ロシアによるウクライナ侵攻について、国立大学協会は4日、「武力による一方的な現状変更の試みは、全く容認できない」と批判する声明を出した。 国大協は同日、定例の総会を開き、学長たちから声明を出すべきだとの意見が相次いだ。これを受け声明は、「侵攻は平和を願う私たち国際社会への挑戦」だとして、「侵攻の即時停止と、平和的な解決を強く望む」と訴えた。 一方で、各大学にはロシアからの留学生らも在籍しているため、「ウクライナとロシアからの留学生、研究者とその家族には、今回の事態に伴うトラブルや不利益が生じないよう、国立大は心のケアも含め、適切に対応する」とした。 ウクライナ侵攻をめぐっては、東京大や北海道大の学長が「許容できない」などとする声明を発信。広島大の学長は、ロシアのプーチン大統領が「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つだ」と述べたことに対し、「強く抗議する」と訴えている。(編集委員・増谷文生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「殺すぞこら」「完全にダメ人間」 神戸大、暴言の准教授2人を停職
小野大輔2022年3月4日 19時37分 神戸大は4日、学生に暴言を繰り返したなどとして、40代の男性准教授2人をいずれも停職1カ月の懲戒処分にしたと発表した。 人事課によると、准教授の一人は昨年1月、ミーティングを無断欠席した学生を研究室に呼び出し「お前不可だぞ。ここでぶん殴ってやりたいとこなんだなあ。殺すぞ、こら」と怒鳴って椅子を蹴り飛ばした。 大学の調査で、10人以上の学生に対し「殺すぞ」「馬鹿」などの言動が確認されたという。准教授は「怒りで理性を失った」と説明しているという。 もう一人の准教授は2020年秋、研究室に属する学生に「幼稚すぎて指導するレベルに達していない」「君は完全にダメな人間や」などと人格を否定する発言を繰り返したという。 学生の相談を受けて研究科長が大学側のハラスメント防止対策本部に報告。大学のその後の調査で、この准教授をめぐって13年以降、10人以上の学生が研究科へアカデミック・ハラスメントの被害を相談していたことが判明した。 研究科は准教授にその都度注意したが、大学に報告はしていなかった。人事課は「隠匿とは認められないが、研究科の対応には疑問が残る」としている。 大学の調査では、研究室の複数の学生らから「ゼミは長時間にわたって理不尽な叱責(しっせき)が科される場所だった」との証言もあったという。 准教授は調査に対し「熱心に指導する中で、学生を追い込む形になってしまった」と説明しているという。 人事課は「ハラスメントに関する就業規則の順守を周知徹底し、再発防止に努める」とのコメントを出した。処分者の特定につながるとして、准教授の所属する学部・研究科は明らかにしていない。(小野大輔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10年前の強盗容疑、大阪府警が誤認逮捕認める 別人を送検、不起訴
荻原千明2022年3月4日 19時53分 大阪府泉大津市のコンビニエンスストアでの強盗容疑で10年前に男性(31)を逮捕した事件について、大阪府警は4日、別の男性を窃盗容疑で書類送検し、発表した。逮捕された男性は窃盗罪で起訴され、無罪判決が確定したが、勾留は約10カ月間に及んだ。府警は誤認逮捕と認め、4日に男性に謝罪した。 府警によると2012年6月、同市のコンビニで現金1万円が奪われた。男はマスクを買うように装い、店員がレジを開けると、現金をつかんで逃走した。 泉大津署は同8月、自動ドアに残されていた指紋などから現在ミュージシャンとして活動する同市の土井佑輔さんを強盗容疑で逮捕した。大阪地検岸和田支部は窃盗罪で起訴したが14年7月、大阪地裁岸和田支部が無罪を言い渡し、確定した。土井さんが国と府に慰謝料などを求めた訴訟は棄却されている。 府警は未解決の強盗事件と位置づけ、今年6月の時効を前に21年10月、改めて現場に残された指紋を登録システムで照会。レジカウンター付近に落ちていたポリ袋に付いていた指紋が別の30代男性のものと一致することが判明し、任意で事情聴取した。容疑が固まったとして今月4日、大阪地検に窃盗容疑で書類送検したが、窃盗罪の時効(7年)が過ぎており、同日に不起訴となった。 合致の指紋登録も、確認できず 「反省すべき」 刑事総務課によると、今回一致した指紋は、土井さん逮捕後の12年後半に登録されたが、指の種類を絞って照会しており、確認できていなかった。熱田好司(たかし)課長は「男性(土井さん)やご家族に申し訳なく、当時の捜査については大変反省すべきだと思っている」と話した。 土井さんは冤罪(えんざい)撲滅を訴えるライブ活動をしている。取材に「時効間際までなぜきちんと指紋を調べなかったのか。自分は10年間苦しんできた。警察や検察幹部から謝罪は受けたが、当時取り調べた警察官らに謝ってもらいたい」と話した。(荻原千明) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北海道十勝沖地震から70年 国内で例のない流氷津波、その次は
北海道東部の太平洋沿岸で1952(昭和27)年3月4日、津波が襲い、死者28人、行方不明者5人が出た「十勝沖地震」から70年が過ぎた。その後も道内では死者・行方不明者が出る震災が計8回起き、次は千島海溝・日本海溝沿いの巨大地震が懸念されている。札幌管区気象台地震情報官の阿南恒明さん(58)に道内の地震の特徴や、命を守るための注意点を聞いた。 ――52年の十勝沖地震の特徴を教えてください。 午前10時22分に発生したマグニチュード(M)8・2の大地震です。浜中町霧多布(きりたっぷ)地区など太平洋沿岸では、流氷を伴う津波が押し寄せ、家屋が流されるなど被害が出ました。同じような被害は、国内でほかに確認されていません。 北海道で活発な地震活動 十勝沖からロシア・カムチャ… この記事は有料会員記事です。残り1564文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土で作られた日本最古の塑像、「異例」と呼ばれるその訳とは
当麻寺・弥勒如来坐像 奈良県葛城市の当麻(たいま)寺金堂には、塑像(そぞう)で日本最古とされる「弥勒(みろく)如来坐像(ざぞう)」(国宝)が安置されています。制作年代は白鳳時代の681年ごろです。 粘土などの土で形を作る塑像ですが、表面に布を貼り、上から漆と金箔(きんぱく)が施されています。高さは2・2メートルで、厚みのある体やふっくらと張りのある顔が重厚感を放っています。 弥勒如来は、釈迦の入滅後、56億7千万年後に人間界に現れて人々を救う未来仏のことです。「当時の人々は弥勒さまとともに仏になって、苦しみから解放されることをここで願ったのでしょう」と当麻寺奥院の川中教正副住職(44)は話します。 日本最古の塑像であることと… この記事は有料会員記事です。残り304文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生きづらさも発達障害もありのままに 文章を書くことで広がる世界
私は、発達障害がある長男(22)には好きなことを伸ばして成長してほしいと思ってきた。「書くこと」で何を得られているんだろう。本紙朝刊の「声」の投稿者を訪ねた。 青森県三沢市の米軍基地。「トイレで手を洗い、容器に採取して……」。山根寛子さん(43)は、迷彩服に身を固めた米兵に流暢(りゅうちょう)な英語で話しかけた。基地で違法薬物の検査のための検体採取の仕事をしている。 私は文を書くことが長所です 事務職員 山根寛子(青森県 41) 「絵を描くことは私の長所だ」という中学生の投稿を読んだ。「自信がない私にとって、たった一つの自分の強みだと感じる」とあった。私も同じと気づいた。成人後、発達障害との診断を受けた。自信がなく、取りえもないと思っていた。でもこの方と同じように好きなこと、つまり書くことを続けてきた。少しずつ自信を持てるようになった。(2020年4月24日、「声」欄投稿要旨) つまずきを感じたのは大卒後、就職をしてからだった。得意の英語を生かし、決まった作業は着実にこなす。だが、複数の仕事が重なると混乱した。上司らが「普通はできるでしょ」といらだつたびに「消えたい」と思った。職場を転々とし、スーパー事務員だった2015年、うつ病と診断され休職。その後退職し、16年3月に現在の仕事に就いた。 5年ほど前、知人から「発達… この記事は有料会員記事です。残り793文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日野自動車が緊急会見へ 会長と社長が出席、排ガス不正で説明か
2022年3月4日 12時53分 日野自動車は4日、同日午後4時から都内で緊急記者会見を開くと発表した。下義生会長と小木曽聡社長が出席する。関係者によると、エンジンの排ガスなどの数値に関する不正なデータについて説明するとみられる。データを国に提出して生産に必要な認証を取得したとの疑いがあるという。 日野は排ガス関連のリコール(回収・無償修理)をくり返している。2020年4月には、中型トラックの排ガス防止装置などに不具合があったとして4万351台のリコールを国土交通省に届け出た。21年12月にも、大型トラックの排出ガス発散防止装置に不具合があったとして、4万7291台のリコールを国交省に届け出た。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「瞳の光が変わった」 間宮祥太朗さんが「破戒」で演じた静けさと熱
被差別部落に生まれた青年の葛藤を描いた映画「破戒」(原作・島崎藤村)が7月に全国公開される。 部落差別の根絶をめざし、1922年3月3日に当事者たちが創立した「全国水平社」。100周年を記念して制作された映画で、京都市左京区で3日に開かれた記念集会で先行上映された。 上映に先立ち、主人公の青年・瀬川丑松役を演じた俳優の間宮祥太朗さんと映画監督の前田和男さんが対談し、撮影の舞台裏や映画の見どころを語った。 間宮さん 初めて読んだ原作に「心を込めて演じたい」 間宮 去年8月に京都で撮影をしました。ものすごく暑かったんですけど、撮影は静かに着々と進みました。 前田 去年夏ごろにクランクインして、先ごろ完成したんですけれども、みなさんのおかげでいい映画になったと思います。この映画を見て、部落問題を知っている人も知らない人も、分け隔てなくざっくばらんに語り合うことのできる空気を醸成するきっかけになればと思っております。 司会 主演のオファーが来たときはどんな気持ちでしたか。 間宮 実は「破戒」の原作を読んだことがありませんでした。主演を引き受けさせていただくまでに原作を、その後、台本を読ませていただきました。普遍的な映画になる予感がしたので、心を込めて演じたいなと思いました。 司会 真剣に向き合いたいという思いでしょうか。 間宮 そうですね。自分の体や言葉、感情を通して主人公の丑松とその周りの背景にある物語がストレートに伝わればいいなと思って演じました。 前田 この映画のプロデューサーと30年くらいの付き合いがあって、部落差別の問題であったり人権問題だったりをテーマにドラマなどをつくってきました。ですから「今度、破戒をやりたいんです」と聞いたときは、特に驚きもせず、「ああそうか」という感じでした。われわれが積み上げてきた仕事の延長上に「破戒」があった。(「破戒」は)目標でもあったということです。 司会 役作りについて。 間宮 演じる上で一番意識をしたのは、あくまで丑松の日常、丑松がどう居るかっていうところでした。静けさみたいなものが出せるように意識しました。とにかく静かに、静かに世間と自分を見つめながら、日々を生きている印象。その静けさをすごく意識しました。 司会 監督からは何か指示を? 前田 そうですね。丑松というのは、常に不安、孤独、恐怖、悔しさといった、葛藤と苦悩にまみれたネガティブな感情が渦巻いている。そのなかに志保(役・石井杏奈)に対する恋心だったり、友人の同僚・銀之助への友情だったり、子どもたちに対する親愛の情だったり、正と負の感情がぐるぐるしている。その感情をどう表現していくかっていうのは、映画俳優が映画俳優であるための「命」であると僕は思っています。(木下恵介監督や市川崑監督が作った)過去の「破戒」2作で演じられた丑松とは違う地平に立とうと話した。そういう意味で、間宮祥太朗は違う次元にいってしまった。 前田監督「山の向こうの大きな希望へ」 司会 それほどいい演技でしたか。 前田 ええ。あのね、一つだけ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高校3年生、商業の検定「8冠」を達成 「高校入試よりがんばった」
県立龍野北高校電気情報システム科3年の谷川大明さん(17)が、全国商業高等学校協会主催の検定試験で、2月に商業経済検定1級に合格した。これで9種目あるうち8種目で1級に合格。同協会によると、受験者は商業高校や商業科の生徒が多く、昨年度は合わせて約120万人が受験を申し込んだが、今年度「8冠」を達成したのは107人だという。 子どものころから計算好き 子どものころから計算するこ… この記事は有料会員記事です。残り461文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コーヒー消費、レギュラーがインスタント上回る レトロ喫茶が新鮮?
数字は語る コーヒーがずいぶんと身近なものになっている。国内で1人が1週間に飲む杯数を全日本コーヒー協会が調査したところ、11・53杯(2020年)だった。隔年で調べていて、02年以降の最近10回では最多になった。興味深いのはタイプ別。レギュラーが伸びて4・41杯と、インスタントの4・00杯をわずかながら上回った。 一般的にコーヒー豆を焙煎(ばいせん)して粉にひいたものがレギュラーだ。味わうにはドリップ(抽出)の手間がかかるし、値段も高い。それでも伸びてきた最近の要因にコンビニの功績がある。13年ごろから、いれたてを100円ほどで飲めるようになり、ヒットした。 「もう一つ、新型コロナで在宅時間が増えた影響が若干あるでしょう」と、全日本コーヒー商工組合連合会の萩原孝治郎代表理事会長。「コーヒーをいれる余裕ができて、いろいろな豆を楽しみたい、といった興味を持てるようになった」 喫茶店もレトロ調の「純喫茶… この記事は有料会員記事です。残り530文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル