行政からの補助に頼らず、柔軟な運営をめざす病児保育施設「つむぎのおうち」が、埼玉県越谷市に誕生した。開設資金の一部はネット上の寄付であるクラウドファンディングで募った。「みんなでつくる病児保育」を掲げ、利用者のニーズをくみ取った保育に取り組んでいる。 「おはよう! アンパンマンのおもちゃであそぼ!」。つむぎのおうちの入り口で会社員の母親(44)と別れて泣いていた男児(2)に保育士が声をかける。男児はおもちゃを見つけると、すぐに泣きやみ、保育士と楽しそうに遊び始めた。 母親によると、男児は数日前から胃腸炎の症状があった。回復傾向にあるものの、保育園の集団生活にはまだ不安があったため、病児保育を利用することにしたという。母親は「仕事もあるので病児保育は助かる。1カ月に何日も仕事を休んでいたら、有休を使い果たしてしまうし、仕事も進まない。ここは専門のスタッフもいるので安心できる」と話す。 病児保育は、子どもが急に体調を崩したときに、看護師や保育士らが一時的に保育をする事業。仕事の都合などで自宅で看病するのが難しい保護者にとって、心強い存在だ。児童福祉法や子ども・子育て支援法に位置づけられ、自治体からの委託事業として運営する施設が多い。 おもちゃやミルク、オムツ…ほとんどが寄贈 しかし、つむぎのおうちは行… この記事は有料会員記事です。残り659文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「苦しむ人に手を」 娘奪われた父、中学生へ伝える助け合う大切さ
11年前に3歳の娘を殺害された父親が、佐賀県みやき町の北茂安中学校で6日、自身の体験を生徒らに語った。「周りに苦しんでいる人がいたら手をさしのべて」とお互いに助け合うことの大切さを訴えた。 講演したのは、清水誠一郎さん(51)。長女心(ここ)ちゃん(当時3歳)は2011年3月3日、熊本市でスーパー内のトイレに一人で向かったあと行方が分からなくなり、翌日に遺体で発見された。犯人は男子大学生だった。 清水さんは当初、無事に戻ってくると信じていたという。だが、対面したのはまな娘の遺体。「(その時から)思い出すことができず、気が付けば自宅に帰っていた」と、当時を振り返りながら語った。 事件後、インターネット上で「がんばって。生きて」と支えてくれる言葉をたくさんもらった一方で、「トイレに一人で行かせたのが悪い」などの中傷を受けた。家族を守れなかったという自責の念で思い悩み、一時は夫婦と残されたきょうだい3人で一家心中も考えたという。 「生まれついての悪人はいない」 そんな状況の中で、自分たち… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「しれとこで夢を買いませんか」 世界遺産へ誰より動いた男性の憂い
26人乗り観光船の沈没事故は、世界自然遺産を抱える知床の海で起こった。かつて世界遺産登録に向けて誰よりも汗をかいた男性に事故について聞くと、語る言葉が止まってしまった。 ◇ その日、異国の地に設けられた会場は歓喜の輪に包まれた。 2005年7月14日、南アフリカ・ダーバン。第29回世界遺産委員会で、「知床」の世界自然遺産登録が決まった。 会場の片隅には、静かに涙をこぼす男性がいた。 当時の北海道斜里町長・午来(ごらい)昌(さかえ)さん(85)。 「知床の自然がようやく認められた。町民みんなの顔が浮かんで、万感の思いがこみ上げてきた」 鮮明に覚えているという当時の心境を語り、こう続けた。 「この地に生まれて良かったと思えた。夢がかなった瞬間だった」 「知床」の世界自然遺産への登録決定を見届けた午来さん。記事後半では、世界遺産登録に向け、腰の重い道庁や中央省庁を飛び回った奮闘ぶりを紹介します。そして、今回の沈没事故をどう思うのか。知床の自然を大事に思う午来さんらしい言葉でした。 ◇ その思いには、原点がある。 無上の喜びに酔いしれた登録決定の日から、さかのぼること約30年。知床では、「列島改造ブーム」による開拓跡地の乱開発の危機から土地を守るため、町主導でナショナルトラスト「知床100平方メートル運動」が展開されていた。 「しれとこで夢を買いませんか」。そんなキャッチフレーズを掲げ、1口8千円で寄付金を募った。土地は町が管理・植樹し、原生林の復元を目指した。町は本格的に「自然保護」へとかじを切った。 10代のころから山歩きが好きだった午来さんは、この運動の中心を担った。しかし、転機が訪れた。 1987年4月、林野庁は「森林再生」を名目に、知床国有林を伐採する方針に動いた。だが、午来さんは「赤字を抱えていた林野庁は知床の高値で売れる巨木を売りたかった」と振り返る。 全国から伐採反対の声が上がるなか、当時の町長も伐採を容認。これに反発した午来さんが、同月の町長選に立候補した。 「長く生きて学んだことがある。我々の先祖は8千年前から原生的な知床の自然を守り続けてきたんだ」 マイクを手に、涙ながらに訴えた。 720票差。現職を破り、初… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
京都の山奥になぜ「英国村」 外国の絵本のような世界へようこそ
黄みがかって古ぼけた建物や塀が、ところどころツタに覆われ、木々の中にとけ込む。まるで外国の絵本の世界に迷い込んだかのよう。でも、この空間は京都の山奥にある。 緑に覆われた英国村は、田舎の街並みが再現されている=京都府亀岡市 山道をくねくね上った先に小さな別世界があった。 鳥のさえずり。小川のせせらぎ。ミモザの黄色い花。ネコが塀の上で毛づくろい。1ヘクタールの敷地にはちみつ色の建物がぽつりぽつり。働く人々はハリーやアレックなどと外国名で呼ばれている。ピーターラビットやハリー・ポッターの世界に迷い込んだみたいだ。 記事後半では、人気のグルメ紹介や会員登録すると応募できるプレゼントもあります。 ここは古き良き英国の田舎を再現した「英国村」(旧名ドゥリムトン村)。京都市中心部から車で約1時間、亀岡市の山奥にある。 本当の村ではない。独特の世… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元裁判長が無期受刑者に託した腕時計 製造元が考えた時計屋の意味
「うちの時計だ」。都内に住む萩原康則さん(60)は2月9日、夕食後に手にした新聞で、その腕時計の存在を知った。大学卒業後にセイコーウオッチに就職して38年。いまは執行役員を務める。 記事の見出しは「元裁判長と 約束の腕時計」。50年前にあさま山荘事件を起こした連合赤軍メンバーで、無期懲役の判決を受けて1983年から服役中の吉野雅邦受刑者に、刑を言い渡した故・石丸俊彦元裁判長が贈ったものだと書かれてあった。 石丸氏の退官から3年後の92年、吉野受刑者に両親を介して聖書を贈ったのを機に、2人は手紙のやり取りを始めた。2007年、石丸氏は死去。「娑婆(しゃば)に出るときにはこの時計を身につけてほしい」との遺言とともに、石丸氏の妻から腕時計が吉野受刑者の母に届けられた。身元引受人の弁護士が針が止まったままの時計を保管しているという。 その腕時計は1980年代に製造されたセイコードルチェのクオーツ。ケースに小さな傷があり、革バンドも少しすり切れているが、当時としては高級な商品で、スーツを着て誠実に仕事をしている持ち主の姿が想像できた。 吉野受刑者が仮釈放されたと… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄知事、半世紀越しの「建議書」を発表 基地のない島の実現求める
沖縄県の玉城デニー知事は7日、日本復帰50年にあわせて、あるべき将来像を描いた「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を発表した。復帰前年、屋良朝苗・琉球政府行政主席(後の知事)名でまとめられた「復帰措置に関する建議書」を踏まえ、当時県民が求めた「基地のない平和の島」の実現に取り組むよう日本政府に求める内容となっている。 玉城知事が10日に上京し日米両政府に提出する。 新たな建議書は15ページ、約9千字。旧建議書と半世紀の歩みの検証、県民からの意見募集や有識者会議を経て作成された。意見募集には3週間で533人から自然環境や基地問題、平和など19分野で意見が寄せられたという。建議の柱は、自立型経済の構築および「基地のない平和の島」の実現、アジア太平洋地域における平和構築と独自の歴史や多様性を持つ沖縄の最大限の活用など四つ。 基地問題では、日米地位協定… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
無人潜水機載せた作業船「新日丸」、沈没現場に到着 知床観光船事故
2022年5月7日 21時24分 【動画】作業船新日丸、網走港を出港し現場海域へ=戸田拓、角野貴之撮影 北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で、海底の観光船を調べる無人潜水機を載せた民間作業船「新日丸」が、網走港を経由して7日夜、沈没現場に着いた。事故の発生から2週間がたち、乗っていた14人の死亡が確認されたが、なお12人の行方がわかっていない。海上保安庁は船内の確認作業を急ぐ方針。 新日丸は7日午後3時前に網走港の埠頭(ふとう)に着岸。タラップがかかると、5、6人がスーツケースなどを持って乗り込んだ。網走市の担当者によると、食料や防寒具を積み、約2時間後に沈没現場へ向かった。 観光船「KAZUⅠ(カズワン)」は水深約120メートルの海底で見つかった。国は今後、無人潜水機のほか、深い海に潜れる「飽和潜水」と呼ばれる特殊な方法も用いて船体を調査。その後は国主導で船体を引き揚げる方針を示している。 現場では7日も海保や海上自衛隊が捜索活動を続けたが、不明者につながる手がかりは得られなかった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国で新たに3万9327人が感染 沖縄は初の2千人超えで過去最多
新型コロナウイルスの国内感染者は7日、全国で新たに3万9327人が確認された。前週の同じ曜日を上回ったのは4月25日以来。 沖縄県では過去最多の2375人(米軍以外)となり、初めて2千人を超えた。全国の死亡者は27人だった。 新規感染者の最多は大阪府の4192人で、次いで東京都の3809人。それぞれ、前週の同じ曜日の4月30日より3080人、830人多かった。沖縄県は、過去最多だった1月15日の1826人を大きく上回った。県は、大型連休中に人の交流が増えたことや、多くの医療機関が休業するなか平日の6日に検査が集中したためとみている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ対策の「県民割」で56件の個人情報漏れ 福島県
福島県は7日、新型コロナ対応の宿泊助成「県民割プラス」で、利用者や同伴者の氏名や連絡先などの個人情報56件が、他の一部の利用者にもウェブ上で閲覧できる状態になっていたと発表した。4月に委託業者がシステムを改修した際、問題が生じたとしている。 県によると、個人情報が他の利用者から閲覧される状態になっていたのは、申し込みの際にメールのアドレスを登録せず、フェイスブックやツイッターなどのSNSアカウントだけでログインできるようにした人たち。同様にSNSアカウントだけで申し込んだ他の利用者が自分の個人情報を収容した「マイページ」を開くと、他人の個人情報を見られるようになっていたという。 県民割プラスは、福島県や東北地方、北関東などの人たちが福島県内の宿泊施設を利用する際に割引される制度。県観光物産交流協会がインターネットサービス会社のピアトゥー(本社・東京都)にシステム開発と管理を委託していた。昨年10月に運用が始まり、今年4月14日に改修した際に問題が生じたという。 県が問題を把握したのは利用… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「残念だけど負けました」奪われた憩い、コロナ禍を伝える貼り紙たち
2年以上続くコロナ禍。街のあちこちで目についたのが、感染対策などを呼びかける貼り紙や掲示だ。その言葉を読むと、未曽有の災禍を過ごした日々が浮かび上がってくる。 「マスクで散髪できます!!」 東京・銀座にある理容室「Hair Trip」は、2年ほど前からイラスト入りで貼り紙を出し続けている。安心して来店してもらえるようにと、オーナーの横田元さん(48)の妻が書いた。この貼り紙を見て「ここなら大丈夫」と、常連になったお客さんもいるという。 場所柄、オフィス街に通勤する客が多かったが、仕事終わりに来る客は減り、コロナ禍以前のように客足は戻っていない。一方でテレワークが増えたこともあり、埼玉・浦和にある系列店はお客さんが増えた。 マスクを外してカットをするお客さんもいるが、気にするお客さんもいる。横田さんは「世の中のみんながみんなマスクを外すようになったら貼り紙はとっちゃおうかな」と話す。 「コロナ禍に 走る白衣に 金メダル」 緊急事態宣言下での東京五輪… この記事は有料会員記事です。残り1393文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【5/10まで】記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル