放送直前まで、どう話そうか迷っていた。 4時間ほど前、サッカーのワールドカップ(W杯)で日本がPK戦の末、クロアチアに敗れた。 マイクの向こうには、ラジオを聞きながら慌ただしい朝を過ごす人たちがいる。一日のスタートを少しでも前向きな気持ちで過ごしてほしい。 朝7時、そんな思いで放送ブースに座ったフリーアナウンサーの雫石将克(しずくいしまさかつ)さん(29)は大きく息をつき、意を決して話し始めた。 「最後まで諦めない気持ち、勇気、元気をもらった人、多いんじゃないでしょうか。日本代表の背中を見て、一つのことに取り組む力をもらいましたね」 番組は「さわやかラジオ」。西日本放送(高松市)で40年以上続く看板番組だ。ニュースを交えながら4時間、共演者との軽妙なやりとりが続いた。 だが、音声のみの放送では伝えきれない「秘め事」が、雫石さんにはある。 白いタートルネックに身を包… この記事は有料記事です。残り1385文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鳥インフルエンザ 殺処分対象が今季1千万羽超える 宮崎で57件目
宮崎県は10日、同県川南町の養鶏場で高病原性が疑われる鳥インフルエンザが発生したと発表した。同日朝から、飼育する採卵鶏約10万羽の殺処分を始めた。農林水産省によると、今季2022年シーズン(昨年秋~今年春)の57件目の発生で、殺処分対象数は計約1008万羽となり、1シーズンとしては初めて1千万羽を超えた。 農水省によると、養鶏場から9日に死亡羽数の増加の通報があり、同県が立ち入り検査を実施。10日の遺伝子検査で高病原性が疑われる鳥インフルエンザだと分かった。(大野博 前川浩之) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪湾のクジラ、回遊続く 見守る海保「関係機関と対応協議」
2023年1月10日 10時43分 【動画】大阪湾・淀川河口付近にクジラ=朝日放送テレビ撮影 大阪湾の淀川河口(大阪市西淀川区)近くに体長約8メートルのクジラが迷い込んだ。大阪海上保安監部によると、通報から24時間が過ぎた10日午前9時半の時点でも、時折潮を吹きながら、付近を回遊する状況が続いている。 通報があったのは9日午前8時ごろ。クジラが阪神高速湾岸線の下あたりを泳いでいるのが見つかった。 付近の水深は干潮のときで約2メートル。大阪市港区の水族館「海遊館」によると、ふだんは深い外洋にいるマッコウクジラとみられ、餌を追いかけて入り込んだ可能性があるという。 同保安監部は、10日も早朝から巡視艇1隻を出して川の上流に行かないか監視している。刺激して体調に影響が出ないよう、無理に沖に追いやることはせず、「見守りながら関係機関と対応を協議する」という。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
石塔の下から漢字が書かれた石ざくざく 2万個を埋めた地域の経済力
石塔を移動させようとしたら、下から文字が書かれた小石がざくざくと出てきた。その数、2万個以上。文字はどうやら約250年前に書かれたものらしい。これはいったい何なのか。研究者はこの場所の信仰心と経済力を示すと言う。 昨年10月、岩手県大槌町吉里吉里の吉祥寺(高橋英悟住職)で見つかった。参道の入り口に立っていた「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」と呼ばれる石塔の間や下から出てきた。 宝篋印塔は、礼拝すれば功徳が積まれるとされる石塔。参道の工事があったほか、東日本大震災でずれて危険だとして、移設作業をしていたところだった。 その下の石室から見つかった石は、二つの大きなかめや小さな肥前陶磁器の中に、まるでタイムカプセルに入れられたかのように約600個あった。その周辺の土の中からは約2万個が見つかった。 恐山から持ち帰った石も そのうちの一つのかめのふた… この記事は有料記事です。残り692文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
臼を投げ飛ばし、水を浴びる「臼かぶり」 始まりは155年前の大火
外尾誠2023年1月10日 7時00分 水を張った臼を持ち上げ、水を浴びながら後方に投げ飛ばして火災防止を願う伝統行事「臼かぶり」が9日夜、福岡県大牟田市の三池本町祇園宮であった。 1868年に周辺の80戸が焼けた大火を受けて始まったとされる。1950年代まで氏子の家々の前で水をかぶっていたが、道路事情で一時途絶え、83年に祇園宮で行う形で復活した。 この日は白装束に身を包んだ20~60代の氏子約20人が挑んだ。重さ30~80キロの臼を両手で持ち上げ、体を反らせて豪快に投げ飛ばすと、見物客から拍手と歓声があがった。地元の児童らもバケツの水をかぶって参加した。その一人の矢野雅明君(11)は「全身がびしょびしょになって楽しかった」と笑顔だった。 祇園宮の中野義治・神社会長は「コロナ禍でも無事に開催できてよかった。地域の大切な行事として守っていきたい」と話した。(外尾誠) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
530人の村唯一の不動産屋 起業した23歳は空き家問題の壁に挑む
東京湾から多摩川の源流へとさかのぼり、都県境にある山梨県丹波山村。山に囲まれる村内は鉄道も通らず、コンビニもない。 離島を除いて関東エリアで最も少ない、人口530人の村で昨夏、23歳の青年が唯一の不動産屋「梅鉢不動産」の看板を掲げた。 目指すのは、全国のどこでも悩みの種になっている「空き家問題」の解決だ。 コロナ禍で授業がなくなり、村に通う 不動産業を始めたのは梅原颯大さん(23)。きっかけは大学の授業とコロナ禍だった。 山村の地域課題の解決策を探る授業を選択し、村に通い始めた。ほどなく世はコロナ禍に突入。東京・八王子の大学では授業がなくなった。 「もっぱら村で過ごすことになった」。地元住民と接して農作業の手伝いや特産品の販売を手がけるようになってはたと気づいた。 「足りないのは人手じゃない。家だ」 村は人口減少が深刻だが、街道の宿場で、旅人が多く訪れる。「ここで仕事を見つけて暮らしたいという人は少なくない。けれども、すみかが見つからなくて実現しない」と悟った。 一方で、村では空き家が増えて困っている。この両者をつなぎ合わせれば、それこそ課題の解決につながるのでは――。そんな着想から大学を卒業後、不動産業の世界に飛び込んだ。 感じる手応え だが、現実は甘くない。家を貸したい・売りたい人と、借りたい・買いたい人をつなぐ、とは言っても、空き家の所有者との連絡がとれなかったり、修繕に費用がかかったり。 手応えも感じている。開業をきっかけに全村の空き家調査を村から頼まれ、結果はまとまりつつある。自身でプログラミング言語を操り、ホームページを開設すると、多い月は1万件のアクセスがあった。「この村で成果を出せれば、ほかの地域にも展開できる」 実は、村も「空き家バンク」を設けているが、ほとんど活用されていない。村は空き家の清掃や備品購入の資金を調達するクラウドファンディングで、梅原さんの挑戦の応援を始めた。(吉沢龍彦) 発信ツール ○梅原さんが起業した「梅鉢不動産」のホームページ https://sites.google.com/umebachi-hudosan.jp/site/ ○丹波山村のクラウドファンディング https://www.furusato-tax.jp/gcf/2163/ Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
暴力根絶へ、親にもアプローチ 桜宮事件から10年、バスケ界の試み
大阪市立(現・大阪府立)桜宮高校のバスケットボール部主将だった男子生徒が、顧問から暴力を受けて自殺した事件から、12月で10年。日本バスケットボール協会では、暴力や暴言の根絶に向け、保護者らも巻き込んだ現場での取り組みを始めている。 協会が例年全国9カ所で開催している小学生年代向けの指導者講習会。18日の水戸市の会場では、関東の1都7県から推薦されたコーチたちが、体育館で体を動かす実技の前に、会議室に集められた。 講師はスポーツ心理学の博士号を持つびわこ成蹊スポーツ大教授の豊田則成(のりしげ)さん(55)。桜宮高の事件前から、部活動の体罰の実態調査や加害者・被害者の支援を続け、これまでに80件近い事例で当事者と向き合ってきた。 受講生のコーチたちに紹介したのは、小学生の時に暴言や暴力の被害にあった大学生から聞き取った話だ。 Aくんは小学3年のとき、強いチームのコーチに誘われ、喜んでバスケットボールを始めた。しかしチームに入ってみると、コーチはいつも不機嫌で、ミスをするたびに怒鳴られ、たたかれた。 「指導してもらいたい」「期… この記事は有料記事です。残り2660文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
六花亭のチョコでイラクの難病の子を支援 今年も募金活動始まる
阿部浩明2023年1月9日 18時00分 六花亭(北海道帯広市)のチョコを食べて、小児がんや白血病と闘うイラクの子どもたちを支援しませんか――。寄付へのお礼にチョコレートを贈る「チョコ募金」が今季も始まった。主催するNPO法人「JIM―NET(ジムネット)」(東京)は「活動のきっかけとなったイラク戦争から20年。いまだ困難な環境にある子らに思いをはせてほしい」と話す。 チョコ募金は2006年から続く冬季限定の募金キャンペーン。今年で18回目となる。益金はイラクの子どもらの難病治療や、シリア難民キャンプへの医薬品支援、イラク北部アルビルに開設した小児がん総合支援施設「JIM―NETハウス」の運営などに充てられる。福島の子どもたちを放射能から守るための検診にも役立てる。 チョコ缶のふたには、現地の子ども4人が描いた鳥や花の愛くるしい絵があしらわれている。 ピンクのポピーを描いたのは、5歳で急性リンパ性白血病と診断されたエリーンさん(9)。母国シリアでは危険な国内情勢で十分な医療が受けられず、アルビルへ引っ越して、投薬治療ののち姉から骨髄移植を受けた。元気を取り戻し、昨夏にはジムネットの院内学級を卒業した。夢は医者になることで、「患者さんを治してあげたい」。 ジムネット代表で医師の鎌田實さんはホームページで、「1%でいいから、だれかのために力を尽くすことができれば、世界はもっと生きやすくなるのではないでしょうか。1%には大きな可能性がある」と協力を呼びかける。 チョコは、六花亭が活動の趣旨に賛同し、約14万缶分を原価で提供した。1缶10枚入りで、ホワイト、モカ、ミルクの3種類。4缶1セットで2200円(送料別)。購入や問い合わせはジムネット事務局(03・6908・8473)へ。(阿部浩明) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アイドルからアスリートへ、11周年のガールズケイリンが目指す変化
競輪のレースを主催する公益財団法人JKA(ジャパン・ケイリン・オートレース・ファンデーション)が、発足11周年の「ガールズケイリン」の改革に乗り出した。これまで女子選手は、華やかなユニホーム姿で競輪場での客の出迎えなど、「アイドル」的な仕事をこなしてきた。JKAはこれを改め、プロスポーツ選手であることを全面的に打ち出したPRを始めた。 改革は、ジェンダー平等に対応する企業責任などが重視される、近年の世情を受けたものだという。 1期生33人で始まったガールズケイリンの選手数は、現在175人(9日時点)。競技レベルも年々向上して、東京五輪では福岡支部の小林優香選手(28)が女子競輪選手として初めて自転車競技に出場。メダルは逃したが、スプリント予選では日本新記録をマークした。人気も高まり、2021年は年間のレース数が発足当初の206から1685にまで増え、約500億円を売り上げた。次のパリ五輪では、福岡支部の内野艶和選手(20)が中長距離での出場を狙う。 選手らからは、レース体系などを男子と同様にしてほしいと改善を望む声が出ていた。昨年には、経済産業相の諮問機関・産業構造審議会が、発足当初からのガールズケイリンのキャッチコピー「顔より太もも。」が、ジェンダーの観点から不適切ではないかと指摘。これも改革を後押しした。 今年から、ユニホームの基調の色を華やかさをアピールするピンクから、強さを強調する黒へと刷新。より見応えあるものにするため、年末開催の最上級レース「グランプリ」への出場権を賭けた、トーナメント方式でのレース数を増やす。競技用自転車の後輪も、女子専用だった推進力が増すディスク状のものから、男子と同様の仕様に変更した。これまでは強風時に後輪を変更する手間があったが、それも必要なくなった。昨年末から放映しているCMでも若者向けに、ラップの歌詞にのせて「スポーツ」を強くアピールする。 課題もある。男子の選手数は… この記事は有料記事です。残り167文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
カンニング、刺傷事件…昨年トラブル続いた共通テスト、大学の対策は
有料記事 上野創 山本知佳2023年1月9日 20時00分 14日から大学入学共通テストが始まり、大学入試シーズンが本格化する。昨年は、受験生が外部から解答を得ていた問題流出事件が起き、東大近くでは高校生による刺傷事件もあった。打つ手が限られる中、大学側は対応を模索している。(上野創 山本知佳) 昨年の共通テストでは、受験生がスマートフォンとイヤホンを使い、外部から解答を得ていたカンニングが発覚した。 大学入試センターは昨年12月、大学入学共通テストの出願者に、受験票とともに不正防止を呼びかけるリーフレットを送った。「イヤホンを装着していれば不正行為になります」「不正行為は警察に被害届を出す場合があります」。リーフレットにはこんな文言が並ぶ。 文部科学省は、高校や大学の… この記事は有料記事です。残り957文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル