取材の待ち合わせ場所にやってきたのは、日焼けした70代の男性だった。 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)で40年以上、信仰にもとづいて献金を続けてきたという。 「人生を否定するのが怖くて、後悔しているとは言えません」 30代で会社を経営していた1980年ごろ、先に信者になっていた妻の影響で入会した。 今も、屋外での週3回のアルバイトで献金を続け、約40年間の総額は1億円近い。 信仰のきっかけは、教団や友好団体の政治姿勢への共鳴だった。当時、世界は旧ソ連や中国など共産主義勢力が拡大を続け、日本までも共産主義に乗っ取られるという危機感が男性にはあった。 そんなとき、共産主義と対峙(たいじ)するという「勝共運動」を訴えた教団日本教会の久保木修己・初代会長の演説に心打たれた。 「左翼と戦うには統一教会しかない」 教団の問題をきっかけに被害者救済新法が成立しました。今後は解散命令請求をめぐる政府の動きが注目されます。そんな中、教団の現役信者が朝日新聞の取材に応じました。教団への不信感と信仰心のはざまで揺れる思いを聞きました。 日本と朝鮮半島を海底トンネ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「『救済新法』は誇大表示」 消費者法の第一人者が語る期待と注文
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を踏まえ、悪質な寄付の勧誘を規制する新しい法律が10日、参院本会議で可決、成立しました。消費者法の第一人者で、元国民生活センター理事長の松本恒雄・一橋大名誉教授はこれまで手つかずだった問題に切り込んだ点は評価しつつ、メディアが使う「被害者救済新法」という呼び名には異を唱えます。新法の評価と今後の課題を聞きました。 ――まず、内容をどのように評価しますか。 「従来は野放しだった寄付を法律で規制したのが新法のポイントです。宗教団体に限らず、寄付を集める団体に共通のルールを設けたのは大きな前進です。一方で、懸案だったマインドコントロール下の寄付が救済対象になるかは不透明なままであるなど、被害の回復に役立つかどうかは疑問が残りました。全体の評価は期待を込めてですが、ぎりぎり及第点の60点です」 ――「規制」と「被害救済」の二本柱のうち、救済が弱いのですね。 「寄付を取り消すことができる禁止行為として定められたのは、霊感商法的な手法などで相手を『困惑』させる類型が消費者契約法から一部コピーされただけです。困惑とは、どうしてよいかわからない状態、精神的に自由な判断ができない状況という意味です。勧誘する者の勧誘行為の結果として困惑させられる場合を念頭においています。すでに困惑している状態につけ込んで寄付をさせるだけで、新たに困惑させるわけではない場合には適用できないので、救済の対象が狭いと感じます」 「教団の場合も最初に勧誘を受けた時は困惑しているかもしれませんが、どこかの段階で勧誘行為の結果としての困惑状態はなくなってしまう。それどころか自ら進んで寄付をする。こうしたケースが救済できるかは怪しい」 「規制新法」の方が正しい ――高額な寄付によって家計が破綻(はたん)し、家族が困窮する深刻な問題もあらわになりました。政府・与党は、同じ家族といえども本人の自己決定権や財産権を侵してはならないという立場から、限定的な救済の制度を設計しました。 「子どもや配偶者が養育費などを受け取れる範囲で取り戻せる仕組みですが、たとえば両親が信者の未成年の子どもが裁判を起こすのは実際は難しい。また、取り戻せたとしても金額はたいした額ではありません。家族の救済につながるか疑問です」 「マスコミは『救済新法』と… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
名古屋刑務所の受刑者「職員に不満」 外部委が3月に指摘 暴行問題
仲川明里2022年12月10日 20時48分 名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官による暴行問題で、刑務所の運営をチェックする「刑事施設視察委員会」が3月、職員の言動や応対について受刑者の不満が相当数みられると指摘していたことがわかった。刑務所側は「不当な対応はなかった」と答えたが、実際には2021年11月上旬~今年8月下旬に刑務官22人が受刑者3人に暴行を繰り返していた。刑務所側の当時の対応の是非が問われそうだ。 視察委は刑事収容施設法にもとづき全国の刑事施設に設置され、弁護士や医師らで構成。法務大臣は視察委が施設トップに指摘した問題点などを毎年公表することになっている。 9月に公表された報告書によると、同刑務所の視察委は3月16日、職員の応対への不満の中には「職員の具体的な氏名を指摘するものが複数みられた」などと指摘。刑務所側は内部調査の結果「収容者への不当な言動や対応などはなかった」と回答したが、視察委は内部調査では限界があると問題視。第三者による調査など一定の対策を講じるよう所長に求めた。 これに対し、刑務所側は「人権に配慮した応対を行うよう説示していく」といった措置を講じるとした。 だが、今回の暴行は視察委による問題指摘後も続いたことになる。 名古屋刑務所では01~02年に受刑者が死傷する事件が発生。これを受けて視察委の設置を定めるなどした刑事収容施設法が06年に施行された。昨年度は全国の視察委が408件の意見を出した。(仲川明里) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被害児の父「納得いかない」 保育士2人が暴行容疑、園が保護者会
有料記事 大谷秀幸、川辺真改2022年12月10日 21時00分 富山市の私立認定こども園「本郷町保育園」で勤務していた20代の女性保育士ら2人が、園児に虐待とみられる行為をして県警に暴行容疑で書類送検された事件を受け、園は10日、保護者会を開いた。保護者ら約60人が出席、園側が事実関係などを説明し、謝罪した。出席した保護者からは園の対応などについて怒りや批判の声も上がった。 説明会は保護者からの質問などが相次ぎ、3時間近くにわたって続いた。終了後、取材に応じた30代の女性は「いつまでに何をするのかを尋ねても、園長が謝るだけ。あきれています」と憤った。 2歳の息子が保育士から被害を受けたという30代の父親は、「今日の対応が悪くて転園を考えている」と語った。父親は防犯カメラの映像を見たといい、息子は保育士に椅子をひかれて転倒。泣き続けたが、その場に放置されたといい、「園側は暴行じゃなかったと説明するが、納得がいかない」と語気を強めた。園長退任を求める声も出たという。 別の保護者によると、転園希望の声が多く出され、園長が市に対応を確認する意向を示したという。 風間宣夫園長は今回の原因に… この記事は有料記事です。残り305文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学校は郡山大島A、高校は郡山Aが1位 福島声楽アンサンブルコン
少人数編成で歌声を競う第39回福島県声楽アンサンブルコンテスト(福島県合唱連盟、朝日新聞福島総局主催)が10日、福島市のふくしん夢の音楽堂で始まった。小学校の部では郡山市立大島A、高校の部では郡山Aが、それぞれ1位に輝いた。 小学校の部には8団体が出場した。大島小は、同部門で1位となった2018年以来4大会ぶりの参加。出場した2グループのうち14人のAグループが栄冠に輝いた。15人で臨んだBグループも3位だった。 高校の部には38団体が出場した。10月の全日本合唱コンクールで2位だった郡山は3年生が引退し、代替わりして臨む初めての舞台。混声13人のAグループと、女声13人のBグループに分かれて出場し、混声のAが1位、女声のBが3位に入り、高い演奏技術を発揮した。郡山Aは来年3月に同音楽堂で開催される全国大会に推薦された。 11日には中学校の部と、一般の部がある。 小学校の部、高校の部の入賞団体は次の通り。 【小学校の部】金賞=郡山市立大島A、いわき市立平三B、郡山市立大島B▽銀賞=いわき市立平三A、郡山市立柴宮▽銅賞=相馬市立桜丘、西郷村立小田倉、白河市立白河一(銅賞は出演順) 【高校の部】金賞=郡山A、埼玉栄、郡山B、会津A、日大東北、会津B▽銀賞=安積、郡山東、橘B、郡山女子大付属、橘A、いわき総合A、いわき総合B▽銅賞=葵、福島、いわき光洋、須賀川創英館、会津学鳳中・高、会津農林 2グループで出場したいわき市立平三小と、代替わりし、1年生3人だけで臨んだ安達高校を取材しました。 いわき市立平三小「伝えるための歌を歌えた」 いわき市立平三小は、3~6年生の16人が8人ずつA、Bの二つのグループに分かれて出場した。6年生にとって小学校最後の合唱大会で、積み重ねてきた練習の成果を出し切った。 先に演奏したBグループは「… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
救済新法成立でも残る、教団と政治の実態解明 票の差配・政策協定…
臨時国会が10日、閉会した。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題をめぐっては、被害者救済新法が成立。しかし、教団と政治とのかかわりをめぐっては、まだ明らかになっていない点も多い。 「政策協定」実態は 教団の友好団体が国政選挙の際に、自民党国会議員に事実上の「政策協定」にあたる「推薦確認書」への署名を求めていたことが明らかになった。 デジタル兼内閣府副大臣の大… この記事は有料記事です。残り2460文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 旧統一教会問題 2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の問題に注目が集まっています。特集ページはこちら。[記事一覧へ] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
シェパードが通行人かむ 負傷させた疑いで飼い主の暴力団組員を逮捕
山田暢史2022年12月10日 18時34分 飼っていた大型犬が自宅庭から逃げ、散歩中の男性をかんでけがさせたとして、埼玉県警は10日、上尾市上野、住吉会系組員松倉信弘容疑者(68)を重過失傷害の疑いで逮捕し、発表した。「弁解の余地はない」と話しているという。 上尾署によると、松倉容疑者は7月30日、飼っているシェパードが人にけがをさせないようにする注意義務を怠った結果、近くを散歩していた40代男性にかみついて手足に軽傷を負わせた疑いがある。 シェパードはオスで体長約115センチ。松倉容疑者は庭の木と木の間にはった30メートルのワイヤに長さ5メートルのリードをつけて飼っていた。 犬は2021年1月~今年4月に4回、松倉容疑者宅を訪れたり、自転車で近くを通ったりした20~70代の男女4人にかみついてけがさせていて、県警や保健所が注意や指導をしていた。(山田暢史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ゴミ拾いはスポーツだ!! バスケのように「スポGOMI」、渋谷で
2022年12月10日 19時30分 ゴミ拾いをスポーツとして楽しむ「スポGOMI」のルールの一部をバスケットボール仕様に変更したイベント「Bリーグ×スポGOMI in渋谷」(朝日新聞社主催)が10日、東京都渋谷区であった。プロバスケット選手の湊谷安玲久司朱(あれくしす)さんやバスケット系ユーチューバーのすみぽんさんをゲストに、約40人が参加した。 Bリーグと青山学院大が協力。同大学周辺で開催した。3~4人のチームに分かれて前後半計80分間の「試合」を行った。ペットボトルは1kgで400ポイント、燃えるごみは1kgで100ポイントなど拾ったゴミの量に応じたポイント制で競った。 この日は、ペットボトルやたばこなど約30キロのゴミを拾った。湊谷さんは「道行く人に感謝の言葉をかけてもらい、気持ちも上向きました」。すみぽんさんは「植え込みの中やビルの間などに隠すようにゴミが捨てられていた。皆さん捨てないでくださいね!」と呼びかけていた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
世田谷一家など未解決事件、警視庁「必ず犯人を」 情報提供呼びかけ
増山祐史、山口啓太2022年12月10日 20時00分 警視庁は10日、2000年に東京都世田谷区であった一家殺人事件と、02年に江東区であった強盗殺人事件に関する情報提供を事件現場近くで呼びかけた。いずれも未解決のまま20年以上が経った。捜査関係者は「小さな情報でも寄せてほしい」と話している。 世田谷区の一家殺人事件は00年12月31日に発覚。会社員の宮澤みきおさん(当時44)と妻泰子さん(同41)、長女にいなさん(同8)、長男礼君(同6)が自宅で殺害されているのを親族が見つけた。現場には犯人の血痕や指紋、トレーナーが残されていた。 警視庁は延べ29万406人の捜査員を投入して容疑者を追ってきた。今年11月までに1万4139件の情報が寄せられているが、解決には至っていない。10日は成城署員ら約50人が小田急線成城学園駅前などで情報を呼びかけた。同署の早川直敬署長は「多くの情報を寄せて頂くことが事件解決につながる。ささいなことでもいいので、ちゅうちょせずに寄せてほしい」と話した。 事件解決に結びつく情報を提供した人には公的な特別報奨金(上限300万円)と、有志による私的懸賞金(同1700万円)が支払われる。情報は同署捜査本部(03・3482・3829)へ。 20年前には高齢夫婦殺害事件も 江東区北砂7丁目の質店「藤井商店」での強盗殺人事件は、02年12月10日午前10時25分ごろ、同店経営の藤井義正さん(同78)と妻えつ子さん(同74)が自宅兼店舗の1階寝室で頭から血を流して死亡しているのを長男の妻が発見し、発覚した。室内に物色された跡があったという。 10日は捜査員らが夫婦の墓参りに訪れ、情報提供を呼びかけた。城東署の菊次信吾刑事組織犯罪対策課長は「必ず犯人を検挙して(墓前に)報告に来たいと思った。ささいな情報でもいいので提供してほしい」。有力情報の提供者には最高300万円の私的懸賞金が支払われる。情報は同署特別捜査本部(03・3699・0110)へ。(増山祐史、山口啓太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海の中、私を殺そうとした母の手の力 絶望と願いを娘は伝え続けた
広島市の山本信子(38)は亡くなった長女(8)と別れ、教師の夫(39)を捜しに向かった。 夫の学校は全焼。 消息は、臨時の事務所で知らされた。 1年生はあの朝、建物疎開の作業で川岸にいた。 そこから約500メートルの場所に米軍が原爆を投下。 12~13歳の旧広島二中1年生323人と引率教員4人が亡くなった。 その教員の1人こそ、信子が19歳で初めて出会い、あの日の朝、疲れた様子で出勤していった夫だった。 「お母ちゃんもすぐに行くからね」 翌日。信子は、次女の英子(6)と宮島に向かった。 亡くなった長女と別れる際… この記事は有料記事です。残り1466文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル