半世紀前、中東イスラエルの空港で日本の若者3人が銃を乱射して多くの人を殺傷した襲撃事件を起こしました。過激派グループ「日本赤軍」のメンバーによる犯行でした。反帝国主義、イスラエルに占領されているパレスチナの人たちへの連帯などを理念として掲げました。今よりも海外がずっと遠くだった時代に、遠く離れたイスラエルで、若者たちが凶行に走ったのはなぜなのか。そしてこの事件は当時の日本社会の意識にどんな影響を与えたのでしょうか。社会学者の宮台真司さんが「ここではないどこか」というキーワードで読み解きます。まずは、この質問から。日本赤軍は学生運動を出発点にした、新左翼運動の組織の一つですが、なぜ当時「新」左翼だったのでしょうか? ――1972年にイスラエルでテルアビブ空港襲撃事件が起きました。覚えていますか。 よく覚えています。僕は中学2年でした。当時僕が通っていた(首都圏の進学校)麻布では紛争が続いていました。大学から始まった学園紛争の最終段階です。中学生が政治運動に参加するなど今では想像できませんが、当時は一部ではあれ日常だったのです。中学生の僕は、住み家からむりやり追い出される、成田の農民やパレスチナ人のための戦いを、「帝国主義の圧制に苦しむ他者への連帯」としてリスペクトしました。でもこの事件と、同年に日本赤軍とルーツが重なる連合赤軍が起こしたあさま山荘事件で、感情がなえました。革命を実存の問題とする新左翼的感覚に、時代遅れ感を抱いていたのもあります。僕は当時「彼らは追い詰められたのだな」と感じました。 ――この二つの事件は、新左翼運動の組織によって引き起こされました。若者たちの間で運動は盛り上がっていたのですか。 これらの事件が起きたのは… この記事は有料会員記事です。残り3206文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
3年前の凶行、あそこにいれば防げたのか 元警察官が繰り返す自問
有料会員記事 原晟也、中村英一郎、大宮慎次朗2022年5月28日 20時00分 どうすれば、尊い命を守れたのか――。川崎市多摩区の路上で登校中の私立カリタス小学校の児童ら20人が殺傷された事件から3年となった。28日朝、現場に訪れた人たちは犠牲者を悼み、二度と悲惨な事件が起こらないよう祈った。 事件は2019年5月28日朝、JR登戸駅近くで起きた。スクールバスを待つ児童らが刃物を持った男(当時51)に襲われ、同小6年の栗林華子さん(同11)と、外務省職員の小山(おやま)智史さん(同39)が死亡。男は直後に自殺した。 「事件のことを忘れたくはない」。路上に花を供え、そう語った同市宮前区の会社員男性(39)は同小系列のカリタス幼稚園の卒園生だ。3年前のこの日は夜のニュースで事件を知り、家を飛び出して献花に向かった。たどりついた現場は大勢の人たちで騒然とし、言葉を失った。 「悲しいね」と返す娘 娘は今、亡くなった栗林さん… この記事は有料会員記事です。残り1412文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
火災の北九州・旦過市場に激励の絵 子どもとアーティストがコラボ
4月に大規模な火災に見舞われた旦過(たんが)市場(北九州市小倉北区)の人々を励まそうと、地元を拠点に活動するアーティスト詩太(うーた)さん(35)が28日、子どもたちと一緒に絵を描いた。市場の焼け跡の仮囲いに飾られている。 焼け跡には今もなお大量のが… この記事は有料会員記事です。残り420文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
2千回超のロードサービス JAFが訴えた「不正利用」の実態とは
今から9年前。 大阪府内で自動車修理会社を営む男性(74)は、ある「違和感」をおぼえた。 「同じ場所を何回も行ったり来たり。1日に2~3回呼ばれたこともあった。異常に件数が多かった」 男性の会社は、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の「ロードサービス」を請け負う指定工場。事故や故障などの車のトラブルに対応するため、JAF会員の要請を受けて現場に向かう。 違和感を抱いた相手は、1人の会員。決まって、似たような場所への出動要請だった。 要請があれば、出動するほかない。だが、「業者やブローカー」のようにしか思えなかった。 この会員の頻繁な利用は続いた。JAFが調べると、2013年2月からの5年間で計816回。全国に1918万人(18年3月時点)いる会員の年間の平均利用回数は約0.1回。この会員の利用頻度は1千倍超になる。他にも多数回の利用がある会員が複数見つかった。 なぜそんなに多いのか… この記事は有料会員記事です。残り1161文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Fusako Shigenobu, la « reine de l’Armée rouge japonaise », libérée après vingt ans de prison
La fondatrice de l’Armée rouge japonaise, Fusako Shigenobu, après sa libération de prison, le 28 mai 2022 à Akishima, dans la préfecture de Tokyo. CHARLY TRIBALLEAU / AFP Avec la libération, vendredi 28 mai, de Fusako Shigenobu qui fut le visage de l’Armée rouge japonaise (Nihon sekigun), groupuscule terroriste qui a […]
結婚ラッシュの「幸せオーラ」に焦る 多様な選択肢に見失う「普通」
「ゆとり世代」「さとり世代」とされる私たち20代は、普通の幸せや人並みの暮らしを求める「安定志向」だとよく言われる。だけど、学生から社会人になるまでに社会はガラガラと変わり、一人ひとりのライフスタイルは多種多様となった。人生の選択肢は無数にある。だからこそ「正解」が分からない。何にでもなれるけど、何になれば良いの? 目指す「幸せ」はどこにあるのか。 働く20代の「本音」求めて全国6都市へ 会社に入って数年、仕事に慣れ、楽しみも難しさも分かり始めるのが20代中盤です。それゆえに働く意味を考え、将来をどう描くかを悩み始める時期でもあります。生き方の選択肢が無数にあるからこそ、迷いは尽きません。「ワーク・ライフ・バランスを」と言われてもモヤモヤするばかりの24~26歳の記者6人が、突破口となるヒントを求めて3月下旬、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡に向かいました。「働く20代」への聞き取りアンケートから見えた、この世代の実像や本音をお伝えします。働き方や価値観の違いにギャップを感じる上の世代に向けて、識者の解説や分析をインタビューでお伝えします。 プライベートの充実と仕事のバランスは、今後の人生を語る上で欠かせない。「理想」とするバランスは可能なのか。 3月中旬、雲が広がる東京・新宿駅近くの公園。フットサルを楽しむ社会人のグループに、記者(25)は近づいた。声をかけると、川崎市のベンチャー企業勤務の女性(29)が語り始めた。 仕事を簡単に諦める選択肢は取りたくない 30代を迎えるこれから、「普通に結婚して、子育てしながら働きたい」という希望はある。仕事については現状に満足しており、不安や悩みはない。楽しいと感じる目の前の仕事に毎日、全力を注いでいる。 だが、いまに全力を傾けるその姿は、将来への不安や迷いの裏返しでもある。何か具体的な将来を描いているわけではない。結婚や子育ての希望はあるが、今後結婚した時にどう働くかはまだ考えられない。 女性が当たり前に働く時代に… この記事は有料会員記事です。残り2737文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
仁義なき宮島フェリーの戦い 68年ぶり新規参入、鍵はセット販売
世界遺産・厳島神社のある宮島(広島県廿日市市)に渡る約2キロのフェリー航路に「異変」が起きた。68年ぶりとなる新規参入の企業が現れた。コロナ禍前は年間400万人以上が利用し、鉄道会社系の2社が長らくしのぎを削ってきた全国有数の激戦航路に、飛び込んだ狙いは何か――。 高かったハードル、どう乗り越えた 広島駅からJR山陽線で30分、広島電鉄の路面電車で1時間。宮島口のターミナルは2社の乗り場が横に並んでいる。「JR西日本宮島フェリー」と、広島電鉄グループの「宮島松大汽船」。宮島に渡る足として計9割超のシェアを持つ。広島港(宇品)などから出る他社船を圧倒している。 背景にあるのは抜群の利便性だ。鉄道駅に近接するだけでなく、日中はおおむね2社交互に、最短5分間隔で出発する。所要10分程度で、運賃は180円だ。廿日市市の担当者は「まるで都会の電車。『待つことなく来た便に乗る』という感覚の区間で、運賃の安さも魅力」と話す。 こうしたなか、小型船運航会社「アクアネット広島」(広島市中区)が5月21日から同区間で約20分間隔で1日25往復の運航を始めた。国土交通省によると、宮島松大汽船の前身会社が参入した1954年以来のことだ。かつては運航本数が増えすぎないよう調整する区間とされていたが、2000年の法改正で「1日11往復以上」「旅客定員84人以上」など一定基準を満たせば新たな定期航路を開くことが可能となったという。 しかし、それから20年以上… この記事は有料会員記事です。残り1148文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
もう会わないと思った中継地での出会い 運命を変えた空港での4時間
「携帯を充電できる場所知らない?」 ジョージアへ向かう中継地のカタールの国際空港。大木千加さん(29)は男性に英語で突然話しかけられた。赤いタンクトップに細めのジーンズ。くっきりした目鼻立ちで190センチほどの長身。ナンパだろうか。そう警戒しつつ、そばにあるコンセントを指さした。 飛行機の離陸までまだ4時間もある。男性は隣のベンチに座った。しばらく黙ってスマホをいじっていたが、また声をかけてきた。 「どこから来たの?」 男性は、ミシャと名乗った。自分より3歳年上で、母国ジョージアに帰国する途中という。ぽつりぽつりと会話を続けた。「俺、芥川が好きなんだ」。好きな本や映画、互いの故郷のことを教え合ううちに搭乗時間になった。別れを告げ、同じ飛行機に乗り込んだ。もう会うことはないと思った。 2018年9月、3年半働いた映画や演劇の制作会社を辞め、将来に迷っていた。4歳からバレエやミュージカルを習い、いつもそばに舞台があった。憧れは宝塚音楽学校。だが、2度目の不合格通知を受け取った高1の春、「もうやり切った」と舞台を降りた。 大学卒業後、演劇と関わりが深い会社を選び、経営系の事務仕事を任された。だが、間近でプロの演技を見ながら、舞台への未練が残っている自分に気づいた。「もう一度、踊りたい」と思った。 退職後、演技の勉強をしようと考えた。時間ができ、手始めに学生時代から気になっていたジョージアの人形劇を見る旅に出た。 ジョージアの首都トビリシの… この記事は有料会員記事です。残り685文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
超文系脳で国立大医学部へ 主任教授に開花させた「開き直りの精神」
宮崎大学医学部の医学系講座では女性初の主任教授として昨年4月に着任した渡辺望さん(50)。大切にしている新聞の切り抜きがある。 「部活動など加味 選抜組/ペーパーテスト上位組 入学後に成績逆転」――。こんな見出しが躍る、1994年5月18日付の朝日新聞西部本社版社会面の記事だ。 記事は、宮崎医科大(現・宮崎大医学部)が90年度に導入した「ユニーク入試」についての論文を紹介。当時の美原恒副学長が、高校時代の部活動などを加味して合格した学生20人の入学後の成績を追跡し、分析を加えたものだ。 「卒業謝恩会で美原先生が『お前は弓道で入れてやったんだ!』と笑っていたのを覚えています」。渡辺さんは、このユニーク入試の1期生なのだった。 父は宮崎市の歓楽街・ニシタチの開業医。ケンカ、炭酸飲料の瓶の爆発でのけが、調理場でのやけど――。様々な患者が、時間外にインターホンを鳴らしてやってくる。聞き上手で、患者の身の上話にも熱心に耳を傾ける父の背中を見て育った。高校生のころ、「やっぱりここが私が生きていく世界なのかな」と、医師を志した。 ところが、「国語と英語は抜群に出来るくせに理系科目はからっきし、という超文系脳」。 宮崎大宮高の3年生のとき… この記事は有料会員記事です。残り808文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
よぼよぼのライオン「安楽死させるべき?」動物園が伝えたい老いと死
【動画】大森山動物園でユキヒョウの赤ちゃん誕生=大森山動物園提供、北上田剛撮影 秋田市の大森山動物園(あきぎんオモリンの森)で今春、ユキヒョウの赤ちゃんが生まれた。一方、老いたオオカミは引退し、レッサーパンダは他界した。生き物を飼ううえで避けられない「生老病死」が伝えるものとは。 ユキヒョウの赤ちゃん誕生 4月30日、ユキヒョウのリヒト(オス、6歳)とアサヒ(メス、11歳)の間に赤ちゃんが誕生した。大森山では22年ぶりだ。 リヒトは旭山動物園(北海道… この記事は有料会員記事です。残り1499文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル