東京では桜が開花していた。フリーライター井上榛香(はるか)さん(27)と女性(23)を暖かい春の空気が包む。 一緒に洋服を選ぶのはいつぶりだろう。 彼女とは5年来の親友。関西の大学に通っていた夏、大学が企画した留学生とのレクリエーション旅行で、バスの席が隣同士だった。文化も言葉も違うけれど、気があってたくさん話した。彼女の国に留学した時は家族とドライブに連れて行ってくれた。 買い物にもよく行った。長めのスカートが彼女のお気に入りで、パステルカラーが好きだった。いつも、落ち着いた明るい洋服を着ていた。暮らす国が違っても連絡を取り合ってきた。 3月下旬、日本に来た彼女と一緒に買い物に出掛けた。彼女は真っ黒の厚手のダウンジャケットに灰色のスウェットのズボン。春の陽気には不釣り合いで、重く、少しやつれてみえた。とにかく早く服を選ばないと。 店内に入ると、服を選びやす… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
亡くなった妹に姉の後悔「意地悪しちゃった」 母が向き合う心のケア
6年前の熊本地震の本震で、宮崎さくらさん(43)=熊本県合志(こうし)市=は次女を亡くした。数年後、長女の言葉をきっかけに、家族を失った子どもにはケアが必要だと感じた。同じ思いをさせたくないと、模索を続けている。 16日午後、宮崎さんは熊本市民病院で花壇を手入れしていた。3年前に植えたフランス菊が満開だった。 次女の花梨(かりん)ちゃんは先天的な心臓病で、2016年1月、この病院に入院した。4月16日の本震で建物が被災し、福岡市内の病院に転院。直後に容体が急変、5日後に亡くなった。4歳だった。8月、災害関連死と認定された。 近所のスーパーに行くと、よく一緒に来ていた花梨ちゃんを思い出し、涙があふれた。道を歩いていて同じ年頃の子を見かけると途端におえつが止まらなくなった。亡くなる前と変わらずにいようと、好きだったギョーザを花梨ちゃんの分も作ったが、誰も食べずに残っているのを見て、苦しくなった。 誕生日も毎年祝った。「ろうそくの火を全然消せなかったよね」。2年ほど経つと、昔を思い出し、家族と少しだけ笑って話せるようになった。通うはずだった小学校に、ランドセルと遺影を持って校門前まで行った。 地震から3年ほどが経ったころ、長女の柑奈(かんな)さん(12)が突然、後悔を口にした。「花梨に意地悪をしちゃった」 花梨ちゃんを病院から熊本に連れて帰る時。着せる服がなく、当時6歳だった柑奈さんに服を貸してあげてと頼むと、「お気に入りだから嫌だ」。「なんであのとき貸してあげなかったんだろう」。うつむき、つぶやいた。 あの日以来、悩んだり、落ち込んだりしているのを見たことがなかった。いつも元気に学校に通っていると思っていた。でも祖母の前ではたくさん泣いていたと、後から聞いた。 自分を責める柑奈さんに「誰も悪くないよ。それは花梨も分かっているよ」と声をかけた。質問や助言は一切せず、ひたすら「そうだね」と応じた。つらい過去との向き合い方は、人それぞれだと思ったからだ。柑奈さんは話すことで落ち着いたのか、後悔の言葉が減り、笑うことも増えた。 宮崎さん自身、子どもを亡くした親同士が集まる会に参加し、少し気持ちが和らいだことがあった。家族を亡くして苦しむ子どもを減らしたい。昨年4月21日。花梨ちゃんの命日に、家族を亡くした子どもの心のケアをする会、「つむぎ」を立ち上げた。 今年3月、折り紙で花を作るワークショップを開いた。訪れた母と娘は数年前、幼い息子を亡くしていた。母親は、今も受け入れられない苦しみを語り始めた。娘とは一緒に折り紙を作ったが、何も話してくれなかった。会場に来たのは、この親子だけだった。 子どもと信頼関係を築き、胸… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
一部残る鉄道・住まいの復旧 熊本地震の本震から6年 各地で追悼
6年前の4月16日未明に、2度目の最大震度7を観測した「本震」が襲った熊本地震の被災地。地震で被災したインフラの復旧や、今も仮設住宅で暮らす人たちの自宅再建が続く。 本震では熊本県南阿蘇村の阿蘇大橋が崩落。熊本市内と阿蘇地域を結ぶ主要ルートだった国道57号も一部不通になった。2020年10月には国道57号が2ルートで復旧し、21年3月には新阿蘇大橋が開通した。 一部区間が不通だったJR豊肥線は20年8月に全線で運行を再開。不通区間が残る南阿蘇鉄道は23年夏の全線再開を目指している。 熊本県によると、道路や橋、下水道などの一部で復旧工事が残っているという。 仮設住宅では、今も37世帯、95人が暮らす。蒲島郁夫知事は今月15日に県庁であった「復旧・復興本部会議」で、住まいの再建を「最重要課題」とし、「時間的緊迫性をもって臨む」と述べた。 地震の記憶や教訓を次世代に伝える取り組みも始まる。農学部の学生3人が犠牲となり、校舎が被災した当時の東海大の阿蘇キャンパスは「地震震災ミュージアム」の中核拠点として23年夏の開業を予定している。(大貫聡子) 16日は未明から、被害が大きかった阿蘇地域などで多くの人が、亡くなった人たちに思いをはせた。6年前の記憶を風化させまいと、活動する人たちもいる。 住民2人が犠牲になった熊本県南阿蘇村立野の新所(しんしょ)地区では、遺族と住民約30人が慰霊碑の前で七回忌の法要を営んだ。 6年前の本震後、九州電力黒川第一発電所の貯水槽が壊れてふもとの家屋に大量の水と土砂が流れ込み、9世帯が住む9軒が全半壊。片島信夫さん(当時69)と利栄子さん(同61)夫婦が亡くなった。 地震の被害に遭い、村の外に… この記事は有料会員記事です。残り850文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
4月の満月は「ピンクムーン」、今夜から未明に 都心の空に明るい月
川村直子2022年4月16日 20時53分 全国的に晴れ間が広がった16日、東京都心の空には明るい月が浮かんだ。 17日未明には満月を迎える。4月の満月は「ピンクムーン」と呼ばれている。実際にピンク色に染まるわけではなく、アメリカの先住民が春に咲く花の色にちなんで名付けたのが始まりという。(川村直子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
キリン・シマウマ眺めながらテント式サウナ コロナ禍で人気 和歌山
朝日新聞デジタルに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。Copyright © The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission. Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小型クジラの母子?奄美の海岸に打ち上げられる 住民ら救助、力尽き
鹿児島県奄美大島北部の龍郷(たつごう)町の安木屋場(あんきゃば)海岸に16日、小型のクジラ「コビレゴンドウ」が打ち上げられた。呼吸をしていたため、住民らで海に戻そうと救助活動を続けたが、最後は力尽きた。近くでは赤ちゃんクジラも死んだ状態で見つかった。2頭は母子とみられる。 16日早朝、路線バスの運転手が波打ち際に大きな黒い物があるのに気付き、近くの住民を通して奄美クジラ・イルカ協会などに連絡した。 見つかったクジラは、まだ呼吸をしていたので、住民や同協会員ら10人で持ち上げるようにしながら計3回、海に戻そうとした。だが、その度に打ち上げられてしまい、息絶えた。3回目のときには、波打ち際に打ち上げられている小さなクジラも発見。すでに息はしていなかった。 救助活動をした近くのキャン… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
寂聴さんを送るなら阿波踊りで 徳島・寂聴塾の塾生がしのぶ会
昨年11月に99歳で亡くなった作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんは、出身地の徳島市で文学塾「寂聴塾」を続けていた。その塾生たち約20人が16日、市内のホテルで「寂聴さんを偲(しの)び、語る会」を開いた。思い出を語り、阿波踊りを踊って寂聴さんを送った。 寂聴さんは1981年1月、ふるさと徳島の文化の発展につなげようと、寂聴塾をはじめた。当時58歳。毎月、京都から足を運び、65人の塾生に文学や仏教のことを語った。文章の書き方も教えた。「寂聴連」という阿波踊りの連をつくり、塾生たちと踊った。 この日、会場には寂聴さんの写真や寂聴連の提灯(ちょうちん)が飾られた。黙禱(もくとう)のあと、塾生たちが1人ずつ、寂聴さんの本で好きな作品や印象深い言葉、エピソードを語った。 徳島市で中学の教員をしていた生長(おいさき)まちさん(68)は「本物を見なさい」という言葉が忘れられない。中学校の子どもたちに寂聴さんの言葉を聞かせてあげたいと思い、頼んだ。寂聴さんは忙しいなか引き受けてくれ、9年間で3回、中学校に来てくれた。「切に生きるという言葉も好き。心豊かに生きていきたい」と話した。 徳島市の那賀川眞理さん(6… この記事は有料会員記事です。残り532文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
保育中に5歳児不明に、川で発見されたが死亡 事件事故両面で捜査
2022年4月16日 21時13分 16日午後0時半ごろ、広島市西区の保育園から園に通う男児(5)の姿が見えなくなったと110番通報があった。園の関係者らが捜したところ、午後2時40分ごろ、同区小河内町2丁目の太田川放水路で男児が横たわっているのを発見。病院に運ばれたが、約1時間後に死亡が確認された。 広島西署によると、男児はこの日午前から登園しており、目立った外傷はないという。署は事故と事件の両面で経緯を調べている。現場はJR広島駅から西に約4キロの川岸付近で、近くには住宅街などが広がる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大分の陸自演習場で米海兵隊の実弾射撃訓練始まる 過去最大規模
在沖縄米海兵隊による実弾射撃訓練が、陸上自衛隊日出生台(ひじうだい)演習場(大分県由布市、玖珠町、九重町)で16日始まった。27日まで。今年で本土復帰50年となる沖縄の負担軽減が名目。今回は支援部隊を含め大隊規模の約320人が参加する過去最大規模となり、偵察型ドローンや高機動ロケット砲システムも初めて持ち込まれた。一方で米軍は説明せず、訓練も非公開とし、住民の不安は強まっている。 午前8時43分。演習場内に白煙と「ドン」という砲声があがった。しばらくしてさらに大きな着弾音が響いた。 訓練の監視を続けている市民… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
議事録削除の発言、SNS投稿はNG? 賛否割れた議会の決議とは
議会で取り消された発言をSNSに書き込むのは慎重に――。東京都西東京市議会が3月定例会で、こんな決議案を可決した。賛否は割れ、野党系議員から「特定の行為を狙い撃ちしたもの」と疑問の声があがる一方、提案した自民会派は「あくまで一般論」と強調。SNS発信をめぐり、さらなるルール作りを求めている。 可決された「市議によるSNS等の投稿に関する決議」は、自民会派幹事長の稲垣裕二市議が提出。市議によるSNSなどの発信は、憲法が保障する表現の自由で保護されるとまず説明。そのうえで、「市民に誤解を与えないような表現を心がけるべき」だとし、議会で取り消された発言について、「私見を交え、公開することは慎重でなければならない」とした。 稲垣市議は提案で、手続きを経て取り消された議会中の発言は、規則により議事録に掲載されないと指摘。取り消すべき理由に配慮したものだとし、「発言の取り消しがあった事実をSNS上に取り上げるだけならまだしも、SNS投稿者の私見も交え、これ(発言内容)を公開することは、議会制度そのものの信頼を揺るがしかねない行為」などと訴えた。 この提案を巡る質疑で、複数の野党系議員から「特定の人物や案件を指したものではないか」との指摘が上がった。先立つ予算特別委員会で自民会派市議の発言取り消しがあり、その内容を無所属の市議1人が自身のSNSで、私見を交えて公開していたためだ。 この無所属市議は「私のこと… この記事は有料会員記事です。残り862文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル