がれきと化した建物に、モザイクのかけられた遺体とおぼしきものが点在する市街地……。衝撃的な映像が連日メディアを通じてウクライナから届きます。子どもたちへ、戦争の現実をどう伝えたらいいのでしょう。ある授業のやり取りと本屋さんから、ヒントを探りました。 3月上旬、堺市立安井小学校の6年1組の社会の授業。講師の勝村謙司先生(68)は広島への原爆投下で母を亡くした女児の作文を読み上げた。 教室は静まり返り、涙を浮かべて聴き入る女子児童もいた。 やがてカイト君=仮名=が口を開く。 「原爆を落とすように言ったアメリカの大統領と、プーチン(ロシア大統領)は一緒や! 核で脅そうとしたんや」 カイト君は、けんかで手を出すこともあったが、年明けから落ち着いてきていた。議論を続けてほしいと考えた勝村先生は、原爆投下が日本の敗戦につながったこと、ロシアも核保有国であることを説明した。 これを受けて発言したのがトモカさん=同=だ。 カイト君の発言に、トモカさんが考えたことは。子どもたちの議論は続き、思わぬ発言が飛び出します。 反論するカイト君、そして…… 「脅しはだめ。さっきの作文… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
和歌山IR、まもなく県議会で採決 実現か頓挫か、どうなる
和歌山県が誘致を進めるIR(カジノを含む統合型リゾート)をめぐり、県議会の本会議で採決が予定されている20日午前から、県議会周辺はあわただしかった。 19日のIR対策特別委員会では、国へのIR申請案が否決された。本会議の採決は、特別委の判断に拘束されない。しかし、これまでIR誘致に賛成してきた自民議員も反対に回ったこともあり、本会議の採決結果がどうなるか、先が見通せない状況になっていた。 午前9時ごろ、議場の傍聴券を求めて市民が集まり始めた。 市民や報道陣ら30人ほどが傍聴席から見守るなか、本会議は予定通り午前10時に開会。だが、数分も経たない間に、休会となった。 IR誘致を巡っては市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」が1月に誘致の是非を問う住民投票について、2万筆超の署名を集めて直接請求したが、市議会の反対で実現しなかった。 この日、開会時から議会にかけつけた市民団体事務局の山形由広さん(75)は「(4月28日期限の)国への申請間際になっても、資金計画が明確でなく、こうなることは当然の結果。知事の今回の計画はずさんで無謀だ」と話した。 同会の和歌山市の主婦、南本礼子さん(77)は「和歌山市も止められなかった。今回の県議会は正念場」と期待を寄せる。「大学生の孫がいる。(ギャンブル)依存症になってしまえば、人生を棒に振るので誘致には反対」と語った。 前日の特別委で反対にまわった自民議員は、20日の会派会合で、特別委でIR申請案が否決されたことを報告した。議員から大きな反応はなかったという。「自民党のなかでも賛成と反対の人がいる。みんなわかってたんじゃないですか」。さらに続けた。「僕らは30時間近く議論して問題点を理解している。反対するだけの説明責任を果たす自信もある」。本会議でも反対にまわる予定だ。 午前10時半前。IR特別委が急きょ開かれた。理由は、19日の特別委で県当局が虚偽の答弁をした疑いがあるとして、地方自治法100条に基づく調査特別委員会の設置を求められていたからだ。 藤山将材委員長によると、I… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
安全祈る写経186巻、脱線事故現場に 「忘れないことが追悼」
2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で負傷した女性らが19日、安全と犠牲者追悼の祈りを込めた写経186巻を事故現場に供えた。107人が亡くなった事故から25日で17年。女性は「追悼とは忘れないこと。自分のこととして多くの人に考えてほしい」と語った。 兵庫県伊丹市の増田和代さん(52)は脱線車両の3両目に乗っていた。事故の「風化」を憂え、尼崎市の道心寺住職で落語家の露(つゆ)の団姫(まるこ)さんに相談したところ、心を寄せてくれる全国の人たちに般若心経を書き写してもらい、事故現場に届けることを提案された。 団姫さんのブログなどで呼び… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ウクライナは「紛争当事国」じゃない? 日本の支援、重ねた「解釈」
ロシアから侵攻を受けているウクライナに対し、日本は3月以降、自衛隊の装備品を含む物資を送っている。装備品は「紛争当事国」には提供できないが、19日には追加支援も決めた。 防衛省によると、これまでに提供したのは防弾チョッキ約1900着、ヘルメット約6900個、テント約240セット、カメラ約50台、非常用糧食約11万食、衛生資材・医療資機材約6万5千セット。さらに19日には、化学兵器に対応する防護マスクや防護衣を新たに提供すると発表した。 防弾チョッキは自衛隊の持つ中で防護力の最も高い最新のものを届けているという。カメラはロシア軍から攻撃を受けた戦場の記録用とみられる。 新たに提供する防護マスクは、ガスや液体の浸透を防ぐ一方、汗の発散が可能となる特殊な技術が使われている。機微と言える情報を含むが、提供は問題はないと判断したという。 いずれの提供もウクライナ側からの要望に基づくものだ。日本はポーランドまで運んでウクライナの当局者に渡し、その後の使用状況の追跡調査はしていないという。「戦争中の国で装備品がどう使われているかを調べるのは現実的には難しい」(防衛省関係者)という理由のためだ。 装備品の提供、安倍政権下で可能に 日本では元々、武器などの装備品を外国に輸出したり、無償提供したりすることは「武器輸出三原則」で禁じられていた。だが、安倍晋三政権下の2014年に制定された「防衛装備移転三原則」で、紛争当事国などを除くなどの条件付きで海外に輸出することが可能になった。 紛争当事国に装備品を送ることを認めていない新三原則のもとで、ロシアとの戦闘が起きているウクライナに提供できたのはなぜなのか。 新三原則は、装備品を送るこ… この記事は有料会員記事です。残り2044文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同じ町内なのに震度に差 3と5弱を分けた地盤の違い 福島・城里町
19日朝、福島県中通りを震源とする地震があり、茨城県内各地で大きな揺れを観測した。城里町では最大震度5弱を記録。県によると、人的・物的被害の報告はなかったが、気象庁は今後約1週間は同程度の地震に警戒するよう呼びかけている。 気象庁によると、地震は午前8時16分に発生した。震源の深さは約90キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5・3と推定される。各地の震度は、震度4が水戸市、日立市、ひたちなか市、土浦市など。震度3が、つくば市、取手市、古河市、那珂市などだった。 JR東日本水戸支社によると、地震の影響で、常磐線は高萩―泉(福島県いわき市)間で一時徐行運転をし、特急を含む上下計8本が最大36分遅れた。約1200人に影響した。 震度5弱の揺れを観測した城里町。町総務課によると、町内には震度計が3カ所にある。同町小勝(おがち)の七会町民センター「アツマーレ」敷地内の地震計が最大震度5弱を記録したが、他の2カ所は震度3だったという。 七会町民センターの鈴木貴司… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
四国のクマ、「絶滅」回避するには… Z世代が考えたSDGs
SDGsの達成のために活動する高校生団体「olly(オリー)」が3月20日、自然保護に取り組むNGO「日本自然保護協会」の職員を招いたオンライン会議を開いた。 協会の須藤哲平さんが四国に生息するツキノワグマの現状を説明した。わずか20頭しかいないとみられ、四国での「絶滅」が目前に迫る。植物の種を遠くまで運ぶ役割を担っているツキノワグマがいなくなれば、森の豊かさが守れなくなるおそれがある、と語った。 一方、ツキノワグマは「怖い」との印象をもたれることが多く、保護するためには社会の理解が必要だと説明した。 オンライン会議では、四国のツキノワグマの絶滅を防ぐために、高校生に何ができるのかをテーマに議論が行われた。 ツキノワグマのイメージ変えるためには 参加した22人が三つのグループに分かれて話し合う。「そもそも絶滅しそうだって知らなかったし、クマは悪者というイメージが強い」という意見が複数出た。 国連は2030年までに持続可能な世界になることを目指し、SDGsを定めました。期限まであと8年。「自分事」として奮闘する高校生たちの姿を紹介します。 そのイメージを払拭(ふっし… この記事は有料会員記事です。残り1588文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
もし私がサムスンで環境対策をするなら… Z世代が考えたSDGs
高校生8人でつくる学生団体が企業に呼びかけてSDGs(持続可能な開発目標)を考える会議を開催した。その名も「高校生SDGs会議」。Z世代の若者たちが大人を巻き込み、どうしたらSDGsを達成できるか考えた。 3月19日昼、東京・原宿にあるサムスン電子ジャパンのビル「Galaxy Harajuku」。壁一面の大きなスクリーンに、オンラインで参加する高校生たちの顔が映し出された。会場ではリアルで参加する中高生と大学生が二つの机に分かれて座った。インターネットとSNSで募集し、参加した約30人は初対面の人ばかり。共通するのは「SDGsに興味がある」という思いだ。 主催したのは、環境問題に関心がある高校生たちが立ち上げた団体「olly(オリー)」。共同代表で高3の斎藤優生華(ゆうか)さん(17)らが昨年12月から企業に賛同を求めるメールを送り、協力してもらえる三つの企業や団体を見つけた。そのうちの一つが、グローバルに事業を展開するサムスン電子ジャパンだった。 高校生が自ら考え主催した会議 同社は、高校生にも身近なスマートフォンをつくっている。この日の会議では、漁業に使われたプラスチックの網を再利用してスマートフォンをつくっていること、世界的に人気を集めるアイドル「BTS」とコラボしてSDGsの取り組みを進めていることなどを報告。参加者たちはメモをとりながら熱心に聴き入った。 「あなたが環境対策の責任者だったら、どんなアイデアや改善策が考えられますか?」 同社の松本祐一さんがそう問いかける。さらなる取り組みにはどのような工夫が必要か。四つのグループに分かれて20分間のディスカッションが始まった。 国連は2030年までに持続可能な世界になることを目指し、SDGsを定めました。期限まであと8年。「自分事」として奮闘する高校生たちの姿を紹介します。 ■次々と浮かぶアイデア 課題… この記事は有料会員記事です。残り2859文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
体に突如異変、たまった人生のログ それでも私は防災を語り続ける
小学校に文房具が詰まった段ボールが届いた。キャラクターが描かれた赤い鉛筆に目がとまり、喜んで持ち帰った。よく見ると、鉛筆に女の子の名前が刻まれていた。 「ほかの子の名前が入ってるやん」 岸本くるみさんが救援物資としてもらった赤い鉛筆。震災当時、刻印されていた女の子の名前を油性ペンで消していた=岸本さん提供(画像を一部加工しています) 油性ペンでグリグリと塗りつぶした。 それが被災地への救援物資で、困っている人のために手放された物だったのだ、とそのときは気づけなかった。 防災の道へ 神戸学院大元職員の岸本くるみさん(35)は、小学2年の時、神戸市の自宅マンションで阪神・淡路大震災を経験した。 飼い猫は7階から投げ出されて死んでしまい、ライフラインが1カ月以上とまって、市内の親戚宅に身を寄せた。 阪神・淡路大震災で焼け野原になった住宅街=1995年1月18日、神戸市兵庫区 不眠不休の市職員や消防、ボランティア。被災者を支えた人たちの当時の様子を知ったのは、兵庫県立舞子高校の時。全国で初めて設けられた環境防災科に、「おもしろそうな学科ができる」と聞いて入学した。1期生だった。 岸本さんは防災の道を順調に歩み始めますが、体に突如異変を感じ、療養生活を送ることになりました。しかし、あることがきっかけで再起を目指すことになります。 卒業研究では、復興が進む神戸のまちで防災設備を紹介するフォトブックをつくった。マクドナルドの店先にある消火器をカメラにおさめているとき、思った。「火事があったら消そうとしてくれている。自分は多くの人に守られているんだ」 芽生えた感謝の気持ちを伝えたくて防災の道を進んだ。神戸学院大でも防災教育をまなび、卒業後は青年海外協力隊でエルサルバドルへ。防災計画や住民の訓練の支援にかかわった。 突如異変、体重は35キロ ただ、体調を崩して7カ月で緊急帰国した。 ものが食べられず、体重は一… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
吉野家、経営揺るがす元常務の不適切発言 親子丼新発売も難しいPR
牛丼チェーン吉野家の常務取締役を解任された伊東正明氏(49)の発言の波紋が広がっている。吉野家は商品発表会の中止に追い込まれ、株価も下落した。今回の問題はSNSを中心に拡散され批判された。一人の言動が経営を揺るがす事態につながりやすい状況を示す。 吉野家は不適切発言の「火消し」に追われた。 19日午前に都内で予定していた新商品の発表会の中止を、急きょ前日に決めた。「親子丼」を約10年ぶりに復活させるもので、広告塔に起用するタレントの藤田ニコルさんを呼ぶことになっていた。「一連の事象に鑑みて自粛を決めた」(広報)という。親子丼は予定通り19日に全国で販売を始めたが、広報発表は控えている。並盛り437円、大盛り624円(いずれも税込み、店内飲食時)。 吉野家は牛肉など原材料の値上がりを受け、昨年10月に約7年ぶりに「牛丼」を値上げしていた。商品力を高めようとしており、親子丼の発売はその戦略の一環だった。企画本部長としてマーケティングを指揮し、親子丼を売り込むはずの伊東氏が、自らの発言で戦略を損なうことになった。 東京株式市場ではこの日、吉野家の親会社の吉野家ホールディングス(HD)の株が売られた。19日の終値は前日より40円(1・65%)安い2373円で2日連続の下落となった。 伊東氏はマーケティング分野… この記事は有料会員記事です。残り972文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「北九州の台所」襲った火災 他の市場も危機感「ひとごとではない」
19日午前2時40分ごろ、北九州市小倉北区魚町4丁目の「旦過(たんが)市場」から火が出ていると119番通報があった。市消防局などによると約9時間後にほぼ消し止められたが、市場北側と東隣の新旦過横丁の計約1600平方メートルにわたる多数の店舗が焼けた。関係者によると被害は40軒を超すとみられるが、けが人は確認されていない。 旦過市場はJR小倉駅から約600メートル南にあるアーケード街で、鮮魚や野菜、飲食店などが110店ほど密集する。100年を超える歴史があり、「北九州の台所」と呼ばれて親しまれている。新旦過横丁には飲食店が約30店集まる。 現場には消防車両27台が出動し、はしご車やビルの屋上から昼ごろまで放水。大勢の買い物客や通行人が見守った。木造店舗が集まっており、夕方になっても、倒壊する恐れのある建物を重機で崩しながら焼損状況の確認が続いた。 市消防局の坪川冬嗣・消防司令補は午後3時過ぎ、報道陣に「全体的に激しく燃え、崩れている。完全に再出火の恐れがなくなるまで活動を継続する」と話した。 「うちの市場も一度火がついたら…」 高まる危機感 旦過市場の火災に、木造店舗が並ぶ他の市場も「人ごとではない」と危機感を強める。 「博多の台所」として親しまれる柳橋連合市場(福岡市中央区)。松尾健一郎・協同組合理事長(60)は「うちの市場も木造が多く、一度火がついたら燃え広がってしまう」。 昭和から続く市場はたびたび… この記事は有料会員記事です。残り949文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル