昨年の通常国会で成立しなかった出入国管理法の改正案について、法務省は7日、今秋の臨時国会に再提出しない方針を固めた。与野党の激しい対決が予想される法案で、内容の一部見直しにさらに検討が必要と判断した。 入管法改正案は、強制退去処分になった外国人の収容長期化を解消する目的で、昨年の通常国会に提出された。送還が停止される難民申請を原則2回に制限する一方、施設外の「監理人」のもとで生活する措置や、紛争から逃れた人を難民に準じて保護すべき「補完的保護対象者」にする制度の創設を盛り込んだ。 だが、スリランカ人の女性が収容中に死亡した問題で、出入国在留管理庁の対応に批判が集中。政府・与党は成立を断念し、昨秋の衆院解散で廃案になった。参院選を控えた今年の通常国会も提出は見送った。 「外国人を排除」 根強い批判 改正案には「外国人の排除の… この記事は有料記事です。残り173文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
名物の「うるささ」解消なるか 大江戸線が導入する新型車両の秘策
うるさいと言われる東京都営大江戸線の車内が静かになるかもしれない。地下深くの難工事で急カーブが多いため騒音が生まれやすく、断面の小さいトンネルで反響してしまう大江戸線。鉄道開業150年の今年、都は新型車両の設計と製造を始め、2年後に導入して騒音を抑える方針だ。 大江戸線は、都が1兆円を超える費用を投じてつくった4番目の都営地下鉄。1991年12月に光が丘―練馬間が部分開業した。その後の延伸で、張り巡らされた既存の地下鉄や高速道路の脚の間をすり抜けるコースとなったため、急カーブや勾配が多くなった。 全線開業は2000年12月。都庁前―光が丘間を「6の字」に走る。用地の取得費用を減らすため、主に公道の下を通る設計になった。総延長40・7キロは国内の地下鉄で最長。38ある駅数も都営地下鉄(浅草、三田、新宿、大江戸)の4線で最も多い。 全線開通後、01年度に1日平均51万人だった乗客数は伸びた。19年度は、2~3月に新型コロナウイルスの影響を受けたにもかかわらず、過去最多の97万8千人を記録した。 だがコロナ禍で、長年の課題だった騒音問題が再浮上した。換気のため窓を開けて走り、走行音が窓から入ってきて車内の会話 やイヤホンの音を遮るようになったためだ。都はレール上に摩擦調整剤を塗り、スムーズな車輪の回転を狙ったが、効果は乏しかった。 全線開通から20年で乗客数が右肩上がりだった都営大江戸線。コロナ対策で窓を開けて走るため、走行音が気になるようになってきました。都が考えた工夫とは。 静かな車内の実現を狙う工夫… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ボーダー」は行き止まりなのか 違いと共通点に出会う旅の魅力
地方季評 田中輝美 「ボーダーツーリズム」と聞いて、どんな旅を想像するだろうか。国境をはさむ「境界地域」をまたぎ、国内と海外を一度に訪れる旅のことだ。 海外の大陸では定着しており、日本でも2017年、産官学でつくる「ボーダーツーリズム推進協議会(JBTA)」が立ち上がった。観光関連の民間事業者と地方自治体、研究機関が情報共有やツアーの企画をしている。 はじまりは2013年、官民が連携して長崎県の対馬と韓国・釜山間で行われたモニターツアーだ。対馬は釜山まで船で約1時間、49・5キロメートルの近い距離にある。新型コロナウイルス感染症の拡大前は韓国からの観光客が年間20万人も来訪し、国際ターミナルやホテルのほか、対馬の歴史文化を発信する施設もオープンした。 韓国を中心に「国境の島」として知られていた一方で、日本人観光客がほとんど増えないことへの問題意識がツアーの背景にあった。この後、ボーダーツーリズムは北海道稚内市とサハリン、沖縄県八重山地方と台湾、長崎県五島と韓国・済州島などで行われ、広がっていった。 ボーダーツーリズムに私が関心と期待を寄せる理由が大きく二つある。 一つは、境界が観光資源にな… この記事は有料記事です。残り1561文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
検察「ママ友、2年で美容院50回、旅行10回」 5歳児餓死の裁判
福岡県篠栗町で2020年4月、碇(いかり)翔士郎ちゃん(当時5)を餓死させたとして、母親とともに保護責任者遺棄致死の罪に問われた「ママ友」の赤堀恵美子被告(49)の裁判員裁判が7日、福岡地裁(冨田敦史裁判長)であった。赤堀被告は起訴内容を改めて否認した。8日に検察側の論告求刑がある。 赤堀被告は、裁判員から翔士郎ちゃんが亡くなったことについて問われると、「何度も病院に行くよう勧めていた」「ショックはショック。助けてあげられなくて申し訳ない」と述べた。亡くなる直前のやせた様子を語るときには、声を詰まらせる場面もあった。 赤堀被告は、翔士郎ちゃんの母親の碇利恵被告(40)=保護責任者遺棄致死罪で懲役5年の判決、控訴中=から、碇被告の夫の浮気調査など架空の名目で、児童手当や生活保護費として支給された現金など約200万円をだまし取ったなどとして、詐欺と窃盗の罪にも問われている。赤堀被告は初公判で「(碇被告から)頼まれて(現金を)下ろした」などと否認していた。 検察側は、翔士郎ちゃんが亡くなるまでの約2年間、赤堀被告が美容院に約50回通って約80万円を使ったり、家族旅行に10回出かけたりしていたという明細を提示。「金はどこから(出ているの)か」と質問すると、赤堀被告は「タンス預金や親からの援助があった」と説明した。 これまでの裁判で、証人として出廷した碇被告は、赤堀被告から「ボス」の存在をちらつかされ、LINEを通じて子どものしつけや食事量の制限を命じられるようになったと証言。これに対し、赤堀被告は「(碇被告から)指示され、ボスの指示を伝えているように芝居をしろと言われていた」と主張していた。 7日の裁判で、検察側から「… この記事は有料記事です。残り485文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
脱線から線路に戻った後、客乗せて走行 JR西の列車、けが人なし
2022年9月7日 21時00分 JR西日本吹田総合車両所京都支所(京都府向日市)で6日午後9時35分ごろ、回送中の列車(7両編成)が脱線した。その後、運転手が気づかないうちに線路上に戻り、約30人の客を乗せて走行した。けが人はいなかった。 JR西によると、停車中に列車が動かないよう線路との間に挟む「手歯止め」を外さないまま発車したのが原因という。一番後ろの車輪が進行方向の右側に約15センチメートル脱線して約150メートル進んだ後、線路上に戻ったという。 その後、京都支所を出てJR新大阪駅(大阪市)に到着。午後10時4分発の特急「こうのとり」として乗客を乗せ、福知山駅(京都府福知山市)に向かった。 7日午前7時10分ごろ、福知山駅近くの車両所から京都支所に「列車の手歯止めがない」と連絡があり、6日の脱線が分かった。脱線した車輪が傷付くなどしたが、運行に影響する損傷はなかったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パーク24を家宅捜索 五輪スポンサー 汚職事件の関係先で 特捜部
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は7日、大会スポンサーだった駐車場サービス「パーク24」(東京都品川区)の本社を、関係先として新たに家宅捜索した。担当役員らから任意の事情聴取も行った。大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者(78)が複数の企業のスポンサー選定に関わった経緯などを、幅広く調べているとみられる。 パーク24は2018年7月、大会スポンサー「オフィシャルサポーター」になった。組織委はスポンサーの獲得業務を広告最大手「電通」に委託。関係者によると、パーク24の契約は協力店として再委託を受けた広告大手「ADKホールディングス」が関わった。特捜部は7月にADKも捜索している。 パーク24は、日本オリンピック委員会(JOC)前会長の竹田恒和氏も社外取締役を務めている。取材に対してパーク24は捜索を受けたことを認め、同社の役員や社員を容疑者とした捜索ではないと説明。「捜査に全面的に協力する」と答えた。 高橋元理事に対する一連の事件で特捜部は8月、紳士服大手「AOKIホールディングス」ルートについて、5100万円の受託収賄容疑で逮捕した。勾留期限の今月6日には、AOKIルートで起訴したうえで、出版大手「KADOKAWA」ルートで再逮捕した。賄賂額は約7600万円とされた。 AOKIとKADOKAWA… この記事は有料記事です。残り311文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大学教員、複数校の在籍OK 中教審が答申
文部科学省は、国公私立大学の教員が複数の大学に在籍できるように大学設置基準を緩和する方針を固めた。文科相の諮問組織である中央教育審議会の大学分科会が7日、答申した。現行の基準で設置が求められている専任教員を「基幹教員」とし、人材が不足しているデジタルや脱炭素などの分野で教員を複数大学に配置し、より質の高い教育を行いたい考えだ。 今回の改正で置かれる基幹教… この記事は有料記事です。残り454文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「親としてやってはならないことを…」 旧統一教会元幹部がみた苦悩
「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」で信者の教育を担当していた元幹部が、朝日新聞の取材に実名で応じた。教団内部には献金に悩む信者や2世信者がいたと振り返り、「教団が進めてきた献金・集金のやり方は社会的モラルに反するものだった」と述べた。教団幹部らの間では献金の「ノルマ」があったとも証言した。 取材に応じたのは、2017年まで教団の家庭教育局副局長を務めた桜井正上氏(48)。退会後は別団体で信仰を持ち続けている。教団に在籍した約20年間、各地の教会を回るなどして信者の相談にのってきたという。「信仰を求めてここに来たのに教会内では献金の話しか聞けない」「教会で家庭内の相談をすると、解決策として献金を要請される」などの悩みを聞いてきた。 また、副局長などを務めた16~17年ごろ、「教団本部は毎月20億円以上の献金を信者に求める目標を掲げていた」と証言した。 「ノルマ」を否定していた教団会長 桜井氏によると、幹部会議で示された資料には、毎月の献金目標額が記されていた。目標に対する進捗(しんちょく)率が記された文書が配られたこともあるという。達成すべき目標だったと桜井氏は受け止めていた。こうした資料は、会議後にすべて回収されたという。 教団への献金をめぐっては、田中富広会長が7月の会見で「(信者個人に)ノルマはない」「本人の意思で献金されている」と答えた。桜井氏も個人へのノルマは否定しつつ「教団本部が全国の教会に無理なノルマを課していたことは、内部の人間なら誰もが知る」とし、「『献金しなければならない』という空気を作り、信者に過度のプレッシャーを与えていた」と話す。その上で「これ以上、信徒が組織の犠牲になってほしくない」と訴えた。 教団は朝日新聞の取材に、桜井氏の主張について「分派に流れた元信者の証言には何らの信憑性(しんぴょうせい)も伴わない」と否定。献金については「国内の信徒に目標を達成させるためのノルマが課せられていたという事実はない」とした。 息子が稼いだ学費を献金に… 献金が家庭で問題になった時… この記事は有料記事です。残り527文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 旧統一教会問題 2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の問題に注目が集まっています。特集ページはこちら。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
容疑者自殺で虚偽説明 大阪府警、家族あて便箋の把握時期めぐり
大阪府高槻市の会社員高井直子さん(当時54)への殺人容疑などで再逮捕された養子の高井凜容疑者(28)が留置場で自殺した問題で、府警は7日、本部留置管理課の説明に虚偽があったと明らかにした。自殺を示唆する内容の便箋(びんせん)を同課が把握したのは自殺翌日の未明と説明してきたが、実際は当日の昼過ぎだった。同課は虚偽説明を3日に認識していたが、この間明らかにしなかった。 同課の渕田れい子課長らは7日夜、報道各社への説明で「正確な内容を伝えることができず、おわび申し上げる」と謝罪した。 高井容疑者が留置されていた府警福島署の署員は8月29日夜、容疑者からノートを回収。翌30日午前0時過ぎにノートを点検したところ、家族あてに「先に逝く」と書かれた便箋数枚が挟まっているのを見つけた。高井容疑者は1日朝、留置場の居室で首をつった状態で見つかり、同日夜死亡した。 同課の戸山明夫調査官は1日夜、報道各社から遺書の有無について問われ、「確認されていない」と説明した。翌2日昼には、自殺をほのめかす内容の便箋が見つかっていたことが判明したとした上で、同課が把握したのは「きょう(2日)未明」と答えていた。 しかし、渕田課長は7日、同課が把握したのは1日午後1時半ごろだったと訂正し、調査官の説明はいずれも虚偽だと最終的に認めた。渕田課長によると、調査官は1日夜の虚偽説明について「(容疑者が)存命だったので便箋内容の発表は尊厳を傷つけることになると考えた」と説明。2日昼の虚偽説明は「前日の説明を訂正するのを躊躇(ちゅうちょ)した」と話しているという。 「内容を把握していれば、監視強化指示を促していた可能性も」 調査官の虚偽説明について… この記事は有料記事です。残り750文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
下関で倉庫倒壊、50代の男性死亡 車7台下敷き、ほか2人けが
【動画】倒壊した下関市の倉庫=堀撮影 7日午後1時18分ごろ、山口県下関市一の宮卸本町で、雑貨卸会社「辻豊」の倉庫が倒壊したと消防に通報があった。県警によると、倉庫の前に止まっていた車7台が巻き込まれた。車内にいた3人が救出されたが、いずれも辻豊の社員で下関市の樋口善彦さん(55)が死亡し、40歳と54歳の男性が背骨の骨折や首のねんざのけがをした。 県警捜査1課などによると、倉庫は鉄骨造り一部3階建てで、道路に面した2階の一部が崩壊。下敷きになった車7台中3台に、1人ずつが乗っていた。 辻豊によると、倉庫は1970年ごろに建てられた。幹部の男性は取材に対し、「経年劣化(があったうえ)に先日の台風の影響で崩落したのではないか」と話した。従業員は23人で、10人が倉庫での勤務だった。正午から午後1時半は休憩時間だったという。 現場は、中国自動車道下関インターチェンジ近くにある下関問屋センター協同組合の団地の一角。 現場周辺の人によると、ゴーッという大きな音がして、外に出ると倉庫周辺から土煙が上がっていたという。周辺ではクラクションを鳴らす音がしばらく響いていたが、途絶えてしまったという。 近くにある会社の建物にいた社員の男性(69)は、救急車や消防車が現場に急行する音を聞いて、現場に駆けつけた。「建物が崩れ落ち、下にとめてあった数台の乗用車が押しつぶされていた。このように建物が崩れ落ちるのは見たことがない。近くにいた事務所の女性が震えていた」と話した。 現場の向かいにある会社の女性は、2階の窓から崩落直後の様子を目撃した。「最初、シャッターを上げ下げする音かと思ったが、音がとても大きく長く続いたので、窓から向かいを見たら壁が落ちていた。前兆は何もなかった」と話した。 近くの女性会社員は午後1時過ぎ、同僚と食事中に大きな音を聞いた。「ものが崩れるような音で、土砂を積んだトラックが横転したのかと思った」と振り返る。それから車のクラクションが鳴り始め、救急車が到着するまでの数分間、鳴り続けたという。(水田道雄、大室一也) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル