新型コロナウイルスの感染「第6波」が収まらないなか、各地の卒業式では、昨年より制約をやや緩める動きが出ている。マスクを着けての校歌斉唱を認めたり、保護者の参加人数を増やしたり。コロナ下で迎えた3度目の卒業シーズン。感染対策と思い出づくりを両立させようと、模索が続いている。 東京都世田谷区の区立富士中学校(生徒数326人)で18日にあった卒業式。卒業生94人がマスクを着けたまま校歌を斉唱した。歌が認められなかった昨年にはなかった光景だ。 会場の体育館には約300人が集まった。保護者は約150人。昨年は生徒1人につき1人までだったが、今回は2人までに緩和され、門出を祝った。 感染防止のため学校は式の前にマスク着用を求めるアナウンスをし、入り口を開けたままにして換気した。卒業証書授与では壇上に上がる生徒一人ひとりがマスクをはずして保護者らに顔を見せた。 卒業生代表あいさつで上平美優希さん(15)は「コロナ禍の2年間は不安と戸惑いの連続。受験生なのにどうして、という思いもあった」と振り返り、「不安な気持ちに寄り添ってくれた」と両親に感謝の言葉を贈った。 式の後、生徒たちは校庭へ出て先生と談笑したり、保護者に写真をとってもらったりした。永松沙羅さん(15)は中学生活を振り返り、「コロナで不自由なことが多くてつらかったけど、先生方が工夫してくれて楽しかった」と話した。一斉休校のあった2020年3月以降、体育大会や合唱コンクールが軒並み延期に。それでも規模を縮小するなどして代わりの行事で思い出をつくった。 卒業式1週間前の「駆け込み修学旅行」 卒業が間近に迫った今月10… この記事は有料会員記事です。残り1445文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
特産イチゴ、町内の子ども全員の卒業祝いに コロナ対策で一石三鳥
渡辺純子2022年3月19日 16時39分 福岡県筑前町が、町内の小中学校と幼稚園、保育園を巣立つ約800人全員に、卒業祝いとしてイチゴを贈っている。今年初めての取り組みだ。 お祝いしながら町の特産をPRし、コロナ禍にあえぐ観光イチゴ農園も支える「一石三鳥」。経費約150万円は、コロナ対策の国の臨時交付金を使った。 大きな「あまおう」2パックずつをもらい、子どもたちは「大好き」と喜んだ。卒業祝いは花が定番だが、「花よりイチゴ」と保護者たち。(渡辺純子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アイドル10年生は嵐に夢を見る 加藤夕夏、川上千尋の栄光と未来
NMB48の加藤夕夏さん(左)と川上千尋さん=田辺拓也撮影(撮影時にマスクを外してもらっています) NMB48 12のスタディー! 加藤夕夏さん、川上千尋さん 活動12年目に入った大阪・難波を拠点とするアイドルグループ「NMB48」。そのメンバーにふだん考えていることや、アイドル活動の中での学びを聞く「NMB48 12のスタディー!」。今回は、活動10周年を迎えた3期生の加藤夕夏さん(24)と、今年10周年を迎える4期生の川上千尋さん(23)を招いた。「アイドルも、他の職業と同じように、キャリアの積み重ねや経験が正当に評価されると証明したい」と2人がいうわけは―― ◇ ファン投票で決まる選抜メンバー…「ナンバトル2」への胸の内は NMB48の加藤夕夏さん(左)と川上千尋さん=田辺拓也撮影(撮影時にマスクを外してもらっています) ――昨日(3月9日)、川上さんを含むNMB48の「チームM」メンバーが出演していた「ナンバトル2公演~舞~」を見ました。 川上 ありがとうございます。どうでした? ――「カトレアの花を見る度に思い出す」という曲で、花がしおれていく動きを表現する振り付けがあったと思いますが、その動きの表現が秀逸でした。 川上 すごくピンポイントなご感想……。 加藤 細部は大事だよ。 「複雑だった」(川上さん) 「怖いと感じた」(加藤さん) NMB48の加藤夕夏さん=田辺拓也撮影 ――NMB48は現在、「ナンバトル2」というイベントをしています。様々な指標で各チームや個人が競う趣向ですが、その中でもファン投票によって次作シングルCDの参加メンバーを決める試みが熱を帯びています。 加藤 上位14人が表題曲を歌う選抜メンバーとなり、24~15位の10人が「アンダーガールズ」としてカップリング曲に参加できる仕組みです。3月27日に最終結果発表が予定されています。わたしもどうなることやら……。 NMB48の川上千尋さん=田辺拓也撮影 かわかみ・ちひろ 1998年、大阪府生まれ。2012年暮れに4期生としてNMB48での活動を開始。小1から8年間、フィギュアスケートに打ち込んだ。プロ野球好きで、阪神タイガースの熱狂的ファンでもある。甲子園グルメ大使。愛称ちっひー。 ――ファン投票によって選抜メンバーを決めるのはNMBでは初めての試みですね。 川上 正直、複雑でした。ファン投票の企画じたいは、これまでにもカップリング曲を歌う「難波鉄砲隊其之九」のメンバー決めなどで経験があるのですが、気持ちの面で楽ではなかった。「またか……」と思いました。 ファンの人たちに負担をかけてしまうのではないかという気持ち。でも、やるからには絶対に選抜上位に食い込みたいという野望。今も二つの気持ちが一緒にあります。 加藤 昨年、「ナンバトル」の第1弾があり、くじ引きで再編成された少人数のユニットどうしでパフォーマンス力を競い合う構図が導入されてから、いつか「個人戦」もあるものと覚悟はしていました。それでも、「ついにきたか……」という気持ちでした。 同時に「怖い」とも感じて……。 最新シングル「恋と愛のその間には」でわたしは22作連続でシングル選抜入りをさせてもらいました。「すごい金字塔だ」と言ってもらえるけれど、わたしの中には常にどこかに不安があったんです。 わたしの何が評価されているのか…誰も教えてくれない(加藤さん) NMB48の加藤夕夏さん=田辺拓也撮影 ――不安というと。 加藤 いまの選抜メンバーは、運営会社が活動実績とか経験とか、メンバー個人のキャラクターなどを総合的に勘案して選んでいます。でも、どこがどう評価されて選抜されているのか、誰も具体的には教えてくれないんです。「それは言葉にするものではない」という雰囲気があるっていうのか。 最初のシングル選抜入り(2012年8月リリースの「ヴァージニティー」)の理由はわかるんです。わたしは新人だったし、ダンスには自信があった。 バッキバキにダンスを踊る新人が1人ぐらい交じっていると面白いだろうという、まあ実験ですね。でも、その次以降も選んでもらっているうち、だんだん「大丈夫かな、わたし?」と思うようになりました。 アイドルである以上、自分の居場所は自分で見つけなくてはいけない。他人に答えを求めるな、という美学はわたしにもあります。 でも、誰も何も教えてくれないと、それはそれで心細い。「ただなんとなく、理由もなく選ばれているだけなのかな」というマイナスな思考にもなりました。 今回の投票イベントに対しては、「わたしが自信をもって選抜に入れる初めての機会がついに来た!」って気持ちと、「でも、選抜に入れなかったらどうするの?」という怖い気持ちが同居しています。 手の届かなかった選抜…わたしに何が足りないの(川上さん) インタビューに応じるNMB48の川上千尋さん=田辺拓也撮影 川上 わかります。選抜ってやっぱり特別なんですよ。わたしにとっては、ずっと手の届かない遠い存在だった。あこがれ続けていたわけです。 わたしが初めてシングル選抜に入ったのがいつかご存じですか。2016年暮れ、16枚目のシングル「僕以外の誰か」です。実に加入以来4年です。長かった。それだけに特別な感激がありました。 でもその次に選抜から外れた。19年に20枚目シングル「床の間正座娘」から選抜に復帰できるまで、また長い時間を要したんです。 インタビューに応じるNMB48の川上千尋さん=田辺拓也撮影 わたしに何が足りないの。誰か教えて、とずっと思ってました。18年暮れあたりはもう最低な気持ちでしたね。順調な人をねたむ気持ちまで起きてくるし、そんな自分もみじめで。 最近は連続してシングル選抜に入ることができ、「やっと自分もアイドルとして自信がもてる」と思っている矢先だった。 ここで失速したくはないし、しっかりファンのみんなと喜び合える結果をつかみたいという気持ちはあります。 数字や順位に換算できない価値もある(加藤さん) インタビューに応じるNMB48の加藤夕夏さん=田辺拓也撮影 ――投票順位がつくということについては。 加藤 さきほど選抜入りを続けるプレッシャーについてお話ししましたが、実は運営会社の人から「一度だけ、選抜から外してもいいかなと思った」と告げられたことがあるんです。でも、しなかった。「君には、ファンがしっかりついてきてくれている」と……。 わたしはトークとか盛り上げ役とかあまり得意じゃないと思ってきました。だから自分の得意なダンスで、舞台上でのパフォーマンスの芯をつくる役割を自任してきたし、NMBの歴史を初期からみてきたものとして、草創期の空気や精神を今に引き継ぐことを心がけてきた。 「チームN」新公演の初日、NMB48劇場のステージで歌う加藤夕夏さん(左)=3月15日、阪本輝昭撮影 そういう目には見えない部分、数字には換算できない価値をつくり出そうと思って頑張ってきたのがわたしの10年です。そしてそれが、わたしの選抜入りを支えてくれたものだったのかも知れないとも思うんです。 だから、「順位」にこだわるのは矛盾しているようですが、それでも、速報順位(15位)を聞いた瞬間、「悔しい……絶対いやや……」という思いがこみ上げました(その後の中間発表では10位に)。 わたしはいまのポジションを守りたいのではなく、もっと上をめざしたい。今までやってきたことが間違いではなかったと証明したい。そして、多くの人に知ってもらいたい。 […]
部屋一つひとつが作品……アートな体験できちゃう京都のホテル
有料会員記事 文・寺田実穂子、写真・筋野健太2022年3月19日 17時00分 「BnA Alter Museum」の「goen no ma」=2022年3月4日、京都市下京区、筋野健太撮影 今宵(こよい)のお宿は、壁面に5円玉がぎっしりと貼り付けられた部屋。アートのまち京都で、他にはない一夜を過ごしませんか。 「お部屋一つ一つが作品です。繊細な部分がありますので、お手を触れないようお願いします」。フロントのそんな案内にわくわくした。 京都市にあるアートホテル「BnA(ビーエヌエー) Alter(オルター) Museum(ミュージアム)」。10階建ての細長いビルには、16人のアーティストが手掛けた31室がある。 黒を基調としたシンプルな廊下を抜け、客室に入るとそこは別世界。赤やオレンジ、青……カラフルな蛍光塗料で四方の壁と天井が塗られ、大きな竜が描かれている。ベッド脇のボタンを押すと、LEDライトの色が次々に変化し、ライブ会場のよう。壁画やライブペイントを手掛けるMon Koutaro Ooyamaさんの作品だ。 壁の一部に5円玉がぎっしり貼られた部屋、深海をイメージした部屋も。ベッドに仰向けになり、細部をじっくり鑑賞するのが楽しい。 後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や、会員登録すると応募できるプレゼントもあります。今回はホテルの宿泊券です。 客室に作品を飾ることは珍し… この記事は有料会員記事です。残り900文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
サハリンからウクライナへ 2度の戦争に翻弄された日本人男性が帰国
ロシアのウクライナ侵攻、そして約80年前の第2次世界大戦。二つの戦争に翻弄(ほんろう)された日本人男性が19日、ウクライナから戦火を逃れ、帰国した。降籏英捷(ふりはたひでかつ)さん(78)。1歳で日本統治下の南樺太(現ロシア・サハリン)で終戦を迎え、ソ連の占領後は帰国できず、20代のころからウクライナで生活してきた。孫やひ孫とともにポーランドに避難し、ようやく故国の土を踏んだ。 19日午後5時過ぎ、成田空港の到着ロビーに英捷さんたちが現れた。出迎えた妹で五女の畠山レイ子さん(70)=北海道旭川市=が大きく手を広げ、ロシア語で「とてもうれしい」と言いながら英捷さんを強く抱きしめた。そして、兄で長男の信捷さん(80)=北海道稚内市=が英捷さんと抱き合った。 英捷さんは「日本に到着でき、兄や妹に出迎えてもらえた」とロシア語で語った。さらに「ロシア軍は理由もなくウクライナを攻撃し、市民が犠牲になっている。そして、ロシア側にも犠牲者が出ている」と訴えた。 帰国の手助けをした日本サハリン協会やレイ子さんによると、英捷さんが暮らしていたのは、首都キエフの西約130キロにあるジトーミル。ウクライナ出身のポーランド人の妻と一人息子に先立たれ、一人暮らしだった。 ロシアの侵攻後、英捷さんの自宅近くも攻撃を受け、3月5日、急いで孫息子の妻(27)とひ孫(2)と車でポーランドへ向かった。途中で孫娘(18)と合流したが、車の故障や、食料と飲み水の不足に悩まされた。国境付近では避難する人々の車で大渋滞が発生。一家がポーランドにたどり着いたのは8日だったという。 敗戦、強制移住…平穏な老後を襲った再びの戦火 英捷さんは1943(昭和1… この記事は有料会員記事です。残り972文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
モノレール駅の高架から外板が落下 重さ30キロ、人や車に被害なし
北九州市は19日、北九州モノレール徳力嵐山口駅(北九州市小倉南区)の高架の底面に貼られていた約30キロの外板が、約9メートル下を通る国道322号の中央分離帯に落下した、と発表した。人や車への被害はなかった。 市道路維持課によると、板は縦1・8メートル、横0・9メートル、厚さ1センチのケイ酸カルシウム製。19日午後3時ごろ、通行人から板が落ちていると駅に連絡があり、駅員が中央分離帯の植物の上で板を見つけ、回収したという。 点検の結果、駅高架の底部の… この記事は有料会員記事です。残り144文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東海第二原発、避難計画進まず「5キロ圏内だけでバス400台必要」
周辺自治体の避難計画の不備を理由に、日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)の運転差し止めを命じた水戸地裁の判決から18日で1年がたったが、避難計画が未策定だった9市町村のうち新たに策定した自治体はゼロのままだ。移動手段の確保や新型コロナ対策が難題となり、担当者は頭を悩ませている。 東海第二は首都圏唯一の商業炉。東京電力福島第一原発事故を受けて、2012年に避難計画の策定が義務づけられる範囲が、半径30キロ圏内の自治体に拡大された。東海第二は14市町村が対象で、避難対象は全国の原発で最多の94万人に上る。 地裁判決は差し止めの理由として、14市町村のうち9市町村で避難計画が策定されていない▽策定した5市町でも大地震による道路の寸断など複合災害を想定した複数の避難経路が設定されていない点を指摘した。 朝日新聞が2~3月、9市町村の担当者に避難計画策定の検討状況を尋ねたところ、全9市町村が「策定のめどが立っていない」と答えた。この1年間の進展についても「目立ったものはない」(東海村)、「むしろ課題が浮かび上がった」(那珂市)などと答えた。 多くの市町村が課題に挙げる… この記事は有料会員記事です。残り1593文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
花畑牧場、ベトナム人従業員側の要求受け入れ 田中義剛社長は謝罪も
タレントの田中義剛氏が社長を務め、生キャラメルなどの製造販売で知られる「花畑牧場」(本社・北海道中札内村)で、ベトナム人従業員が待遇改善を求めてストライキを起こし、その後も労使が対立していた問題で、会社が従業員側の要求を受け入れる形で和解が成立した。従業員と支援する札幌地域労組は19日午後に北海道帯広市内で集会と記者会見を開き、「ベトナム人労働者の権利と名誉が回復する形で和解にいたり、非常に意義があると考えている」(同労組)と評価した。 ストは1月26日、ベトナム人従業員約40人が待遇悪化に抗議し、十勝第2工場(中札内村)で起こした。従業員寮の水道光熱費は月7千円だったが、十分な説明がないまま昨年10月以降値上げされ、今年1月には約2倍になっていた。 スト時に同社に労組はなく、会社側は「正当なストではなく、職場放棄」と主張。ストを主導したとみなしたベトナム従業員3人に対し、1人あたり50万円の損害賠償を請求した。スト前の田中社長と従業員の話し合いの音声ファイルが意図的に編集され、報道されたなどとして、3人を名誉毀損(きそん)容疑などで道警に刑事告訴もしていた。 一方、従業員や札幌地域労組は「ストは正当な権利だ」と主張。3人の従業員(当初は4人)はスト後に労組を結成し、会社側との対立が続いていた。 札幌地域労組によると、会社側から問題解決の提案があり、労組側が示した和解条件案を受け入れる形で18日に和解が成立し、協定を結んだ。田中社長からは「申し訳ありませんでした」との謝罪の言葉があったという。 和解協定の内容は9項目。まず会社側が、昨年10月以降の光熱費値上げ後の一連の対応が不適切と認めて謝罪。その上で、従業員3人への損害賠償請求と刑事告訴を「理由がない」と認め、取り下げることとなった。 また、従業員3人の雇用契約は3月15日で満了したが、契約書類と出入国在留管理庁への提出書類で契約期間が異なっていた。この問題については、当局への提出書類通りに9~10月までの給与と、ストに対する7日間の出勤停止処分期間の賃金を解決金として支払うことになった。 3人は当初、雇用継続を求めていたが、労組側が「労使紛争の激化で3人が会社に戻るのは難しいと判断した」とし、賃金補償に切り替えたという。 このほかの合意項目は、▽労… この記事は有料会員記事です。残り652文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
開業待つ赤いN700S「かもめ」 西九州新幹線の車両基地が完成
新幹線N700S「かもめ」は半年後に迫った開業の日を静かに待っていた――。西九州新幹線(武雄温泉―長崎)の車両基地が長崎県大村市に完成し、19日、報道陣に公開された。 西九州新幹線は9月23日に開業予定で、全長約66キロ。武雄温泉(佐賀県武雄市)で在来線特急に乗り換えることで、博多―長崎は最速1時間20分と現在より30分ほど短縮される。 車両基地は、新幹線の新駅「新大村駅」の北寄りに設けられた。施設は南北約1キロにおよび、パンタグラフや台車など日常の点検を担う。 この日公開された基地内には… この記事は有料会員記事です。残り305文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ファンが決める「明日のセンター」 移ろう時代、模索するNMB48
アイドルグループ「NMB48」が、ファン投票によって次作シングル曲やカップリング曲の参加メンバーを決めるという試みを始めた。NMBとしてはデビューから11年余りで初めての取り組みだ。上位獲得をめざし、メンバーやファンたちの活動は熱を帯びているが……。 速報発表…若手の「7期生」から7人 2月23日。大阪・難波のNMB48劇場の壇上に、キャプテンの小嶋花梨(かりん)(22)らメンバー5人が緊張した様子で並んだ。 前日の22日に始まったファン投票イベント「NAMBATTLE(ナンバトル)2~愛~」の、第1回速報発表の日だ。23日時点の得票数に基づき、24~1位に入ったメンバーが順に読み上げられた。 速報1位は小嶋で、4694票。上位7人は2千票を超えた。投票開始から1日で、相当数のファンが票を投じた様子がうかがえる。中でも、コロナ下の2020年秋に活動を始めた若手の7期生から計7人が速報ランクインし、躍進ぶりが目をひいた。 速報1位の小嶋は「言葉にならないというのはこういうこと……」と感動を口にし、1位を狙う決意を以前から語っていた上西(じょうにし)怜(20)=速報3位=は「速報から1位を狙っていたので悔しいですが……」と言葉を詰まらせ、「最後は笑って終われたらうれしい」と語った。 今回の投票イベントは、NMB48内のチームやメンバーが様々な指標で競い合う「NAMBATTLE2」の個人戦部門で、最終結果の発表は3月27日。27枚目のシングル曲を歌う「シングル選抜」(14~1位)と、カップリング曲を歌う「アンダーガールズ」10人(24~15位)が決まる。 投票券は26作目シングル曲「恋と愛のその間には」のCDに特典として封入されている。NMB48の各種WEBサービス会員らにも投票権があり、1人で複数回の投票が可能だ。 ファンとメンバーが考える「投票イベント」の位置付け シングル曲の選抜メンバーはこれまで、個々のメンバーの経験や実力、実績などを勘案して運営会社が選び、顔ぶれが大きく入れ替わることは少なかった。 投票イベントは、若手にとっては「先輩たちと同じ土俵で戦えて、あわよくば『下克上』を狙えるチャンス」(ある若手メンバー)でもある。 NMB48は昨春、コロナ下で大人数での活動や公演が厳しくなった状況を受け、所属メンバーを少人数制の6ユニットに再編成し、互いにパフォーマンス力などを競って優勝を争う「NAMBATTLE」の第1弾を開催。ユニットどうしが切磋琢磨(せっさたくま)して競い合う、筋書きのないドラマが好評だった。 7期生のファンだという男性は「コロナ下で活動の場が狭まり、特に若手メンバーは自己PRの機会が減った。ファンとメンバーが一体感をもって盛り上がれる投票イベントは楽しい」という。一方、「過熱すると、メンバーのプレッシャーにもなる。結果よりもプロセスを楽しむ気持ちでいたいし、メンバーもそうあってほしい」と語った。 コロナ禍で…変わる活動、ファンの意識 ファン投票といえば、AKB48グループが2009~18年に開催していた「選抜総選挙」が知られる。2010年代のアイドルブームに火をつけ、社会現象にもなった。 だが「すでに時代は変わり、同一視はできない」とアイドル文化に詳しい構成作家・ライターのポッター平井さんはいう。「コロナ下でアイドルの活動を支える素地や土壌も変容してきた。ファンの意識も同じではない」 アイドルとファンを結びつける場も、様変わりしている。 ライブパフォーマンスや「握手会」などを通じて人気を伸ばした先輩たちに対し、若手はSNSでの発信や動画配信などに注力。「独自のコンテンツ力」で台頭している。「企画やプロデュースにたけた人は、リモート時代ゆえの強みを発揮できるのでは」というのが平井さんの見方だ。 画面越しの勝負は、発信ツールの選び方がカギとなる。数十秒の短い動画が主流の動画投稿アプリ「ティックトック」を操るメンバーがいれば、長尺の動画投稿に適したユーチューブを活用するメンバーもいる。ダンスやトークなど各自の強みに応じて最適なツールを選べるかどうかも鍵だ。7期生の早川夢菜(19)がライブ配信サービス「SHOWROOM」を通じて400日以上欠かさず動画配信を続けるなど、それぞれがリモート時代におけるファンとの交流方法を模索している。 「自分の強みを最大化して見せるプロデュース力がものを言う時代になったともいえる。そこでどんな勢力図が新たに描き出されるのか。NMB48内での競争にとどまらず、アイドルとファンの『未来』を占うものとして注目しています」(阪本輝昭) 順位や数値に換算できない価値とは…「NMB10年生」の視座 今回の「投票イベント」は、飛躍を狙う若手たちのための催しなのか――。NMB48で2012年に活動を始めた3期生の加藤夕夏(24)、4期生の川上千尋(23)はともに「ちょっと待った!」と声を上げる。 加藤は卓越したダンススキル… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル