古城博隆2023年1月15日 21時23分 高速道路の老朽化対策費を確保するため、国土交通省は、利用者からの料金の徴収期限を最長50年延長して2115年までとする方針を固めた。徴収した料金をトンネルや橋の更新や補修の費用にあてるが、無料開放の時期は大幅に遠のき、見通せなくなった。23日召集の通常国会に関連法案を提出する。 05年の道路公団民営化に伴い、政府は2050年までは料金を徴収して建設費を返済し、その後は無料開放する方針を掲げた。ただ、12年に中央道の笹子トンネルで天井板が崩落する死亡事故が発生。巨額の老朽化対策費を確保する必要が生じ、期限を2065年に延長した。その後も大規模な更新や補修が必要な箇所が次々と判明し、国交省の有識者会議が期限の再延長を求めていた。 料金の値上げや増税に比べて… 一定期間ごとに高速道路各社が事業計画をつくり、更新・補修費用を料金で返済できるかなどを国交省が審査しながら進める方針。同省幹部によると、老朽化対策費の確保をめぐっては、料金の値上げや増税も選択肢になり得るが、「道路を長く使うための投資は、将来世代を含めた受益者で負担するのが妥当」と判断した。ただ、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、国内の人口は2065年に約8800万人、2115年に約5千万人に減少。交通量も減少が見込まれ、徴収期間も長期化せざるを得ないという。 一方、国交省は徴収する料金は、老朽化対策のほか、暫定的に2車線で整備した路線の4車線化など新たな投資にも回す方針だ。(古城博隆) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
共通テスト数学、2人が定規を使用か 全教科・科目の成績無効に
桑原紀彦2023年1月15日 21時46分 大学入試センターは15日、同日に実施された大学入学共通テストの東京都と静岡県の2試験会場で、数学Ⅰ、数学Ⅰ・Aの試験時間中に定規を使ったとして、受験生2人の全教科・科目の成績を無効にしたと発表した。センターは、定規の使用を不正行為と規定している。 発表によると、2人とも定規を使って線を引いているところを監督者が発見した。静岡の受験生は使用を認めたが、東京の受験生は否定しているという。センターは不正行為として、試験時間中の定規、コンパス、電卓、そろばんなどの使用を挙げている。 センターによると、テストの1日目、2日目とも、試験時間中のスマートフォンやタブレット端末の使用は確認されなかった。昨年の共通テストでは、受験生がスマートフォンとイヤホンを使い、外部から解答を得ていた問題流出事件が起きている。(桑原紀彦) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
共通テストの化学と生物、今年も難易度高め? 昨年は平均点過去最低
上野創2023年1月15日 21時58分 大学入学共通テスト2日目の生物と化学。昨年、平均点が過去最低で、問題量の多さが指摘されていたが、今年は? 大手予備校の分析やSNSの反応を見ると、今年も読解力や分析力などが問われる問題が多く、難易度は低くはなかったようだ。 今年の生物について、代々木ゼミナールは「文章量の多い実験の説明や、長い文章の選択肢など、昨年に引き続き相応の読解力が必要な問題が随所にみられた」と講評。「選択肢が絞りやすく取り組みやすい問題があった一方で、読み取る文章が長く解答に時間を要する問題もみられた」と分析した。 化学について、河合塾は「全範囲からまんべんなく出題された。与えられた条件や図・グラフを正確に読み取り、計算も交えて分析する力を試す問題が多く、問題の情報と知識を組み合わせて判断する力が重視された」と解説した。 SNS上では受験生から「生物やばいわ」「化学が壊滅的」など、両教科が「難しかった」という感想がいくつも出ていた。 昨年の生物の平均点は48・81点と、前年より23点以上低く、化学も47・63点で前年より約10点低下した。 大学入試センターの外部評価分科会は昨年、生物と科学の両科目の問題の難易度を「ある程度適切」と評価したものの、生物については「個々の問題についての難易度は適当であったが、問題の文量が多すぎたため、思考する時間が十分に確保できなかったのではないかと懸念される」としていた。化学についても「一定数の受験者にとってすべての問題を時間内に解答することは難しい構成であった」とし、「他の科目と平均点に差があり、科目間の難易度の調整をお願いしたい」と注文も付けていた。(上野創) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
恋愛成就の願い ろうそくに込めて 岐阜・飛驒で「三寺まいり」
山下周平2023年1月15日 22時00分 恋愛成就を願う岐阜県飛驒市の伝統行事「三寺まいり」が15日、市中心部であった。季節外れの雨のなか、観光名所の瀬戸川沿いでは、晴れ着姿の女性が思いを込め、ろうそくに火をともしていた。行事は3年ぶりにコロナ禍前の規模で開催され、ろうそくのあかりが風情のある町並みを温かく照らした。 飛驒市古川町で200年以上続く行事。親鸞聖人をしのび、町内の三つの寺を詣でる。明治以降、長野県諏訪地方の製糸工場に奉公に出ていた女性たちが着飾ってお参りし、男性との出会いが生まれたことから縁結びの行事となった。(山下周平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
物理、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
物理 大問として原子分野からの出題がなくなり、代わりに波動分野からの出題となった。昨年に引き続き考察力を試す出題が目立った。 ―概評― まず、原子分野から出題された設問が小問集合の中の一つになったのが目を引く。また、実験および実験データの分析など、探究活動を意識したと思われる出題が目立った。さらに、第4問問1のガウスの法則は1990年以降、初の出題と思われる。 【大問数・設問数・解答数】 ・昨年と変わらず4。 ・昨年と変わらず20。 ・昨年から1増加して26。 【問題量】 ・問題記載ページは昨年の24ページから4ページ増えて28ページとなっている。読む分量も増えたので試験時間に対してやや多い印象である。 【出題分野・出題内容】 ・第1問は物理の複数分野(力学、熱、電磁気、原子)からの小問集合形式による出題。 ・第2問は抵抗力を受けて空気中を落下する物体の運動に関する仮説と、それを検証する実験についての考察問題。 ・第3問は音源が等速円運動する場合、および観測者が等速円運動する場合のドップラー効果に関する問題。 ・第4問は平行平板コンデンサーを含む回路に関して、電流の時間変化を表すグラフから帯電量および電気容量を考察させる問題。半減期に関する知識があると考えやすい。 【出題形式】 ・昨年と同様に大問をAとBに分けての異なる項目からの出題はなく、ひとつながりの問題で幅広い項目を扱っている。実験や数値計算など、探究活動を意識した出題といえる。しっかりした物理の実力がないと対応が難しいと思われる。 ―難易度(全体)― 難易度は昨年並み。実験に関して考察したり結果を解釈したりする問題が多く、考える力が試される共通テストらしい出題であった。小問集合中ではあったが、昨年に引き続き原子分野からの出題も見られた。 ―設問別分析― 第1問 ・小問1 力のモーメント 難易度:やや易 ・小問2 熱機関 難易度:やや易 ・小問3 運動量と力学的エネルギー 難易度:やや易 ・小問4 荷電粒子の運動 難易度:やや易 ・小問5 光電効果 難易度:やや易 昨年同様、小問集合であった。計算量もなく考えやすかった。問1は力のモーメントについての問題で、板にはたらく力のモーメントのつり合いを考えればよい(体重計の表示は板にはたらく力の反作用によるものである)。 問2は圧力と体積のグラフが与えられた熱機関に関する問題。熱力学の第1法則や気体のする仕事について定性的に理解できていればよい。 問3は、運動量や力学的エネルギーが保存するための条件が聞かれている。 問4は磁場中の荷電粒子の運動についての問題で、ローレンツ力の方向さえ誤らなければ直感的に回答することもできる(質量の大きい粒子は曲がりにくく、回転の半径は大きい)。 問5は光電効果の問題で、原子分野の知識が必要。内容は基礎的なので、油断することなく原子分野を学習していれば平易。 第2問 ・抵抗力を受けた物体の運動 難易度:標準 速度によって変化する抵抗力について考察する問題であった。問1は物体の運動と抵抗力について概観を把握するための問題であり、平易。 問2は与えられた数値から終端速度を計算する問題。20センチ落下するのに0.13秒かかったと考える。単位に注意。 問3は仮説と実験結果の齟齬(そご)について考察する問題。終端速度がアルミカップの枚数に比例するのなら、実験結果は原点を通る一つの直線上に乗るはずである。 問4は何が聞かれているか把握しづらいか。直前の会話文から何が聞かれているのかしっかりと読み取り、比例関係に着目したい。 問5はどうすれば抵抗力が求まるか考察する問題。加速度は、その物理的意味が理解できていれば、求めるための操作もおのずとわかってくる。抵抗力の大きさは運動方程式を用いればよい。 第3問 ・円運動・ドップラー効果 難易度:標準 円運動する音源や観測者を題材にしたドップラー効果の問題であった。問1は円運動についての力学的な問題。向心力は物体の速度と直交しているため仕事をしないことに注意。 問2は円運動している音源から聞こえる音について、ドップラー効果を起こさないのはどこで出た音か問われている。経験があった受験生も少なくないだろう。 問3は点Aで出た音の振動数と音源の速さを求める問題。他の設問と比べると少し計算量がある。 問4は音源ではなく観測者が円運動する場合を考える。この場合でも同様に、観測者の速度の音源に向かう方向の成分がドップラー効果に寄与する。 問5は、音源が円運動している場合と観測者が円運動している場合について正しい文章を選ぶ問題。静止した立場では音の速さが変化しないことがわかっていれば考えやすい。 第4問 ・コンデンサー 難易度:やや難 コンデンサーに関する総合的な出題であった。問1は平行平板コンデンサーの電気容量の公式を導く問題。真空の誘電率を用いた公式であれば覚えている受験生も多かったと思う。 問2はRC回路の問題。充電が終わり、スイッチを開いた直後のコンデンサーの電圧とオームの法則を考える。 問3は電流の時間変化のグラフから物理量を適切に読み取る問題。1ますの面積が1目盛り当たりの電流値と時間の積(電気量)に対応していることに気づきたい。 […]
被害男性の妻殺害容疑で再逮捕へ 手袋はめて襲ったか 埼玉3人死亡
埼玉県飯能市の住宅で昨年12月、親子3人が殺害された事件で、県警は、3人のうち男性1人への殺人未遂容疑で事件直後に逮捕した近くの無職、斎藤淳容疑者(40)=殺人容疑で送検=を、男性の妻への殺人容疑で16日に再逮捕する方針を固めた。斎藤容疑者は事件への関与を一貫して否定しているという。捜査関係者への取材でわかった。 また、現場の住宅から約60メートル離れた斎藤容疑者宅の捜索で、血の付いた手袋が発見されていたことも捜査関係者への取材でわかった。県警は、斎藤容疑者が事件当時、この手袋をはめていたとみている。 ■取り調べに容疑者は…… この記事は有料記事です。残り579文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地学、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
地学 問題数は減少したが、図表問題が全体の3分の2を占め、読解や考察問題の占める割合が大きくなった。 ―概評― 設問数と解答数がともに、総合問題と固体地球分野と大気・海洋分野が1題ずつ減少し、全体では3題の減少となった一方で、図表問題が3題増加したことで、問題量は昨年並みだった。計算問題は昨年並の分量で、正答は選びやすかった。 【大問数・設問数・解答数】 ・昨年と変わらず5。 ・昨年に比べ3減の27。 ・昨年に比べ3減の27。 【問題量】 ・下書き用紙を除いた全体の分量は昨年より1ページ増加した。 ・全体の文章量は昨年並みである。 ・全体の問題量は時間に対して適量である。 【出題分野・出題内容】 ・第1問は例年通り分野横断型の総合問題で、読図自体をテーマに全分野から出題された。 ・第2問は地球分野から地球表面の高度分布、地震波、海嶺(かいれい)、沈み込み帯について出題された。 ・第3問は固体地球と地質地史からの出題で、マグマ、地質断面図、人類の進化について出題された。 ・第4問は大気・海洋分野からの出題で、オゾン層の破壊、亜熱帯環流について出題された。 ・第5問は宇宙分野からの出題で、惑星と地球の運動、太陽と天体の運動、HR図について出題された。 【出題形式】 ・6択形式の問題が1題で、それ以外は4択問題だった。 ・全体の3分の2が図表問題で、高度な考察を要する読図問題も複数あった。 ・計算の分量は昨年並で、正確に計算すると複雑だが、正答を選びやすいように選択肢が工夫されていた。 ―難易度(全体)― 設問数と解答数は減少した一方で図表問題が増加し、考察を要する問題も多く、単純な知識問題が減少した。全体の難易度はやや難化したと思われる。 ―設問別分析― 第1問 ・二次元情報の三次元情報への変換 難易度:やや難 問1は東北地方の東西断面における太平洋プレート上面の深度分布を選ぶ問題で、海溝の位置は示されていないが、震源の深度分布の読図で正答できる。問2は薄片上の断面の形状と2方向に発達したへき開から、一般的な外形も鉱物名も正答できる。 問3は模式的な谷地形の地質図問題であり、南北断面図を描けるようにしよう。問4は気温分布が正しい温帯低気圧の東西断面図を選ぶ問題で、前線の南側が暖気で上空ほど低温な図を選べばよい。 問5はリゲルとアルニタクの遠近関係の読図が難しいが、破線に平行な等距離線を引けばよい。 第2問 ・小問A 地球表面の高度分布、地震波と震源距離 難易度:標準 ・小問B プレート境界の断層、火山前線、マグマの発生 難易度:易 Aの問1は地球表面の高度分布図に関する正誤の組み合わせ問題で、大陸棚を陸地に含めても海洋の面積を上回らないことは図1から読み取れる。問2は地震波形から震源距離の遠近を読図する問題で、地点AとCの初期微動継続時間の大小がやや読み取りにくい。 Bの問3は海嶺とトランスフォーム断層における断層の種類の読図問題、問4は日本列島の東西断面における火山噴出物の堆積(たいせき)分布と火山前線の位置関係を選ぶ問題、問5は中央海嶺と海溝付近におけるマグマのでき方を選ぶ知識問題で、いずれも基本的な知識さえあれば正答できる。 第3問 ・小問A マグマ混合・結晶分化作用・造岩鉱物 難易度:やや易 ・小問B 地質断面図と示準化石、褶曲(しゅうきょく)と断層の種類 難易度:やや易 ・小問C 人類の進化の時間スケール 難易度:標準 Aの問1と問2は安山岩質マグマがマグマ混合と結晶分化作用でできるときの鉱物と化学組成の変化を問う問題で、いずれも火成岩の造岩鉱物の知識から正答できる。 Bは地質の読図問題で、問3のデスモスチルスの歯の化石が産出した地層の候補は示準化石の知識と不整合による時代の隔たりから、問4は褶曲の向斜・背斜と断層の正逆についての知識から正答できる。 Cは人類の進化の時間スケールについての問題で、問5の読図問題ではホモ・サピエンスの出現時期についての知識も求められる。問6は新生代のできごとを選択肢から選べばよい。 第4問 ・小問A 成層圏、オゾン層の破壊 難易度:標準 ・小問B 亜熱帯環流、地衡流、海水の密度構造、西岸強化 難易度:やや難 Aのリード文はオゾンホールの形成に雲の発生が果たす役割について述べられており、問1は成層圏の名称を答える平易な問題で、問2は雲が発生する温度条件ではオゾン層の破壊が促進されると考えればよい。 Bのリード文では亜熱帯環流における海水面の高度分布について述べられており、問3は圧力傾度力の名称を答える平易な知識問題、問4は鉛直断面における海水の密度分布を選ぶ読図問題、問5は西岸強化についての知識問題である。問4は昨年の第4問Bと同様に、海面下におけるアイソスタシーの成立と海水の密度分布が題材となっている。 第5問 ・小問A 火星から見た惑星現象と年周視差と年周光行差 難易度:やや難 ・小問B 太陽活動、天球、天体の運動、HR図 難易度:標準 […]
生物、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
生物 特定のテーマに関する文章と複数の資料を解析させる問題が分野横断的に出題され、読解力や思考力が総合的に試された。 ―概評― 昨年通り、実験・観察や資料解析を通じて読解力や考察力・解析力など総合的な理解度を試す内容であった。選択肢が絞りやすく取り組みやすい問題があった一方で、読み取る文章が長く解答に時間を要する問題もみられた。 【大問数・設問数・解答数】 ・大問数は6で、昨年と同様。 ・設問数は23で、昨年より3減少。 ・解答数は28で、昨年と同様。 【問題量】 ・設問数が昨年より減少したものの、大問数・解答数は昨年と同様であり、実質の問題ページ数が昨年より1ページ増加して29ページとなったため、分量は昨年並みであった。 【出題分野・出題内容】 ・多くの大問で、観察材料や特定のテーマを題材として、複数の分野から多くの視点が盛り込まれて出題された。 ・ミクロな視点とマクロな視点を関連させた内容が複数の大問で扱われ、広い分野から大きな偏りなく出題された。 ・単純な知識問題はほとんどみられず、知識を活用する問題や計算問題、資料解析・実験考察問題が中心であった。 ・文章量の多い実験の説明や、長い文章の選択肢など、昨年に引き続き相応の読解力が必要な問題が随所にみられた。 【出題形式】 ・A・Bの中問に分かれている大問は第2問のみであった。 ・大問ごとに、設問数は3~5問、配点は12~20点と、分量が様々であった。 ・第4問問4、第5問問3、第6問問3のような、選択肢のグループを容易に分割することができる問題がみられた。 ―難易度(全体)― 昨年並み。取り組みやすい問題がある一方で、解答に時間を要する出題もあった。 ―設問別分析― 第1問 ・シアノバクテリア 難易度:標準 シアノバクテリアをテーマとし、主に生命現象と物質の分野から出題され、進化と系統の分野からも出題された。問1はオペロンの基本的な知識問題。問2・3は実験考察問題。リード文と実験結果から、硫酸欠乏条件で起こる遺伝子発現の変化やα/β複合体の特徴を読み取る。問4は葉緑体の進化に関する系統樹の問題。集光装置の変化が1回とあるので、集光装置の分化の後に分類群が分化したと考えると成立する。また、シャジクモ類は植物に最も近縁な藻類であると考えられている。 第2問 ・小問A 霊長類の色覚の進化 難易度:やや難 ・小問B ヒトの嗅(きゅう)細胞 難易度:標準 Aは進化と系統の分野からヒトとオマキザルの色覚の比較、Bは環境応答の分野からヒトの嗅覚(きゅうかく)の仕組みについて、それぞれ実験考察をからめて出題された。問1は遺伝子重複による進化に関する読解問題。問2は色覚型の適応に関する実験考察問題。オマキザルの雄は三色型にならない点に注意。問3は実験データの考察に関する文章正誤問題。問4は場合の数の計算問題。2の10乗≒1000の近似は覚えておきたい。 第3問 ・葉緑体の光応答 難易度:標準 植物の環境応答の分野から、葉緑体の光に対する応答に関する実験考察が出題された。問1はフィトクロムに関する空欄補充問題。光発芽種子の知識が活用できる。 問2は葉緑体の分布と透過率の変化を考察する問題。選択肢のグラフの縦軸は透過率であり、見慣れた吸収スペクトルのグラフとは上下が逆転するので注意。問3は問2に続く実験の考察問題。光をよく受けるほど光合成速度が低下するので、葉緑体の光による損傷が考えられる。また、青色光が弱い環境ではフォトトロピンが機能しない。 第4問 ・窒素代謝・共生 難易度:やや難 根粒菌と植物の共生をテーマとし、生態と環境および生命現象と物質の分野からも出題された。問1は生命現象と物質の分野から、有機物に関する知識問題。問2は物質収支に関する知識問題。 問3は図表の読解問題。地点ごとの窒素とリンの濃度を比較し、不足しているのはどちらかを考える。問4は資料の読解および窒素同化に関する知識問題。問5は根粒菌と植物の共生に関する空欄補充問題。根粒を形成するという植物側の負担を考えれば、空欄ケを埋めることができる。 第5問 ・母性効果遺伝子 難易度:標準 ショウジョウバエの母性効果遺伝子(母性遺伝子)をテーマとし、生殖と発生の分野から出題された。問1は遺伝に関する計算問題。受精卵の発生の有無は、受精卵の遺伝子型ではなく、母性遺伝子を転写する雌の親の遺伝子型によって決定されることに注意。問2は母性因子に関する知識問題。 問3は母性遺伝子がコードするタンパク質に関する実験考察問題。問4は問3に続く実験の空欄補充問題。問題文と実験1より、変異体の雌から産みだされた卵は腹部が形成されないので配偶子も分化しないことを読み取れれば、選択肢を絞ることができる。 第6問 ・縄張り・種内競争 難易度:やや難 縄張り行動に関する実験と資料を基に、生態と環境の分野から種内競争が個体群に与える影響を考察する問題が、対話文形式で出題された。問1は種内競争と種間競争の基本的な知識問題。問2は実験考察問題だが、選択肢は複雑ではなく、実験設定や表を正しく読めれば難しくはないだろう。 問3は藻類の生産量とも関連した複雑な考察問題で、グラフと縄張りの関連を問題文から推察することが求められた。水深による光強度の変化と藻類の量の関係と、個体群密度および競争による労力の関係の二つを推察する必要がある。(代々木ゼミナール提供) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
化学、代ゼミ問題分析 大学入学共通テスト
化学 実験の内容と結果を整理して考察させる問題が複数出題され、時間をかけて問題をしっかり読む必要があった。 ―概評― 標準的な問題が多くを占めたが、あまり見かけないような実験を題材として読解力と考察力を問う問題が散見された。特に、第5問の問3の透過率による気体濃度決定は題材自体が目新しく、問題文を丁寧に読む必要があった。 【大問数・設問数・解答数】 ・5で昨年から変更はない。 ・18で昨年から変更はない。 ・昨年に比べ、2増の35。 【問題量】 ・計算問題の数は昨年とほぼ同じであり、全体的に見ても問題量は昨年とほぼ同じだが、考察問題が複数出題されたため、やや負担が増加した。 【出題分野・出題内容】 ・第1問は物質の構成、物質の状態、第2問は物質の変化からの出題で、いずれも理論分野である。第3問は物質の変化、無機物質、第4問は有機化合物、高分子化合物からの出題である。第5問は硫黄化合物の二酸化硫黄や硫化水素を題材に、無機物質、化学平衡、酸化還元について問われた。 ・第1問の問4bは単位格子の粒子数と体積の比から考える。第2問の問4cは反応速度定数の変化と反応に要する時間の関係を予想すればよい。第3問の問3aは反応条件からX、Yを絞り込む必要があった。第5問の問3aは表の数値だけを用いて解答でき、bは透過率Tが透過前後における光の量の比率であることがポイント。 【出題形式】 ・昨年に続き、第1問の問4、第2問の問4、第3問の問3、第4問の問4、第5問の問3など比較的長文の問題を読み取り、それに関する問をいくつか配置する大問形式の問題が出題された。また、第1問の問4c、第4問の問4aでは、答えの数値自体を解答させる問題が出題された。さらに昨年にはなかったグラフ描写用の方眼枠が再登場した。 ―難易度(全体)― 実験を題材にした読解力と考察力を要する問題や、目新しい題材を扱った問題が出題されている。全体としての難易度は、昨年並み。 ―設問別分析― 第1問 ・小問1 化学結合 難易度:易 ・小問2 コロイド 難易度:易 ・小問3 飽和蒸気圧 難易度:標準 ・小問4 イオン結晶 難易度:標準 物質の状態の分野からの出題。問1は構造式がわかれば平易。問2はコロイドの用語に関する知識問題。問3は圧縮後の水蒸気がすべて気体であると仮定したときの水蒸気の圧力から求められる。問4のaは平易。bは粒子数と体積の比から計算すればよい。cはイオン結晶におけるイオンの半径比の限界に関する計算問題で、一度演習していれば難しくはない。 第2問 ・小問1 熱化学方程式 難易度:標準 ・小問2 硝酸銀水溶液と塩化ナトリウム水溶液の電気分解 難易度:標準 ・小問3 平衡定数 難易度:標準 ・小問4 過酸化水素の分解反応速度 難易度:やや難 物質の変化と平衡の分野からの出題。問1の熱化学方程式は典型的な計算問題。問2の電気分解も、標準的な知識問題。問3の平衡定数の問題も典型的で確実に得点したい。 問4のaは基本的な知識問題。bは酸素の物質量の2倍が過酸化水素の物質量になることに注意する必要がある。cは、反応速度定数が反応速度にどう影響するかがポイントであったが、図2の結果と同じ濃度と体積の過酸化水素水を用いていることから、最終的に発生した酸素の物質量も同じになることから選択肢を絞れる。 第3問 ・小問1 フッ化水素の性質 難易度:易 ・小問2 金属イオンの分離 難易度:標準 ・小問3 1族、2族の金属元素 難易度:やや難 無機物質の分野からの出題。問1はフッ化水素に関する正誤問題だが、ヨウ素とフッ素の酸化力の強さを問う問題。問2は典型的な金属イオンの分離に関する問題で、金属イオンがすべて溶解していたと仮定して1つずつ結果と照らし合わせて考えていけばよい。 問3のaは希塩酸および室温の水との反応性から、選択肢を絞れたかがポイント。bは水酸化物、炭酸塩の反応式から冷静に計算を処理できたかどうかが問われる。 第4問 ・小問1 アルコールの反応性 難易度:やや易 ・小問2 芳香族化合物の反応と性質 難易度:やや易 ・小問3 高分子化合物の構造 難易度:やや易 ・小問4 トリグリセリドの構造 難易度:標準 有機化合物および高分子化合物の分野からの出題。問1のアルコールの反応性、問2の芳香族化合物の反応と性質、問3の高分子化合物の構造についての知識問題はいずれも基本的。 問4のaは、1分子のXに4個の二重結合をもつことと、1個の二重結合には1分子の水素が付加することから解ける。bは、AとBが1対2の物質量比で得られたことと、AとBのどちらも二重結合をもつことより考えればよい。cは、Yには鏡像異性体が存在しないことよりアがHと決まり、さらに反応式からイはB由来の構造と決まる。 第5問 ・小問1 硫化水素と二酸化硫黄 難易度:標準 ・小問2 酸化還元反応を利用した硫化水素の定量 難易度:標準 ・小問3 透過率を利用した硫化水素の濃度決定 難易度:やや難 火山ガスに含まれる硫化水素と二酸化硫黄に関する総合問題。問1のaは硫化水素と二酸化硫黄の標準的な知識問題。bは、二酸化硫黄の平衡に関する問で、ルシャトリエの原理から考える。問2は硫化水素とヨウ素、ヨウ素とチオ硫酸ナトリウムの酸化還元反応の量的関係を整理できれば解ける。 問3は二酸化硫黄が光を吸収する性質を利用して二酸化硫黄のモル濃度を求める実験考察問題。問3のaはグラフを作成するか、比例式を立式して求められる。bは透過率Tの対数とcおよびLが比例関係になることから考えればよい。(代々木ゼミナール提供) […]
サイレン鳴ったら屋内へ 大分県中津市で弾道ミサイル想定の避難訓練
弾道ミサイルの飛来を想定した住民避難訓練が15日、大分県中津市であった。国が都道府県を通じて公募し、2022年度は今後予定している自治体を含め10道県の12市町村で実施。中津市としては初めての本格的なミサイル避難訓練で、市民ら約180人が参加し、うち約120人が避難行動を体験した。 市主催の防災イベントを開催中に、架空の「X国」から弾道ミサイルが発射され、日本に飛来する可能性があるという想定。市役所そばの中津体育センターと中津文化会館を会場に、防災行政無線による情報伝達と、イベント参加者の避難の動きを確認した。 午前10時すぎ、市役所屋上のスピーカーからサイレン音が響き、「ミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、または地下に避難してください」と放送。中津文化会館大ホールへ移動した参加者は、客席の間で身を伏せた。まもなくサイレンが再び鳴り、「ミサイルは太平洋へ通過したものとみられます」との放送が流れた。 訓練終了後、内閣官房の担当… この記事は有料記事です。残り305文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル