有料記事 聞き手・塩入彩2022年9月10日 16時00分 ジャーナリストの伊藤詩織さんが自らの性被害を告発してから5年。伊藤さんの告発は日本社会に大きな影響を与えた一方、ネット上では「ハニートラップだ」などの多くの誹謗(ひぼう)中傷にさらされました。被害を訴える女性がバッシングされる背景に、何があるのか。文筆家の清田隆之さんは「男性の居心地の悪さがある」と語ります。 ――清田さんは、伊藤さんの告発をどう見てきましたか。 「最初は痛ましい性暴力事件のひとつとして受け止めたように思います。ただ様々な意見に触れるなかで、これは被害者の勇気ある告発でありながら、発信するすべや言葉を持つジャーナリストとしての使命も感じる、非常に意味の重いアクションだと思うに至りました」 「恋バナ収集ユニットで人の恋愛話や悩み相談を聞くなかで、ジェンダーについて考え、フェミニズム関連の発信をしている人たちをツイッターでフォローするようになった。2017年に伊藤さんが会見した時には、そういう人たちのツイートを見ながら、彼女の実名告発は、被害者が声を上げづらいなかで行われたものであることを理解しました。“男女のいざこざ”などではなく、就職相談をする側・される側という権力関係の中で起きていたこと、そして、今の日本ではしかるべき窓口に訴えても対応されず、むしろ被害者の方が落ち度を責められてしまうケースが多いことなど、SNSの議論から様々な視点や背景を教わりました」 加害者じゃないのに「責められた」 「しかし、ネットニュースのコメント欄や匿名の掲示板、あるいはアンチフェミニズム的なアカウントなどでは、およそ正反対の景色が広がっていた。『売名行為では』『ハニートラップだろう』など、被害者である伊藤さんをおとしめるような言葉の数々が並んでいたのです。僕はそこに、男性たちが直感的に抱いた『居心地の悪さ』を感じました」 ――どういうことでしょうか。 「自分を含めた男全体が責め… この記事は有料記事です。残り4886文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ここが一番勉強になる」丸谷先生が説いた舞台 淀工吹奏楽部が再来
【動画】淀川工科高校吹奏楽部のたそがれコンサート=大蔦幸撮影 大阪・西成の日雇い労働者のために年に1度開かれる「たそがれコンサート」が3年ぶりに帰ってきた。演奏するのは、大阪府立淀川工科高校の吹奏楽部。「どんな演奏会よりも大切で、世界一の舞台です」。顧問として長年指導し、昨年12月に亡くなった丸谷明夫さんが、何よりも大事にし、愛した舞台でもある。 7日夕方、少しずつ暗くなっていく三角公園に、大勢の観客が待っていた。首からタオルをさげた人、地面に敷かれたゴザに寝転びながら待つ人もいた。 午後6時15分。真っ白なジャケットを着た淀工吹奏楽部が登場すると、大きな拍手が湧いた。ファンファーレの音が鳴り響き、にぎやかな音楽が流れ出す。「カーペンターズ・フォーエバー」を響かせ、お次はピンクレディーなどのヒットメドレー。軽快な音に「うまいぞ~」「よかった」と観客から次々と声が飛ぶ。アンコールも入れ、約1時間超で幕を閉じた。 コロナ禍で3年ぶりの開催となり、どの部員にとっても初めて経験する「たそがれコンサート」だった。 フルートの井神日菜歌(ひなた)さん(3年)は、ずっとこの舞台を楽しみにしてきた。「人の心に響く演奏がどんなものか、感じることができた」と話す。 西成区出身だというクラリネットの西田優祐君(3年)は、特別な気持ちで臨んだ。「喜んでいるお客さんの顔や反応が見られて、この舞台ができてよかった」と笑う。 「たそがれコンサート」は、大阪市西成区のあいりん地区(通称・釜ケ崎)の萩之茶屋南公園(三角公園)で1981年に始まった。淀工は丸谷さんが顧問だったころから、長年出演を続けてきた。 32年前の初演、立ち去らなかった観客 今年、淀工の出演が30回目の節目を迎えた。コンサートを主催する西成労働福祉センター(大阪市西成区)と共催の大阪府が、淀工に感謝状を贈った。 淀工の舞台に初回から関わる西成労働福祉センター総務課長の松井環さん(57)は、思い出がある。 初回の出演になるはずだった… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
利根川河川敷に軽量飛行機が墜落、男性を搬送 1人で操縦か 群馬
2022年9月10日 13時18分 10日午前10時5分ごろ、群馬県玉村町の利根川河川敷で「飛行機の墜落事故が起きた」と、目撃した男性から110番通報があった。県警によると、エンジン駆動の軽量飛行機が墜落し、操縦していたとみられる男性が前橋市内の病院に搬送された。けがの程度は不明。ほかにけが人は確認されていないという。 県警によると、飛行機には損傷があるものの、炎上はしていない。男性は1人で乗っていた可能性が高く、確認を進めている。県警は墜落の原因や飛行経路を調べている。 現場は玉村町と同県伊勢崎市を結ぶ五料橋の近くで、利根川右岸の河川敷。県警によると、墜落現場から土手を隔てて住宅があるが、同日午後0時半までに近隣住民や家屋などへの被害の通報は寄せられていない。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
複数の車にはねられたか 28歳男性死亡、ひき逃げ事件で捜査 茨城
西崎啓太朗2022年9月10日 13時23分 10日午前2時55分ごろ、茨城県龍ケ崎市小通幸谷町の県道を走っていた軽乗用車の運転手から、「道路に横たわっていた男性をひいてしまった」と110番通報があった。竜ケ崎署によると、男性は同市佐貫町、会社員高崎拓磨さん(28)で全身を強く打っており、約2時間後に死亡が確認された。 同署によると、現場の手前から別の車両に引きずられたような痕跡が残されていた。軽乗用車が通る前に別の車が高崎さんをはねて立ち去った可能性が高いとみて、同署はひき逃げ事件として捜査している。 現場は片側1車線の直線道路で、歩道もあった。近くにはショッピングモールがある。(西崎啓太朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
初めて日本で言われた「助けて」 留学生は漫画の場面を思い出し…
浴室で動けなくなっていた高齢男性が、通行人による通報のおかげで事なきをえる。そんな救助劇が、京都府宇治市で6月にあった。通報したのはベトナム人留学生の男性。「とっさに対応できない日本人もいる。勇気ある行動」として、消防署から感謝状を贈られた。 留学生はグエン・バン・ドックさん(23)。奈良市の専門学校で、IT(情報技術)を学んでいる。 首都ハノイの南にあるフンイエンで生まれ育ち、中学生のころからドラえもんやドラゴンボールなどのアニメで日本文化に興味を持ってきた。「ルールに厳しい日本の会社で自分を成長させたい」と、2018年に来日。日本語は京都市の語学学校で2年間学んだ。 その日は夕方にスーパーで買い物をして、宇治市伊勢田町の自宅へ自転車で帰る途中だった。近所の家の前で、おばあさんがこう言っているのが聞こえた。 「助けてください」 日本人から「助けて」と言われたのは初めて。驚いたが、そんな場面は日本の映画やマンガで見たことがあった。 「何があったんだろう」。心配しながら、おばあさんに案内されて一緒に家の中へ。すると、夫で80代のおじいさんが風呂場で座ったまま動けなくなっていた。呼吸も弱々しかった。 「何とかしないと」と、すぐにスマートフォンで通報した。救急車を呼ぶ方法(119番通報)は覚えていなかったが、110番はスマホに登録していた。 念のため、スマホに登録していた「A警察」 「どんな国でも災害があるし… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全数把握の簡略化、いったいどうなのか 「第8波」に耐えられる?
新型コロナウイルス感染者の全数把握を簡略化する取り組みに9日、三重、長崎の両県が加わった。宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県では簡略化から1週間が経ち、現場からは事務負担の軽減に歓迎の声が上がる。26日には全国一律での移行が予定されており、重症化リスクが低いと判断された患者をどのようにフォローしていくかが課題だ。 簡略化では、これまですべての患者で求められていた発生届の対象が、65歳以上の人、重症化リスクがある人などに絞られた。大部分の自治体で発生届は感染者全体の2割ほどになり、感染者が減ってきたこともあって、医療機関や保健所の負担は大幅に減ったという評価が目立つ。 「ものすごく楽になった」 仙台市にある草刈耳鼻科の草刈千賀志院長(60)は「発生届の入力作業がものすごく楽になった」と話す。届には連絡先やワクチンの接種歴などが必要で、国のシステムに入力するのに1件で5分ほどかかり、1時間以上を費やす日もあった。見直しで年代別の人数を打ち込むだけになり、すぐに終わるという。 茨城県南部の9市町村を管轄… この記事は有料記事です。残り1072文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
食べるため?ヌートリアを捕獲した疑い ベトナム人の男を逮捕
ネズミの仲間・ヌートリアを狩猟期間外に捕獲したとして、愛知県警は9日、ベトナム国籍の派遣社員ズオン・タィン・ズン容疑者(39)=同県西尾市吉良町=を鳥獣保護法違反の疑いで逮捕・送検したと発表した。「捕まえたことに間違いないが、(狩猟期間外だったことは)知らなかった」と容疑の一部を否認しているという。 生活経済課によると、ズオン容疑者は3月ごろ、同県豊川市内の河川敷で箱わなを使ってヌートリア1匹を捕獲した疑いがある。県が定める狩猟期間は毎年11月15日~翌年2月15日で、3月は捕獲が禁止されていた。狩猟に必要な免許なども得ていなかったという。 ズオン容疑者は、ヌートリア… この記事は有料記事です。残り188文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旧統一教会から香川県社協に90万円の寄付金「バザーで集めたお金」
2022年9月10日 10時07分 香川県社会福祉協議会が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の県内組織「家庭教会」から、今年1月までの3年間に計約90万円の寄付を受けていたことがわかった。 県社協によると、寄付があったのは高松、高松西、観音寺の各家庭教会からで、2019年4月~22年1月までの計8回。いずれも「バザーの売上金を社会福祉事業に使ってほしい」と申し出があった。寄付の実績は広報誌にも掲載したという。 また、高松家庭教会は2019年度から県社協の賛助会員にもなっている。県社協は「現在の、様々なトラブルが報じられている段階では、寄付の申し出があっても受け取りは控える方針だ」としている。 丸亀市と高松市の社協にも同様の寄付があった。丸亀市社協は丸亀家庭教会から計約88万円(19年3月~22年5月の計8回)、高松市社協は高松西家庭教会から計約18万円(20年2月~22年4月の計3回)を受け取ったという。丸亀市社協はホームページ上で寄付を受けたことを掲載していたが、関係を懸念する声が市民から寄せられ7月末に削除した。両市の社協はいずれも「今後は寄付の申し出があってもお断りしたい」としている。 県内の家庭教会の担当者は取材に対し、「地域貢献のためのバザーで集めたお金で、『地域のために使ってもらいたい』ということで寄付した」と説明した。一方で、バザーの内容などについては「取材には東京の本部で一括して対応しているため答えられない」と話した。教団(東京)の広報担当者は取材に「全国に教会は多数あり、ひとつひとつは把握していない」と答えた。 旧統一教会問題 2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の問題に注目が集まっています。特集ページはこちら。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
統計不正、違法性を認定 東京地検、国交省職員5人の起訴は見送り
国土交通省による基幹統計の不正問題で、東京地検特捜部は9日、統計を書き換えて二重計上したとして統計法違反容疑で告発されていた国交省職員5人を不起訴処分(起訴猶予)としたと発表した。特捜部は同法違反の成立を認定したが、5人が「(統計の)過大計上に気づき正常化しようとしていた」ことなどを考慮したと説明した。 告発した市民団体の代表は「統計結果を改ざんしたのに職員が不起訴になったのは納得できない」とコメントし、不起訴を不服として検察審査会に審査を申し立てる意向を示した。 国の基幹統計である「建設工事受注動態統計」をめぐる不正は昨年12月15日に朝日新聞が報道して発覚。市民団体は告発状で、職員らが2020年1月~21年3月、建設業者が提出した調査票の受注額の数値を書き換えて二重計上し、統計を「真実に反するもの」にしたと主張していた。 告発を受理し捜査していた特… この記事は有料記事です。残り264文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
河井夫妻事件の元広島県議、28日に初公判 公民権の停止期間が焦点
福冨旅史、新屋絵理2022年9月10日 7時00分 2019年参院選をめぐる買収事件で、河井克行元法相(59)=有罪確定=から現金を受け取ったとして公職選挙法違反(被買収)の罪に問われた元広島県議、宮本新八被告(63)の公判が28日、広島地裁で始まる。正式裁判が見込まれる議員ら12人のうち、公判が開かれるのは初めて。宮本被告は起訴内容を認め、公民権の停止期間を短くするよう求める方針。 河井夫妻の買収事件で、検察は被買収側の議員ら100人全員を不起訴処分とした。だが、うち35人を「起訴相当」とする検察審査会の議決を踏まえ、再捜査の末、9人を正式起訴した。略式起訴され、略式命令を受けた25人のうち、宮本氏ら3人が正式裁判を求めたため、計12人の公判が開かれる見通しだ。 宮本氏は、案里氏(48)=同=を当選させるため、克行氏から現金50万円を受け取ったとして今年3月、罰金25万円、追徴金50万円の略式命令を受けた。確定すれば公民権は原則5年間停止されるが、県議選は通常4月に投開票されるため「23年と27年に予定される選挙に立候補できず、実質的に9年間活動が制限される」として停止期間を短くするよう情状酌量を求めるという。 正式起訴された9人は、買収の成立を争うなど無罪を訴える見通し。公判前に証拠や争点を整理する手続きが一部で始まっている。(福冨旅史、新屋絵理) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル