熊本県の自宅で死産した双子の遺体を遺棄したとして、死体遺棄罪に問われたベトナム国籍の技能実習生レー・ティ・トゥイ・リン被告(23)の上告審で、最高裁第二小法廷は検察側、弁護側の双方の意見を聞く弁論を来年2月24日に開くと決めた。 弁論は二審判決を変えるのに必要な手続き。有罪とした二審・福岡高裁の判断が見直される可能性があり、無罪を主張し続けてきたリン被告の支援者らには歓迎や期待の声が広がった。 被告の弁護人、石黒大貴(ひろき)弁護士は取材に「孤立して死産した直後の混乱の中で、優しさから出た母親の行動を高裁判決は死体遺棄だと認定した。その部分を全面的に見直してほしいと強く思ってきた」と力を込める。 そのうえで「孤立出産で死産してしまったお母さんを死体遺棄罪で追い詰めるようなことがあってはならない。最高裁にはそういう状況での死体遺棄罪の可否を真正面から判断してほしい」と期待をにじませた。 集まった署名は9万人以上「彼女は頑張り続け、道が開けた」 逮捕から数日後にはリン被告… この記事は有料記事です。残り358文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「被害拡大の張本人が動かず、声あげた」 小川さゆりさん、陳述全文
「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の元2世信者で、宗教2世の子どもの窮状などを訴えている小川さゆりさん(仮名)が9日、被害者救済新法案を審議している参院消費者問題特別委員会に参考人として出席し、宗教2世の救済を訴えた。 小川さんは「今回の法案の最大の積み残しの課題は、子どもの被害が現実的には全く救済できないということ」と指摘。その上で、宗教2世の子どもの被害防止救済のために、「来年の国会で宗教的な児童虐待を防止する法案を与野党で協力して成立させるようにお願いしたい」と訴えた。 小川さんら被害者が自ら公の場に出て被害を訴えている現状にも触れ、「自分の経験を話すだけでも深く傷つき、体調を崩しながらも訴え続けてきた。それは被害拡大の張本人の与党側に(積極的な)動きが見られないから、被害者がそこまでやるしかなかったという事実を忘れないでいただきたい。今後は積極的な政府の被害救済に期待いたします」と述べた。 ◇小川さんの意見陳述は以下の通り。 旧統一協会の元2世信者の小川さゆりと申します。本日はよろしくお願いいたします。まだ幼い子どもと家庭がありますので、小川さゆりという名前が実名ではないことをお許しください。 今回、短期間で新法を作り上げてくださった政府、与野党、官僚の皆様に心から感謝いたします。まずは恐縮ですが、私のことについてお話させていただきたく思います。 私の両親は20歳前後の頃、旧統一教会に入信し、合同結婚式で結婚しました。父は元教会長、母は政治面でも教会から出馬した議員の選挙活動を手伝ったり、ウグイス嬢をしたりと、双方がとても熱心な信者でした。私はそこから生まれた2世信者で、現在は脱会しております。 次に両親が信者であったために私が受けてきた被害についてお話いたします。 幼少期から学生時代にかけて、貧しい暮らしを強いられ、親戚からのおこづかい、お年玉をもらっても没収され、親からも当然ありませんでした。誕生日、クリスマスプレゼント、小学校の卒業アルバムなどはお金がないため、買ってもらえませんでした。 服はお下がりで、美容院等へは行かせてもらえず、小学校一年生の頃から見た目のまずさからいじめに遭いました。20歳の成人式にいたっては興味がないと言われ、してもらえませんでした。 両親が親戚中を勧誘したり、お金を要求したり、そのことで怒られているところも見てきました。また、高校生から始めた5年間のアルバイト代約200万円ほどの給与も没収し、一度も帰ってきませんでした。 両親はこのような生活状況にもかかわらず、両親は私たちきょうだいに一切相談なく、教会への高額な献金を繰り返してきました。そういった献金につながる教育は幼少期から強制的に行われていきます。 献金の歌を毎週歌わされまし… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高浜原発で火災 建屋外の海水処理施設 関電「放射性物質漏れない」
小田健司2022年12月9日 19時00分 9日午後3時過ぎ、関西電力高浜原発(福井県高浜町)から「屋外の施設から煙が出ている」との119番通報があり、若狭消防組合消防本部が約30分後、鎮火を確認した。関電や県によると、定期検査のために運転を停止している1、2号機の海水処理施設から煙が出た。原子炉建屋外にあり、冷却用に海から取り入れる水の一部を処理するための設備で、放射性物質の漏洩(ろうえい)やけが人は確認されていないという。関電は「煙が出た原因について、調査を進める」としている。(小田健司) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
和ろうそくが照らす心 ふと立ち止まる炎に向かうひととき
記者コラム 「多事奏論」 大阪編集局記者・河合真美江 大きく背伸びしたかと思うと縮み、また伸びてゆらゆらする。ふふふっと笑うようでもある。と、ジジジと燃える音がする。和ろうそくの炎は勢いよく踊る。 お供えにと友だちからもらい、初めて火をつけた時、力強い炎にとにかく驚いた。時間を忘れ、見入った。この炎はどうして生まれるのか。 和ろうそくのもとは植物。ハゼノキの実から作る木蠟(もくろう)を、トウシンソウの髄や和紙で作った芯に塗り重ねるんだ。1本1本仕上げているんだよ。石油系のパラフィンの洋ろうそくと違う。江戸時代に生産が伸びて、暮らしの灯(あか)りになり、お寺や家の仏壇で使われてきた。今は大量生産できる洋ろうそくやLEDに押されているけど。 訪ね歩いた和ろうそくの店々でそんな話を聞いた。兵庫県西宮市、滋賀県高島市、愛知県岡崎市、石川県七尾市、山形県鶴岡市……。20軒ほどが今もがんばる。 その1軒が埼玉県川越市の「… この記事は有料記事です。残り1121文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「最後の早慶戦」描いた幻の脚本 ウクライナ重ねた81歳監督の視線
第2次大戦下の1943年10月、早稲田・慶応の両大学野球部による壮行試合を描いた映画「ラストゲーム 最後の早慶戦」(2008年公開)。メガホンをとった岐阜市出身の映画監督、神山征二郎さん(81)は撮影用の脚本とは別に、地元の県岐阜商高出身の選手を主人公にした幻の脚本を書いていた。今年、ロシア軍のウクライナ侵攻を目の当たりにして、映像化の思いをより募らせている。 41年12月8日の真珠湾攻撃から2年が経とうとした43年秋。米国の攻勢で日本側の戦局は厳しく、学生への徴兵猶予が廃止された。東京六大学野球も中止となるなか、戦地に向かう選手らを壮行しようと、早稲田・慶応の野球部による対校戦が開かれた。これが「最後の早慶戦」と呼ばれ、早稲田が10―1で慶応を破った。 映画は、敵国発祥のスポーツを愛しながらも祖国のため戦場に赴く学生たちの揺れる心と、「人生最後」になるかもしれない試合の開催に向けて奔走する両大学の関係者の姿を描いた青春群像劇。戦争映画を多く手がける神山さんが監督を務め、俳優・渡辺謙を父にもつ渡辺大が早稲田の選手を演じたほか、藤田まこと、富司純子ら名優が脇を固めた。 クランクインを前に、神山さんは岐阜商(現・県岐阜商)出身で早稲田の主軸として試合に出た近藤清(1920~45)を主人公にした脚本をひそかに執筆した。「同じ岐阜出身ということもあり、近藤選手と、彼の無事を願う女性との悲恋の物語もいいのではないか」と考えたという。 映画「ラストゲーム」は青春群像劇で、近藤役はあくまでも脇役でした。しかし、幻の脚本では近藤の悲恋を描いています。「良い物語が書けた」と、神山さんは脚本を保管してきたといいます。 近藤は岐阜市出身。36年夏の甲子園ではエースの左腕・松井栄造とともに選手権初優勝を果たした。松井の後を追って早稲田に進むと、遊撃手から捕手に転向。六大学秋季リーグ戦の優勝にも貢献した。最後の早慶戦では3番・左翼でプレーし、適時打を放つ活躍をみせた。徴兵後は海軍の特攻隊員に志願し、45年4月28日、南の海に散った。24歳だった。 戦後、近藤の命日になると… この記事は有料記事です。残り729文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本戦の勝敗全部外しても…占い的中率0%のゆるキャラ汚名返上へ
中川壮2022年12月9日 16時00分 【動画】準々決勝の行方を占うサダンディー サッカーワールドカップカタール大会の準々決勝4試合について、愛媛県伊方町のイメージキャラクター「サダンディー」が8日、勝敗を占った。サダンディーはこれまで日本代表に関連する7試合を占ってきたが、全部ハズレで、的中率0%の汚名返上を目指している。 サダンディーは手作りのルーレットを回して、1次リーグは勝ち・負け・引き分けの3択で、決勝トーナメントは勝ち・負けの2択で占ってきた。日本が入った1次リーグE組の全6試合と、決勝トーナメント1回戦の日本―クロアチア戦をことごとくはずした。7試合全てハズレの確率は729分の32だ。 町広報秘書係長の松下洋二さん(38)によると、決勝トーナメント1回戦で日本代表の負けが決まると、かなり落胆した様子だったという。松下さんは「的中率0%が続いてきたなかで日本の勝ちと出してしまい、サダンディーは責任を感じている」と話す。 日本時間10日午前0時から始まる準々決勝4試合の勝敗について、クロアチア、オランダ、ポルトガル、イングランドの勝利と予想したサダンディー。占いの合間にはカズダンスやヒゲダンス、秘技「サダンディー・ターン」などを披露し、各チームにエールを送った。仮に今回も全てはずしたとすると、11試合全てハズレの確率は729分の2となる。 占いは準決勝、3位決定戦、決勝まで続ける予定。サダンディーは松下さんを通じて、「今後もっと占いのパワーをつけて、日本代表が4年後にワールドカップを勝ち続けるために精進していくダンディー!」と、意気込みを語った。 これまでの11試合についての占いの様子を撮影した動画が、YouTubeの伊方町公式「佐田岬チャンネル」で公開されている。(中川壮) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「摘発例なかったから」 商社採用試験のWEBテストでも代行容疑
クレジットカード会社の採用試験で使われるWEBテストを代行受検したとして逮捕された会社員、田中信人容疑者(28)=大阪市北区=が、別の会社のWEBテストでも同様に不正受検したとして、警視庁は田中容疑者を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で再逮捕し、9日発表した。 田中容疑者は調べに「ネットで調べて摘発例がないことがわかったのでやった」と供述しているという。 サイバー犯罪対策課によると、田中容疑者は3~4月、東京都内の女子大学生(22)から受け取った受検IDとパスワードを使い、商社の採用試験に指定されていたWEBテストを受検した疑いがある。WEBテストは通過したが、女子学生はその後の面接試験で落ちたという。女子学生も同日、共犯容疑で書類送検された。2人とも容疑を認めているという。 「代行グループから独立」 田中容疑者は京大大学院に通… この記事は有料記事です。残り347文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
いじめの対応、「教育の中立」はもう「害悪」? 内田良教授に聞く
いじめが後を絶たない中、対応にあたる部署を首長部局に設ける自治体が広がる。中でも大阪府寝屋川市は、独自調査やクラス替えなどを勧告できる権限を与える条例を制定。こうした取り組みは「教育の中立性」の観点からみて、政治の介入に課題は無いのか。学校の事故やいじめ問題に詳しい、名古屋大学の内田良教授(教育社会学)に聞いた。 ◇ ――そもそも教育委員会制度は、かつて政治と教育が一体化して戦争へ突き進んだ反省から、政治が介入しない制度として作られました。寝屋川市の取り組みは、行政による教育への介入と思いますか。 実質的な介入だと思います。独自に学校への調査もできるし、市側から教委へクラス替えなどの勧告もできる。教委側は勧告に従う義務は無いとはいえ、無視もできないでしょう。 ――寝屋川市の広瀬慶輔市長は「介入ではなく校舎の改修などと同じ教育環境の整備だ」と説明します。 ロジックは何とでもなります。コロナ禍で起きた一斉休校の判断も、実質的には政治的な判断でした。しかし建前としては、各地の教育委員会が判断したことになっています。 一方、介入されないことで子どもが危険にさらされるなら、「中立性」は害悪と思います。 ――どういう意味でしょうか。 現状を見れば、とてもではあ… この記事は有料記事です。残り889文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NTT通信ケーブル設備に放火の疑い、男を逮捕 周辺で通信障害も
増山祐史2022年12月9日 12時52分 通信ケーブルが通る地下の設備に放火してNTT東日本の通信に障害を与えたなどとして、警視庁は、無職の男(46)=千葉県船橋市=を建造物等以外放火や有線電気通信方違反などの疑いで逮捕し、9日発表した。男は「覚えていません」と容疑を否認しているという。 捜査1課によると、男は11月20日午後3時10分~同35分ごろ、東京都中央区日本橋本石町1丁目で、通信ケーブルの保守点検のため地中に設置された箱状の設備内に放火し、通信ケーブル6本(計約40万円相当)を焼損させたほか、これにより約16時間にわたって約180回線に通信障害を生じさせた疑いがある。 周辺では固定電話がつながらなくなったほか、インターネットが使えなくなるなどの障害が発生したという。 放火されたのは「ハンドホール」と呼ばれる設備で、通信ケーブルの点検用に地下に設置され、縦60センチ、横120センチ、深さ135センチほどの大きさ。重さ約100キロのふたで閉じられており、表面には穴が開いているという。 同課は、男がその穴からカセットボンベのガスを充満させ、火がついた固形燃料を投げ入れたとみている。この際の爆発で跳ね上がったふたがハンドホール内に落ち込んでおり、周辺にはカセットボンベと固形燃料が残されていたという。 同課は、防犯カメラに男がハンドホール近くでかがむ姿などが映っていたことから、男の容疑を特定したとしている。(増山祐史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「有難う、いづれまた」 引き出し裏に開戦前後の墨書、残した思いは
押し入れを整理していて見つけた、古い小さな鏡台。手入れをするため、四つの引き出しを抜き取ると、その裏や側面には墨で文字が書かれていた。 「中浜定七さん 有難う 松子さん いづれまた 雄滝さん 御氣嫌よう」 「決戰体制」 青森県の大鰐温泉郷にある老舗旅館「ヤマニ仙遊館」の5代目当主、菊池啓介さん(56)は11月下旬、この墨書に気づき、「なぜ、こんなところに?」と驚いた。 文字には、日付やイニシャルも添えてあった。 「2601.1.10.K.N.」 「2601 12.22―23」 戦前に使われていた皇紀とみ… この記事は有料記事です。残り839文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル