各地で相次いだ強盗事件や60億円の被害がある特殊詐欺事件に絡み、フィリピンから送還された4人が同国収容中に使っていたとされる携帯電話やタブレット端末の解析を警視庁が進めている。ただ、フィリピン側から引き受けた約15台の中には、データがほとんどない端末もあったという。事件は匿名性の高い通信アプリで指示や報告が行われていた疑いがあり、残る端末の解析が焦点となっている。 フィリピンを拠点とした特殊詐欺や一連の強盗事件では、指示役と実行役とのやりとりが通信アプリ「テレグラム」を使って行われていたとみられている。言論弾圧を避ける目的で高い匿名性が確保されたアプリの特徴が、犯罪に悪用される形となっていた。 テレグラムの公式ページなどによると、テレグラムはロシアの実業家によって2013年にサービスが始まった。「LINE」のようにメッセージや画像などを送受信でき、世界中に7億人を超える利用者がいるとされる。ダウンロードして携帯電話番号を登録すれば誰でも無料で使うことができる。 テレグラムの秘匿性の高さについて、サイバーセキュリティーに詳しい慶応大学SFC研究所の小宮山功一朗・上席所員(44)は、「アプリが生まれた背景に起因している」と語る。 ロシア当局からの圧力 小宮山さんによると、創業者… この記事は有料記事です。残り1360文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「入札を有名無実化し…」電通幹部出席の会議資料に明記 五輪談合
東京五輪・パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件で、大会組織委員会による発注が始まる2年前の2016年、広告最大手「電通」の社内会議で「入札を有名無実化して電通の利益の最大化を図る」などと記した資料が共有されていたことが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部はこの資料を入手しており、こうした考えが、電通が談合を主導した背景にあったとみて調べている。 電通広報部は「回答は控える」とした。 事件では、組織委大会運営局の元次長・森泰夫容疑者(55)と電通スポーツ局の元局長補・逸見(へんみ)晃治容疑者(55)らが、組織委が18年5月以降に発注した各競技のテスト大会や本大会の運営業務について、会場ごとの受注予定業者を事前に決めたとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで逮捕された。契約金は400億円規模だった。 関係者によると、電通から組織委に出向中の幹部職員が16年、大会運営業務の発注見通しなどについて情報共有する会議の開催を、電通本体の五輪担当者らに呼びかけた。この幹部職員が作成し、電通社内の会議で示したプレゼン資料には、発注形式が入札になる想定で「入札を有名無実化して電通の利益の最大化を図る」などと記されていた。会議には逸見元局長補を含む幹部らが出席したという。 電通への報酬、50億円の削減要求で… 一方、17年になると、電通… この記事は有料記事です。残り624文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
誤解だらけの英語教育 「グローバル化への対応」で低年齢化、でも…
「グローバル化時代に英語は必須」「英語は早くから学ぶべきだ」。こんな主張、よく耳にしませんか。日本社会と英語の関係を研究する関西学院大の寺沢拓敬准教授は、こうした英語をめぐる言説の多くは誤解だとし、それが英語教育に影響を与えてきたと指摘します。 なぜ英語には誤解があふれているのか。寺沢准教授に聞きました。 早く学べば英語が身につく? ――英語は早くから学ぶべき、ではないのですか。 英語の習得は、早くから学び始めたほうが生物学的に良いという考え方は、日本だけでなく、海外でも広がっています。ただ、この考えを裏付ける実証研究はありません。いわば「国際的な共同幻想」です。単に学習開始年齢を早めただけでは効果は望めません。 ――早くから学ぶ必要はないのですか。 早くから学び始めることで学… この記事は有料記事です。残り1716文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「うれしいハプニング」と豪州の観光客 浅草の案内所来館1千万人に
東京都台東区の浅草・雷門前にある観光案内施設、浅草文化観光センターの来館者が15日、1千万人に達した。1千万人目は豪州シドニーからの観光客、マット・ブリットさん(22)とメーガン・リーさん(22)で、服部征夫区長らから花束や記念品が贈られた。 2人は3週間の日程で、神社仏閣巡りや伝統文化体験を楽しみに来たという。ブリットさんは「浅草はとても美しい場所。こういうハプニングもあり、とてもうれしい」と喜んだ。 同センターは2012年4月に新装オープン。新国立競技場を設計した建築家の隈研吾さんがデザインした。日英中韓の4カ国語に対応した観光案内や、浅草寺の仲見世通りと東京スカイツリーを一望できる8階展望テラスが好評という。 新型コロナの影響で、予定よ… この記事は有料記事です。残り98文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入管法改正案、自民党に法務省提示 旧法案の骨格そのまま
法務省は15日、不法残留する外国人の迅速な送還や、入管施設での長期収容の解消を目的とした入管難民法の改正案について、概要を自民党法務部会に示した。廃案となった2年前の旧法案の骨格は維持された。法務省は3月上旬に法案を提出し、今国会での成立を図りたい考えだ。 法務省は、強制退去処分が確定しても送還を拒む人が約3200人(2021年末時点)に上り、重大な罪を犯していても、難民認定の申請中なら送還が一律に停止される現状を問題視する。送還時までは原則収容となるため、収容が長期化しているとして、法改正の必要性を訴えてきた。 今回の改正案は旧法案の骨格が維持され、相当の理由がない限りは3回目以降の難民認定申請者を送還可能にする▽暴れて送還を妨害した場合などには退去を義務づける罰則付きの命令制度の創設▽収容に代えて支援者ら監理人のもとで施設外で暮らす「監理措置」の導入――などが盛り込まれた。一部では修正が加えられ、収容と判断した場合も、3カ月ごとに監理措置への移行を検討し直す仕組みが新たに入った。 一方、紛争から逃れた人らを難民に準じて保護する「補完的保護対象者」制度の導入も盛り込まれ、法務省はウクライナからの避難者の確実な保護につながると説明する。 ウィシュマさん問題で廃案から2年 旧法案は21年の通常国会に… この記事は有料記事です。残り406文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国工事受注会社から選挙直前に寄付計約1千万円 自民・鈴木氏
内閣府政務官で前三重県知事の鈴木英敬衆院議員(三重4区)が代表を務める自民党支部が2021年10月の衆院選の直前、国の公共工事を受注した地元の建設会社約10社から計約1千万円の寄付を受けていたことがわかった。公職選挙法は、国と契約を結ぶ業者が国政選挙に関して寄付することを禁じている。鈴木氏の事務所によると、詳細は調査中だが全額返金するという。 鈴木氏の事務所は取材に対し、「国からの公共事業を受注していたことは全く知らなかった。深く反省している」とコメントしている。政治資金収支報告書は近く訂正するという。 事務所によると、鈴木氏が代… この記事は有料記事です。残り386文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
成田空港反対派の耕作地で強制執行 支援者ら抵抗、100人が集まる
上沢博之 上保晃平2023年2月15日 20時48分 成田空港B滑走路の誘導路脇にあり、空港反対派の農家が耕作してきた土地(千葉県成田市天神峰)の明け渡しをめぐり、この土地(約4600平方メートル)の農機具小屋やビニールハウス、空港反対の看板・やぐらなどの強制撤去の動きがあるとして、空港反対派や支援者が15日未明、抵抗のため集まった。午後には学生を含め約100人にのぼった。同日夜、強制執行が始まった。 最高裁で、農家らに、この土地の明け渡しを命じる判決が確定するなどしていて、千葉地裁は既に執行官による強制執行を求める成田国際空港会社(NAA)の申し立てを認めている。 農家は、三里塚芝山連合空港反対同盟北原派の市東孝雄さん(72)。祖父の代から、3代にわたり、この土地を賃借するなどして営農を続けてきた。15日午前3時過ぎ、市東さんは「ここは俺が生まれた場所。農地と一緒で自分の一部だよね。空港会社は、傲慢(ごうまん)なやり方をずっとやってきた。一番ひどいのは、おやじにだまって底地を買って、明け渡せ、と。そのやり方が認められない」と思いを語った。(上沢博之 上保晃平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新庁舎の農地転用取り下げへ 議会同意の見通し立たず 岐阜県御嵩町
有料記事 保坂知晃 本井宏人2023年2月15日 21時00分 岐阜県御嵩町の渡辺公夫町長は15日の町議会新庁舎等建設特別委員会で、庁舎の移転事業に必要な農地転用について県への許可申請を取り下げると表明した。県は農地転用の要件として、庁舎の位置を変える条例制定が必要としているが、町議会の同意が得られていない。これまで国の補助金も含めて約6億5千万円(昨年9月時点)がすでに投じられている。 町によると、事業費は約78億円。2012年に現庁舎の耐震性の問題が判明し、新庁舎計画が進められてきた。町は21年10月、移転先の予定地について農地法に基づき、知事に農地転用を申請。22年5月に新庁舎の実施設計を完了した。 地方自治法は、庁舎移転には出席議員の「3分の2以上」が同意(特別多数議決)して制定された条例が必要と定めている。町議11人のうち、4人が昨年8月に「新庁舎移転の白紙撤回を求める声明」を公表し、条例制定は見通せない状況となっていた。 県は、確実な庁舎移転の裏付けとなる条例制定が見込めないことから、今年に入って町の農地転用の申請を不許可とする意向を町に伝えた。 町は建設予定地の地権者の同意を得られれば、申請を取り下げる手続きに入る。(保坂知晃 本井宏人) 甘い見通しで支出 6億円無駄に? 岐阜県御嵩町の新庁舎建設計画が一時ストップすることになった。建築予定地の農地転用について県が許可しない方針のため、移転地を確保できないからだ。町は計画に反対する町議を説得すれば、許可が出るだろうという甘い見通しで約6億5千万円(昨年9月時点)を投入してきたが、血税が無駄になる可能性も出てきた。 15日の町議会新庁舎等建設… この記事は有料記事です。残り510文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
多摩動物公園、鳥インフルの疑いで当面休園 カモ4羽から陽性反応
2023年2月15日 21時00分 東京都は、都立多摩動物公園(日野市)で飼育するツクシガモ4羽が鳥インフルエンザの簡易検査で陽性と判定されたと、14日に発表した。国立環境研究所(茨城県つくば市)で遺伝子検査をし、高病原性と判定された場合は、都内で飼育されている鳥類で初の事例になるという。 都によると、11、14の両日、園内のカモ池で飼育するツクシガモ3羽が死亡。同じ池にいた別の1羽も含めて簡易検査したところ、陽性だった。その後この1羽は安楽死させたという。池では同種のカモを含めて計6種31羽の鳥類を飼育していたが、他の鳥に異常は出ておらず、経過を観察するという。 同園は定休日を経た16日から休園し、再開時期は未定。また、上野動物園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園で、一部鳥類の展示中止や野鳥の監視などの対策を強化する。都内では2017年、18年の計2例、野鳥による発生事例があったが、飼育の鳥類で発生した事例はなかった。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
退院した子どもに優しさを 悩みや周りの接し方、子リスの絵本で描く
病気などからの退院後、学校への復帰や友達との再会を喜びながらも、元通りに動けないつらさを抱える。そんな子どもの悩ましさと、周りの優しい接し方で回復する様子を描いた絵本が出版された。2月15日の国際小児がんデーに合わせ、各地の病院に寄贈される。 絵本は「げんきになったよ こりすのリッキ」(偕成社)。かけっこが好きな男の子のリスが病気になり、つらい治療を乗り越えて退院する。ドキドキしながら学校に戻るが、治療で体が弱り尻尾の毛が抜けていて、以前のようにはいかない。それでも周りのサポートで少しずつ元気を取り戻す――という物語だ。 絵本が生まれたきっかけは、静岡県立こども病院(静岡市)の医学図書室で司書をしていた塚田薫代(しげよ)さんが「退院後の子どもたちの苦労が理解できる絵本がほしい」と編集者の千葉美香さんに話したこと。塚田さんは「厳しい治療を終え、やっと家に帰れると喜んだ後に、実は苦労が多いと知って衝撃でした。髪が抜けるなど容姿の変化でいじめられたり、勉強の遅れで自信をなくしたりという話を打ち明けられ、切なくて……。つらい思いをする子が減ってほしいと思い提案しました」と話す。絵本の最後に「アフターホスピタル、退院後の物語を知っていますか?」という一文も寄せた。 実際、退院後も体力やウイルスなどへの抵抗力が戻るには時間がかかるため、しばらくは短時間の登校になったり、体育を見学したりという子どもは多い。通院が必要で、後遺症があるなどの事情を周りの子が理解できず、本人もどう伝えたらよいか困惑し、いじめやからかい、孤立につながる場合もある。 文を書いた竹下文子さんによ… この記事は有料記事です。残り430文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル