大阪府教育委員会は、2023~27年度の5年間で府立高校9校程度の生徒募集を停止する案を、23日に開いた教育委員会会議に提示した。新たに作る府立高校再編整備計画に盛り込み、3月の会議で最終決定する見通しだ。 12年に施行された府立学校条例では、「3年連続で定員割れし、その後も改善する見込みがない場合は再編対象」と定めている。 府教委と大阪市教委は、生徒数減少などを受けて14~23年度の府立高校・市立高校の再編整備計画を作り、その10年間で募集定員を計15校分ほど減らす必要があるとした。その後についても、さらに再編を検討する方針を示してきた。 しかし、22年度までにすでに計17校の募集停止を公表(1校を新設)したことなどから、1年前倒しで23~27年度の新たな5年計画を策定することにした。 府教委は今回、今春の入試から5年後の入試にかけて、公立高校の総募集人員が6~7%減ると試算。これを元に、生徒募集を停止する具体的な目安を「5年間で9校程度」とした。 募集停止の対象となる高校は、府教委が年度ごとに決める。具体的な対象校を公表するのは原則として実施予定の前々年度で、時期は8月下旬~9月上旬とする。在校生や高校受験を控える中学生に周知する期間を設けるためという。 府教委によると、府立高校は現在約150校(大阪市立高校は22年春に府へ移管)あるが、22年春の入試時点で3年以上続けて定員割れしていた高校は17校あった。昨年8月末には、このうち平野(大阪市平野区)、かわち野(東大阪市)、美原(堺市)の生徒募集を24年春の入試から停止し、それぞれ別の高校に統合すると公表している。 府教委高校再編整備課の担当者は「9校程度」について、「実際の校数は志願状況などを見ながら決定する」と説明。対象校は学校の特色や地域バランスを踏まえて検討するという。 高校の再編整備をめぐっては、中学生の進路の選択肢が狭まることや、地域に高校がなくなることに対する懸念や抵抗が少なくない。昨年8月末に発表された府立3校の統合・再編整備案でも、学校関係者らから撤回を求める署名や要望書が提出されていた。(宮崎亮) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「1.3倍速」で授業をする教員も 広がる倍速視聴、成績への影響は
ドラマも映画も1・5倍速で見る。慶応大4年の女子学生(23)が動画の倍速視聴を始めたきっかけは、2020年に始まったコロナ禍だった。 当時は大学2年生。配信が始まったばかりのオンライン授業は、教室での授業に比べて退屈だった。試しに倍速機能を使ってみた。 「意外と無理なく視聴できた」。すぐに、ほかの授業や動画も倍速視聴をするようになった。 縮めて生み出した時間を、ユーチューブやネットフリックスの視聴に回す。お笑い番組やK―POP、ジャニーズのドラマを一気に見た。 10秒ごとに早送りできる「スキップ機能」も使う。お気に入りの芸人が出ている番組の面白そうだと思うシーンを探し出して見る。 ドラマも1・5倍速で見終わってから好きなシーンまで戻り、通常の速度でじっくり見返すことが多い。 「映画1本を見ただけでは『今日何してんだろう』と思っちゃいます」 情報をより多く 「自分の強み」に 逆に倍速で何本も映画を見られると、「今日はこんなに情報を知れたと感じ、自己肯定感を上げることにもつながった」。 友人の間でも倍速視聴は広がっている。同級生は「物語のストーリーに関係あるセリフは聞くけど、セリフのない情景描写はいらない」と語っていた。別の友人にホラー漫画を紹介すると、「先に結末教えて」と聞かれた。 ある日、倍速視聴する様子を見た母から「そんなに生き急がなくてもいいんじゃない?」と突っ込まれた。 それでも、いまは倍速が心地いい。「なるべくいろんな情報を採り入れることが、ほかの同世代との差別化にもつながるし、自分の強みにもなる」と話す。 近畿大アンケートでは半数 倍速視聴の習慣化を裏付けるデータがある。 近畿大が2022年7月、オンデマンド授業の受講者約7千人に実施したアンケートでは、回答した約1200人のうち、ほぼ半数の48・5%が1・25倍や1・5倍の倍速機能を利用していた。 内訳をみると、1・25倍速が177人(14・3%)、1・5倍速はさらに多く423人(34・2%)だった。 成績に影響しているのだろうか。 倍速で見た学生と、通常速度で見た学生の成績に大きな差はない。平均点は、通常速度で見た学生が78点だったのに対し、1・25倍速の学生が77点、1・5倍速は76点だった。 近大は「視聴速度と成績に相関関係はみられなかった」と結論づけた。 早口で授業 お手本はユーチューバー こうした学生の傾向にあわせ、教え方を見直した教員もいる。 兵庫教育大の小川修史准教授は20年秋から、オンライン授業の際に、通常よりも1・3倍ほどの早口で話すようにしている。170人ほどの受講生からは好評だという。 「眠たい」「モチベーションが上がらない」。コロナ禍が始まった直後の20年夏、ゼミの教え子からオンライン授業への不満の声が届いた。 オンラインでも学生の集中力を維持するには、どうしたらいいのか。注目したのがインフルエンサーと呼ばれるユーチューバーたちの動画だった。 身ぶり手ぶりを交え、「えー」「あのー」という言葉を編集でカットする。何より、少し早口で話す姿が印象に残った。 オンライン授業で「1・3倍速」を意識した早口で話してみると、学生の反応は上々だった。「今まで受けた授業で一番集中できた」「テンポがよくて聞きやすい」との声が寄せられた。 早口で生み出した時間は、講義のポイントを繰り返し説明したり、質疑応答をしたりする時間にあてている。小川准教授は「学びを深められたことは大きなメリット」と話している。(豊島鉄博) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ミミズが帰ってきた 耕さない畑で大地再生 とれた小麦は高たんぱく
北海道長沼町に広がる「メノビレッジ長沼」。2019年6月、農場を営むレイモンド・エップ(62)、荒谷明子(53)夫妻にとって忘れられない出来事があった。 その日、福島大学教授の金子信博(63)を呼んで、ミミズのワークショップが開かれた。金子は不耕起栽培を研究・実践している土壌生態学の専門家だ。 消費者ら約30人が6グループに分かれ、畑のあちこちで土を掘ってミミズを探した。土中の有機物などを食べ、植物が吸収しやすい形にするミミズは、土の健康を測るバロメーターと言われる。ところが、ミミズは1匹も発見できなかった。 1995年に農場を開いた夫… この記事は有料記事です。残り1159文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ADK前社長の保釈を認める決定 保証金は3千万円 五輪汚職
2023年1月23日 16時45分 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、東京地裁は23日、贈賄罪で起訴された「ADKホールディングス」前社長の植野伸一被告(68)の保釈を認める決定を出した。保釈保証金は3千万円で、即日納付された。昨年10月の逮捕以来、約3カ月ぶりに保釈される可能性がある。 関係者によると、植野前社長の弁護人は昨年11月の起訴後、今月5日までに2回保釈請求をした。しかし、無罪を主張する植野前社長について、検察側は証拠隠滅の恐れなどを理由に保釈に反対し、地裁は請求を退けていた。 その後、植野前社長は裁判で起訴内容を認める方針に転じた。弁護人は今月19日に3回目の保釈を請求し、地裁に贈賄罪を認める旨も伝えていた。 初公判は2月17日で調整されている。 起訴状などによると、植野前社長はADKの元専務、元五輪担当本部長と共謀し、大会組織委員会の元理事・高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=に対し、「販売協力代理店」として大会スポンサーの契約業務を担当できるよう後押しを依頼した。そのうえで、2019年11月~22年1月に元理事のコンサルタント会社「コモンズ」に計1485万円の賄賂を振り込んだとされる。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旧統一教会を行政指導へ 厚労省、養子縁組あっせん法関連で調査
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者間での養子縁組を巡り、加藤勝信厚生労働相は23日、「行政指導の局長通知を発出する」と述べ、養子縁組あっせん法違反にあたる行為が行われないよう教団に徹底を求める考えを示した。 同法違反の可能性があるとみて刑事告発も含めた対応を検討してきたが、加藤氏は「収集した情報を捜査機関に提供するとともに、引き続き調査を進める」と述べるにとどめた。 同日に出す行政指導では、子どもの権利条約や同法の順守や養子縁組あっせん事業にあたるような行為が行われることがないよう徹底も求める。また教団の出版物にある養子縁組の記載も適切なものにするように求める。 同法は2018年4月に施行。養子縁組には都道府県の許可が必要になり、無許可の場合は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」との罰則もある。 教団発行の出版物には、信者家庭どうしで養子縁組をした場合、日本の「会長が承認する」と明記し、教団本部の「家庭教育局」への報告を求める記載もあった。 厚労省は、こうした教団の関わりが同法のあっせん行為にあたるのかを見極めるため、昨年11~12月に教団側へ質問書を2度送付。教団の回答内容とともに、同省に情報提供された具体的ケースについても精査。捜査当局とも協議を重ね、刑事告発も含め、対応を検討してきた。 信者間の養子縁組は教義上の必要性から行われてきたとの指摘もあり、同省は昨年12月、「養子縁組は子どもの福祉のため」という法律の趣旨の順守を求める文書を教団側に郵送し、行政指導をしていた。 一方、教団は18年4月以降、信者から31件の養子縁組の報告があったと厚労省の質問書に回答。教団はこれまでの取材に養子縁組あっせん法には「抵触しない」として、あっせんを否定していた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
候補者の確率全国一の千葉 「専門家じゃないし」10代裁判員の不安
成人年齢を引き下げた民法や事件を起こした18歳以上を厳罰化する少年法改正に伴い、今年から18、19歳も裁判員に選ばれる。市民感覚を司法に反映させる制度が若い世代に開かれた一方、候補者を辞退する人は6割を超える。参加しやすい環境を整えるために、どんなサポートが必要なのか。 「専門家じゃないし、知識もない。年上の人が多い中で若い自分が意見を言えるのかな」。千葉地裁で昨年12月20日、裁判員経験者と10代の学生が議論する座談会が開かれ、男子高校生は冒頭、こう投げかけた。 参加したのは、中学生から19歳までの大学生約20人。率直な疑問をぶつける参加者に対し、殺人や強制わいせつ致傷など重大な刑事事件を20代で担当した男女4人が回答した。 経験者たちは「裁判官が分かりやすく教えてくれるので、法律の知識がなくても大丈夫」「刑の重さを決める評議は話しやすい雰囲気」と振り返った。女性(26)は「自分にない視点を得られた。裁判員は年齢も性別もバラバラ。貴重な経験だった」と語った。 参加者からは、証拠採用される被害者の遺体写真などで精神的な負担を懸念する声が上がった。 裁判員を経験した30代女性は「傷口をイラストにして配慮していた。証人の話に感情移入して苦しいときはあった」と明かした。成田市の高校3年小坂優依さん(17)は「体験談が聞けて安心した。選ばれたらぜひ参加したい」と話した。 裁判員候補者になると自宅に… この記事は有料記事です。残り881文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ここに恐竜化石ある」 学芸員は通い慣れた海岸で証明して見せた
和歌山県広川町の白木海岸で、県内初の植物食恐竜の化石を含む多数の脊椎(せきつい)動物の化石が産出する地層が見つかった。県立自然博物館が20日、発表した。発見のきっかけをつくったのは、北九州市立自然史・歴史博物館の学芸員、御前(みさき)明洋さん(43)だ。地層があった白木海岸は、子どものころから通っていた場所だった。 和歌山県有田市出身。小学3年のころ、親類宅の工事現場で出た貝の化石を父にもらい、化石に魅せられた。小6のときに自分で初めて発見した動物化石は、この白木海岸の貝の化石だった。 その後、智弁和歌山中・高時代は、毎週末に自転車を走らせて地元周辺に化石探しに出かけた。東北大学に進学後は古生物学を学び、京都大学大学院の博士論文のテーマも有田川地域の化石に関するものだった。このとき、有田川町で大型の海生爬虫(はちゅう)類、モササウルスの化石を見つけたこともある。 専門はアンモナイトの研究。だが、子どものころから好きな恐竜が地元でどんな暮らしをしていたのかを明らかにできないかと、思い続けていた。 全国各地の地層をめぐって探… この記事は有料記事です。残り927文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
手元のスマホに突然裸の写真 絶えない「エアドロップ痴漢」
盗撮した画像をスマートフォンの通信機能「エアドロップ」を使って盗撮相手の女性に送りつけたとして、警視庁が1月17日、男(24)を東京都迷惑防止条例違反(盗撮、ひわいな言動)容疑で書類送検した。 こうした「エアドロップ痴漢」と呼ばれる行為は各地で起きている。 エアドロップ機能で、見知らぬ相手から突然送りつけられるひわいな画像――。実際に被害にあった女性に話を聞きました。 「これ、やばくない?」 数年前、関東で暮らす20代の女性が友人と電車に乗っていると、iPhoneの画面に突然、裸の男性の写真が現れた。 「受け入れる」「辞退」の選… この記事は有料記事です。残り777文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
しょうゆうどん500円で食べ放題 赤字覚悟の店主が伝えたいこと
しょうゆうどん、500円で食べ放題――。香川大学近くのセルフうどん店「吾里丸(ごりまる)うどん2」(高松市)で昨年末から、学生垂涎(すいぜん)のワンコイン企画が始まっている。 「しょうゆうどん、食べ放題で。最初は3玉」。水曜の昼下がり、店に入ってきた男子大学生のグループが、レジで店員に告げた。 学生6人は、うどん玉に無料トッピングの天かすとネギを乗せる。そして、机上のしょうゆ瓶を手に取り、3周ほど回しかけ、夢中ですすり始めた。 あっという間に丼を空にすると、おかわりに向かう。麺がゆで上がるまでの時間は、胃に隙間を作るかのように体を揺らしたり、その場で跳んでみたりして待つ。6人はうどんを受け取って席に戻ると、競うようにかき込んでいった。 30分ほどで6玉を完食した香川大教育学部4年の瀬川澪さん(21)は、「目標の5玉を超えられた。晩ご飯はいらないです」と満足げだ。 しょうゆうどんは、うどん玉にだし汁ではなく、だししょうゆをかけて食べる。「うどん県」では定番メニューの一つだが、食べ放題は珍しい。 この店では、しょうゆうどん(小)は通常価格で(1玉=250グラム)240円。食べ放題は週1回、水曜午後1時から午後3時まで実施している。これまでの最高は香川大院生が記録した10・5玉で、平均6、7玉は平らげるという。 物価高騰が叫ばれ、世間は値上げラッシュの最中。うどんも原材料の小麦の値段が上がり続けている。そんな折に赤字覚悟のサービスを始めたのは、なぜか。 吾里丸うどん2は「2」と名… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
この冬一番の寒気、24日から大雪に警戒 強風で交通障害の可能性も
宮野拓也2023年1月23日 11時13分 この冬一番の強い寒気が流れ込む影響で、24日から26日にかけて全国的に荒れた天気が予想されている。気象庁は、北日本から西日本の日本海側で大雪となり、太平洋側の平地でも大雪になる所があるとして、交通障害や暴風雪、高波に警戒を呼びかけている。 24日は低気圧が発達しながら千島列島近海と日本の東に進み、日本付近は強い冬型の気圧配置となる。24日午前6時からの24時間に予想される降雪量は、北陸で70から100センチ▽東北で60から80センチ▽関東甲信、近畿、中国で50から70センチ▽東海で40から60センチ▽九州北部で30から50センチ▽四国で20から40センチ▽九州南部で10から20センチとなっている。その後の24時間でも同程度の雪が見込まれる地域もある。 全国的に非常に強い風が吹くことも予想され、猛吹雪や吹きだまりによる交通障害が起きる可能性がある。24日に予想される最大瞬間風速は北陸、近畿、中国、四国、九州南部・奄美、沖縄で35メートルとなっている。(宮野拓也) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル