多くの日本人にとってあまりなじみはないが、外国人たちにとっては、時に人生、さらに命までも左右する役所が「入管」(出入国在留管理庁)だ。その入管のあり方を問う映画がいま、相次いで公開されている。 将来の夢に向け、大学をめざして頑張る女子高校生。バイト先に気になる男の子もいる。そんな日常がある日、すべて失われる。 5月から全国の主要映画館で上映されている「マイスモールランド」は、埼玉県で育ったクルド人の高校生が主人公。父親やきょうだいと共に難民申請が却下され、いきなり在留資格を失う。入管への収容こそ免れたものの、「仮放免」という立場なので、父親が家族のために働くのも、橋の向こうの東京へ勝手に行くのも許されない。 「マイスモールランド」のほか、入管をテーマにした2本の映画を紹介します。いま、このテーマが「あつい」理由とは。 フィクションだが、日本で実… この記事は有料会員記事です。残り1469文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「犠牲者が二度殺される」 遺骨収集の現場で抱いた、政府への怒り
交論 骨から考える沖縄 沖縄の地には、今も沖縄戦で犠牲になった人たちの遺骨が残されている。だが、激戦があった本島南部の土砂を、辺野古基地建設のための埋め立て工事に使う政府の計画が浮上した。「犠牲者が二度殺される」。40年間、遺骨収集を続けてきた具志堅隆松さんは語る。 ぐしけん・たかまつ 1954年生まれ。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表 ――辺野古の新基地建設で、埋め立て工事に沖縄本島南部の土砂を使うという国の計画が浮上しています。具志堅さんは強く抗議されていますね。 「2020年に計画が明らかになり、衝撃を受けました。事の重大さを全国の遺族に訴えようと、昨年の終戦記念日に合わせ、全国戦没者追悼式が行われた日本武道館(東京)近くでハンガーストライキをしました。本島南部には、戦争で命を落とした多くの人たちの遺骨がまだ残されています。土砂を埋め立てに使わないよう求める意見書の採択を全国の地方議会に求めたところ、これまでに200以上の議会で採択されました」 ――沖縄戦では住民や全国から来た日本兵、米兵ら約20万人が犠牲になりました。 「住民を巻き込んだ激しい戦闘があった糸満など本島南部では、ガマ(洞窟)や大きな岩の割れ目に人骨や歯が眠っています。週末になると私たちは現場に出かけ、骨や遺品を探しています。骨は薬莢(やっきょう)や手投げ弾の破片とともに土砂に紛れているのですが、劣化が進み、触れると崩れるものも少なくありません」 なぜ収集ボランティアを続けるのか――。具志堅さんは40年間、遺骨が埋まる現場へ向かい続けました。記事の後半では、「不条理の現場」を見て抱いた具志堅さんの平和への思いを伺いました。 ――なぜ遺骨収集を始めるようになったのですか。 「戦争中、ガマは陣地や野戦… この記事は有料会員記事です。残り1632文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
古い市営住宅、割安で住めます 尼崎市の取り組みはなぜ「画期的」か
生活に困る若者やひとり親の世帯、外国人労働者といった人たちが、支援団体を通じて割安に公営住宅の空き部屋に入居できるという試みが兵庫県尼崎市で始まった。空室を活用できるという市側のメリットにとどまらない「画期的」な側面があるという。(中塚久美子) 親から虐待、給料奪われる例も 今回の取り組みで尼崎市が提供するのは、空き室となっている市営住宅約100戸。建て替えを6~13年後に控え、入居の募集を取りやめている市営住宅のうち、状態の良い2DK~3DKの部屋だ。生活困窮者らを支援する団体が直接の借り主になる。 家賃は通常、最低でも月2万~3万円かかるが、築50年前後の部屋を未修繕の状態で貸すため、支援団体の支払いは1戸当たり月6500円に抑える。住民税の非課税世帯などへの減免制度で適用される最も低い家賃と同額だ。団体側が修繕費用を負担し、実際に入居者が払う家賃は人によって異なる。 こうした団体の一つで、子どもの自立を支援する「officeひと房の葡萄(ぶどう)」(尼崎市)は4戸を借りる。2戸を18~23歳の女性専用シェアハウスにし、残りの部屋は学習支援などの場と事務所にする。シェアハウスには専属の支援員を置く。 入居はこの夏からで、家賃は光熱費込みで月3万円の予定だ。代表理事の赤井郁夫さん(65)は「単なる住まいではなく、18歳までに受けられなかったケアも提供する場にしたい」と話す。 赤井さんは、生活困窮世帯の子どもを対象にした市の学習支援で指導員だった経験がある。困っている若者が、家族構成や年齢を理由に公的支援からこぼれる姿も見てきた。 ある子は、親から虐待され… この記事は有料会員記事です。残り1268文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
銀色のパチンコ玉、生みの親は鉄砲職人 孫が継いだ町工場のプライド
■カンサイのカイシャ ここがオモロイ! かつてパチンコ玉の国内シェアの大半を占めた町工場が大阪府大東市にある。パチンコ店の減少傾向にコロナ禍が追い打ちをかける中でも、新商品の開発で巻き返しを図る。そんな「町工場のプライド」の歴史を追った。 工場を営むのは「光ナノテック」。遊技球製造協会によると、いまも全国に流通するパチンコ玉の大部分は、この社の技術で作られている。 創業者は堺市の鉄砲職人だった故・當山(とうやま)敏雄さんだ。東大阪市で旋盤工に転身し、戦時中は機械工として徴兵された。「金属の扱いを知り尽くした人」と孫で3代目社長の敏生(としき)さん(39)は話す。 戦時下で禁止されたパチンコが解禁されたのは1946年。軍事用のベアリング球がパチンコ玉として大量に出回り始めた。 しかし、傷やへこみができやすく、さびにも弱い。パチンコがはやると、規定外の「ヤミ玉」も増えた。 敏雄さんはその機を見逃さなかった。51年に大阪市内で質の高い「炭素鋼球」の製造を始め、60年代には「パチンコ玉の大革命」を起こした。 コロナ禍でも狙う「大当たり」 クロムメッキの技術を考案し… この記事は有料会員記事です。残り858文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 #KANSAI 近畿の魅力を再発見する新企画。社会・経済から文化・スポーツまで、地元愛あふれるコンテンツをお届けします。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
虐待で親元から避難した学生、奨学金申請いつでも可に 文科省方針
三浦淳2022年5月30日 20時00分 文部科学省は30日、虐待で親元から避難している大学生や専門学校生が、年間を通じて日本学生支援機構の奨学金を随時申し込めるよう、機構の制度を変更する方針を明らかにした。7月の導入をめざす。現在、奨学金を随時申し込めるのは、親が亡くなった場合などに限られている。 文科省によると、日本学生支援機構の奨学金は、住民税額などを基に支給対象や支給額などが決まるため、申請の受け付けは春(4~6月)と秋(9~11月)の年2回を原則としている。年間を通じて申請できるのは、親の死亡や事故、病気、失職、災害などによる「家計急変」があった場合に限られている。 文科省は、虐待を理由に避難している学生も年間を通じて申請できるように、機構の制度を変更する。これまでは、例えば7月に避難した場合、9月まで申請を待たざるを得ず、実際の支給にはさらに時間がかかっていたが、これを改めることで進学機会の確保につなげたいという。 虐待の避難情報などは、地方自治体の福祉部門と連携して把握する。大学や自治体にも、制度変更を周知していくという。(三浦淳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪メトロに新車両30000A系 大きな荷物あっても乗りやすく
2025年の大阪・関西万博期間中の増便に対応するために、大阪メトロは30日、中央線の新車両30000A系を報道陣に公開した。運行開始は7月中の予定。今年度中に10編成(1編成6両)を導入する。 30000A系は御堂筋線などで走る30000系を改良した車両。外観や車内のデザインは、中央線の路線カラーの緑を基調とし、大小のドット柄を採用した。 車内は、荷棚を従来と比べ1… この記事は有料会員記事です。残り220文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
サントリー、「桜」夕食会に酒を無償提供 識者「違法献金の可能性」
2022年5月30日 20時00分 安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を安倍氏側が補塡(ほてん)していた問題で、サントリーホールディングス(HD)が2016~19年の夕食会に酒類を無償提供していたことが、刑事確定記録や同社への取材で分かった。専門家は「無償提供は違法な企業献金にあたる可能性がある」と指摘している。 夕食会は政治団体「安倍晋三後援会」(山口県下関市)の主催で13~19年に開かれ、会費は5千円だった。後援会代表だった配川(はいかわ)博之・元公設第1秘書は、16~19年分の政治資金収支報告書に、安倍氏側が補塡した約708万円を含む約3022万円の収支を記載しなかった政治資金規正法違反(不記載)の罪で罰金刑を受けた。 ウイスキーやワインなど計382本提供 朝日新聞はこの事件について刑事確定訴訟記録法に基づく記録閲覧をした。夕食会の会場となった東京都内のホテルが作成した「宴会ファイル」という資料には、17~19年にウイスキーやワインなど計382本が持ち込まれたと記され、提供元としてサントリーHDの電話番号が載っていた。 同社広報部は取材に、16年も含めた4年間、無償提供していたと認め、17~19年に提供した酒類は各15万円程度と説明。「会の開催は安倍議員事務所から教えてもらった。多くの人が集まる会だと聞き、自社製品を知ってもらう良い機会と考えて、会に無償で協賛した」と話した。同社の新浪剛史社長は安倍政権時代の14年から政府の経済財政諮問会議のメンバーだが、この点と無償提供の関連性については「コメントを差し控える」とした。 一方、安倍氏の東京の秘書は供述調書で、費用補塡は選挙区内での寄付を禁じた公職選挙法に違反すると分かっていたため、「会場に酒を持ち込んだり、料理の数を少なくしたりして、飲食代を抑えていた」と語っていた。 「捜査機関にすべて真摯に協力した」安倍氏の事務所 政治資金規正法は、企業や団体が寄付できる対象を政党か政党が指定する政治資金団体に限定している。岩井奉信・日大名誉教授(政治学)は、サントリーHDが無償提供した相手は安倍晋三後援会と考えられ、後援会は「その他の政治団体」になるため、「違法な寄付にあたる可能性がある」と指摘。「安倍氏側は無償提供の経緯を説明すべきだ」と話した。 後援会を含む安倍氏の関連団体の収支報告書に同社からの寄付の記載はない。安倍氏の事務所は30日、同社からの酒類の無償提供や違法性について「捜査機関には質問の事実を含め、すべて真摯(しんし)に協力し、その結果の処分だったと認識している。収支報告書は処分結果を踏まえ、訂正すべき点は適正に修正している」と答えた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
辺野古、沖縄県が係争委に申し出 国交相の是正指示に対して
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐって、防衛省の設計変更申請を承認するよう、斉藤鉄夫・国土交通相が県に出した是正指示は違法だとして、県は30日、総務省の第三者機関の国地方係争処理委員会(係争委)に審査を申し出た。 係争委は、国と地方自治体の行政上の争いを審査する機関。埋め立て予定地での軟弱地盤判明に伴う設計変更申請について、県は昨年11月に不承認とした。これに対し国交相は行政不服審査法に基づいて取り消す裁決をし、地方自治法に基づく是正指示を県に出していた。 県は「本来異なる制度である… この記事は有料会員記事です。残り209文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「最高裁までやる」河村市長が控訴表明 トリエンナーレ訴訟
愛知県の大村秀章知事が会長を務める芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会が名古屋市に未払いの負担金約3380万円を支払うよう求めた訴訟で、名古屋市は30日、支払いを命じた一審・名古屋地裁判決を不服として名古屋高裁に控訴した。 河村たかし市長は同日、記者団に一審判決を「本質は公金支出の適否にあるとの視点が欠落している」「ハラスメントと感じる作品に税金を使うのは適切なのか」と持論を展開し批判。「間違っとる時は闘っていかないかん。最高裁までやる」と語った。 一方、大村氏は同日、名古屋… この記事は有料会員記事です。残り263文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
性暴力訴訟の原告女性が会見 「判決、働く女性の一筋の光になれば」
「性暴力があったというだけでなく、相手の長崎市の部長の職権乱用があったと、きちんと書かれていたことがうれしかった」 長崎市の幹部による性暴力をめぐる訴訟で、長崎地裁は30日、原告勝訴の判決を言い渡した。性暴力から15年、提訴から3年。原告の女性は判決後、長崎市内で記者会見に臨んだ。 被害を受けた後の08年、市に調査と第三者委員会の設置を求めたが、拒まれた。翌年には、日本弁護士連合会(日弁連)に人権救済を申し立てた。日弁連は14年に謝罪と再発防止策を求める措置勧告をしたが、市は受け入れなかった。 「今日の判決が、この社会に暮らし、働く女性にとって一筋の光となることを希望します」 判決をどうみる 性暴力をめぐり、判決は組織としての市の責任を認めました。後段では、弁護士が判決の意義や評価について語ります。 判決は、取材への協力という職務に関連する行為に際し、性暴力に及んだと言及。市の責任を認めた。原告弁護団の中野麻美弁護士は「取材は民主主義の基本。そこを侵害することは慎まなければいけないと認められた」と語った。 判決の社会的意義について… この記事は有料会員記事です。残り839文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル