森直由 小川聡仁2023年1月22日 16時30分 22日未明の火災で8人が死傷した神戸市兵庫区の集合住宅は、生活困窮者や路上生活者の受け入れ先になっていた。支援してきたNPO法人「神戸の冬を支える会」理事の觜本郁(はしもとかおる)さん(69)は同日、現場を訪れ「こうした住宅があるから助かっている人もいる」「火事については悲しいし、残念」と話した。 「神戸の冬を支える会」は1995年の阪神・淡路大震災を機に、家を失った人や生活に困った人から相談を受けたり、支援をしたりしてきた。これまでに、火災が起きた集合住宅や近隣の同様の住宅などにあっせんした人は数百人に上り、生活保護を受けながら生活再建を目指すという。 保証人なども必要なく、觜本さんは「普通の生活からはみ出してしまう人を受け入れるセーフティーネットの一つで、ありがたい存在だ」と話す。 同NPOの青木茂幸事務局長(66)は朝日新聞の取材に「亡くなられた方も、火災で住居を失った人も含めて心配です」と言葉を詰まらせた。 兵庫県が公表している「ホームレス目視調査」によると、路上や公園、駅舎などで生活している人の数は、神戸市内で2001年に341人いたが、昨年は36人に減っている。 ◇ 兵庫県警は同日午後、現場検証を始めた。燃え方の激しい1階の居宅部分が火元の可能性があるとみて、出火原因を調べる。(森直由 小川聡仁) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
競い合う「選手権」でタイピング力を伸ばす 各地から「方法教えて」
パソコンやタブレット端末のキーボードで文字を入力するタイピング。これからを生きる子どもたちに必要なスキルを楽しみながら習得してもらおうと、ICT(情報通信技術)を活用した教育に力を入れる大阪府枚方市は、昨年度から市内の小中学生が参加する「タイピング選手権」を開いている。 昨年12月中旬、市立小倉小学校の子どもたちが、2時限目の後の20分休みに体育館に集まった。「小倉小タイピング選手権」。この日は、校内ランキングで上位につけた12人が個人戦に挑んだ。 高学年の部に、4年2組からはタイピングの得意な寺田煌也君と杉本真翔(まなと)君が出場。「プレイグラムタイピング」というアプリを使い、2分間でタイピングの正確さ、速さ、ミスタイプ率の低さを得点にして競う。iPadの画面に「猪突(ちょとつ)猛進」「上を向いて歩こう」などの熟語や文章が次々と表示され、真剣な表情でミスをしないようにローマ字入力をしていった。 高学年の部では寺田君が優勝… この記事は有料記事です。残り697文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
江戸川区アパート火災で2人死亡、70代男性か 「煙すごい」と通報
2023年1月22日 12時38分 22日午前3時15分ごろ、東京都江戸川区松江2丁目付近の通行人から「煙がすごい」などと119番通報があった。警視庁や東京消防庁によると、木造2階建てアパートの1、2階部分計約150平方メートルが焼け、1階と2階の一室から見つかった計2人の死亡がその場で確認された。 小松川署によると、住人のいずれも70代男性と連絡が取れていないことから、死亡した2人はこの男性らの可能性があるとみて身元の確認を進めている。 現場はJR新小岩駅から南東に約2キロ離れた住宅街。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ショーウィンドー埋めた付箋386枚 洋菓子店主が閉店後に流した涙
「突然ではございますが、営業を終了させていただきます」 「いずれまたどこかで私どもの菓子を召し上がっていただける場をつくりたいと思っております」 大阪市北区の天神橋筋商店街にあったフランス菓子工房「ムーラタルト」。 オーナーシェフの吉野暢人(のぶと)さん(55)は昨年11月、ショーウィンドーに閉店のお知らせを貼った。 1999年5月28日に開店し、5年ほど前まで順調に売り上げを伸ばしていた。 「この調子だと、先は明るいな」 そう思っていた矢先、熟練したスタッフたちが「さらに上を目指して修行したい」などと言って辞めていった。昨年から、作り手が自分一人になることもあった。 店頭の販売スタッフがいない時間帯はそちらにも手を取られ、生産効率は落ちていった。 募集しても新しい人が入ってくる気配はない。開店準備が遅れて、店を開ける時間がどんどん遅くなっていった。 閉店2週間後の朝、最初の数枚が 体力的にきつくなり、疲れもたまっていった。一人で頑張って店を回しても、売り上げが伴わず、先々の見通しが立たなくなった。 妻の満美さん(55)にも「このままじゃ体がもたないよ」「もう十分やったからいいじゃない」と声をかけられた。 これ以上、傷口を広げたくないと、店をたたむ決断をした。 店を閉めた後も師走の商店街に毎日、片付けに通った。 閉店から2週間後の12月中旬の朝。 店の前に自転車を止めたときに、ふと、ショーウィンドーに付箋(ふせん)が数枚貼られていることに気づいた。 「次のステップがんばって下… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
泥んこになっていつでもごろり 「学校だけじゃない」子どもの居場所
NHKのドキュメンタリー番組「72時間」で、「川崎市子ども夢パーク」(高津区)に密着した回が、視聴者人気投票で昨年の1位に輝いた。最新の遊具も「映(ば)える」キャラクターもいない、ひたすら素朴な空間の何が視聴者の心に響いたのだろう。 川崎市では2001年、「安心して生きる権利」「ありのままの自分でいる権利」「自分で決める権利」など子どもたちの権利を保障する「子どもの権利条例」を全国に先駆けて施行。「子ども夢パーク」、通称「ゆめパ」は条例を形にするため、03年7月に約1万平方メートルの市有地に設置された多目的の社会教育施設だ。 施設内には、季節に関係なく泥んこになれる屋外スペースのほか、学校に通わない子どもたちの「フリースペースえん」、いつでも寝転がれる部屋「ごろり」などがある。 NHK「ドキュメント72時間」で1位 NHKの「ドキュメント72時間」は、高速バス乗り場や閉館間際の遊園地などで3日間密着取材する番組。「ゆめパ」に密着した「“どろんこパーク” 雨を走る子どもたち」は昨年9月に放送された。泥まみれになったり木登りしたり、園内で子どもたちが自由に過ごす様子がオンエアされ、年末恒例の「視聴者人気投票ランキング」では1位に輝いた。 そして視聴者から多くの声が寄せられたという。「このような施設を、学校制度を補完する位置づけにするべきではないか」「子どもの無邪気な姿を通して、社会の側が問われていると感じた」「子どもたちの内面が変わっていくのが分かり、自由な遊びには心を解きほぐす力もあると痛感させられた」 ゆめパを運営する認定NPO法人たまりば理事長の西野博之さん(62)は「まさか1位とは。奇跡です」と喜びつつ、首をかしげた。「でも、どろんこで遊ぶ子どもたちとか学校外で学び成長する光景に、あれほどの反応があったのはなぜだろうね」 不動の学校神話 コロナ禍で変化 西野さんは「子どもの権利条… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かまどの神?顔が描かれた石の支脚発掘 平安時代の竪穴式住居跡から
茨城県那珂市の下大賀遺跡で、平安時代の竪穴式住居跡から、人物の顔が彫られたかまどの石製支脚が見つかった。遺跡を発掘調査した茨城県教育財団が18日、発表した。人物画が描かれたかまどの支脚が発掘されたのは全国で3例目だという。同財団は、かまどに宿るとされた「竈神(かまどがみ)信仰」との関連性を指摘している。 石製支脚は、たき火の近くに置き、かまどで使う水の入った瓶(かめ)を下から固定していた。長さ約26センチ、幅約9センチ。9世紀中ごろのものとみられる。瓶の上にさらに入れ物を置いて、米を蒸すなどしていた。 支脚正面に全身の人物画、側面には顔が彫られている。人物画は輪郭が二重になっている。同財団の樫村宣行さんは「二重の輪郭は後光と考えられ、衣服の特徴からも神か仏を描いたのでは」と言う。 古代中国では、かまどには竈神が宿り、人々の行いを天上に昇って「天帝」に報告すると信じられていた。日本でも、かまどの伝来とともに竈神信仰が広がったとされる。 なぜ逆さなのか? 焼けて変色した跡の位置から、支脚は人物画が逆さまになるように据えられていたことがわかる。樫村さんは「竈神が天上に昇って自分の悪行を報告するのを防ぐため、逆さに置いたのでは」と推察する。 人物画が描かれたかまどの支脚は、千葉県酒々井(しすい)町の飯積原山遺跡や埼玉県深谷市の幡羅(はら)遺跡でも見つかっているが、いずれも土製で、石製のものが発掘されたのは全国初だという。 樫村さんは「竈神信仰は古事記や続日本紀にも記載があるが、今回の発見で考古学的にも真実味を増した。今後も研究を重ねて、人間にとっての宗教とは何か、ということを調べていきたい」と話している。 石製支脚は、2月1日~26日に同県桜川市の真壁伝承館で開かれる「発掘!! いばらき2022」に展示される。同19日には、同市の大和ふれあいセンターで、金沢大特任准教授の佐々木由香氏が、同県つくば市の上境旭台貝塚の出土品から新たにわかったことについて講演する。講演は参加費無料、事前申込制で、申し込みはネットで「発掘情報いばらき」と検索すると出てくる同財団のホームページか、電話(029・225・6587)へ。(林瞬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NHKアナから「カレーの内藤さん」 学んで気づいたカレーの包容力
かつては街中で「NHKの内藤さん」と声をかけられたが、最近は「カレーの内藤さん」とよばれる。 NHKの情報番組「あさイチ」の初代リポーターとして活躍した元NHKアナウンサーの内藤裕子さん(46)が、40歳でNHKをやめた後に選んだのは、カレーを極める道だった。 会いたい人に会えて、その思いをきき、大勢の人にシェアできる――。そんなアナウンサーという職業に憧れた。 1999年、NHKにアナウンサーとして入局。初任地は熊本で、NHK熊本局としては初の女性アナウンサーだった。 慣れない一人暮らしを支えたのは… 女子高から進んだ女子大を卒業後、初めての一人暮らし。地方暮らしも初めて。男性だらけの職場で勤務時間は不規則。「プレッシャーに押しつぶされそうになりました」 野球のルールを一から学んで、高校野球の県大会の実況中継をしたり、台風がくるとレインコートを着て現場で何時間も取材をしたり……。「慣れないことばかりで失敗の連続、怒られてばかりでした」 支えは、母親が送ってくる小包にあったレトルトカレー。「デパートの催事で珍しいカレーをみつけた」などのメモがついていた。 食卓にカレーがよく並ぶ家庭で育った。 父親はクミンやシナモンなどスパイスたっぷりで、隠し味に蜂蜜をいれたカレーを作ってくれた。母親はキーマカレーなど野菜が盛りだくさんのカレーに腕を振るってくれた。 カレーは両親の味 熊本ではNHK熊本局の近くにある「洋食の店 橋本」に通った。カレーが人気の店だった。カウンターでカレーをじっくり味わっていると、「頑張ろう」と力がわいてきた。 その後、「NHKニュース5」など報道番組のキャスターをつとめ、連続テレビ小説やNHKスペシャルなどのナレーションを担当するなどして活躍の場は全国区に広がった。 2010年、朝の情報番組「あさイチ」の初代リポーターにばってきされる。 だが、放送開始1週間前に母は帰らぬ人となった。61歳だった。 1月22日は「カレーの日」。全国学校栄養士協議会が1982年、「学校給食週間」(1月日~日)直前の日の給食メニューを、カレーにするよう全国的に呼びかけたことにちなむ。 最愛の母 思い出のキーマカレー 母は前年に膵臓(すいぞう)… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
90歳殺害の強盗殺人事件、別事件と新たに接点 中野で3千万円被害
東京都狛江市の住宅で19日に大塩衣与(きぬよ)さん(90)が殺害された事件が、別の事件と新たにつながった。1カ月半前に同中野区内で発生した強盗傷害事件の容疑者として、21日に逮捕された男のレンタカー内にあった携帯電話に大塩さんの事件の情報が記録されていた。 12日に千葉県内であった強盗致傷事件の容疑者の携帯電話には大塩さん宅の住所が記録されており、警視庁はこれらの事件の関連について調べを進める。 21日に逮捕されたのは、職業不詳の永田陸人容疑者(21)=金沢市末町。昨年12月5日午前10時ごろ、中野区上高田3丁目の3階建て住宅にほかの5人の男と一緒に押し入り、住人男性の顔を殴るなどして現金3千万円を奪ったとして、今月21日午前1時半ごろ、警視庁に逮捕された。調べに対し、「身に覚えがありません」と容疑を否認しているという。 「レンタカーが行ったり来たり」 逮捕のきっかけは前日の20日午後1時過ぎ、足立区内の路上を行ったり来たりしているレンタカーがあるとの近隣住民からの110番通報だった。 通報を受けて竹の塚署員が駆… この記事は有料記事です。残り542文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
神戸市の集合住宅で火災、焼け跡から4人の遺体 ほかに4人意識不明
2023年1月22日 6時45分 22日午前1時40分ごろ、神戸市兵庫区湊町1丁目の集合住宅「ひろみ荘」から炎が上がっていると、住人の男性から119番通報があった。火の勢いは約1時間後に収まったが、兵庫県警によると、焼け跡から男性4人の遺体が見つかった。また、神戸市消防局によると、ほかに男性4人が病院に搬送されたが、いずれも意識不明だという。 兵庫署などによると、ひろみ荘は3階建てで31室がある。亡くなった4人はいずれも1階付近で見つかり、搬送された4人は全員1階から助け出されたという。 神戸市の兵庫消防団の男性(23)は、午前1時50分ごろ、新聞配達店の仕事でバイクを運転中に現場を通りかかった。白と黒の煙が1階と2階から出ているのを目撃した。消防団の装備を持って同2時10分に現場に戻ると、建物から逃げ出した人や近所の人ら約20人が集まり、建物を見上げていた。「夜間は人通りの少ない場所。とにかく煙がすごくて、こげくさかった」と話した。 現場はJR神戸駅の南西約1キロでJRの高架のすぐ南側。周囲には住宅や商店などがある。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新装の矢先、山あいのホテルを襲った豪雨 静岡茶発祥の地で再起期す
静岡市葵区の中心街から車で北西へ約40分。12月下旬、山あいの足久保地区にあるリゾートホテル鈴桃(りんどう)の近くの山肌はえぐれ、いまも庭には流出した木々が横たわっていた。 ホテルを経営するアイワ茶業の専務・鈴木啓介さん(43)は「ここまでの被害は経験したことがなく、頭が真っ白になった」と振り返る。 昨年9月下旬の台風15号の影響で、静岡市では12時間の降水量が404・5ミリと観測史上最多となるなど、記録的豪雨に見舞われた。 ホテルの脇を流れる二つの川が氾濫(はんらん)し、ホテルの駐車場も一部崩落した。対岸にある山では大規模な土砂崩れが発生したほか、建物内に大量の土砂や水が流れ込んだ。 徳川家康が愛飲した茶を代々栽培 足久保地区は、鎌倉時代の僧侶、聖一国師(しょういちこくし)が中国から茶の種を持ち帰ってまいた場所とされ、静岡茶発祥の地として伝わる。 江戸時代には駿府城にいた徳川家康が愛飲したとされる足久保茶を、鈴木さん一家も代々栽培してきた。 ホテルの開業は1990年… この記事は有料記事です。残り903文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル