昨年5月、60年の歴史を閉じた福岡・天神のロシア料理店「ツンドラ」の人気メニューだったボルシチが、大阪府豊中市の「モンパルナス」で復活した。モンパルナスも伝統のピロシキの味を関西で守ってきた店だ。時を超えた「偶然」が二つの店をつないだ。 「古角」 その姓にツンドラ店主は 昨年5月上旬、ツンドラでは閉店目前の「ガレージセール」が開かれていた。ボルシチの缶詰や食器などが並べられ、閉店を惜しむ客らでにぎわっていた。 「社長はいらっしゃいますか」。若い男性がツンドラのオーナー、徳永哲宥(てつひろ)さん(78)を訪ねてきた。 哲宥さんは、母の故・初美さんが1960年に始めた店を2代目として守ってきた。自身に後継者がなく、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって閉店を決めていた。 男性は名刺を差し出した。《農林中央金庫福岡支店 古角(こかど)知也》 「古角と申します」 哲宥さんはハッとした。閉店準備で母の遺品を整理していた時、出てきた6通の封書。その差出人が「古角伍一(ごいち)」だったからだ。 兵庫県出身の故・伍一さんは、ピロシキなどを販売し、「モスクワの味」のキャッチコピーと個性的なテレビCMで関西人によく知られたパルナス製菓(2002年に清算完了)を兄と創業した。後に独立し、「モンパルナス」という飲食店を開いた。長く兵庫県尼崎市にあった店は昨年5月、パルナス製菓の本社があった豊中市へ移転した。 訪ねてきた知也さん(28)… この記事は有料会員記事です。残り1528文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
空港に列、高速バス「満席」…新幹線動かぬ3連休、目的地へ右往左往
16日深夜の地震で、東北新幹線の運休が続くなか、3連休初日を迎えた。首都圏などと行き来する人の流れが変わった宮城県内。仕事や観光、家族との再会など様々な場面に、地震の影響が広がっている。 19日、羽田との臨時便が発着している仙台空港(名取市、岩沼市)の保安検査場には行列ができていた。日本航空は26日まで、全日空は24日まで仙台―羽田間の臨時便を飛ばす。 千葉県の会社員小島慧史さん(37)は午前8時過ぎ、朝一番の便で羽田から到着した。妻が2月末に仙台市で第1子となる長女を出産したため、会いに来たという。予約していた新幹線が運休になり、慌てて飛行機を予約した。「妻の実家からは無理しなくていいよと言われたけれど、やっぱり会いたくて」。3月末に長女を連れて千葉に戻る予定だが、「飛行機の臨時便がいつまで出ているか」と心配していた。 保安検査場の列に並んでいた静岡県の会社員白井彩加さん(33)は出張で14日から仙台市を訪れ、この日羽田に帰るという。「本当は昨日静岡に戻る予定だったが、新幹線が止まったので1日延泊した。飛行機の予約が取れて安心した」 JR東日本は19日、仙台駅~那須塩原駅(栃木県)と仙台駅~盛岡駅で臨時快速の運行を始めた。21日まで続け、その後は新幹線の状況を見て判断する。 仙台駅では午前7時ごろ、那須塩原行きの最初の電車に約350人の乗客が乗り込んだ。那須塩原までの所要時間は約3時間で、東京行きの新幹線に乗り換えることができる。 仙台市若林区の会社員佐藤純二さん(27)は4月に就職する弟を祝うため、埼玉県の実家に帰省するところだった。高速バスは満席が相次ぎ、予約が取れなかったという。「(電車は)予約なしで乗れるのがありがたい」 JR仙台駅東口の高速バス乗り場。午前9時ごろ、時刻表には東京駅や新宿駅に向かうバスに「満席」の表示が並び、東京駅に向かう2台のバスを待つ人が行列を作っていた。 東京都の広告会社員佐藤さらさん(24)は県内へ出張中に地震に遭った。東京の同僚と協力して帰る方法を探し、バスに空きを見つけたという。「東京行きの直通便の予約をなかなか取れず、バスの乗り継ぎも考えていた。運が良かった」と話す。県内には友人も住んでいる。「昨日の夜も東北で大きな地震があり、ただただ心配です」 東北急行バス(東京都)の仙台営業所によると、仙台市内~東京都内の高速バスは、3月末まで平日含めて全便が満席だ。地震後に予約が殺到したという。 レンタカー店にも影響が出ている。仙台駅東口のレンタカー店の男性副店長は「県外からの観光客が主なお客様。今日は予約の約7割がキャンセルです」と明かす。一方で、東京方面に乗り捨てる車の予約が地震翌日に殺到し、営業所の車の約6割が店に戻っていない。来週以降の予約の車を確保するため、現在は県外への乗り捨ての予約は断らざるを得ないという。 駅前の別の店には、県外に向… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土日部活で残業過労死ライン超え サッカー部教諭、彼女にも会えない
日曜日、午前6時半。 首都圏の公立高校のグラウンドに、男性教諭(35)の姿があった。 サッカー部の副顧問。地域の大会が自校で開かれるため、準備のために出勤したのだ。 同年代の正顧問と一緒に得点板を出し、ボールを点検する。他校の先生や生徒のため、飲み物も用意する。 試合では審判も務め、90分間走り回る。 けが人が出ないよう細心の注意を払い、生徒が痛がれば駆けつける。 ハーフタイムにはボールの消毒があり、水分補給にも目を配る。 終わった後は片付けに追われる。夕方までほぼ休憩はなく、終わる頃にはくたくたになる。翌日には授業が控えている。 男性の高校は設備が整い、試合が頻繁に開かれる。 そのたびに10時間近く働くが、手当は5300円。時給にすると、600円に満たない計算になる。 「これだけやっているのに、さすがにおかしい」と感じる。 ただ、部活動を巡る「おかしさ」はそれだけではない。 土日も試合や練習で休めない。それでも、生徒の思いに応えたい。できることは全力でやってきたと語る男性に、ある不安がよぎります。 完全に休めたのはたった1日 文部科学省が禁じているはず… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
保育園の申込者数、今春も減少傾向 コロナで預け控え?増えた市も
有料会員記事 中井なつみ、石川春菜、田中瞳子2022年3月20日 12時30分 4月からの認可保育園への入園申込者数が、大都市圏などで昨年に引き続き減少傾向にあることが朝日新聞の調査でわかった。全国の認可園の申込者数は昨春、厚生労働省の調査開始以来初めて前年を下回り、今春回復するか注目されていたが、コロナ禍の感染不安や雇用環境の悪化などが引き続き影響しているとみられる。 「育休延長」コロナ前の2倍に 認可保育園(認定こども園なども含む)の入園は、保護者が市区町村を通じて申し込み、自治体が家庭の状況などから優先度をつけ、決定する仕組みになっている。新年度の4月入園分は、前年の秋ごろから受け付けを開始。1~2月ごろの1次選考で大半が決まり、その後4月に向けて調整を重ねる。 朝日新聞では、この1次選考について、政令指定市と東京23区、昨年4月時点で待機児童数が50人以上いた計62自治体に調査を実施し、59自治体から回答を得た。 申込者数の合計は20万46人で、前年(20万5537人)より約5500人減った。47自治体で前年を下回り、23区で増えたのは世田谷区のみだった。品川区では2割ほど減り、担当者は「コロナ禍の預け控えが続いているのでは」。渋谷区では、コロナ禍で復職を見送り、育児休業を延長したいという保護者が2年前の2倍ほどに増えているという。「想定より速いペースで少子化が進んでいる」(京都市)などの声もあり、東京都豊島区など、保育園の整備計画の見直しを始めた自治体もある。 一方で、東京都町田市、千葉市などでは申込者数が増えており、中でも広島市では前年比1割増の375人増えていた。担当者は「預け控えが回復してきているのではないか。今後、待機児童が増えるかもしれない」と推移を見守る。 記事の後半には、各自治体の申込者数や、1次調整時点での「落選率」の一覧を掲載しています。 内定者数を回答した57自治体について、申込者に占める落選者の割合を「落選率」として計算したところ、平均は22%と前年より2ポイントほど改善した。政令指定市と23区では20%程度と改善が目立つ一方で、福岡県太宰府市は55・3%と半数を超え、次いで千葉県君津市(49・2%)、兵庫県尼崎市(39・7%)でも高かった。担当者は「大都市に通勤する子育て世帯のニーズが高い」(太宰府市)、「保育士不足で、園の受け入れ可能数が減っている」(君津市)などの理由を挙げている。(中井なつみ、石川春菜、田中瞳子) ■自治体の申込者数と落選率… この記事は有料会員記事です。残り1490文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「西成高校は、僕が輝ける場所」 トイレにこもっていた僕は変わった
9日、大阪府立西成高校では卒業式の後、3年3組の教室に特設ステージがつくられた。半円形に並べられたイスに教員約20人が座り、生徒たちが漫才を披露した。笑いの中心に、ヒデミツさん(18)がいた。 漫才をするなんて、考えたこともなかった。軽度の知的障害があり、「知的障がい生徒自立支援コース(自立支援コース)」で学んできた。人見知りをしないこと、時間を守ること、集中力を保つこと――。ヒデミツさんが、苦手なことだ。 「ともに学び、ともに育つ」を掲げる西成高校では、授業を別室で学ぶ特別学級を設けず、通常学級と同じ教室で過ごす。自立支援コースの生徒は学年に3人。就労と自立を目指し、ビジネスマナーや買い物の仕方などを学ぶ「自立学習」が毎週ある。担任とは別に、コーディネーターとして、楽慎次郎教諭(51)が支援している。 ヒデミツさんは1、2年生のころ、夕方になってから学校に来たり、数日間、学校を休んだりすることが多かった。「学校が面倒で、2度寝してしまうこともあった」とヒデミツさん。休み時間におらず、楽先生が探しに行くと、トイレの個室に閉じこもっていたこともあった。 そんなヒデミツさんは卒業する今、「西成高校は、僕が輝ける場所」と表現する。 先生と友達が、とっておきの「居場所」をくれたからだ。 ■招かれた部室は「家みたい」… この記事は有料会員記事です。残り1450文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
志望学科に女性は1割、でも理系の道へ 科学ショーで伝えたいこと
五十嵐美樹さん(30)が全国で子ども向けのサイエンスショーを開くようになってから、6年ほどがたつ。 科学に関心がない子どもにも見てもらいたいと始めたのが、得意のダンスを組み合わせた実験だ。 「バター作ります」の声と同時に、ヒップホップダンスの激しい振り付けで、結んだ髪を振り乱しながらステージ上で踊り始める。音楽に合わせ、手に持ったペットボトルの中の生クリームを上下左右に何度も強く振ることで、しばらくするとバターができあがる。 最初に披露したとき、女の子が一緒に踊ってくれて、ショーの実験についてたくさん質問をしてくれたことが忘れられない。 自身のツイッター(@igamiki0319)でも紹介すると、反響が広がった。 まずは楽しんでほしい。一人でも多くの子どもが科学に触れるきっかけになれたら――。 こうした活動を続けるのは、科学の世界で、ある課題を感じているからだ。 「自分の好きになった分野を突き進め」 科学の魅力に目覚めたのは、中学2年のとき。 理科の授業で、プリズムを使った「虹の実験」で「これが虹の原理だよ」と先生に教わった。 身近な現象と科学が初めてつながった気がして、感動した。 先生が楽しそうに実験をする姿も印象に残っている。 科学の勉強にのめり込み、大学は理系の学部に進むことにした。 だが、進学先の学科に女性が… この記事は有料会員記事です。残り1247文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
都心でサクラ開花 平年より4日早く、気象台発表
吉沢英将2022年3月20日 14時30分 東京管区気象台は20日、東京都心の桜が開花したと発表した。靖国神社(千代田区)にあるソメイヨシノの標本木で午後2時、気象台職員が10輪咲いているのを目視で確認した。開花の目安は5、6輪。昨年より6日遅く、平年より4日早いという。昨年は観測史上最速タイだった。 日本気象協会や同気象台によると、夏にできた花芽が一度休眠し、冬の寒さで目覚める「休眠打破」という現象が、冬にたびたび流れ込んだ寒気の影響で順調に進行。3月の高温傾向を受け、平年より早く咲いたとみられるという。 17日には福岡市で開花しており、協会が同日に発表した予想では、名古屋市で21日、大阪市は23日の開花を見込んでいる。(吉沢英将) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東北新幹線の撤去作業始まる 地震で脱線、全面復旧に「相当の時間」
【動画】脱線した東北新幹線「やまびこ223号」の撤去作業=依知川和大撮影 JR東日本は20日、福島県沖であった最大震度6強の地震で脱線した東北新幹線の撤去作業を始めた。100人超の作業員らが、仙台方面の先頭車両(約43トン)を約8時間かけてレールに戻した。今後、1両ずつ作業を進め、撤去には少なくとも2週間ほどかかる見通しだという。 現場は、白石蔵王駅(宮城県白石市)から東京方面に約2キロの付近。東京発仙台行きの「やまびこ223号」が16日深夜の地震で緊急停車し、17両中16両が脱線した。乗客・乗務員78人にけがはなかった。 震源に近い区間では、電柱24本、高架橋などの構造物20カ所の被害が確認されており、那須塩原―盛岡間は終日運転を見合わせている。全面復旧の見通しは立っておらず、JR東は「相当の時間がかかる」とみている。(小川崇) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福島県から不正メール12万7千件、外部からアクセスされ
2022年3月20日 21時16分 福島県は、県のメールシステムにアクセスがあり、約12万7千件の不正メールが外部アドレスに送信されたと19日発表した。個人情報や機密情報などの流出はなかったとしている。 県によると、不正アクセスされたのは県や市町村の通信履歴などを管理している「県自治体情報セキュリティクラウド」。メールの内容は不明だが、18日午後5~7時ごろ、主に海外のアドレスに送信されたという。 県が業者に発注したシステムの作業中、一時的に外部からアクセスできる状態になったのが原因で、既に対策を講じたという。県は不審な受信があった場合、破棄するよう求めている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
黒柳徹子さんの底知れぬパンダ愛 5頭の名付けでこだわったこと
日本パンダ保護協会名誉会長の黒柳徹子さんに、パンダと上野動物園の思い出を書面でインタビューしました。上野で生まれたパンダの名前を考える選考委員でもある黒柳さん。初めて出会った6歳の頃から振り返ってもらいました。 ――黒柳さんとパンダの「出会い」は、6歳くらいの時だったといいます。 おじから、アメリカのお土産にパンダのぬいぐるみをもらいました。何よりも大切にしていたくらいで、いつも抱いていました。戦争中も常にリュックにしまって、背負って空襲の中を逃げていました。 パンダの魅力は、まん丸くて、どこから見ても可愛いところ。中国のものなので、なかなか中国にも行けず、1968年、わざわざロンドンの動物園まで見に行きました。 「チチ」という女の子です。「思ったより可愛い!」とうれしく思い、そこに、ロシアから「アンアン」というオスがお見合いに来ていて、超ラッキーで2頭を見ることができました。 海を越えた思い、米国で名乗った「私はパンダ研究家です」 ――パンダが上野に初めてやって来たのは72年。中国からオスのカンカンとメスのランランが寄贈されました。 私が子どもの時から可愛いと… この記事は有料会員記事です。残り1822文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル