私(23)の名前の横には「仙台総局員」と書かれていた。昨年2月、まだ入社前だった会社からメールで届いた辞令だ。頭に浮かんだのは、母方の祖母が住む宮城県気仙沼市の風景だった。 11年前の東日本大震災のあと、13歳だった私は家族と一緒に気仙沼を訪れていた。当時は埼玉県に住んでいたが、母が「被災地の姿を直接見せておきたい」と考えたためだ。 電柱はなぎ倒され、あったはずの建物が消えていた。辺り一面は海水につかり田んぼのよう。川べりに死んだ大きな魚が打ち上げられ、腐臭を放っていた。海の深い藍色は変わらず、波を荒々しく岩場に打ちつけていた。 よく遊んでいた漁港近くに造られた防潮堤の上を歩く=2022年3月3日、宮城県気仙沼市 震災発生時、私は小学6年生だった。学校で掃除をしていた時に揺れ、慌てて机の下に隠れた。震度は5強。大きく揺れたものの、街に目立った変化はなかった。 ところが、気仙沼の街は津波で大きく変わってしまっていた。被災地の姿に圧倒され、祖母に津波の話を聞くことができなかった。そんな私は、昨年3月に大学を卒業し、新聞記者になった。 祖母の家は高台にあり、震災時は大きな被害はなかった。あのとき、何を思っていたのだろう。 記者として、祖母に聞いてみたいと思った。 「私の話は以上です」祖母は手をたたいて… 仙台から車で2時間ほど三陸道を走り、インターチェンジを降りる。車はうなりながら急な坂道を上る。その先の2階建ての一軒家で祖母(80)は一人暮らしをしている。 駐車中、玄関がガラガラと開… この記事は有料会員記事です。残り3348文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄・普天間基地の騒音めぐる訴訟、国に13億円の賠償命じる
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の周辺住民約3200人が米軍機の騒音で精神的苦痛を受けているとして、国に対して損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、那覇地裁沖縄支部であった。足立堅太裁判長は騒音の違法性を認定し、国に13億4274万円の支払いを命じた。 判決は、「普天間飛行場の米軍機の活動は、国民全体の利益に寄与する」と公益上の必要性があると判断。一方で「その利益のために普天間飛行場の周辺住民に、精神的苦痛の受忍を求めることは著しい不公平が生じる」と指摘した。違法という司法判断が相次いでも抜本的な対策は講じられていないとして「原告らの法的利益の侵害は限度を超えている」とした。 原告側は、これまで賠償が認められてきた航空機の騒音指標「うるささ指数(W値)」をもとに、W75の区域で日額300円、W80の区域で同500円を求めていた。だが、判決は2015年の地裁支部判決と同様、W75で日額150円、W80で日額300円を認めた。 今回の原告団は、被害の早期… この記事は有料会員記事です。残り262文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国内で新たに6万1155人が感染 前週の木曜より9184人減少
自宅などで亡くなった人について、警察が事件性の確認などの対応をした事例のうち、2月中に新型コロナウイルスへの感染が確認された人が36都道府県で564人いたことが10日、警察庁への取材でわかった。月別で最も多かった昨年8月の2倍超で、オミクロン株の感染が拡大した影響とみられる。 一方、国内では同日午後8時現在、新たに6万1155人の感染が確認された。前週の木曜日(3日)より9184人少なかった。死者は189人で、重症者(9日時点)は1322人。京都府では新型コロナに感染していた10歳未満の未就学児の死亡が発表された。基礎疾患はなく、死因は不明という。2月下旬に陽性が判明し自宅療養していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あの日の記憶とウクライナ侵攻重ねた体験者 東京大空襲から77年
本多由佳2022年3月10日 20時30分 東京大空襲から77年の10日、東京都墨田区の都慰霊堂で法要があり、空襲体験者や遺族らが犠牲者を悼んだ。一夜で10万人が命を落としたあの日の記憶と、ロシアによるウクライナ侵攻を重ね合わせる人がいた。 江東区大島周辺で空襲に遭った沖ヨシエさん(86)=同区=は当時9歳。その夜、姉に手を引かれ、どぶ川に逃げ込んだ。水位は高かったが石の上に立ち、何とか出した顔の横を、死体が流れた。水が熱かったか冷たかったか、何も感じなかった。小学5年生の兄は自宅近くの蔵に逃げたが、煙に巻かれて亡くなった。 ウクライナ侵攻のニュースに、「あんなことして、どうなるのか。焼夷(しょうい)弾や爆弾が落ちると、家なんてぱーっと燃えてしまうんですよ」と憤る。「私は経験したから、子どもたちが本当にかわいそう。戦争をしないように話し合いを進めてもらえないか」と訴えた。 現在の千葉県香取市に疎開をしていた長島政子さん(85)=江戸川区=は、実家があった錦糸町周辺への空襲で母親ときょうだい5人を亡くした。布団をかぶり、声を殺して泣いた。 いま、自身の境遇がウクライナで親を亡くした子どもに重なるという。「親との別れを思い出し、胸がいっぱいになっちゃう。何で戦争なんかあるのかな、とすごく複雑な気持ち」と声を震わせた。(本多由佳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10代男性2人が海に転落、うち1人死亡 高校生か 千葉・市川
2022年3月10日 21時05分 10日午後2時ごろ、千葉県市川市塩浜の海に、10代の男性2人が転落した。2人は搬送時、心肺停止状態だったといい、捜査関係者によると、このうち1人の死亡が確認されたという。 県警によると、同日午後2時すぎ、「友人が相撲をしていて、3メートルの高さから海に落ちた」と110番通報があった。転落した2人は高校生とみられ、1人は岸から50メートルの海上で、もう1人は岸から25メートル離れた海中で見つかった。 現場は「塩浜三番瀬公園」の近く。コンクリートに覆われた排水管が海に突き出しており、その台状の部分から海に転落したとみられる。当時、2人を含め、10代の男女9人が周辺にいたという。県警が転落時の状況を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大幅に予算減、「復興」は新局面へ…震災11年「これからが正念場」
全国で関連死を含む死者・行方不明者2万2207人が出た東日本大震災から、11日で11年となる。今年度から復興の軸足は原発事故被災地の支援や被災者の心のケアに移り、復興予算は大幅に減った。関連死は今も増え続け、避難者が全国で3万人を超えるなかで、被災地への支援は細りつつある。 国は震災から10年を復興の一つの節目とし、今年は政府主催の追悼式典は開かれない。岸田文雄首相は11日、福島県が主催する追悼式典に参加する。 警察庁によると、10日時点で震災による直接の死者は全国で1万5900人、行方不明者は2523人。関連死は今年度に入り、福島県で11人増えた。うち帰還困難区域を抱える6町村では7人が認定され、震災以降で計1268人となった。直接死の198人を大きく上回る。 復興予算は、道路や防潮堤、農地の復旧、宅地造成などのハード整備が中心だった前年度までに約31兆1千億円が使われた。 国は今年度からの5年間を「第2期復興・創生期間」と位置づけ、復興庁の予算の使い道は、風評被害対策を含めた原子力災害からの復興・再生に約8割。残りが被災者の心のケアや産業、なりわい再生にあてられている。 ハードの整備は完了しても、利活用はまだ途上だ。予算規模は今年度から大幅に減額され、新年度の復興庁の当初予算案は約5790億円。復興が本格化した13年度の2割に満たない。必要な支援が被災地に継続的に届けられるか。課題は尽きない。(山本孝興) 命を守る決意、社会で共有を 東北復興取材センター長・仙台総局長 岡本峰子 中学1年だった長男を津波に奪われた丹野祐子さんは「語り部」をしている。700人以上が亡くなった宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区。公民館に皆でいるからと安心し、「ここまで津波がきたことはない」との口承をうのみにした。突然現れた黒い水から、子を守れなかった。「私のような、おろかな親にならないで」 かさ上げで再建された街に小… この記事は有料会員記事です。残り1004文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学校の卒業式にHKT登場 サプライズコンサートに生徒ら大興奮
福岡県内各地の中学校で卒業式があった10日、アイドルグループ・HKT48の小田彩加さんら5人が田川市の中央中学校をサプライズ訪問した。 昨春、HKTが市内の公園で… この記事は有料会員記事です。残り133文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10代男性2人が海に転落、心肺停止 高校生か 千葉・市川
2022年3月10日 21時05分 10日午後2時ごろ、千葉県市川市塩浜の海に、10代の男性2人が転落した。市川市消防局によると、2人は搬送時、心肺停止状態だったという。 県警によると、同日午後2時すぎ、「友人が相撲をしていて、3メートルの高さから海に落ちた」と110番通報があった。転落した2人は高校生とみられ、1人は岸から50メートルの海上で、もう1人は岸から25メートル離れた海中で見つかった。 現場は「塩浜三番瀬公園」の近く。コンクリートに覆われた排水管が海に突き出しており、その台状の部分から海に転落したとみられる。当時、2人を含め、10代の男女9人が周辺にいたという。県警が転落時の状況を調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ナビ通りに運転したら・・・」トラックが架道橋下にはまり立ち往生
古畑航希2022年3月10日 21時15分 10日午後1時20分ごろ、福岡市東区で、県道を走行中のトラックが、多々良川架道橋(高さ制限3・7メートル)の下を通過中に道路と橋の間に挟まり、身動きがとれなくなった。 福岡県警東署などによると、このトラックの荷台には積み荷があった。トラックは橋の制限を上回る3・76メートルの高さがあったといい、運転手は、署に「カーナビ通りに運転していたら、ひっかかってしまった」と説明したという。 トラックのタイヤの空気を抜いて車高を低くする作業などで、この県道が約3時間片側通行止めとなった。事故によるけが人はいなかった。(古畑航希) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
名古屋発祥「大正琴」誕生110年、コロナ禍でさらなる進化?
名古屋発祥の楽器「大正琴」が今年、発売から110年を迎える。海外でも人気を博す「日本発」楽器の代表格だが、高齢化やコロナの影響で国内愛好者の減少が進む。100年超の歴史をひもとくと、スペイン風邪が大正琴の普及に関係したとの考察もあり、「コロナを追い風に変えたい」と奮闘する関係者もいる。 大正琴は、日本古来の「二弦琴」にタイプライターのキーのメカニズムを組み合わせた楽器だ。 西洋音階の「ドレミ」が取り入れられ、左手で音階のボタンを押し、右手に持ったピックで4~5本の弦をはじいて演奏する。 名古屋市出身の発明家・森田吾郎(1874~1952)が開発した。1912(大正元)年に発売されると数年後には第1次ブームが起き、愛好者が爆発的に増えた。 名古屋芸術大学の元教授で大正琴の研究家・金子敦子さん(66)によると、「気軽に誰でも演奏出来る『大衆楽器』として、全国に広まっていった」という。 昭和に入り一時落ち着いたが、戦後に古賀政男がヒット曲「人生劇場」(1959年)で大正琴を演奏したことで再び注目が集まった。平成には第2次ブームとなり、90年代に愛好者が100万人を超えた。 だが、90年代をピークに、現在は約30万人まで減った。多くが高齢者で、コロナにより演奏会の中止や教室の閉鎖も相次ぐ。金子さんは「『大正琴離れ』が加速している」と、危機感をあらわにする。 一方、「コロナを大正琴の復… この記事は有料会員記事です。残り744文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル