有料記事 中沢滋人、長谷川潤2022年10月21日 21時30分 夢に出てきた息子は、いつもと変わらぬ笑顔だった。いとおしかった。忘れたくない。 そう思った。 北海道十勝地方の男性(50)は、夢で見た内容を緑色のA5判ノートに記録している。登場するのは、7歳になる息子と、別れた妻だ。 半年前の4月23日、2人は北海道・知床半島沖で沈没した観光船「KAZUⅠ(カズワン)」に乗船していた。2人の行方はいまもわかっていない。 初めて、夢の内容を記したのは8月22日だった。 「○○(息子の名前)の夢を見た。クワガタにはさまれてたすけてあげた夢だった」 ノートに1行半。覚えている内容を書きつづった。 翌23日、今度は元妻の夢を記した。 「△△(元妻の名前)の夢を… この記事は有料記事です。残り1514文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旅客船に救命いかだ搭載を義務づけへ 最低水温10度未満の水域で
角詠之2022年10月21日 21時39分 北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省は21日、最低水温が10度未満の水域(河川を除く)を航行するすべての旅客船について、救命いかだの搭載を義務づける方針を固めた。 今回の事故当時、知床沖の水温は2~3度だったとされる。国交省によると、10度未満の水温では水に落ちた直後に意識不明に陥る可能性が高いという。 そのため、5年平均の水温で、旅客業の営業期間中に最も低い水温が10度未満だった場合は救命いかだの搭載を義務づける方針。10~15度、15~20度の水温でも一定の条件によっては義務づけられる。 また、これまで「届け出制」だった事業者の一部を「登録制」に改め、事業停止などの行政処分の対象とした。船内で保管されていた旅客名簿については、陸上で管理することに加え、これまで備え付けの対象とされなかった船舶についても航行時間や航路によっては対象とすることを決めた。(角詠之) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
五輪マスコットで実態ない「販売促進」契約か 色、形…条件の緩和も
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、公式マスコットのぬいぐるみを製造・販売した「サン・アロー」が、大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕=のゴルフ仲間が代表だった休眠会社と、ぬいぐるみの販売促進を名目にした業務委託契約を結んで約700万円を送金していたことが、関係者への取材で分かった。 東京地検特捜部は、休眠会社に業務実態はなく、委託契約を装って高橋元理事への賄賂という意図を隠したとみて調べている。 関係者によると、サン・アローは2017年秋、大会マスコットのぬいぐるみのライセンス契約を組織委に申請した。同社の前社長や社長は18年3月に高橋元理事のコンサル会社「コモンズ」を訪れるなどし、契約の後押しを依頼した。 翌4月、サン・アローは高橋元理事のゴルフ仲間の知人が代表だった休眠会社と、業務委託契約を締結した。名目は販売促進で、ぬいぐるみの売り上げに応じて一定の手数料を支払う内容だったという。 同年6月、サン・アローは組織委とライセンス契約を結び、翌7月から「ミライトワ」「ソメイティ」のぬいぐるみ発売を始めた。休眠会社には同年10月~21年4月に計約700万円を送金し、特捜部はこれを元理事への賄賂と認定した。 ミライトワ&ソメイティ 色、形に可愛らしさも…厳しい審査条件 サン・アロー側は、ぬいぐる… この記事は有料記事です。残り457文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高浜4号機の原子炉起動を延期 運転再開は未定に 関電「弁に異常」
佐藤常敬2022年10月21日 21時39分 関西電力は21日、定期検査中の高浜原発4号機(福井県高浜町)について、同日中に予定していた原子炉の起動を延期したと発表した。炉の圧力を下げる装置に異常が見つかったためという。4号機は6月から定期検査に入っており、11月中旬に営業運転を再開する予定だったが、新たな再開時期は未定としている。 関電によると、21日午後4時35分ごろ、炉内の圧力が高くなり過ぎた時に圧力を下げる「加圧器逃し弁」の温度が規定値を超えたことが感知されたという。(佐藤常敬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
文系の大学4年生は勉強していない? 国が調査結果を発表
授業への出席も少なく、卒業研究の時間もそれほど長くなく、授業以外の学習時間も少ない――。文系学部の大学4年生の、そんな傾向が、国の調査で明らかになった。 調査は、文部科学省と国立教育政策研究所が共同で行った「全国学生調査」。今年1~2月、大学生に授業の満足度や学習時間をたずねた。2019年に続いて2回目の試行調査で、尋ねたのは全60問。2年生と4年生(6年制では6年生)が、スマートフォンなどで回答した。582校約95万人から回答を得た。 4年生に1週間の授業出席時… この記事は有料記事です。残り712文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
八尾空港で訓練中の小型機に重大インシデント 滑走路に接触で擦過痕
2022年10月21日 23時26分 国土交通省は、八尾空港(大阪府)で訓練をしていた民間の小型機セスナ式172S型の機体後部に擦過痕が見つかった、と21日発表した。着陸時に地面に接触したとみられ、国交省は深刻な事故につながりかねない「重大インシデント」にあたると認定。運輸安全委員会が航空事故調査官2人を指名した。 国交省によると、小型機は民間航空会社「朝日航空」の所有。操縦士ら2人が乗り18日正午ごろ、八尾空港の滑走路で離着陸を繰り返す「タッチアンドゴー」の訓練をしていたという。ついた傷が機体内部まで影響を及ぼすものだったことから、重大インシデントにあたると判断した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佐世保同級生殺害、岡山金属バット事件も 少年事件記録廃棄、各地で
1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の記録を神戸家裁が廃棄していた問題で、ほかにも注目を集めた少年事件の記録が廃棄されていたことが、各地の家裁への取材でわかった。 長崎家裁は、長崎県佐世保市の小学校で2004年、6年の女児(当時11)が同級生の首をカッターナイフで切って殺害した事件と、03年に長崎市で中学1年の少年(当時12)が家電量販店で幼稚園児を誘拐し、体をハサミで傷つけたうえ立体駐車場から突き落として殺害した事件について、全ての記録を廃棄していた。 佐世保市の事件で加害者として補導された女児は精神鑑定の後、長崎家裁佐世保支部の審判で、児童自立支援施設に送致する保護処分が決定した。長崎市の事件でも、補導した少年に対する精神鑑定の後、長崎家裁が児童自立支援施設に送った。 最高裁は、少年事件の記録の保存期間を「少年が26歳に達するまでの期間」と定めている。一方、「世相を反映した事件で史料的価値の高いもの」「全国的に社会の耳目を集めた事件」などは、保存期間経過後も廃棄しない「特別保存」の対象としている。 長崎家裁によると、長崎市の事件は18年3月、佐世保市の事件は19年2月に廃棄したという。「特別保存」の対象だったかどうかや、事件記録に含まれていた資料の詳細などはわからないといい、経緯を調べている。 岡山家裁では、岡山県立高校3年の少年(当時17)が00年、金属バットで野球部の後輩4人を殴ってけがをさせた後、自宅で母親を撲殺した事件の記録が廃棄されていた。家裁は廃棄の経緯は「わからない」としている。 この少年は「刑事処分が相当」との意見を付けて家裁送致されたが、後輩から嫌がらせを受けていた背景などが考慮され、家裁は特別少年院に送る保護処分とした。対人関係を築く能力に乏しく、感情表現が不得意なことなども要因に挙げられた。 愛知県でも、豊川市で00年… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
関西電力元役員らの再捜査、期限延長へ 大阪地検特捜部
浪間新太、堀之内健史2022年10月21日 22時44分 関西電力元役員による報酬の減額補塡(ほてん)や金品受領などの問題で、検察審査会の議決を受けて再捜査している大阪地検特捜部は、森詳介元会長ら元役員3人に対する再処分の期限(11月1日)を延長し、捜査を続ける方針を固めた。関係者への取材で分かった。 検察審査会法では、検審で「起訴相当」の議決が出た場合、検察は議決書の送付から原則3カ月以内に起訴や不起訴の処分をするよう定めている。ただ、最長3カ月、延長できる。特捜部は、元役員から任意で事情を聴くなどの捜査を進めてきたが、刑事責任を問えるかをさらに検討する必要があると判断したとみられる。 「起訴相当」と議決されたのは、森元会長のほか、八木誠前会長、岩根茂樹元社長。原発立地自治体の元助役(故人)側からの金品受領が発覚した豊松秀己元副社長に対し、退任後に追加納税分を補塡する支払いを行った会社法の特別背任などの疑いで告発された。特捜部は昨年11月に不起訴処分(嫌疑不十分)としたが、大阪第二検察審査会が今年7月、「起訴相当」の議決を出していた。(浪間新太、堀之内健史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
握りずしを一緒に食べ、握手でお別れ… 死刑執行の「事前告知」
2日前に死刑の執行を告げられた死刑囚と拘置所長らの67年前のやり取りを収めたテープの記録が21日、大阪地裁の民事裁判に証拠提出された。国に損害賠償を求めている死刑囚2人は、提出した記録などをもとに「事前告知をしても問題はない。当日に告知している現在の運用は憲法に違反する」と訴える。 テープは1955年、大阪拘置所長が録音した。2日前に執行を告知し、「送別お茶の会」や「送別俳句会」を開催。死刑囚が姉と面会し「笑って別れましょう」と伝えた後、絞首刑を執行したとみられる音声などが収められている。法務省は「このテープ以外に、告知から執行までを録音したようなケースは承知していない」としている。 原告側は、不服を申し立てる時間を与えず、最後の別れもさせない当日の告知は「適正な手続きによらなければ刑罰を科されないと定めた憲法31条に反する」などと主張。国側は、遺体や遺品の扱いをめぐる意向確認などのために告知しているだけで、死刑囚には告知を受ける法的な権利はないと反論。原告の請求を退けるよう求めている。(阿部峻介) 窓越しに「先ほどお召しの通知」 原告側は、テープに録音された事例のほか、執行前日までに告知した事例が4件あると主張している。 最も古い71年の事例は執行… この記事は有料記事です。残り687文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【詳報】知床の観光船事故、乗客家族らがオンライン会見で語った憤り
北海道・知床半島沖で4月、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故をめぐり、乗客の家族らが20日夜に、初めてオンライン会見を開きました。行政の責任、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長に対する憤りを語った会見の要旨は以下の通りです。 【桂田社長の対応】 事故直後の謝罪会見以降は、桂田氏から直接連絡が来ることもない。個別の謝罪も受けていない。その後、弁護士に事故対応を依頼した後は、一切表に出てくることはなく、担当弁護士を通さなくては私たちも連絡を取れない状態。また、各メディアからの取材に対しても逃げ回り、説明責任を果たさない態度は、稚拙で誠意のない対応であると感じている。このような対応に、私たち家族は非常に遺憾に思っている。 個別の謝罪を依頼してから、数カ月が経った。桂田氏の弁護士からは、事故原因が判明していないことや、まだ行方不明者がいることを理由に、謝罪の時期を調整しているとの返答で先延ばしにされている。いまだに個別の謝罪にはいたっていない。 また一方で、誠意のない桂田氏からの謝罪を望まないご家族もいらっしゃる。今回のような事故を起こした会社の代表者は、事故被害者の家族に対して謝罪の意思があることを直接伝え、これからどのように対応していけばよいのかを考えていく責任があると思う。そして、公の場に出てきて真実を明らかにすることこそ、が人として誠意を見せる唯一の方法ではないか。桂田氏には、事故が起きた原因が自分自身にあることを真摯(しんし)に受け止めていただき、事故被害者およびその家族に対して誠意ある謝罪をし、生涯をかけて償っていく覚悟を持っていただきたい。 お願いになるが、メディアの皆さま方の力を借りて、桂田氏に今の気持ちをそして真実を語ってもらう場所を、どうかつくっていただけないかと思っている。 【行政の責任】 船の運航会社「知床遊覧船」に重大な責任があるというのは明白だとは思うが、会社にばかり責任を押し付けて、本来、その会社を監督しなければならない国の責任を忘れてはいけない。 まず、国土交通省が業務委託している日本小型船舶検査機構(JCI)の責任について。通信手段に関して、船舶安全法では、常に直接陸上との間で船舶の運航に関する通信を行うことができるものに限ると規定されている。(だが、知床遊覧船の)衛星電話や無線は両方とも壊れていた。船底の水路、水密隔壁の強度検査をしていないといった旅客船に対する検査が非常に甘く、人命軽視の検査体制でやっていた。 国交省の管理監督責任について。JCIに検査業務を委託している以上、検査のルールを確認して不足があれば修正させる必要があったにもかかわらず、そのルールの内容を全く把握していなかった。当然、抜き打ちで検査に立ち会うことをするはずもなく、全て任せきりで、全く管理監督していなかったという実情があった。 (知床遊覧船は)昨年2回事故を起こしており、特別監査を実施しているにもかかわらず、一時的に業務停止するなどの措置を講じなかった。安全を守る監督官庁として責任重大であると考える。エラーチェーンを断ち切ることができなかった。 救難救助体制の空白地帯であったにもかかわらず、見直しが図られてこなかった。再発防止の観点から事故後の検討委員会で多くの改善見直しがされているけれども、裏を返せばこれまで何もやってこなかった、放置していたということを露呈した形になっていると思う。 検討委員会で改善が図られて、どんなに立派で厳しいルールを作り上げても、それを作成することが目的ではなくて、そのルールが守られて、それが適切に運用されることが重要。国交省に管理監督の責任を果たしてもらって、我々みたいに、悲しい思いを生涯するような人がこれから出ないように祈っている。 【行方不明者の捜索】 海上保安庁ボランティアの皆さま、北海道警、漁業関係者その他、捜索に携わってくださっている皆さまには、大変感謝している。海保の皆さまには、事故発生時から縮小はあったが、これまでずっと捜索を続けてくださっていることを本当に感謝している。また、捜索ボランティアの皆さまには、これまで6回にもわたり、捜索してくださったこと、本当にありがたく言葉にならない思いです。 ボランティアの皆さまのおかげで、被害者の方がさらに数人家族の元に帰ることができた。そのことをきっかけに、海保や道警が集中捜索を何度かやってくださり、そして先日、また1人被害者の方が家族の元に帰ることができた。 海保や道警の方たちでさえ、うかつには近寄れない場所。何の知識装備もない私たち被害者家族が捜索することは不可能に近い。探しに行きたい。この手で見つけてあげたい。この手で連れて帰ってあげたいと、どんなに思ってもどうすることもできない場所で、私たちの家族は消息を絶った。今後もどうか捜索を継続してくださいと、お願いするしかない。 被害者家族も人生が根こそぎ変わった。大切な家族をこのような凄惨(せいさん)な事件で突然奪われ、地獄のようにつらい毎日。この先、どんなに時が経っても、自分たちのかけがえのない家族の命が軽視され、奪われたという悲しみは一生消えることはない。 今回の合同会見をするにあたり、行方不明者の家族、数人の方からも気持ちを伺った。つらすぎて現実を受け止めきれず、今まで自分の気持ちを話せなかった。初めて、自分の気持ちを書いたとメッセージをくれた家族もおられた。何も手がかりが見つかっていなくて本当に寂しいが、家族が元気に帰ってきてくれると今でも信じている。 今の捜索は結果が出ている。どうか、残りの行方不明者全員が見つかるまで、捜索を継続していただきたい。陸上や沿岸部などより、一層捜索態勢の強化をどうかお願いいたしたい。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル