アフィリエイターと呼ばれる個人や法人がネット広告を作って成功報酬を得る「アフィリエイト広告」で消費者を誤認させる不当表示が目立つとして、消費者庁は事業者向けの指針を作り、29日公表した。第三者の体験談や感想と見分けがつかない例もあることから、「広告」である旨を明示するよう推奨。外部に広告製作を委ねる場合の広告主の責任や役割を明記した。 アフィリエイト広告は、ブログやSNSなどで広告を作成し、その広告を通じた商品・サービスの売り上げなどに応じて広告主から成功報酬を受け取る仕組み。自らの体験であるかのように装った記事風の広告や身体的なコンプレックスをあおる過剰な表現など、虚偽・誇大な広告が問題視されている。 また、不当表示があったとしても、広告主は「アフィリエイターが勝手に記載したもので、把握していない」などと責任を回避しようとする例も目立つ。 このため、消費者庁は不当表示を防ぐための体制整備などの措置を事業者に義務づける景品表示法26条に基づく指針の見直しに着手。元々はホテルやレストランのメニュー偽装表示問題を受けて2014年に作ったものだが、アフィリエイト広告も対象となるよう改正した。 新指針では、アフィリエイト広告を念頭に、一般的に広告の作成に複数の事業者が関係する場合、結果的に不当表示が生じる可能性が高まるとして、広告の作成を外部に委ねる際に講じるべき措置を整理した。具体的には広告主は広告内容を事前に確認し、根拠となる情報を事前に共有することなどが求められる。不当表示が明らかになった場合は、広告主が自ら、表示を削除・修正する体制を整えることも追加された。 また、消費者が広告であると判断できるように、「広告」などの文言を、分かりやすい大きさや色で、見やすい位置に表示することが望ましいとした。 指針で不当表示は防げるのか… この記事は有料会員記事です。残り492文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
1.5億円横領容疑の病院職員、懲戒免職に 三重・南伊勢町
三重県南伊勢町の町立南伊勢病院の男性職員(38)=主査=が公金1億5千万円を横領した疑いがある問題で、町は29日、この職員を地方公務員法に違反したとして懲戒免職処分にした、と発表した。処分は28日付。町は業務上横領などの疑いで県警に告訴する。 発表によると、男性職員は町上下水道課に勤務していた2019年4月~19年3月と、同病院の会計担当として勤めていた19年5月~今年6月初め、町や病院が管理する金融機関の口座から通帳を使って現金を引き出したり、入金すべき現金の一部を抜き取ったりして、横領していたという。 町の調査に対し、男性職員は… この記事は有料会員記事です。残り129文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ウクライナカラーの電車なぜ走る 反響は? 社長に聞いた
ロシアから侵攻を受けているウクライナの鉄道事業者に連帯の意志を示そうと、香川県のローカル私鉄、高松琴平電気鉄道(ことでん)が、「ウクライナカラー」の電車を走らせて2カ月あまり。きっかけは、「戦争で家族を失った人の悲しみを想像し、心が痛かった」という育休中の女性社員の思いだった。ことでんの真鍋康正社長(45)に導入決定の判断経緯や、導入後の反響を聞いた。 ――社員の提案をどう受け止めたのでしょうか。 若い社員が「会社として社会的メッセージを出すべきだ」と言ってくれたのが、鉄道の運行だけでなく、公共交通の使命を考えてくれていると分かり、うれしかった。 コロナ禍の2年間で利用者が減り、大きな減収に陥っている会社をどう存続させようか、社員らが必死になっている時に、日本からはるか遠いウクライナの鉄道業界のことを考えられる社員がいるとはと驚き、なんとか実現したいと思った。 ――海外の「戦争」に関与することに躊躇(ちゅうちょ)はなかったのでしょうか。 政治にもかかわるテーマなの… この記事は有料会員記事です。残り786文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生まれ故郷で農園をする決断 「シビアな世界」で政治に思うこと
参院選が公示されました。コロナ禍、ウクライナ危機、価格高騰など、誰もが予想しなかった時代を生きる私たち。生きる源となる「食」を通じて、人々の思いを聞きました。 #食べる・生きる・考える 赤紫色が鮮やかなサニーレタス、青々とした茎ブロッコリーに、黄緑色が映えるハーブの一種、フェンネル。大阪府能勢町の山あいに広がる畑で、農家の森畠正輝さん(32)は収穫した野菜を手に「採れたてなんで新鮮ですよ」と笑った。 能勢町で生まれ育った一人っ子。大学生の頃から地元で農業をしたいと思っていた。勉強の意味も込めて卒業後は名古屋市の青果仲卸会社に入社。営業担当として国産メロンをスーパーや小売店に販売した。 だが、能勢町で大規模に野菜を育てる場所がないといった「農業の現実」を知り、農業で生計を立てるイメージがわかない。「農業の世界からしばらく離れよう」と人材派遣会社に転職。その後実家に戻り、大阪市内の商社で働いた。 転機は、ある農家との出会いだった。「人を紹介したろか」。趣味のソフトボールのチーム監督から、能勢で農業を営む町外出身の男性を紹介され、話を聴くと、多品種の野菜を無農薬で栽培し、個人宅に直接届けていた。他の農家数人にも話を聴けた。 「10年ほど地元を離れていたけど、町外から来た人たちが農業でしっかり生計を立てているのを初めて知った。自分もやれるんじゃないかと思った」 商社を辞め、農業の道へ 商社を辞めて2020年5月から、最初に話を聴いた農家に栽培技術や販売方法を学びながら、町内で野菜を育て始めた。 「森畠農園」を開き、今はピーマンやズッキーニ、万願寺トウガラシ、インゲン豆など40~50種類の野菜や米、町特産の銀寄(ぎんよせ)栗を栽培する。面積も増やし続け、畑は9千平方メートル、田んぼは5千平方メートル、栗山は3千平方メートルまでに広げた。野菜は農薬や化学肥料を使わず育てる。 当初は町内の道の駅などに出荷していたが、販路も個人宅に野菜セットを定期宅配する会社や、八百屋、小売店へと広げた。 農業を始めた頃は新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店の休業が相次いでいた時期。「不安はあった」が、自宅で食事をする人が増えた影響で取引先の販売会社の売り上げが伸び、栽培量が増えるにつれ販売量も増えた。「地場の野菜を扱いたい」と依頼され、兵庫県川西市と大阪府豊中市にある「無印良品」2店舗にも出荷するようになった。 就農希望者を後押しする仕組みづくりを ある挑戦もした。府などでつ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「消火活動したい、動機身勝手」連続放火の元消防団員に懲役3年判決
中川壮2022年6月29日 12時16分 愛媛県今治市内で昨年秋、資材置き場など3件の放火をしたとして、非現住建造物等放火と建造物等以外放火の罪に問われた元今治市消防団員の無職徳永友希被告(26)=同市=の判決公判が28日、松山地裁であった。高杉昌希裁判長は「動機は消防団員として消火活動を行いたいというもので、短絡的で身勝手というほかない」などとして、懲役3年(求刑懲役4年6カ月)を言い渡した。 弁護人によると、徳永被告は同日、量刑を不服として控訴したという。 判決によると、徳永被告は消防団員だった2021年10月28、29日、11月17日の夜または未明に、いずれも同市内にある木造平屋建て資材置き場や倉庫などに火を放ち、資材置き場1棟約68平方メートルを全焼させたり、隣接する山林の木や倉庫などを焼損させたりした。うち1件について「灯油をまき、ライターで点火するなどした」と認定。「同種事案の中でやや重い部類に属し、実刑はやむを得ない」とした。 一方、被告を知る地域住民や友人らが計約200通に及ぶ嘆願書を弁護人に託していることなどを「酌むことのできる事情」とした。(中川壮) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高校生の就活、大阪で新ルール 期待の一方、学校側にはある不安も
7月1日から、高校生の就職活動の求人情報が公開される。大阪府は今年度から、選考開始時点での応募先を「1人1社」とするルールを改め、2社までの応募を認める。生徒や企業からは、期待の声があがる一方、新制度の定着には課題もありそうだ。(加藤あず佐) 14日、大阪市内で開かれた高校生向けの「職業体験イベント」に、就職を検討している生徒ら約120人が参加した。府内を中心に20社が出展。各企業の採用担当者が、建設資材や職場の制服などを見せながら、仕事内容を説明した。 府内の通信制高校3年の女子生徒(18)は、複数の企業ブースを回った後、「人材サービスと音楽業界の企業を2社受けたい」と話した。業種は全く異なるが、「視野を広く持ち、本当にやりたいことや、自分の強みを伸ばせそうな会社を見つけられたら」と意気込んだ。 高校生の採用制度は都道府県ごとに決められている。厚生労働省によると、大半が就活スタート時点の応募を「1人1社」に縛るルールを50年以上続けているとされる。大阪府は今年度から、9月の選考開始から2社に応募できるよう、条件付きで認める。求人には、企業が高校を選んで出す「指定校求人」と、全国の高校に出す「公開求人」があるが、公開求人で企業側が併願を認めた場合、2社まで応募できるようになる。 1人1社制は、内定辞退を避… この記事は有料会員記事です。残り620文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「サポート詐欺」の被害、37件防ぐ 警視庁がローソンに感謝状
2022年6月29日 8時30分 パソコンなどがウイルスに感染したと誤認させて復旧名目で電子マネーをだまし取る「サポート詐欺」を未然に防いだとして、警視庁は、コンビニエンスストア「ローソン」に感謝状を贈った。山本仁副総監は「被害の未然防止には地域に根ざすみなさまの力が不可欠だ」と謝意を述べた。 サポート詐欺ではまず、インターネットを閲覧中にウイルスに感染したとする警告画面が出現。画面には「サポートセンター」の電話番号が記されており、電話すると「復旧するのにお金が必要」と言われ、コンビニで電子マネーを買うよう指示される。電子マネーの利用番号を先方に伝えるとその番号は換金される、という流れだ。 同庁は、被害者がコンビニで電子マネーを買おうとするタイミングで詐欺に気づいてもらおうと、2月から注意喚起の店内放送を流すよう、ローソンに依頼。すると、5月末までに客の様子を不審に思った店員の声がけなどで37件の被害を防ぐことができたという。 警視庁によると、この詐欺に関する相談は1~5月に東京都内で約300件寄せられ、前年同期比で約1・5倍のペースという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
定型句では語れないヤマトとの距離 「ただいま、沖縄」の旅を終えて
「沖縄の心」とはなにか。 沖縄保守の重鎮で、自民党衆院議員や沖縄県知事をつとめた故・西銘順治(にしめじゅんじ)さんは、本土復帰から13年がたった1985年、記者に問われて答えた。 「ヤマトンチュー(大和人)になりたくて、なりきれない心」 本土と同じようになりたいと願いながら、沖縄の独自性を誇らしく思う。沖縄を論じる場面でたびたび引用されてきたこのフレーズが話題にのぼったのは、わたしが地元沖縄での取材をあらかた終えて東京へ帰る5月18日、車中でのことだった。 両親とランチに出かけ、豚の腸や胃、シイタケなどが入ったすまし汁の「中身汁(なかみじる)」を食べた。わたしが好きな郷土料理のひとつで、東京ではなかなか食べられない。 「下ごしらえが大変なのよ」とこぼしつつ、母(69)が作って赴任先に送ってくれたこともあった。 父や母が子どものころ、中身汁を食べるのは、法事のときぐらいだったらしい。沖縄そば、チャンプルー、イモ……と話はころがり、「沖縄の心」にいきあたった。 沖縄の未来を、沖縄の人たちで決めることができない。 そのしんどさを訴えると、本土からは「またか」「甘えている」と、受け流したり、突き放したりする視線が向けられる。 こうした状況を踏まえれば、西銘さんの残した言葉は、多くの県民にとっていまなお、過去のものではない――。 そんなことを頭の片隅に浮かべつつ、助手席の父(69)に西銘さんの言葉に共感するかたずねた。 「そうでもないな。ヤマトンチューと一緒という感覚」 「そう。そこから(西銘さん… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ禍に阻まれた元アイドル 「究極にときめく」ものづくりの道へ
幼い頃、祖父母が経営する縫製工場へ遊びに行くと、色とりどりのボタンや糸が輝いて見えた。そこは、宝物がつまった「宝箱」のような場所だった。 「こういうの、着てみたいな」。少女向けアニメの主人公の衣装などを見て、自分で絵を描き、祖父母に作ってもらうこともあった。 yutsukiさん(23)は4月から、ミシンや布地がずらりと並ぶ岐阜市の工房で、デザイナーとして活動を始めた。あの日の夢をかなえた。 「コンセプトは『究極にときめく自分になれる』。着た時に一番かわいいと思ってもらえる服を作っています」 3月までは、別の夢を追いかけていた。「桃月(ももつき)ゆう」という名のアイドルだった。 最初にアイドルの夢を描いた… この記事は有料会員記事です。残り1528文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鳥インフル、平穏を奪われた 養鶏農家が廃業を選ばなかったわけ
愛媛県に2カ所の農場を持つ冨田養鶏(今治市)の冨田泰広さん(49)は戦前から続く家業の3代目。「安い量産品よりも、よそよりおいしい卵をつくるのが繁盛のコツ」と、餌にこだわってきた。 おいしい卵をつくるには――。欧州では鶏に小麦を多く食べさせているのをヒントにした。知り合いのラーメン店やケーキ店を巡り、麺の生地やケーキのスポンジの切れ端を集めた。いずれも小麦が含まれていて、独自に配合した飼料は卵の価格を抑えることにもつながった。 卵は白身ごと箸でつかめる弾力があり、味にコクも出た。直売店に1日200~500人が買い求めにやってくる人気ぶりだった。 ところが昨年の暮れ、平穏な日常が一変した。西条市の冨田さんの農場近くで、高病原性鳥インフルエンザが疑われる鶏が見つかった。 「どうなるのだろうか」。不安な日々が続いた。 年が明けた1月4日朝、同業のいとこから「30羽が死んでいる」と電話があった。いとこの農場は、冨田さんの隣にある。 5羽が死んでいた 冨田さんは自分の農場に行き、7棟の鶏舎を見て回った。ある棟の中央付近で5羽が死んでいた。赤いとさかが紫に変色していた。 鳥インフルエンザが確認されたら、廃業しようと決めていた冨田さん。ついに「その日」が訪れますが、思わぬ言葉に我に返ります。記事後半で紹介します。 県の簡易検査は陽性。死んだ… この記事は有料会員記事です。残り1025文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル