ。 「おわび」をどう考えるか 果たして謝罪は必要なのか。 新潟青陵大の碓井真史(まふ… この記事は会員記事です。残り550文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
将太の遺影にやっと言えた 殺人罪で男起訴、父は裁判と向き合う
神戸市北区の路上で高校2年の堤将太さん(当時16)が刺殺された事件から約11年3カ月。神戸地検が事件当時17歳だった男(29)を起訴したことを受け、将太さんの父・敏さん(63)が28日、神戸市内で会見を開いて心境を語った。 「息子がなぜ命を奪われなければならなかったのか。真実が明らかになることを望む」 息子を奪われた父として、犯人にはできるだけ重い刑を負わせたいという思いは消えない。殺人罪での起訴が決まるまで、眠れない日々が続いた。起訴状によると、男は将太さんの体を折りたたみ式ナイフで刺し、殺害したとされる。「傷害致死罪になるかもしれない。罪が軽くなってしまうのではないか」。ずっと気がかりだった。 起訴の一報は、兵庫県警の担当刑事から28日午前に聞いた。毎日話しかけるという将太さんの遺影や遺骨に、殺人罪で起訴されたことを報告したという。 男の逮捕後、敏さんは神戸地裁に頻繁に足を運ぶようになった。どんな点が着目され、どんな判決が下されるのかが気になり、殺人事件や死体遺棄事件などの裁判員裁判の傍聴を続けている。 逮捕まで10年10カ月の間、事件の解決を願ってビラ配りや取材対応を続けてきた。ただ唯一、望まなかった解決は、犯人の自首だった。強い思いを、会見で改めて語った。「犯人は11年間、一日一日罪を重ねてきたと僕は思う。こっちから見つけたる」 裁判に向けて、事件を思い返すつらい日々が続く。「(犯人は)未来を奪った。将太の人生も、僕ら家族の11年間も。反省してくれ、とは言わない。やっただけの罰を受けて欲しい」 男の逮捕から、心に決めたことがある。「もっと強くならなあかん。頑張らなあかん」。不安や安堵(あんど)で心が揺れる中、裁判に向き合う日々が始まった。 当時は少年、いまは成人 今後の裁判や量刑は? 警察や検察は男の実名を発表… この記事は会員記事です。残り284文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル