イラストレーターのミカヅキユミさんは、重度の感音性難聴の当事者だ。 耳が聞こえる夫と9歳の長男、5歳の長女との日常を、エッセーイラストや漫画で記録してきた。 彼女には、今も忘れられない思い出がある。 かつて通った小学校では、自分の意思を伝える教育の一環で、日記をつけるよう言われた。 本を読むのも、文字をつづるのも大好き。毎日提出するノートに、先生がどんなコメントをつけてくれるか、わくわくしていた。 2年生のときのことだ。自宅のインターホンを押すと、室内に備え付けのランプが光って回ることを取り上げようと考えた。 「わたしは耳がきこえないのでランプを見て『おきゃくさまがきたんだな。』とわかります」 そう書いたが、後日返ってきたノートに目を通すと、赤ペンでこんな風に添削されていた。 「きこえにくいと書きましょう。難聴とも言うよ」 悩み抜いてとった行動 私の聞こえ方を、どうして訂正するの? 直さなくちゃダメなの……? 魂が傷ついたと感じるほどにショックだったが、大人の意見は正しいと思い込み、何も言えなかった。 そして悩み抜いた結果、意外な行動に出る。 「きこえにくい」は、絶対に納得できない。だから文章の修正を求められても、全部無視したのだ。 その後も何度か同じことがあったが、粘り強く続けると、指摘はなくなった。 当時の経験を漫画にして、今年4月上旬、ツイッター上で公開した。 子どもの言い分を、一方的に押さえつけてしまう大人の腕。それを「黒い手」と表現した点に、大きな反響が起きた。 しかし漫画には、実はまだ続きがある。 ■涙を流して訴えた長女… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
母がもちを詰まらせた 呼吸がなく唇が変色…119番の冷静な指示は
兵庫県川西市の女性(57)が母親(86)と遅めの昼食をとっていたときのことだった。2月2日午後2時半ごろ、家には2人きり。母の好きな餅を焼いて小さくちぎり、きなこをまぶして渡した。自分の分を用意しながら母に「おいしい?」とたずねた。 返事がない。振り向くと、口を開けて唇が変色し、顔も血の気が失せていた。 「え、やばい」。左手で母の背中をたたきながら右手で携帯電話をとる。119番にかけると、女性の声が答えた。 「救急車は用意しました。お母さんは意識、呼吸はありますか」 「今ちょっとないです」 「分かりました。何を詰まらせたんですか?」 「お餅です」 「お餅ね、心臓マッサージは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ドンキの「ポポポ♪」 地方の中小企業が呼び込み音を誕生させるまで
【動画】ポポーポポポポ♪でおなじみの「呼び込み君」。やみつきになる人が続出し、おもちゃまで発売された。 スーパーや量販店「ドン・キホーテ」などで流れている「ポポー ポポポポ♪」のメロディー。一度聞いたら耳から離れない不思議なあの曲が生まれるまでには、試行錯誤があった。 誰もが一度は聞いたことがあるであろう音の主は「呼び込み君」。製造したのは、群馬県みどり市に本社を構える群馬電機だ。2000年に初号機を売り出し、現在は3代目だ。 「ポポポ」のメロディーは、どうやって生まれたか。 開発にあたった群馬電機の藤… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地域で子どもの誕生を祝う 家具デザイナーが木製の椅子に込めた願い
地域で子どもたちの誕生を祝い、支えていこうと、木の椅子を贈る「君の椅子」プロジェクト。今年のモデルができ、16日、北海道旭川市であった贈呈式で、2人の赤ちゃんにプレゼントされた。 「君の椅子」は06年から始まり、現在、東川町や剣淵町、福島県葛尾村など7町村が参加する。製作は旭川家具の工房が担い、新モデルのデザインは、東京の家具デザイナー坂本茂さんが手がけた。ヨーロッパの教会や食堂でよく使われる椅子をイメージしたという坂本さん。「遠く離れた世界に、自分の椅子と同じような椅子がある。その椅子を通し、世界で起きたことを、自分のこととして受け止めてもらえたら」。 プレゼントされた北海道東神… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
イタリアやスイス、ボリビアも 世界の絶景スポットが四国にある謎
海外旅行は四国で!?――。世界の観光地に似た四国のスポットを見つけるコンテストがあり、15カ所が選ばれた。コロナ禍で渡航が難しい中、海外旅行気分を味わってもらおうと、四国の観光団体が企画。類似度の判定には、AI(人工知能)が使われた。 JR四国や四国4県などで構成する「四国ツーリズム創造機構」が昨年8月~今年1月、世界の観光地と似た四国のスポットの写真を募集。全国の83人から113件の応募があり、NTTドコモが開発したAIによる「類似スポット判定技術」で、類似度を100点満点で数値化。機構の審査員による採点も加味して入賞作を選んだ。 グランプリに選ばれたのは、高松市の商店街にある丸亀町壱番街前ドーム。イタリア・ミラノにあるアーケード「ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世」との、AIによる類似度は88・4点だった。丸亀町のドームは2007年の完成当時からミラノのドームと似ているとの声があったという。 準グランプリには、スイスの… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
暗殺された首相葬儀の日、小学校では 日誌に残る日常はまるでSNS
「学年末休暇第1日(中略)電話連絡 平磯駅長より 駅前倉庫を荒らす児童あり学校側で指導してほしい」 先生が匿名でSNSに投稿していそうな学校の日常。実はこれ、60年前に茨城県のある小学校の日誌に書かれていた内容だ。 茨城県立歴史館が戦前から戦後にかけての小学校の日誌を集めて、ツイッターで紹介している。 冒頭の日誌は1962(昭和37)年3月28日、現在の茨城県ひたちなか市にあった平磯小学校でつづられた。 収集を担当している首席研究員の長谷川良子さん(46)がツイッターに投稿し、「学年末休暇1日目、先生達がほっと一息ついたのも束の間」とコメントした。 長谷川さんは昨年10月、「せっかく集めた資料をもっと活用したい」とツイッターでのつぶやきを始め、月に数回のペースで続けている。 登校途中、犬にかまれた教官は… 「篠原教官、登校途中犬にかまる。駐在所に届出、飼主来校」 これは1951(昭和26)… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄での自衛隊急患輸送、復帰以降1万件に 「断れない」ジレンマも
沖縄の陸上自衛隊のヘリ部隊による急患輸送数が今月、1972年の配備から累計で1万件を超えた。日本復帰から半世紀にわたり、医療が遅れる離島の人々の命をつなぐ役割を果たしてきた。地元自治体は自衛隊に頼らざるを得ない事情を抱えるが、自衛隊側の負担も大きく、本来任務の重要性が高まる中で現場はジレンマに陥っている。 那覇市に拠点を置く第15ヘリコプター隊は沖縄を中心に東西約800キロ、南北約500キロに及ぶエリアの急患輸送を担う。 記事の後半では、急患輸送に対する高い期待と負担のはざまで「ジレンマ」に陥る自衛隊の現場に迫ります。沖縄の日本復帰と部隊の歩みの歴史は重なり、自衛隊に対する沖縄の複雑な思いも交錯します。 今月6日、迷彩色の大型輸送ヘリが那覇基地に降り立った。沖縄本島から東へ約350キロ離れた南大東島から輸送されたのは、大けがをした80代女性。隊員がストレッチャーに横たわった女性を運び出すと、救急車で那覇市内の病院に向かった。これが、第15ヘリ隊による1万件目の急患輸送となった。 部隊の歩みは、沖縄の日本復… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宝石店に車突っ込む 運転の少年逮捕、助手席の少年にけがさせた疑い
原田達矢、富永鈴香2022年4月17日 20時54分 17日午前2時15分ごろ、京都府亀岡市追分町の宝石店に乗用車が突っ込み、鉄骨3階建ての建物から出火した。京都中部広域消防組合と亀岡署によると、約3時間後に消し止められたが、建物の1、2階が焼けた。 署は車の助手席の少年(19)=亀岡市=に肺挫傷などのけがを負わせた自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで、運転していた専門学校生の少年(18)=同=を逮捕し、発表した。「自分が運転し、けがをさせてしまった」と容疑を認めているという。事故当時、宝石店に人はいなかったという。 署によると、事故の数分前、同市篠町の国道9号交差点で署員が信号を無視した少年らの車を見つけ、停止を求めたところ逃走。パトカーは直線で約700メートルを追走後に見失い、通常走行に切り替えて走行中に事故を発見したという。署は「適正な職務執行だったと考えている」とコメントした。(原田達矢、富永鈴香) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「残念」それとも「英断」 幻と消えた連続完全試合、球場のファンは
1週間前に完全試合を達成したプロ野球・ロッテの佐々木朗希投手(20)が17日、再び圧巻の快投を見せた。8回パーフェクトのままでの降板に、ファンの思いは交錯した。 本拠地のZOZOマリンスタジアム(千葉市)。佐々木投手の登板とあって、チケットは17日朝に完売となった。 バックネット裏2階席から観戦した千葉市の会社員、岩村健さん(44)は、佐々木投手が投じる一球一球に思わず声が出た。「生で見て、野球ってこんなに簡単に空振りが取れるものなのかと。それぐらい圧巻だった」 球速160キロ台の速球を武器に八回まで走者を一人も許さない。2試合連続完全試合という史上初の偉業を期待させたが降板した。球数は102球だった。 岩村さんは「せめてもう1回投げてほしかった。幻の完全試合となったのは残念」と悔しがった。 球場はイニングを重ねるごと… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ひととき」投稿30年分をAI分析すると…「夫」に時代の空気感
メディア空間考 三橋麻子 思いを伝えるため、言葉を選んでつづられた投稿。1951年に始まり、七十余年を経て、今も生活面に連載中の投稿欄「ひととき」には、そのとき、そのときの女性たちの思いが蓄積されている。 であれば、その膨大な「蓄積」を単語ひとつひとつに分解して定量的に傾向を分析したら、社会の移ろいが見えるのではないか――。そんな試みに、エンジニア、記者などからなる社内外の横断チームが挑戦した。テキストマイニングと呼ばれる手法だ。題材としたのは平成30年間に掲載された約2万4千編の「ひととき」。これをデータベース化して単語ごとに分解し、10年ごとに前期・中期・後期にわけて傾向を調べた。 ほかの時期に比べて、その時期に使われることが多い「特徴語」は何か。【前期】人権、デモ、公害、体罰、冷夏、好景気、プリントシール【中期】認知症、パラサイト、ひきこもり、狂牛病、ミレニアム、ブログ【後期】スマホ、アラフォー、イクメン、サプライズ、放射能、筋トレ、ヘアドネーション……と世相を表す言葉が並んだ。 頻出する名詞と近くにある形容詞の間に、特徴的な関係があるものがないかも調べた。「子ども」「母親」など、いくつかの名詞を分析した中で、時代による移ろいが浮かんだのは「夫」。平成前期は「夫」の周囲に「寂しい」「遅い」「忙しい」などの形容詞が目立ったが、平成中・後期になると、前期では圏外だった「優しい」「おいしい」などが頻出した。 今回の調査は朝日新聞の魅力を伝えたいと考えたマーケティング戦略本部の提案から始まり、AIの活用などに取り組むメディア研究開発センターと投稿を担当する文化くらし報道部が分析にあたった。朝日新聞では、読者投稿の分析は初めて。社内の多ジャンルの部署がひとつの企画に取り組むことも珍しく、深夜までチャットでやりとりが続いた日もあった。 エンジニアとして分析にあたった浦川通さんは「頻出語としては母や娘など各時期を通して家族が登場するが、その一方で、社会のできごとも取り込まれている。読者の姿がみえて興味深かった」と話す。 3月まで「ひととき」欄の担当デスクだった足立朋子さんは「言語分析では30年前は家庭での夫の不在感が満載で、時代の空気のようなものが伝わってきた。言葉の選び方によって時代の変化がみえる場合と見えない場合があり、試行錯誤もあったが、記者とエンジニアの協力で分析を深めていきたいと感じた」という。 過去の膨大なストックは新聞社の大きな財産だ。これに最先端の技術を掛け合わせて何が生み出せるか。これからも挑戦を続けていきたい。 ひとときの分析の詳細は以下のページからご覧いただけます。 ひととき分析ページ:https://info.asahi.com/choiyomi/hitotoki-ai/ ◇ みつはし・あさこ 朝日新聞文化部部長代理。記者、デスクとして主に事件・裁判取材に携わってきた。前職はコンテンツエディター。ツイッターは@mmmm_asako Source : 社会 – 朝日新聞デジタル