2022年9月19日 20時02分 台風14号は西日本を中心に大きな被害をもたらしている。19日夕時点の朝日新聞の集計では、少なくとも2人が死亡、1人が行方不明となり、19県で101人の負傷が確認されている。 大雨特別警報が出されていた宮崎県三股町では19日朝、山の斜面が幅約15メートルにわたって崩れているのが見つかった。家屋も巻き込まれ、土砂の中から男性(41)が救出されたが、死亡が確認された。同県都城市でも19日朝、田んぼで車が水没しているのが見つかり、車内から救出された男性(68)の死亡が確認された。 広島県廿日市市消防本部によると、市内で男性(82)が行方不明に。119番通報した息子は「水路に落ちた可能性がある」と話しているという。 全国でけが人も相次いだ。宮崎県では80代男性が強風であおられて転倒し、足の骨が折れるなど、12人が負傷。鹿児島県でも12人がけがをしたほか、福岡市でも70代男性が道路上で転倒し、右腕を骨折した。愛媛県でも、宇和島市内で雨漏りの修理をしていた50代男性が脚立から落ちるなど、5人が負傷した。 道路や建物の被害も出ている。宮崎県内では土砂崩れによる通行止めが7件発生し、家屋の浸水も確認されている。宇和島市では中学校体育館の屋根の鋼板が飛ばされ、近くの住宅3棟に当たったという。 各地で停電も広がった。九州電力によると、鹿児島や宮崎など九州7県で最大約35万戸が停電。四国電力によると、同日午後5時時点で管内の約1万8100戸が停電しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
皇后雅子さま、7年ぶりの外国訪問 国葬出席へ強い思い、体調整え
有料記事 ロンドン=多田晃子2022年9月19日 16時00分 英国のエリザベス女王の国葬に参列するため、天皇陛下とともに皇后さまが訪英した。皇太子妃だった2015年7月にトンガを訪れて以来の外国訪問だ。 今月17日午後6時40分過ぎ(日本時間18日午前2時40分過ぎ)、ロンドン郊外のスタンステッド空港。 20分ほど前に到着した政府専用機のタラップに現れた天皇、皇后両陛下の服装は、出国前と異なっていた。 天皇陛下は黒のスーツに黒のネクタイ、皇后さまは黒のワンピースにジャケット、黒の帽子。両陛下は、日本ではつけていない黒のマスクを着用していた。 宮内庁幹部によると、今回の訪問が女王の国葬参列であることや、外国では白いマスクをつけている人が少ないことなどを踏まえたという。 皇后さまは空港で、出迎えた関係者に丁寧にあいさつをしていた。宿泊先のホテルでは、集まっていた大勢の人から声をかけられ、手を振って応じた。 皇后さまにとって英国は、結… この記事は有料記事です。残り515文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新人こけし職人は元DNA技師 45歳過ぎて挑んだものづくりの道
大学でDNA解析の技師として勤める傍ら、どうしても頭から離れない思いがあった。ガラス加工業を営んでいた実家の光景。45歳を過ぎ、やっぱりものづくりの現場に身を置きたいと選んだのは、東北の伝統こけし職人だった。来春には自らの工房を構え、地域に根ざした「推しこけし」で魅力を広げようと奮闘する。 宮城県大崎市の鳴子温泉街にある工房で、田辺香さん(48)がろくろと向き合っていた。くるくる回るこけしの胴体に頭部を装着する「首入れ」は、こけしづくりで最も緊張が走る一瞬だ。 「せーの! あっ」 思ったより力を入れすぎた。摩擦で木の焦げた匂いが広がり、粉が舞う。鳴子こけしは首を回して「キュッキュッ」と鳴る音が最大の特徴なのに、首が胴体に密着してしまい、これだと回らない。「失敗しました」。木を手に取って、問題を確認していた。 脇で見つめていた師匠の岡崎靖男さん(68)が「木の質や乾燥具合、湿気や気温でも木の顔色が変わるもんよ」とアドバイス。鳴子こけしを製造販売する「こけしの岡仁」店主で、伝統工芸士だ。 汗を拭う田辺さんは「ものづくりの妙味ですね。毎日、勉強です」と言いつつ、「毎日うまくいったら師匠の立場がありませんよね」と笑顔を見せた。「そうだよ。こっちは長年やってきたんだから」。師匠の返しにまた笑いが起きた。 PCR検査は専門分野 秘めた思いが… 田辺さんが岡崎さんの工房でこけし制作を学びだしたのは一昨年春。 以前は、水産関連企業で水質… この記事は有料記事です。残り1506文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「モデル撮影やめて」 国重文・旧岩崎邸庭園が異例の投稿した理由
三菱財閥を創始した岩崎家の邸宅として建てられ、国の重要文化財に指定されている東京都立庭園「旧岩崎邸庭園」(東京都台東区)で、禁止されているモデル撮影の写真がSNSに多数投稿され、管理者を困惑させている。レトロな建築を背景に「映え」を狙ったものとみられるが、同庭園は公式ツイッターで注意を呼びかけている。 「旧岩崎邸庭園は見学を主目的とする施設です。人物や物を中心とした撮影(モデル撮影)はできません」。同庭園は12日、公式ツイッターで注意を呼びかける投稿をした。実際、ツイッターやインスタグラムには、ベランダや客室で着物姿やドレス姿などで女性がポーズを決める写真が多数アップされている。 同庭園は1896(明治29… この記事は有料記事です。残り588文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「幸せにしたい」に心つかまれ 7500万円失ったレディコミの女王
見ず知らずの相手に恋愛感情を抱かせて現金をだまし取る国際ロマンス詐欺で、7500万円の被害に遭ったと告白した漫画家の井出智香恵さん(74)が単行本「毒の恋」(双葉社)を出版した。ネットでのやりとりだけでなぜ信じ、大金を送り続けてしまったのか。「レディースコミックの女王」のベテラン作家が自身の体験を赤裸々に語り、再発防止を訴える。 2018年2月、井出さんのフェイスブックに1通の英文メッセージが届いた。 相手はハリウッドスターのマーク・ラファロを名乗った。半信半疑ながら、パソコンの翻訳機能を使ってやりとりした。70歳の漫画家だと写真付きで自己紹介すると、「You look pretty cool with your job(仕事をしている君の姿は最高にクールだ)」と絶賛された。 30代で結婚後は夫の暴力と放蕩(ほうとう)の中で、一人で稼いで3子を育てて離婚。そんな過去の告白に、20歳下の“マーク”は「僕は君を悲しませない」と憤ってくれた。妻と離婚調停を内密に進めており、弟の不慮の死に心を痛めていると明かした。 パソコン越しに「結婚」 長男には借金まで 米国在住の知人は「英語を学… この記事は有料記事です。残り1679文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
断水13万戸、復旧目前の震度6弱 「またか」くじけなかった職員
2011年3月11日。東日本大震災で震度6弱の揺れに襲われた福島県いわき市では、ほぼ全域の13万戸で断水し、約33万人に影響が出た。水をつくる浄水場に大きな被害はなかったが、張り巡らされた水道管は1600カ所で水漏れが起きていた。 「流量計が最高値から下がらない」「配水池の水が空になった」――。同市水道局の配水調整係長だった則政康三さん(57)は、職員の悲鳴のような無線の交信を局内で聞き、愕然(がくぜん)とした。広範囲に漏水が起きているのは明らかだった。「どこから手をつけるべきか」。復旧計画の策定を急いだ。 福島県南東部に位置するいわき市では468人が死亡・行方不明になり、建物被害は9万棟を超えた。最大8・5メートルの津波が押し寄せた沿岸部は特に被害が大きく、復旧は難航が予想された。 地震後直ちに、浄水場と配水池を結ぶ「基幹管路」の復旧工事が始まった。配水池は家庭などに水を届ける前の貯水施設。そこに水をためることが最優先だった。工事を終えた管路ごとに配水池への送水再開に踏みきり、その先の配水管の復旧も急いだ。だが懸命の復旧活動に、原発事故が影を落とす。 3月12日、東京電力福島第… この記事は有料記事です。残り1525文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
西鉄、天神大牟田線を夕方から運転再開 路線バスも各地区で順次
釆沢嘉高2022年9月19日 14時03分 西日本鉄道(福岡市)は19日、台風14号の影響で運休していた天神大牟田線について、19日午後4時ごろから運転を再開させると発表した。貝塚線は引き続き運転を見合わせる。 一般路線バスについては正午以降、久留米、佐賀、大牟田地区で運転を再開。午後2時からは福岡、北九州、筑豊地区でも再開させるとしている。(釆沢嘉高) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
60年連れ添い知った「愛の濃度」 面会できない妻は手紙を送った
「このたび、初めて愛の濃度が分かりました」 60年余り連れ添い、5年前から病に伏した夫に、岡崎靖子さんはこんな手紙を送った。コロナ禍で面会がかなわず、病院の窓口に届けるかたちで。 そして、介護・看病するなかで息子にかけられた大切な言葉を文章につづり、高齢者の主張大会に応募した。最優秀賞に選ばれた。 ただ、受賞が決まる直前、夫の命は尽きた。 遅刻の常習犯の原因は 靖子さんは岡山市北区に住む84歳。22歳の時、5歳上の和雄さんとお見合いで初対面した。 和雄さんは小学校教員だというが、緊張からか口数は少なかった。 日本三名園の一つ、岡山後楽園での初デート。和雄さんは1時間の大遅刻をした。 小豆島へ向かった2回目のデートでも遅刻。危うく船に乗り遅れるところだった。 「時間を守れない人は嫌」。そう思った。 いつも「ありがとう」と言ってくれた病床の夫、介護に疲れた時にカメラ越しに「ご苦労さん」と声をかけてくれた息子…。そんな家族の物語とともに、原稿の後半では靖子さんの大切なラブレターの内容を紹介します。 けれども、後で知った。遅刻… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
夜のクラブで、24時間ぶっ続けで…物理を語る学者・小林晋平さん
有料記事 聞き手・江畠俊彦2022年9月19日 11時00分 物理を語る。あるときは、つなぎを着て夜のクラブで。またあるときは、オンラインの生中継にて24時間ぶっ続けで。こんな仕立てのイベントを開いているのが物理学者の小林晋平さんだ。学びの楽しさを一緒に味わいたいという。専門は宇宙の始まりを解明すること。物理で何を学び、何を伝えたいのか、語ってもらった。 研究室みんな「丸小技研工業」 いま着ているのは研究室のTシャツと、「丸小(まるこ)技研工業」と刺繡(ししゅう)を入れたつなぎです。丸に小林の小。ものづくり集団という設定です。8月にも開いた科学イベント「夜学」では、これを研究室の学生も着て登場しました。物理学を中心とした、さまざまな学問をクラブ仕立ての空間で体験する催しです。 クラブは好きですが、大学院生の頃は時間がなかった。それならと研究道具を持って行き、大音量の店内で計算なんかをしていました。音楽に囲まれ、夜独特の雰囲気も重なる高揚感は、新しいことを発見するわくわく感に通じます。学びは本来楽しいもの。それを伝え、一緒に面白がりたい。 新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年3月にはオンラインの生中継で「24時間ではしりぬける物理」を配信。24時間ぶっ続けで物理の授業をしたのです。学びをお祭りみたいにしたと言えばいいでしょうか。 次は「日本列島かけぬける物理」という企画を実現できればと考えています。ある場所で対面の授業をして、同時にオンラインで全国配信。次は違う場所で授業。私が全国を移動して、学びの楽しさを配っていきます。授業を受けた生徒は何を感じたのか、その場でチャットに書き込む。リアルタイムの感想を記録した研究はほとんどないそうです。「面白い研究になる」と言われました。一緒に楽しんで学ぶ方法は、いろいろあるのです。 人に何かを伝えようと工夫すると、自分も理解が深まります。私が物理学に加えて教育の実践的な研究にも取り組んでいる理由の一つです。「科学を理解している人」はもちろん、「科学に理解がある人」をいかに増やせるか。さまざまなことを享受できる力を育み、学びの裾野を広げたい。 私自身は小さい頃から漫画「… この記事は有料記事です。残り859文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「本国で怖くても、日本なら」薬物犯罪が急増 突然かかってきた電話
在留ベトナム人による薬物犯罪が相次いでいる。警察庁によると、国籍別の検挙数で昨年、初めて最多になった。海外からの密輸事件も起きており、警察や税関は警戒を強めている。 神戸税関は9日、合成麻薬MDMA約5千錠(末端価格約2500万円)を密輸しようとしたとして、ベトナム国籍の男(28)を関税法違反の疑いで告発した。この男は今年7月にも同法違反で告発されている。 6月には、兵庫県警が、別のベトナム国籍の男3人を麻薬取締法違反(営利目的輸入)の疑いで逮捕した。国際捜査課によると、食料品が詰められた段ボールの中に、お茶の袋に入れた麻薬ケタミン100グラム(約1千回分)を紛れ込ませていたという。 県内では昨年5月、違法薬物の密売グループらベトナム人計16人が覚醒剤や大麻を密輸したとして覚醒剤取締法違反(営利目的譲渡、同所持)容疑などで県警に逮捕されている。 警察庁が3月に発表した「組織犯罪の情勢」によると、覚醒剤や大麻、麻薬といった薬物の犯罪で昨年検挙されたのは全国で1万3862人おり、うち外国人は1086人(7・8%)。国籍別はベトナムが226人で、前年度から1・5倍に急増し、外国人全体の20%を占める。 ベトナム人の薬物犯罪、なぜ増えた 検挙急増の背景には何があるのか。 在留ベトナム人は、昨年12月末時点で全国に43万人。2011年の4万4千人から、この10年で10倍近く増えた。多くが留学生や技能実習生などの若者だ。 「ベトナム国内で、若者の麻薬の乱用が社会問題になっている」と捜査関係者は明かす。若者の来日急増が、薬物検挙の増加につながっているとみられる。 6月に逮捕されたうち、麻薬を受け取った2人は物流倉庫で荷物を仕分けるアルバイト店員だった。来日した若者は生活費や仕送りを稼ぐためハードな労働に身を置くことも多く、同課担当者は「仕事に疲れて、楽になろうと軽い気持ちで手を出したのかもしれない」と推察する。 ベトナム国内では麻薬犯罪の量刑は重く、密輸に関わり死刑判決が下されたケースもある。一方、日本では10年以下の有期懲役がほとんど。「本国では怖くても、日本でなら、と安易に考えてしまうことも一因では」と同課は分析する。 検挙が増えている状況を、同じベトナム人はどのように見ているのか。 「神戸ベトナム人会」(神戸市長田区)で在留ベトナム人のコミュニティー作りに携わるベトナム人女性(58)の元には1年ほど前、「麻薬犯罪に関わってしまったかもしれない」という相談の電話が突然かかってきた。 電話主の若い男性は「弁護士を紹介してほしい」と切羽詰まった声で言った。知り合いから頼まれて配送した荷物が麻薬だったのだという。後日逮捕された。 女性は「多くの若いベトナム人は一生懸命働いているが、フェイスブックなどで悪い遊び仲間と簡単につながってしまいやすい」と指摘する。(黒田早織) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル