瀬戸内海に浮かぶ大崎下島(広島県呉市豊町)特産のかんきつ農家として60年以上、レモンやミカンなどを栽培する傍ら、マーマレードに加工して「アツカズマーマレード」のブランドで販売する。上神(うえがみ)アツカさん(86)は「ただただ作るのが好き。生きがいだね」と話す。 ジャム作りのきっかけは、幼かった長女のおやつのためだった。20代の頃から、傷がついて出荷できないミカンなどを使って、作り続けた。「島のおいしいかんきつを食べてほしい」。地元のイベントで少量を販売することもあった。畑やジャム作りを手伝ってくれた長女は、2010年に病気で亡くなった。 事業家としての転機は、80… この記事は有料記事です。残り715文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
わたしひとりのオリーブ園 60歳から島で始めたフリーハンドの人生
男女の別のない仕事を続け、子どもたちは独り立ちした。定年退職したあと、自分の人生をどうつくっていこう。植西英子さん(72)が選んだのは、ひとりで営むオリーブ農園だった。甘くはないけれど、やりがいがある。そしてこれまでの経験と見守ってくれる仲間たちもいる。 定年まで2年、フェリーに揺られて島へ 小豆島へ渡るフェリーでの1時間のことは、いまもよく覚えている。 瀬戸内の海はおだやかで、うとうとするうち日常は遠ざかり、光の降る場所へと向かう感覚が心地よかった。 男女の別のない職業として臨床検査技師を選び、職場となった東京の病院で、60歳の定年が2年後に待っていた。娘たちとは互いに子離れ、親離れする時期だとも考えていた。 フリーハンドでこれから自分の人生をどうつくろうか。翌年、再び島を訪ね「ここでわたしのオリーブの木を育てる」と決めた。 移住は退職から1カ月後。住まいは空き家バンクで一軒家を買った。 「島に根をおろし、オリーブ園を事業にするつもりでいても、ひとりで始める初めての農業です。家を買うことは、周囲に私は本気だと伝える手段でもありました」 美しく小さい農園にしたくて「ジョリプティトファーム・ドゥエイコ」と名付けた。栽培は畑の土地と水がなければ始められない。だがそれは島での信用そのもので、新規就農者にとっては、最初で最大の壁になる。暮らして、体を動かして、徐々に関係を築いていくしかない。 「あせるのはやめました。職… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
死刑執行、いつ告げるべきか 米国は遅くとも1カ月前、日本は当日朝
【動画】2日前の告知 大阪拘置所長だった、故・玉井策郎さんのテープより 「いずれの事件も、誠に身勝手な理由から、被害者の尊い人命を奪うなどした極めて残忍な事案であり、命を奪われた被害者はもちろん、ご遺族の方々にとっても無念この上ない事件だと思います」 昨年12月21日。古川禎久法相(当時)は、東京と大阪の拘置所で3人の死刑を執行したことを受け、記者会見で所感を述べた。 「本人に対する告知は執行の当日、執行に先立って行うこととしています。それより以前に告知をすることによって、本人の心情に著しく害を及ぼすおそれを懸念しているからです」 執行の告知時期をめぐる対応を記者に問われ、こう答えた。さらに、事前に告知すると死刑囚の心情にどう影響するのかを尋ねられると、言い切った。 「執行当日に告知をするという方針に変わりはありません」 死刑囚の肉声が入ったテープを通じ、死刑について考えます。記事の後半には、実際の執行と思われる音声もあります。視聴の際にはご注意ください。 法相は刑事訴訟法上、死刑が確定すると6カ月以内に執行を命じなければならない。ただ、違反しても罰則を伴わない「訓示規定」とされ、確定判決を精査する期間や再審請求への対応などから、平均の収容期間は14年余りに及ぶ。この日に執行した3人は、確定から6年以上たっていた。 一方、いつ執行を告げるかに関する法の定めはない。国会答弁によれば、当日朝、部屋から刑場に連れて行く直前に告知し、通常は1~2時間で執行するという。 だが、かつては、それ以前に告知している時期があった。 「笑って別れましょう」 告知から執行までの死刑囚の肉声 「執行命令が来る」「笑って… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
家屋ほとんど解体、帰る場所なく… 飯舘の準備宿泊、初日は参加なし
福島県飯舘村の特定復興再生拠点(復興拠点)で23日、来春の避難指示解除に向けた準備宿泊ができるようになった。復興拠点がある6町村で準備宿泊は最後になったが、この日は宿泊する住民は現れなかった。家屋のほとんどが解体されたため、帰る場所がないという事情もある。 飯舘村の南端、長泥地区。東京電力福島第一原発事故で帰還困難区域に指定された。準備宿泊が始まった23日も、長泥に続く国道や県道には「帰還困難区域につき通行止め」の看板やバリケードが残っていた。 村によると、地区内で除染などが続いているため、「安全上の観点」から5カ所あるバリケードは当面撤去しないという。 長泥の復興拠点には63世帯200人(8月1日時点)が住民登録している。来年春には避難指示の解除が予定されているが、解体せず家屋が残るのはわずか10戸だ。 6月に避難指示が解除された… この記事は有料記事です。残り500文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
台風15号は温帯低気圧に 静岡県内で2人死亡・60棟浸水・停電も
西日本の南を北上した台風15号は東日本の太平洋側に接近しながら北東に進み、24日午前、温帯低気圧に変わった。今後、前線の影響で関東地方や東北地方で大雨が降るおそれがあり、気象庁は、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水・氾濫(はんらん)への厳重な警戒を呼びかけている。 線状降水帯が発生した静岡県内では、9月の月間降水量の平年値を超える大雨に見舞われた。降り始めの22日午前5時から24日午前6時までに、静岡市で419・5ミリ、藤枝市で410ミリ、浜松市で349ミリなど県中部や西部を中心に猛烈な降水を観測。この大雨による被害が相次いだ。 24日午前0時40分ごろ、静岡県掛川市高瀬のため池に乗用車が転落したと110番通報があった。県警掛川署によると、運転していたとみられる近くの無職井川翔馬さん(29)が救助されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。 また、24日午前0時50分ごろ、掛川市遊家(ゆけ)で土砂崩れが発生し、住宅1棟が倒壊したと119番通報があった。市消防本部などによると、家屋から会社員の山崎悟司さん(45)を発見したが、死亡が確認された。市内の全域に避難指示が出され、42カ所に避難所が開設された。 浜松市天竜区緑恵台では、24日午前0時ごろに土砂崩れが発生し、住宅3棟が巻き込まれた。県警天竜署によると、全員救出されたが、男性(63)、女性(41)の夫婦と息子(9)の家族3人がけがをしたが命に別条はないという。 浜松市天竜区二俣町二俣では24日午前2時ごろ、二俣川にかかる嘯月橋(しょうげつばし)の一部が増水で流された。市によると、長さ32メートルの橋桁のうち12メートルと橋脚1本が流れて損壊した。けが人はいなかった。下流側約180メートルの箇所に迂回(うかい)路があり、孤立している集落はないという。 川根本町下泉の町道では、24日午前2時50分ごろ、「道路にできた陥没に車が転落した」と町役場を通じて県警島田署に通報があった。落ちたのは軽トラックで、乗っていた2人のうち、70代男性は自力で脱出したが、運転していた70代とみられる男性の行方がわかっていない。消防や署が陥没した穴を捜索している。 県によると、県内で河川の越水などによる浸水被害や土砂災害も各地で相次ぎ、少なくとも床上浸水被害が21棟、床下浸水が39棟にのぼった。24日午前6時現在、浜松市など約29万世帯、約70万人に緊急安全確保(警戒レベル5)の避難情報が発表されたほか、県中部と西部を中心に、12市町の約44万世帯約108万人に避難指示(警戒レベル4)が出た。 静岡市を中心に停電も相次いだ。中部電力によると24日午前7時現在、静岡県内では静岡市や藤枝市、磐田市、掛川市などで約12万戸が停電した。土砂崩れや道路の冠水などで点検に時間がかかり、復旧の見込みは未定という。 交通への影響も出た。23日夜、東海道新幹線は東京―新大阪で運転中止になり、東京駅のホームにJR東海が用意した新幹線の「列車ホテル」で一夜を明かした人もいた。22日から1泊2日の旅行に来ていた大阪府の会社員松田愛美さん(37)と小川風子さん(28)は一晩、列車の座席で体を休めた。 松田さんは「ずっと座った姿勢なので体が痛くて、なかなか眠れなかった」。小川さんは「新幹線が動かない限りは帰りようがない。待つのも疲れました」と話した。 24日朝になってJR東海は、東海道新幹線は始発から正午ごろまで、東京―三島間と名古屋―新大阪間で折り返し運転を行うと発表。24日正午ごろまでは「のぞみ」と「ひかり」はすべて運休し、東京駅の改札前には、再開を待つ人が集まった。 都内から名古屋へアイドルの「卒業コンサート」に向かう予定の40代男性は、改札の前で再開を待っていた。「一度しかない舞台で春に決まったときからずっと心待ちにしていた。なんとしても会場に行きたい」と話した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ライダー続々、琵琶湖で「びわツー」 コロナ禍に苦しむ飲食店が企画
琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」。人気が広がるなか、バイクに乗るライダーたちにも観光に来てもらおうと、コロナ禍に苦しむ飲食店主が、琵琶湖一周のスタンプラリーイベント「びわツー」を企画した。滋賀県や彦根市も後援して17日に始まり、最初の出発の際、バイクで初めて北極点と南極点に到達した冒険家・風間深志さんがスタートフラッグを振った。 17日のお昼過ぎ。スタンプラリーの地点になっている日本料理店「魚清(うおせい)」(彦根市須越町)の駐車場は、バイクであふれていた。その数、51台。ライダーたちは店内で、近江牛のハンバーグや、「琵琶湖の宝石」とも称されるビワマスの刺し身をほおばっていた。 魚清は地元の食材を使った料理が売りで、創業約50年。びわツーを考えたのが、2代目社長の林清和さん(56)だ。17日にライダーたちが駆けつけた様子を見て、「大満足、やってよかった」と笑顔を見せた。 コロナ禍になってからは苦し… この記事は有料記事です。残り760文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「文書は存在せず」と名護市 辺野古V字案合意の経緯 開示請求に
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である名護市が、2006年に現行計画を国と合意した経緯について、一切の公文書を残していないことがわかった。本紙記者による開示請求に対し、市が「文書は存在しない」と不開示を通知した。専門家は「政治責任の放棄だ」と批判する。 現行計画は、名護市がそれまでの方針を一転して受け入れを表明した。 当初、国と県、市は辺野古沖を長方形に埋め立てて約2千メートルの滑走路1本を置く計画で合意していた。しかし米軍再編にともなって、日米政府は05年10月にこれを見直し、辺野古沿岸部と大浦湾をL字形に埋める計画に改めた。 県や市は、頭越しの変更に反発。06年1月の市長選で初当選した島袋吉和市長も「受け入れられない」としつつ、計画修正に柔軟な姿勢をとっていた。その後、防衛庁と協議を重ね、4月7日、L字案を受け入れることで額賀福志郎防衛庁長官と合意した。この際、滑走路が2本に増え、V字形に置かれることも同時に発表された。これが現行の計画となっている。 この2カ月余りの期間に限っ… この記事は有料記事です。残り864文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「めちゃくちゃ疲れた」 名古屋駅でも新幹線内で一夜、座れない人も
高絢実2022年9月24日 8時05分 台風15号による大雨の影響で、東海道新幹線が運転見合わせとなったことで、名古屋駅でも多くの乗客が新幹線の車内で夜を明かした。乗客らは一様に疲れ切った表情を浮かべていた。 名古屋市の女性会社員(36)は、京都市内の実家を日帰りで訪れた。京都駅から名古屋駅までは通常は35分程度だが、大雨の影響で新幹線が止まり、6時間半もの間を車内で過ごしたという。 女性は自由席で、座れずに立っていたが、しゃがみこむ人もいたという。具合が悪くなった子どももいて、「お医者さんはいますか」と車内アナウンスが流れたという。女性は「めちゃくちゃ疲れました。自然のことなので仕方ないですね」と話した。 新大阪駅から新横浜駅を目指していた大阪府の会社員の男性(28)も「疲れました」。新大阪駅から旅行目的で乗っていた看護師の女性(24)は「新幹線が動いていたら改めて旅行に行こうかなと思います」と話した。(高絢実) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
静岡に線状降水帯、被害相次ぐ 東日本は土砂災害に警戒 台風15号
西日本の南を北上した台風15号は、24日は東日本の太平洋側に接近しながら北東に進み、夜までには関東の東で温帯低気圧に変わる見込みだ。この影響で、24日朝までに愛知県や静岡県を中心に大雨が降った。 気象庁によると、24日午前6時時点で、御前崎の南南西約100キロの位置にあり、時速15キロの速さで北東に進んだ。中心気圧は1004ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートル。東日本の太平洋側と北日本では25日にかけて、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水・氾濫(はんらん)に厳重な警戒が必要という。 また、気象庁は24日午前5時過ぎ、静岡県内で線状降水帯による非常に激しい雨が降り続いているとして、警戒を呼びかける情報を発表した。大雨が降り続いた静岡県内では深夜から被害が相次いだ。 24日午前0時50分ごろ、同県掛川市遊家(ゆけ)で土砂崩れが発生し、住宅1棟が倒壊したと119番通報があった。市消防本部によると、40代男性を救出したが心肺停止の状態という。 また、午前0時40分ごろには、同市高瀬のため池に乗用車が転落したと110番通報があった。県警掛川署によると、車内から男性1人を救出したが、搬送先の病院で死亡が確認された。同市内の全域に避難指示が出された。 一方、浜松市天竜区緑恵台では、24日午前0時ごろに土砂崩れが発生し、住宅3棟が巻き込まれた。県警天竜署によると、全員救出されたが、男性(63)、女性(40)の夫婦と息子(9)の家族3人がけがをしているという。 交通への影響も出た。23日夜、東海道新幹線は東京―新大阪で運転中止となった。東京駅では、東海道新幹線の乗客の一部は、ホームにJR東海が用意した新幹線の「列車ホテル」で体を休めた。 「休憩できる場所を用意してくれて、ありがたい」。24日午前1時ごろ、岡山県総社市の大学院生(23)は疲れた様子で、新幹線の中に入った。 23日夜、仙台市であった学会参加を終えて岡山に帰る途中、熱海駅で足止めされた。帰宅をあきらめ、在来線で東京駅まで戻ってきたという。「ホテルはお金がかかるので、休憩できる場所を探してここまで来た」と話した。 友人たちと東京都内へ芝居を見に来ていた静岡県湖西市の団体職員、太田智子さん(62)は、運転取りやめの発表が午後10時過ぎとなったことについて「もう少し早めに中止を決めてくれたらホテルを探せたのに……」と不満を漏らした。 台風の影響を考えて早めに帰路につこうと、午後6時半ごろから品川駅で発車を待っていたが、結局、新幹線は動かなかった。宿泊先を見つけることができず、新幹線に泊まることにしたという。 24日の運転状況も見通しが立たない中、山口県光市の男性会社員(29)は「できれば始発で山口に帰りたいが、どうなるのか」と気をもんだ様子で、一夜を過ごす新幹線の席を探し歩いていた。 24日朝になってJR東海は、台風15号による大雨の影響で、東海道新幹線は始発から正午ごろまで、東京―三島間と名古屋―新大阪間で折り返し運転を行うと発表した。山陽新幹線との直通運転は取りやめる。 また、24日正午ごろまでは「のぞみ」と「ひかり」はすべて運休。三島―名古屋以外の区間では、「こだま」は1時間に1~2本程度を運行する見通しだ。 天候が回復し、安全の確認が取れ次第、山陽新幹線との直通運転と三島―名古屋間の運転を順次再開するという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
台風の影響で新幹線乗客ら足止め 「列車ホテル」で一夜明かす
2022年9月24日 3時15分 台風15号の影響で23日夜に運転中止となった東海道新幹線の乗客の一部は、東京駅のホームにJR東海が用意した新幹線の「列車ホテル」で体を休めた。 「休憩できる場所を用意してくれて、ありがたい」。24日午前1時ごろ、岡山県総社市の大学院生(23)は疲れた様子で、新幹線の中に入った。 23日夜、仙台市であった学会参加を終えて岡山に帰る途中、熱海駅で足止めされた。帰宅をあきらめ、在来線で東京駅まで戻ってきたという。「ホテルはお金がかかるので、休憩できる場所を探してここまで来た」と話した。 友人たちと東京都内へ芝居を見に来ていた静岡県湖西市の団体職員、太田智子さん(62)は、運転取りやめの発表が午後10時過ぎとなったことについて「もう少し早めに中止を決めてくれたらホテルを探せたのに……」と不満を漏らした。 台風の影響を考えて早めに帰路につこうと、午後6時半ごろから品川駅で発車を待っていたが、結局、新幹線は動かなかった。宿泊先を見つけることができず、新幹線に泊まることにしたという。 24日の運転状況も見通しが立たない中、山口県光市の男性会社員(29)は「できれば始発で山口に帰りたいが、どうなるのか」と気をもんだ様子で、一夜を過ごす新幹線の席を探し歩いていた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル