JR東日本が28日に公表した収支から、地方を走る路線の苦境が浮き彫りになった。鉄路をどのように維持するのか、将来の廃線は避けられないのか――。各地で議論が進む見通しだが、沿線の自治体側も切実な思いを抱える。 盛岡市内の住宅街にある山田線の山岸駅。今月下旬の平日夕方、1両編成の車両を降りた乗客は数人しかいなかった。駅近くに住み、通学で使う高校1年生の女子生徒は「朝の通学時間帯でも混雑しておらず、いつも座れる」と話す。 岩手県内を走る山田線は、内陸の盛岡市から沿岸の宮古市までの約100キロを結ぶ。ほとんどが山間部で、2020年度の1日1キロあたりの平均利用者数(輸送密度)は上米内―宮古間で80人。国鉄が民営化された1987年度の720人から89%減った。20年度の収支率は1・9%で、100円を稼ぐのに5168円かかった計算だ。 JR東日本盛岡支社は、乗客減の要因の一つに沿線人口の減少を挙げる。さらに、盛岡―宮古間には無料の復興支援道路が21年3月に開通した。山田線では早くても約2時間20分かかるが、車なら1時間半ほどで着く。 ただ、廃線を含めた見直しに… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国学力調査の中3理科、正答率17ポイント減 「探究学習」に課題
文部科学省は28日、小学6年生と中学3年生を対象にした今年度の全国学力調査の結果を公表した。4年ぶりに行われた理科で、中3の平均正答率が約17ポイント悪化。学習指導要領の改訂で重視された「探究学習」に関する問題の一部で正答率が低く、指導要領の求める内容に十分対応できていない状況がうかがえた。 今年度の調査は4月に行われ、約2万9千校の191万人が参加した。理科は小6、中3とも2018年度以来。中3は、昨年度に全面導入された新しい指導要領の内容を反映した初めての調査となった。 最も平均正答率が低かったの… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
行政文書を不適切に廃棄、29の基幹統計で判明 内閣府調査
内閣府は28日、国の基幹統計調査のうち半数超にあたる29の統計で、公文書管理法に基づく必要な手続きがないまま、不適切に文書が廃棄されていたことが分かったと発表した。国土交通省による基幹統計の不正問題を受け、内閣府が調べていた。今後、再発防止を進めるとしている。 公文書管理法は、保存期間を過ぎた文書を廃棄するには「内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない」としている。だが内閣府によると、49の基幹統計調査のうち29で、480ファイルの文書が同意を得ないまま廃棄されていた。国交省と経済産業省、農林水産省、厚生労働省、文部科学省の計5省の統計で不適切な取り扱いがあったという。 内閣府によると、廃棄されて… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「10年で雇い止めは違法」 60代男性研究者が理研を提訴
理化学研究所の研究者雇い止め問題で、来年3月末に雇い止めになると通達されている60代の研究チームリーダーの男性が「雇い止めは違法」として、理研に対し、地位確認や損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こし、28日、会見した。 男性は、2011年4月に理研に採用され、それ以降、1年の有期契約の更新を繰り返してきた。採用時は契約更新の上限は設定されていなかったが、理研は16年、「10年を超える契約はしない」と就業規則を変更。13年4月にさかのぼって適応するとしたため、男性は来年3月末の雇い止めの対象になっている。 就業規則変更の背景には、研究者の場合、有期雇用の期間が10年を超すと、無期雇用への切りかえを求められるというルールができたことがある。 男性側は、就業規則の変更は、不利益変更であり、無期転換を阻止するための脱法手段で法的な合理性をもたない、と主張。さらに、男性は研究所側から研究機材などを撤去するようにせかされており、研究室閉鎖に向けた手続きで、すでに研究どころではない状況になっているという。研究を妨害されたとして、110万円の損害賠償も求めている。 男性は会見で「研究力の低下につながる雇い止めをなんとか阻止したい」と訴えた。 理研は「訴状が届いていないため、コメントは差し控える」としている。 労組によると、来年3月末に10年を迎え、雇い止めの対象になる研究者が203人いると理研側は説明しているという。中には研究チームリーダーも含まれており、42の研究チームが廃止になることで技術職員など177人も行き場を失う。 なお、理研は26日、労働組合の雇い止め撤回要求に対し、「上限を10年とする現行の制度はプロジェクト期間との整合が難しいなどの意見があった」として「通算上限の制度は撤廃する」との回答書を送った。理研によると、規程の改正は来年4月施行を予定している。(藤波優) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
音楽教室の生徒の演奏、JASRACに著作権料払う? 最高裁が弁論
根岸拓朗2022年7月28日 22時19分 音楽教室でのレッスンで講師や生徒が曲を演奏する際、著作権料を日本音楽著作権協会(JASRAC)に払う必要があるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は28日、音楽教室側とJASRACの双方から意見を聞く弁論を9月29日に開くことを決めた。 この訴訟は、音楽教室を運営する約250の事業者・団体がJASRACを相手取り、著作権料を徴収する権利がないことを確認するよう求めたもの。 一審・東京地裁判決は、講師と生徒の双方の演奏に著作権が及び、著作権料の徴収対象になると判断した。一方、二審・知財高裁判決は、生徒の演奏については徴収対象にならないとした。第一小法廷は、一、二審で結論が分かれた生徒の演奏について、改めて判断を示すとみられる。(根岸拓朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ゴスペラーズが語る原宿RUIDOでの青春 「僕らは幸運だった」
ゴスペラーズが27日夜、ライブハウス「原宿RUIDO(ルイード)」(東京都渋谷区)でライブを開催した。原宿RUIDOは7月1日に15年ぶりに復活したばかり。デビュー前の学生時代からライブを行った思い出のステージに立つのは、実に23年ぶり。ゴスペラーズがその思いを語った。 ゴスペラーズ 村上てつや、黒沢薫、酒井雄二、北山陽一、安岡優からなるボーカルグループ。1991年、村上と黒沢がアカペラサークルで結成。メンバーチェンジを経て94年12月にシングル「Promise」でメジャーデビュー。以降、「永遠(とわ)に」「ひとり」など多数のヒット曲を送り出す。7月6日に初のセルフカバーアルバム「The Gospellers Works 2」をリリースした。 思い知らされた現実 「RUIDOに出たきっかけは、ラッツ&スターの佐藤善雄さんの後押しだった」 リーダーの村上てつやさんは28年前のスケジュール帳を見ながらこう振り返る。 初めて原宿RUIDOのステージに立ったのは、メジャーデビュー直前の1994年12月19日だった。ゴスペラーズは村上さんが高校時代から友人だった黒沢 薫さんらと結成した男性5人組のボーカルグループ。村上さん、黒沢さんらはインディーズ時代から東京・渋谷にあるライブハウス「クロコダイル」などに出演し、150~200人前後の小屋を満席にした実績もあり、自信はあった。 デビュー前からお世話になっている佐藤さんがメンバーのラッツ&スターは、原宿の前身である新宿RUIDOの常連。アーティストの登竜門と言われる名門ライブハウスで「サクセスストーリーを作れよ」と佐藤さんに声をかけられ、これでプロへの道が開けたと浮足立った。 ところが、集客できたのは70人前後。後にデビュー曲となる「Promise」など数曲を歌い、パフォーマンス次第で所属事務所が決まるはずだった。「ライブ後、結果的にどこも名乗りをあげてくれなかったと聞き、ガーンとなり、大丈夫か俺たちと不安になった」と黒沢さんはほろ苦い思い出を語る。村上さんも「まだ当時は学生でしたが、プロのハードル、簡単じゃない現実を思い知らされた」と振り返る。 ゴスペラーズを育てた出会い その後、ゴスペラーズは翌95年に5回、原宿RUIDOに出演し、試行錯誤を繰り返した。そして、数多くの出会いもあった。 試行錯誤を続けるゴスペラーズは原宿RUIDOで、俳優の堺雅人ら意外な人脈を育んでいきます。記事の後半で語られるほろ苦い青春の思い出とは? 「95年2月から僕らのサポ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アウトドア用品モンベル・ロゴスの偽サイト注意 昨秋から被害相次ぐ
大手アウトドア用品メーカーの「モンベル」と「ロゴス」の公式通販サイトに似せた偽サイトで詐欺被害が相次いでいるとして、消費者庁は28日、注意を呼びかけた。 同庁によると、偽サイトは公式サイトのロゴや商品の画像を盗用したデザインで、7月7日時点で計20のサイトが確認されている。「最大70%オフ」など極端に安く値引きしているのが特徴。SNS上に安売り広告を表示して広告内のリンクからサイトに誘導し、商品を購入しようとした消費者にクレジットカード決済させる手口という。全国の消費生活センターには2021年10月~22年6月、「商品が届かない」といった相談が計243件寄せられている。確認できた被害額は少なくとも44万円にのぼる。 消費者庁の担当者は「夏のレ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
訪問販売などの契約書面デジタル化 規制緩和の対象を限定へ
特定商取引法の改正で可能になった訪問販売などの契約書面のデジタル化について、消費者庁の検討会は28日、消費者被害の防止策の大枠をまとめた。電子メールなどで契約書面を交わす場合でも原則、注意事項などを書いた紙の書面も併せて交付することを事業者に求めることが柱だ。 紙の交付が免除されるのは、契約の申し込みからサービスの提供まですべてオンラインで行われるオンライン英会話などに限定される方向だ。不意打ち的な勧誘のリスクが少ないと判断した。検討会は来月報告書をとりまとめ、消費者庁はそれを基に来春までをめどに政省令を作る。 訪問販売や電話勧誘販売など… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
母と弟包んだ炎、数日後に芽吹いた菩提樹 語り継ぐ決意と遠のく記憶
400年以上の歴史を持つ広島市中区の宝勝院。本堂に足を踏み入れると、荘厳な装飾に囲まれた本尊が鎮座し、静粛な空気が漂う。爆心地から1・7キロ、この寺院に生まれた名誉住職の国分良徳(くにわけよしのり)さん(93)は、この場所で被爆した。77年前の記憶をひとつひとつたぐり寄せ、ゆっくりと語り始めた。 朝日新聞広島版で14年続く連載「聞きたかったこと」。 約400人が被爆体験とその後の人生を語ってくれました。被爆77年の今年、忘れられない「あの場所」で再び話を聞きました。 当時の記事も再録しています。 「母の炎は、弟の炎はどれだろう」。原爆が落とされた日。国分さんはゆらゆらと揺れる炎をぼんやり眺めていた。母と1歳の弟が下敷きになったまま、崩れた本堂は火柱をあげ燃え続けた。「母と一緒に死ねばよかった」。16歳で訪れた突然の母との別れに、立ち尽くすしかなかった。原爆で2人の妹も失った。 戦後、バラックでの生活を経て、1951年に本堂を再建。後に父を継いで住職となった。 80歳を過ぎて、原爆の日の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高次脳機能障害の僧侶が語る、田沼武能さんの写真がくれた「希望」
僧侶の岸野亮哉(りょうさい)さんは写真家でもある。 2003年にイラク戦争のバグダッドを取材し、軍事政権下のミャンマーや内戦中のスリランカに入った。東日本大震災の直後から岩手県陸前高田市に通って被災者の声に耳を傾けてきた。 それが17年に脳出血で倒れ、高次脳機能障害と視野の障害に。42歳だった。 「人とコミュニケーションがとれるのか、ふつうに日常生活が送れるようになるのか不安でしかたなく、怖かった」 苦悩する日々、岸野さんを励ましてくれた人がいる。写真家の田沼武能(たけよし)さんだ。世界の子どもたちを撮影し、ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんの訪問にも同行。文化勲章を受けた。 その田沼さんが今年6月に93歳で亡くなった。田沼さんのことを聞きたい、そう思って岸野さんが副住職をつとめる京都市左京区の専修寺(せんしゅうじ)を訪ねた。 記事の後半では、田沼さんが京都の地蔵盆を撮影していた理由が明かされます。 岸野さんは10年、日本写真… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル