日本は先進国の中で、きわめて難民認定のハードルが高く「難民鎖国」と批判されてきた。難民の解釈が時代遅れだ、との指摘もある。日本の難民受け入れについて、国際法が専門で、難民認定の審査で意見を述べる「難民審査参与員」を10年間にわたり務めた明治学院大学の阿部浩己教授に聞いた。 ――2022年は日本もウクライナからの避難者を多く受け入れましたが、日本は難民条約上の「難民」と認定するハードルが高すぎ、難民の受け入れが非常に少ないと批判されてきました。なぜ、これだけ批判されても認定率が低いままなのでしょう。 (難民申請を審査をする法務省出入国在留管理庁は)特に厳しくしているという意識はないのではないでしょうか。「日本に真性の難民はほとんど来ない」という意識が、本当に強いんだと思います。「本当の難民は適正に認定している」と。 ではなぜ、国際的な基準に照らして厳しいのか。やはり、出入国管理機関の中に難民認定機関があるため、「疑わしい人は入れてはいけない」という、いわば「水も漏らさぬ」入国管理を忠実にやっているということだと思います。だけど、難民認定は疑わしくても保護するべきは保護する、という考え方でないといけません。 ――諸外国では、入管当局から独立した組織が難民認定をしているのですか。 難民認定は、だいたいどの国… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「コンビニ+本屋」で本の灯を守れるか ローソンが100店舗計画
人口約5千人、65歳以上の高齢化率が4割を超える青森県田子町(たっこまち)に2月、新たな「本屋」が誕生した。仕掛け人はコンビニ大手のローソン。「書店過疎地域」で、いまあえて本を売る理由とは。 田や畑に囲まれた道沿いに立つ「ローソン田子町店」。表から見ると一見、少し広めのローソンの店構えだが、中に入ると、左側にずらりと本が並んでいた。 雑誌やコミックなどは約6千タイトル。93坪の売り場のうち23坪が書店スペースで、駅前の書店や商店街にある比較的小規模なまちの書店ほどの規模感がある。営業時間はコンビニと同じ24時間。通常の書店と同様に図書カードが利用でき、本の取り寄せもできる。 この店は、ローソンが手がける「LAWSONマチの本屋さん」。人口比で書店が少ない地域への出店を手がける。 田子町がある三戸郡は青森県の最南端で岩手、秋田との県境にあり、2016年まで五つの書店があったが、現在は三つに減少。人口1千人当たりの書店坪数が全国平均に対して1割程度で低水準だったことから選ばれた。 地元住民からは、「お目当ての本を買う時には、車で1時間ほどかかっていた。近くにできてありがたい」「東北出身の芥川賞に選ばれた佐藤厚志さんの小説がすぐに読めてうれしい」と喜びの声が届く。 ただ、全国的には書店の経営が成り立たず、次々に街から姿を消している。ローソンに勝算はあるのか。 ビジネスとしての書店 勝算は「20坪の広さ」 狙いは、本屋がない地域にコ… この記事は有料記事です。残り1601文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
お湯換え週1回→実は年2回 高級旅館の虚偽報告が発覚したきっかけ
有料記事 釆沢嘉高 座小田英史2023年2月24日 6時00分 福岡県筑紫野市の二日市温泉にある老舗旅館が、週1回以上行う必要がある大浴場の湯の取り換えを年2回しか実施せず、消毒用塩素の投入も怠っていたことがわかった。調査では一時、基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が検出されたという。旅館が湯の管理について虚偽報告をしていたこともわかり、県は罰則適用を検討している。 旅館は「二日市温泉・大丸別荘」。運営会社は取材に「公表を控えさせていただく」としている。 県やホームページなどによると、大丸別荘は1865年創業の高級旅館で、昭和天皇が宿泊したこともある。客室は41で、150人収容の宴会場や3500坪の日本庭園も備える。男女一つずつ計二つの大浴場には48度、湧出(ゆうしゅつ)量毎分100リットルの温泉を掛け流し、一部を循環濾過(ろか)させている。 公衆浴場法に基づいて県が定める条例では、大丸別荘のように連日使用型の循環浴槽は、すべての湯を取り換える「完全換水」を週1回以上行い、消毒のための湯内の残留塩素濃度は1リットルあたり0・4ミリグラム以上にする必要がある。 しかし県などによると、大丸別荘は完全換水を年2回の休館日にしか実施せず、宿泊客らに入浴させていた。塩素注入も日常的に怠っており、必要な濃度が保たれていなかったという。 問題発覚の発端は、大丸別荘… この記事は有料記事です。残り643文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
プラネタリウムに映したハルキウの星空 東京に避難の女性が託す願い
ウクライナ北東部ハルキウでプラネタリウムの解説員をしていた女性が、避難してきた日本で、また解説員としての一歩を踏み出した。ロシアによる侵攻から24日で1年。女性が東京都足立区のプラネタリウムに映し出したのは、ふるさとハルキウの星空だった。 「今日は悲しいことは話したくありません。星の話で皆さんに希望を感じてもらえたら幸せです」 18日、東京都足立区の複合施設「ギャラクシティ」内のプラネタリウム。北緯49度にあるハルキウの満天の星が映し出された。「ウクライナの空の下で」をテーマにした企画だ。 オリオン座、日本との共通点 オレナ・ゼムリヤチェンコさん(30)がマイクを持ち、コンソール(操縦席)に立った。オリオン座、プレアデス星団、天の川……。投影される星空をウクライナ語で解説し、通訳が日本語に訳していく。「オリオン座は、農業が盛んなウクライナでは農機具の鋤(すき)にたとえられます。日本でも鋤に見立てたようで、共通点ですね」 おとめ座では、ウクライナの伝統的な女の子のお守り人形「モタンカ」を紹介した。「おとめ座は家族みんなを見守るモタンカのようです」 星にまつわるウクライナの神話や伝説も交えた解説は約30分間。「家から何千キロと離れた場所で自分の好きなことができ、心から感謝しています」と結んだ。 ウクライナ第2の都市ハルキ… この記事は有料記事です。残り843文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
肖像権めぐり馳知事と地元テレビ局が対立 地方メディア衰退の表れ?
公務員の肖像権はどこまで守られるべきなのか――石川県の馳浩知事が、地元の石川テレビ(フジテレビ系列)が制作したドキュメンタリー映画「裸のムラ」への批判を強めている。自身や県職員の映像を「無断で使用している」として、同社社長に対して公の場での議論を求める。石テレは「特段の許諾は必要ない」と応じていない。 「裸のムラ」は、同社が2022年10月に公開したドキュメンタリー映画だ。同年3月に行われた知事選挙をメインの舞台に、谷本正憲前知事や馳知事、森喜朗氏を取り巻く人々の「忖度(そんたく)」や男尊女卑の空気感をとらえようとしている。 馳知事「県職員、演出に使われた」 作品内では、県庁で行われる記者会見や県議会の議場で撮影された映像が使われている。その一つが、議場の知事の席に置かれた水差しについた水滴を、丁寧に拭き取る女性職員を背後から映したシーンだ。 時間が経てば再び結露するにもかかわらず、拭い続ける姿について、五百旗頭(いおきべ)幸男監督は「過剰な忖度だったり、長年、脈々と思考停止になりながら受け継がれてきたりしたものが見える」と朝日新聞のインタビューで語っている。 馳知事は元日にプロレスイベントに参加した際の映像提供を要請のあった地元メディアには提供したが、石川テレビには拒否した。その理由に挙げたのがこの映画だった。映像に映る県職員の顔や胸につけた名札が判別できる状態で、それが商業映画として公開されたことだ。 そうした映像が「演出」とし… この記事は有料記事です。残り1826文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
修理依頼のロレックスを勝手に質入れ容疑 被害総額5千万円か
大山稜2023年2月23日 12時22分 客から修理を依頼された腕時計を質屋に入れて売却したとして、警視庁は、時計修理店「東京美宝」(東京都台東区上野5丁目)の元代表の男(43)=住居不詳=を業務上横領容疑で逮捕し、23日発表した。この店に対する同様の被害相談は約30件あり、被害総額は約5千万円に上るという。 上野署によると、男は2021年8月上旬、60代の男性客から修理を依頼されて預かった腕時計「ロレックス」1本(90万円相当)を質屋に売って横領した疑いがある。調べに対し容疑を認めているという。 依頼から1カ月経っても修理から戻らないことを不審に思った男性客が店に問い合わせたところ、臨時休業していることが判明。署に相談していた。店はすでに閉業状態だといい、署は、男が生活資金を得る目的で腕時計を質に入れたとみて調べている。(大山稜) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
力試しの大鏡餅 持ち上げ無病息災祈る 醍醐寺で「五大力さん」
真言宗醍醐(だいご)派総本山で世界遺産の醍醐寺(だいごじ)(京都市伏見区)で23日、紅白の大鏡餅を持ち上げる「餅上げ力(ちから)奉納」があった。国宝の金堂前に特設舞台が設けられ、青空の下、女性は重さ約90キロ、男性は約150キロの餅を抱え上げた。 「五大力(ごだいりき)さん」の名で親しまれている法要「五大力尊仁王会(そんにんのうえ)」の行事の一つ。寺が祭る「五大明王」に力を奉納し、無病息災などを祈願する。本来は持ち上げる時間を競うが、新型コロナ対策のため、2021年から最長5分に制限している。 今年は事前に申し込んだ女性11人、男性12人が挑んだ。5分間持ち上げた京都市下京区の会社員勝部梓さん(33)は「一日も早くコロナが終息し、時間を競う形が復活できるようにと願った」と話した。女性4人、男性1人が制限時間いっぱいまで持ち上げた。 また、今年初めて金堂内に入れるようになり、参拝者は五大明王像とひもで結ばれた宝剣を握って縁を結んだ。(西田健作) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
21歳容疑者「俺がやった」 慕う男性に事件前語った「やばい」こと
東京都狛江市で今年1月に発生した強盗殺人事件で、殺害された大塩衣与さん(90)のものとみられる血痕が付いた手袋から、実行役とされる土木作業員、永田陸人容疑者(21)=強盗殺人容疑などで逮捕=のDNA型が検出されたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は永田容疑者が大塩さんを暴行した可能性があるとみている。 捜査関係者によると、永田容疑者は事件翌日の1月20日昼過ぎに東京都足立区内で警察官に見つかり、近くにあったレンタカーからは大塩さん宅から奪われた高級腕時計3本や血痕が付着した手袋が見つかった。警視庁が手袋を鑑定したところ、血痕の血液は大塩さんのものと矛盾しないとの結果が得られたほか、永田容疑者のDNA型も検出されたという。 手袋があったレンタカーは、事件当日に大塩さん宅付近を走行していた不審なレンタカーと車種やナンバーが一致している。 大塩さん宅からは4種類の足跡が採取されており、少なくとも4人が大塩さん方に押し入って大塩さんを襲ったとみられている。大塩さんは自宅地下1階の廊下で手を結束バンドで縛られて頭部から血を流した状態で見つかり、その場で死亡が確認された。骨折した左ひじの骨が皮膚から露出するなどの外傷もあった。 「ぼこぼこにした」 「ぼこぼこにして血だらけに… この記事は有料記事です。残り744文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「誇れる私の故郷」 ウクライナから逃れた男性、選んだ永住帰国
あれから1年が過ぎようとしている。あの日、ウクライナの戦火を逃れて、故郷である日本の土を踏んだ。予想もしなかった故国での生活が始まった。 「どうぞ、どうぞ」 北海道旭川市の郊外。公営住宅を訪ねると、白髪の男性が案内してくれた。 降籏(ふりはた)英捷(ひでかつ)さん(79)。日本統治下の旧樺太(現ロシア領サハリン)で終戦を迎えたが、旧ソ連の占領で日本に帰国することができず、20代の頃からウクライナで生活してきた。 ロシアのウクライナ侵攻から逃れて出国し、昨年3月から旭川市で一人暮らしをする。先に永住帰国した兄弟姉妹やその知り合いらと往来しながら、穏やかな生活を続けてきた。 「日本国民として生まれ、ソビエト連邦ロシアの国民となり、ソビエトが崩壊してウクライナの国民となった。それが私の人生でした」 老後に下した大きな決断 静かに半生を振り返る降籏さ… この記事は有料記事です。残り1190文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
車輪止め付けたまま新幹線発車、異音で停止 隣の運転士が誤って装着
小川裕介2023年2月23日 19時18分 23日午後1時半過ぎ、九州新幹線の鹿児島中央発新大阪行き、さくら558号(乗客約240人)が鹿児島中央駅を発車した際、最後部の車両にいた車掌が異音を感じ、非常用ブレーキをかけた。線路におりて調べたところ、木製の車輪止めが破損した状態で見つかった。けが人はなかった。 車体に異常がなかったため約20分後に発車したが、熊本駅で運転を取りやめた。 JR九州によると、さくら558号は鹿児島中央駅の12番線を発車したが、約20分前に隣の11番線に到着したさくら405号の運転士が誤って12番線の車両に車輪止めを取り付けていたという。 通常、新幹線が駅に長時間停車する場合、運転士が車輪止めを着脱することになっているが、さくら558号の運転士は車輪止めに気づかずに発車したという。 運休した列車に乗っていた乗客は熊本駅で後続列車に乗り換え、熊本駅からは定刻通りの臨時列車を走らせたという。(小川裕介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル