添田樹紀2022年3月12日 7時44分 大阪市が阪急電鉄と共同で進めている阪急京都線と千里線の一部区間を高架化する事業について、市は11日の市議会委員会で、事業費が694億円増えて2326億円になる見込みだと説明した。工事の安全対策などを講じるためという。 2008年に着工。京都線と千里線の淡路駅(同市東淀川区)付近の線路計7・1キロメートルを高架化して17カ所の踏切をなくし、交通の円滑化を図る。完成予定は当初は12年度だったが、用地取得の遅れで31年度にずれ込む見通しだ。 市によると、16年に神戸市で新名神高速道路の延伸工事中に橋桁が落下した事故を受け、安全対策を強化している。周辺の土壌汚染や軟弱地盤の対策も必要になり、事業費が2326億円に膨らんだという。事業費の8・5%を阪急電鉄、残りを国と市が負担する。(添田樹紀) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同僚に見えを張って… 医師免許なく83人にコロナ問診、女に有罪
大野晴香2022年3月11日 20時20分 医師ではないのに新型コロナウイルスのワクチン接種の問診をしたなどとして、医師法違反と有印公文書偽造・同行使、詐欺の罪に問われた元介護施設長の月舘静恵被告(70)の判決が11日、名古屋地裁であった。辛島明裁判長は「行為の責任や重大性にあまりに無自覚で分別を欠く」と述べ、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。 判決によると、月舘被告は2021年2月、医師免許証の写しを偽造。茨城県内の介護老人保健施設の施設長兼医師として入所者83人に接種前の聴診や問診をした。また給与約95万7千円を施設側からだまし取った。 判決によると、月舘被告は茨城県の臨時職員だった時、見えを張って同僚に「医師の経歴がある」とうそを言った。それが医師を探していた施設側の耳に入り、施設長就任を依頼されたという。辛島裁判長は「医師免許の信頼を害した。入所者に重大な健康被害を与える恐れがあったことも否定できない」と非難した。(大野晴香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福井・中2自殺 町と県が遺族と和解へ 町議会で議案可決
2022年3月11日 20時51分 福井県池田町立池田中学2年の男子生徒(当時14)が2017年3月、担任らから繰り返し指導叱責(しっせき)を受けた後に自殺した問題をめぐり、生徒の母親が町と県を相手取り計約5470万円の損害賠償を求めている訴訟で、町は11日、5千万円の解決金を支払うことなどで和解する方針を明らかにした。町は議案を同日、町議会に提出し、可決された。 町教委によると、昨年10月に福井地裁であった口頭弁論後に裁判所から和解案が提示された。解決金はすべて町に支払い義務があると認めることや、町と県が生徒の自殺を深刻に受け止め、再発防止に努めることを条件としており、町と県は受け入れることを決めたという。 17年10月に有識者らによる調査委員会が公表した調査報告書は、男子生徒が当時の担任と副担任から、他の生徒の前で繰り返し厳しい叱責を受けたことが、自殺の大きな要因だったと結論づけている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【震災11年の一日】大切な人をいつまでも胸に 祈り、誓った
11日で東日本大震災から11年となります。震災関連死を含めた死者・行方不明者は2万2207人。失われた命を思い、残された人たちの心の痛みを想像する。そして、これからくる災害への教訓と備えを考える――。そんな1日にしたいと思います。各地の動きをタイムラインでお伝えします。 名取市震災メモリアル公園の慰霊碑で、千個の「電子絵灯籠(とうろう)」が平和を呼びかけるメッセージを発していた。主催者によると、「災害や戦争など形は違えど、人の命が奪われる悲しみが世界から少しでも無くなってほしい」との願いが込められている=2022年3月11日午後6時4分、宮城県名取市、加藤諒撮影 15:30 「おやじ、元気で暮らしているよ」 浪江町の霊園で祈る 福島県浪江町の請戸地区にある霊園では、午後3時半過ぎ、妻と2人で手を合わせる浦島博之さん(57)=茨城県北茨城市=の姿があった。 震災時、浦島さんは仕事で自宅を離れていた。母親は隣家の人と一緒に避難したが、父洽(ひろし)さん(当時73)は自宅にとどまり、津波にのまれた。翌日、自宅周辺を捜索しようとしたが、東京電力福島第一原発事故の影響で捜すことができなかった。 遺体が見つかったのは2011年5月11日。対面できたのは同年6月で、すでに遺骨になっていた。「本当におやじなのかな」と思ったという。 ビールとゴルフが好きだったという洽さん。よくけんかしたというが、この日は墓前に「元気で仕事して暮らしているよ。心配しないで」と報告した。 「毎年3月11日だけは請戸の住民になれる日。この風景を見ると懐かしい」 15:15 紙塔婆を海へ、福島・薄磯の122人を悼む 福島県いわき市で津波被害が最も大きかった薄磯地区。122人の犠牲者の名前が刻まれた慰霊碑と近くの修徳院で法要が営まれた。僧侶は薄磯海岸まで足を運んで紙塔婆を海に流し、犠牲者の供養をした。 14:55 妻さがす宮城・女川の男性、シャボン玉に誓う 宮城県女川町の高松康雄さん(65)は午後2時55分、慰霊碑の前でシャボン玉を吹いた。津波で行方が分からない妻の祐子さん(当時47)を探すため、2013年から海での捜索を続けている。 「祐子を忘れてないからね。まだまだ探し続けるからね」 震災後、潜水士の資格を取り、今も月に一度、捜索のために海に潜る。 「街の景色は変わったけど、海の中の景色はほとんど変わらない。11年経ったのか。そんな気がしないよ」。祐子さんを見つけるまで、捜索を続ける。 シャボン玉を吹く高松康雄さん=2022年3月11日午後2時55分、宮城県女川町、福岡龍一郎撮影 14:46 母失った遺族会会長「震災前の風景、昨日のように思い出す」 宮城県気仙沼市の波路上杉ノ下(はじかみすぎのした)の高台にある慰霊碑では、地震発生時刻の午後2時46分、遺族ら約150人がサイレンに合わせて海に向かって手をあわせ、黙禱(もくとう)した。 標高約12メートルの高台は、明治三陸大津波でも浸水しなかったため、市が住民と協議を重ねて避難場所に指定したが、東日本大震災では津波は約2メートル上まで到達。避難していた住民約60人が犠牲になった。 母と妻を失った遺族会の佐藤信行会長(71)は「震災前の風景が昨日のように思い出される。まだ17人が家族のもとに帰っていない。早く戻ってきてほしいという気持ちでいっぱいだ」と話した。 14:46 東電社長が黙禱、「社会からの信頼が大前提」と訓示 東京電力の小早川智明社長と社員らは、震災の発生時刻にあわせて福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)で黙禱(もくとう)した。 小早川社長は社員らへの訓示で「福島の復興のためには、安全かつ着実に廃炉作業を進め、社会から信頼されることが大前提」と強調。昨年は廃棄物の収納容器からの放射性物質の漏洩(ろうえい)などトラブルが相次ぎ、信頼を失っているとして、対策を進めるよう求めた。 その後、小早川社長は報道陣の取材に応じた。来春にも始まる処理水の海洋放出について、社会でどれだけ理解が得られたかという認識を問われ、「理解の進捗(しんちょく)度を答える立場にはない」と説明。そのうえで、「安全性を理解してもらえる活動を繰り返していかなければいけないと思っている」と語った。 14:46 「祈りの丘」で黙禱 南三陸町 南三陸町震災復興祈念公園(… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「1千枚の500円玉」は手数料?応援? 遠山元議員に懲役2年求刑
日本政策金融公庫のコロナ対策融資111件を違法に仲介したとして貸金業法違反(無登録営業)罪に問われた元公明党衆院議員・遠山清彦被告(52)の公判が11日、東京地裁であった。検察側は「国会議員や財務副大臣としての事実上の影響力を背景に犯行を繰り返し、国民の不公平感を増大させた」として懲役2年、罰金100万円を求刑した。弁護側は減刑を求めて結審した。判決は29日。 この日はまず被告人質問が行われた。弁護人が融資仲介の理由を問うと、遠山元議員は「未曽有のコロナ危機で、資金繰りに困っている多くの企業を助けるためだった」と語った。 議員らの紹介案件について窓口を一本化していた公庫の対応は「知らなかった。ただ、融資希望者には迅速、丁寧に対応してくれていた」と説明。財務副大臣時代にも仲介していたが、「私が直接公庫に働きかけず、融資審査には一切介入しないことなどに留意していた」と強調した。 弁護人は111件のうち手数料を受け取ったのは17件である点も質問した。遠山元議員は「手数料だけではなく、私を今後も応援するという意味合いもあったと思う」と答えた。50万円の現金を1千枚の500円玉で渡されたこともあったといい、「『コツコツためた私の心を感じてください。応援しています』と言われた」と話した。 ■7%の高額手数料を計画… この記事は有料会員記事です。残り493文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
強制不妊、20年過ぎた裁判でも国に責任 東京高裁の判決内容とは
旧優生保護法の下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、東京都の男性(78)が国に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が11日、東京高裁であった。平田豊裁判長は一審判決を変更し、旧法そのものを明確な違憲としたうえで国に1500万円の賠償を命じた。原告側の逆転勝訴となった。 東京高裁判決の要旨は次の通り。 【法律の違憲性】 優生手術を定めた同法の条項は立法目的が差別的思想に基づくもので正当性を欠き、目的達成の手段も極めて非人道的なものだ。憲法13条(幸福追求権)と14条1項(法の下の平等)に違反することは明らかだ。 手術の当時、厚生大臣は違憲・違法な優生手術を積極的に実施させており、国は国家賠償法上の賠償責任を負う。 【除斥期間の起算点】 (損害賠償の請求権は20年で消えるという)民法724条後段の「除斥期間」は、起算点を明確に「不法行為の時」としている。不法行為時とは通常は加害行為時であり、損害の発生時期には左右されない。本件の起算点は加害行為時の手術時と言わざるを得ない。 【除斥期間の適用制限】 ただ、被害者の権利行使を除… この記事は有料会員記事です。残り992文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
手作り野菜の味に驚き、農家になった夫婦 ひらめいたスタイルとは
人生を変えたきっかけは、家庭菜園で初めて育てた小松菜だった。そのおいしさに驚き、ついには、夫婦で野菜を育てる農家になった。就農から約3年。大阪の畑で、農薬や化学肥料を使わずに年間約200種類の野菜を栽培し、自分たちで販売。「味が濃い」と人気だ。 2月9日、堺市の公園であったマルシェ。一角で農園「笑ノ百姓(えみのひゃくしょう)」の中塚菜津美さん(38)が、ニンジン、ダイコン、ネギやキャベツなどを並べた。朝とったばかりで、泥がついたままの野菜も。お客さんたちは「ここのネギとダイコンは絶対買い」「ニンジンは味が濃い」などと情報交換しながら、次々に野菜を買っていった。調理方法を聞かれ、「サラダや漬物でもおいしいですよ」と菜津美さん。いまは週に1回、この公園で販売している。 笑ノ百姓は、2019年5月に大阪府南東部の富田林市で就農した中塚和典さん(40)と菜津美さん夫婦が営む農園だ。屋号は、「自分たちの野菜を食べてほほえんでほしい」との思いから。現在の農地は計約2ヘクタール。農薬、化学肥料を使わず、ネットや地面を覆うシートを使って虫や雑草を防ぐ。大阪府の「大阪エコ農産物」の認証を受けている。 ナスやトマトなど特定の野菜を大量に作るのではなく、多品目を栽培するのが特徴だ。一年を通すと約200種類ほどで、ダイコンだけでも10種類ほどになるという。栽培した野菜を自ら販売する。 主力は、野菜セット。10種類で2千円、6~8種類で1500円。和典さんが火曜と金曜、午前中に収穫した後、車に積んで、富田林市、河内長野市、大阪狭山市などエリアを限定して配達している。 配達は、週1回か隔週かを選ぶ方式。中身はお任せだが、ダイコンやニンジン、タマネギなど日常的によく使う野菜が8割、黄色いカブなど珍しい野菜が2割をイメージしている。「旬の移ろいを感じられるのが醍醐(だいご)味」と和典さん。配達に行くと、「今日は何?」と楽しみにしている人が多いという。 いま、月に二百数十個ほどのセットを販売。一度に車に積める量が限界になったため、新規の配達の受け入れを中断。直接畑に取りに来てもらう形で受け付けている。 ◇ ◇ きっかけは家庭菜園だった。 富田林市の隣の大阪狭山市に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「奇跡的に生き残った児童」注目に疲れ避けた取材…訪れた転機と願い
児童や教職員計84人が犠牲・行方不明となった宮城県石巻市の旧大川小学校では11日夜、遺族や卒業生らが、初めて鎮魂のためのイベントを開いた。 普段は日暮れとともに暗闇に包まれる校舎西側の広場だが、この日は手作りの「竹あかり」から漏れ出るほのかな明かりに包まれた。 企画の中心になったのは、6年生だった三男の雄樹(ゆうき)さんを失い、旧大川小で語り部活動を続けている佐藤和隆さん(55)。旧大川小は昨年7月に震災遺構として公開されたが、周辺は人が住めなくなり、地元の祭りもなくなった。地域のつながりが途切れたままだと風化は防げないとの危機感があった。 3月11日に集まるきっかけ… この記事は有料会員記事です。残り705文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あの日の思い、未来へつなぐ 震災の記憶「最後の世代」が語る決意
東日本大震災の発生から11日で11年を迎えた。津波が襲った沿岸部や街中では祈りが捧げられ、式典では防災意識の向上や記憶の継承への決意が語られた。関連死を含む死者・行方不明者は2万2207人。全国でいまなお3万8千人超が避難生活を送る。 午後2時46分。東京電力福島第一原発から約7キロの福島県浪江町の海岸では、サイレンに合わせ黙禱(もくとう)する人々の姿があった。 震災前、この海岸近くで暮らし、義理の両親を亡くした横山恵美子さん(54)は、息子の知明さん(14)とともに手を合わせた。「こういう場所で生まれたんだよと見せたかった」 岸田首相「国が前面に立って復興に全力を尽くす」 福島市で開かれた東日本大震… この記事は有料会員記事です。残り371文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
エアガンで撃たれた傷71カ所 1歳の三男衰弱死 母に懲役8年判決
福岡県田川市で2018年、重度の低栄養状態だった1歳4カ月の三男に必要な治療を受けさせず死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の無職常慶(じょうけい)藍被告(27)の裁判員裁判で、福岡地裁(溝国禎久裁判長)は11日、「悪質性が相当高い」として懲役8年(求刑懲役12年)の実刑判決を言い渡した。無罪を主張した弁護側は控訴する方針。 判決によると、三男唯雅(ゆいが)ちゃんは18年10月下旬に重度の低栄養状態に陥り、11月上旬には手足やあばらなど計31カ所を骨折、父親の雅則被告(26)=保護責任者遺棄致死と傷害の罪で起訴=にエアソフトガンで撃たれた傷が71カ所あり肺感染症を発症していたのに、常慶被告は病院に連れて行くなどせず、12月1日に田川市の自宅で急性呼吸不全により死亡させた。 弁護側は公判で、被告に軽度の知的障害があり、唯雅ちゃんが病院に連れて行くべき状態だったことを認識できず「故意はない」と無罪を主張。しかし、判決は「一見して明らかな異常といえる。保護が必要な状態を認識していたと推認するのが合理的」と認定。その上で、分離して審理される雅則被告にも当てはまると言及した。唯雅ちゃんは亡くなる3日前ごろまでに医師の診察や治療を受ければ救命可能だった、とも指摘した。 また、常慶被告は長男や長女… この記事は有料会員記事です。残り343文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル