井手さゆり2023年2月20日 6時30分 【動画】福島県浪江町で安波祭が行われた=井手さゆり撮影 東日本大震災による津波と原発事故で大きな被害を受けた福島県浪江町の●(くさかんむりに召、読みは「くさ」)野(くさの)神社で19日、豊漁と豊作を祈る「安波祭(あんばまつり)」が開かれた。震災後、神社がある請戸地区の多くが災害危険区域に指定され人が住めなくなったが、この日はゆかりの人たちが集い、神事や伝統芸能の「田植踊(たうえおどり)」などを奉納した。 震災での地区の死者・行方不明者は154人。原発事故で避難を強いられ、祭りは仮設住宅で継承された。2017年3月に町の一部で避難指示が解除され、津波で社殿が流された神社での祭りが翌年復活した。 町などによると安波祭は300年以上の歴史があるという。田植踊は地元の小学生が担っていたが、震災後は年齢や地域の縛りを緩めて伝統をつないでいる。 21、22年はコロナ禍のため神事のみだった。震災前から踊っている請戸地区出身の横山和佳奈さん(24)は「この場所で踊れてすごくうれしかった」。 今年は震災後初の村まわりが行われ、地区のかつての中心部や町内の災害公営住宅でも踊った。請戸芸能保存会の佐々木繁子会長(72)は「昔は家々を回って踊っていたので、一つずつ復興していけたら。請戸は亡くなった人も多く、供養の意味も込めました」と話した。 社殿は今年中にも再建を目指しているという。(井手さゆり) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「こどもかいぎ」が社会を変える 豪田トモ氏が信じる子どもの可能性
子どもたちの話し合いが社会を変える? ドキュメンタリー映画「こどもかいぎ」(2022年、豪田トモ監督)の自主上映会が全国各地で開かれている。16日には、日本保育協会青年部が福岡市で開き、上映後には、豪田監督がこどもかいぎとは何かや意義、映画に込めた思いなどについて語った。 「今からこどもかいぎを始めたいと思います」 進行役の先生が、5、6人の園児と一緒に輪になり、号令をかける。 「よろしくお願いします」。おじぎをして、さあ会議開始。 映画の一場面だ。こどもかいぎのテーマは様々。自由に話していい。先生は、子どもたちが話しやすいようにする進行役に徹する。 先生を諭すようにチャキチャキ話す子がいると思えば、じっと座っていられずダラダラ寝転ぶ子の姿も。ほかにも、友達に話をさえぎられて怒る子、自分の思いをかたくなに口にしない子もいる。 これは会議なのか? 大人なら思わずにはいられない。 この映画は、東京近郊のとある保育園での「こどもかいぎ」の取り組みを、2018年春から1年かけて撮影。対話を通して成長する子どもたちの姿をとらえた。 豪田監督は上映会後の講演会で、全国から集まった保育士らを前に、こどもかいぎをすることで、想像力や語彙(ごい)力が高まるだけではなく、他人の意見や多様性を尊重するようになり、虐待や自殺など社会問題の解決にもつながると説明。こどもかいぎを試してみたいかと尋ねると、多くの参加者から手が挙がった。 一方で、豪田監督は「(撮影開始から)1カ月たっても、3カ月たっても、夏になってもいっこうに対話活動は行われない。絶対映画にならないと思っていた」と撮影の苦労話を明かした。「やっぱり子どもは話せないよね。聞けないよね。じっとしてらんないよね」とあきらめかけたという。 だが、「ここであきらめたら… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地で迷子になったサン 元の飼い主をさがして見つけたものは
京都市で暮らす佐藤研二さん(71)は、自宅の一角で喫茶店「サンの店 SAN Cafe」を営む。かつて、1匹の犬を飼っていた。名前は「サン」。 2011年3月11日の東日本大震災後、飼い主とはぐれた小麦色のオスの雑種で、震災から7カ月後、宮城県富谷(とみや)市の被災動物保護センターから佐藤さんが引き取った。 サンに愛想はないのに、なぜか人やほかの犬が寄ってくる。引き取った「誕生日」には、犬の絵が付いた手作りのクッキーを贈ってくれた常連客もいた。 ずっと一人暮らしで、サンは息子のような存在だった。毎日同じ部屋で寝起きし、鴨川沿いや、京都御所を一緒に散歩した。無我夢中で川沿いの歩道を走り出すサンに、自転車で全速力でついていった日もある。 「出会う前もかわいがられていたんだろうな」。元の飼い主のことが、ずっと気がかりだった。 突然、一本の電話が 佐藤さんは元の飼い主をさがしに被災地に出掛けていき、「私が飼っていた犬と似ている」という女性と出会います。 18年に、津波被害のあった… この記事は有料記事です。残り1142文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
関東で春の陽気、各地で4月並みの暖かさ 週明けは平年並みに
2023年2月19日 16時39分 日本海側にある低気圧が東に進んだ影響で、19日は関東地方に暖かい南風が流れ込んだ。南関東を中心に気温が上がり、各地で春の陽気となった。 気象庁によると、同日午後3時時点で各地の最高気温は、東京都大田区で20・5度、神奈川県海老名市で21・0度、千葉県横芝光町で19・9度、埼玉県鳩山町で19・2度、水戸市で19・6度。いずれも各地の今年最高気温となり、4月中旬から下旬並みの暖かさとなった。 一方で、19日に気温が上昇した関東地方でも、20日以降は平年並みに戻る見込み。予報では、20日の各地の最高気温は、東京や神奈川東部、千葉の北東部と北西部、茨城南部でいずれも13度、栃木南部や茨城北部で12度となっている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
朝ドラ「明日萌駅」で惜別イベント 留萌線廃止区間の駅にファン集合
三木一哉2023年2月19日 17時00分 NHK連続テレビ小説「すずらん」(1999年放送)に登場する「明日萌(あしもい)駅」の撮影セットがある北海道沼田町のJR留萌線恵比島駅で18日、冬フェスタがあった。19日まで。3月末で廃止される留萌線(石狩沼田―留萌)への感謝と惜別の思いを込め、鉄道グッズ販売の合同会社ぽっぽや(旭川市)が主催、町観光協会が協力した。 留萌線の駅名入りのマグネット板や入場券のレプリカなど鉄道グッズのほか、20食限定の駅弁を販売。インスタント焼きそばや、沼田の菓子の詰め合わせなども駅弁風の包装紙で売られ、鉄道ファンらが買い求めていた。 台湾・台南市から訪れた食堂経営、陳舒東さん(49)はSNSで留萌線の廃止計画やイベントを知って訪れた。「昨日、留萌まで列車に乗った。すばらしい風景だった。台湾ではローカル線はそれ自体が観光資源として活用されている。廃止は残念」と話した。 札幌市の会社員永井伸一さん(57)は「廃止された留萌―増毛間の海の景色が忘れられない。さいはての港町に向かう旅情あふれる線だった。乗客急減で廃止は時代の流れなのかもしれない」と惜しんだ。愛知県北名古屋市の男性会社員(32)は「北海道の鉄道が加速度的に減っているが、鉄道がなくなると行けなくなる場所も増えてしまう」と話す。 明日萌駅では3月、「ありがとう留萌本線フェスタ」が土日祝日に予定されている。(三木一哉) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「広域強盗の首魁まで一網打尽に」 警視庁捜査1課長に国府田剛氏
増山祐史2023年2月19日 17時30分 殺人や強盗などの凶悪事件を担当する警視庁捜査1課の課長に、国府田剛(こうだつよし)・鑑識課長(58)が20日付で就く。就任を前に臨んだ15日の記者会見では「捜査1課はプロ集団。日常生活を脅かす犯罪者を絶対に許さず、あらゆる捜査手法を駆使して徹底的に検挙していく」と決意を語った。 神奈川県茅ケ崎市出身。刑事だった父に憧れ、「正義の味方である刑事になりたい」と自然と警察官を目指すように。大卒で1987年に入庁。95年の地下鉄サリン事件では特別捜査本部に加わり、松本サリン事件や坂本弁護士一家殺害事件の捜査にあたった。 原点となる事件がある。原宿署の巡査だった20代のころ、中華料理店で中国人従業員が更衣室から失踪したとの通報が入った。事件性の有無の判断を迷っていた矢先、誘拐犯から身代金を要求する電話が入った。女性は無事に保護されたが、「一歩間違えたら殺されていた。全ての事件を大きく構え、迅速に動かなくてはいけない」と誓った。 捜査1課でのキャリアはない。鑑識課で検視官だった2013年に土石流に襲われた伊豆大島で多くの遺体に向き合い、組織犯罪対策総務課では犯罪収益の出どころを隠すマネーロンダリングを担当した。マネロン捜査では金品が絡む強盗事件への応用が求められ、「多角的な捜査、アプローチができる」と自負する。 現在捜査が進む全国各地で発生した一連の強盗事件では、フィリピンから強制送還された男4人の関与が疑われている。「警視庁の各課、各部、全国警察と連携をとって首魁(しゅかい)まで一網打尽にできるような捜査を推進していく」と話した。(増山祐史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「シャンシャン、ありがとう」 ファンらが涙の別れ、公開終える
2023年2月19日 17時43分 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」(メス5歳)が21日に中国に渡ることが決まり、19日に最終公開された。公開は事前の抽選制で19日朝から始まり、午後4時45分に終わった。 最後の公開時間帯、最大70倍の倍率をくぐり抜けた約100人が別れを惜しんだ。ファンらは涙ながらに「じゃあね、シャンシャン」「ありがとう」などと声をかけた。シャンシャンは部屋の中を時折移動しながら、タケを食べて過ごしていた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ラーメン店「神座」でも迷惑動画か 運営元「刑事と民事で厳正対処」
2023年2月19日 18時40分 ラーメンチェーンを運営する「どうとんぼり神座(かむくら)」(本社・大阪市)は19日、店内で迷惑行為をする動画がSNS上に掲載されていることがわかったと同社ホームページで公表した。警察と相談し、刑事民事の両面から厳正に対処するとしている。 同社の発表によると、迷惑行為の有無や時期、被害があった店舗などを特定するために調査を進めており、箸や薬味を袋に入れるといった対策を検討しているという。迷惑行為について詳細は明らかにしていないが、「お客さまとの信頼関係を損なう重大な事案であると重く受け止めている」とした。 SNS上では、同社の店舗とみられる飲食店内で、客が複数の割り箸を口に入れた後、卓上の箸立てに戻す様子を撮影した動画が出ている。 迷惑行為の動画は大手回転ずしチェーンなどでも相次ぎ、会社側が対応に追われた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【詳報】「バイバイ、シャンシャン」 涙と笑顔…最終公開の1日
上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダのシャンシャン(メス5歳)が、19日に最終公開されました。21日に中国に返還されるシャンシャンに会える最後の1日を、タイムラインで詳報します。 (最終公開は抽選制で 受け付けは終了しています) 9:30 抽選外れたけど…「同じ空気吸いたい」 上野動物園の正門前では、開園時間前から、入園を待つ人たちの長い列ができた。シャンシャンの最終観覧の抽選に当たった人のほか、父親リーリーと母親シンシン、双子のシャオシャオとレイレイを一目見ようという家族連れらが大勢詰めかけた。 キーホルダーなどパンダグッズを身につけた人や、大きなぬいぐるみを抱えた人も。さいたま市の40代女性は、「抽選に外れたのでシャンシャンは見られないけど、今日が最後なので同じ空気を吸いたいと思って来ました」と話した。 開門時間になると同時に行列が動き、続々と園内に入っていた。 11:00 「大好きなシャンシャンの記念に」 グッズ販売や写真展 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」が21日に中国へ渡るのを前に、同園で19日、最終公開が行われている。 上野動物園近くの松坂屋上野店の2階にある「上野案内所」は、シャンシャンの缶バッチ、ポストカード、アクリルスタンドなどを買い求める人らでにぎわっている。 200種類以上のパンダグッズを取りそろえ、ファンの間では「パンダ案内所」と呼ばれる。東京都墨田区の中川美紀さん(44)は「大好きなシャンシャンの記念になれば」とぬいぐるみを購入していた。 店内特設会場では、シャンシャンの写真920枚を並べた「毎日シャンシャン写真展」が開催中で、ファンや買い物客らがお気に入りの写真をスマートフォンで撮影していた。 13:00 友人と駆けつけパンダ舎の近くに 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」が21日に中国に渡る。最終公開となる19日、園の正門前では朝に開園を待つ人が行列をつくり、昼過ぎでも絶えなかった。 最終公開は事前抽選制。千葉県松戸市の会社員麻井まりさん(48)は抽選には外れたが、「シャンシャンと同じ空気が吸いたい」と友人と一緒に駆けつけた。「パンダ舎の近くまで寄ってみました。見えなくてもそこにいるだけで胸がいっぱいです」と話した。今日は一日中、園で過ごす予定という。「シャンシャンを少しでも感じたい」 東京都足立区の三浦弘美さん(57)も抽選には外れたが、「会えないけど、お別れがしたい」と足を運んだ。パンダの中でも誕生から見守ったシャンシャンが一番好きだという。「今までありがとう。中国に会いに行くね」 13:30 JR上野駅内ではオリジナルポスターが配布 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」が中国に渡る前、19日に最終公開され、近くのJR上野駅内の商業施設「エキュート上野」ではシャンシャンのオリジナルポスターが買い物客に配布された。 エキュート内の各店舗で19日に計3千円以上購入したレシートと引き換えに、B2サイズのポスター1枚をプレゼントする企画。200枚の整理券はすぐになくなったという。 ササをほおばるシャンシャンの写真のポスターを受け取った人からは、「かわいい!」「ありがとう」と声が上がった。川崎市の根岸知子さん(47)は「表情がすごく好き。部屋に飾って一緒に過ごしたいと思います」と話した。 14:00 報道陣への公開始まる 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」(メス5歳)が21日に中国に渡ることが決まり、19日に最終公開された。 同日午後、園内への報道陣の入場が始まった。 シャンシャンは普段通り、木組みの寝台の上で仰向けに寝たり、体を起こしてあくびしたり。観客の方に向いてむしゃむしゃとタケを食べ始めた。 一挙手一投足に観客から歓声が上がり、少しでも姿を収めようとスマートフォンなどで撮影していた。観覧時間は1人1分ずつ。時間が終わると、涙を流しながら「バイバイ」と手を振る人もいた。 14:30 生後3カ月の息子と来園、「今までありがとう」 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」(メス5歳)が21日に中国に渡ることが決まり、19日に最終公開された。 この日の最終公開は事前の抽選制。抽選に当たった千葉県柏市の会社員安田浩大さん(38)は、パンダの服を着せた生後3カ月の息子を連れて来た。シャンシャンは生まれた時から見守ってきたという。 息子が生まれたばかりで来園はためらっていたが、「最後なので」と思い切って訪れた。「ひっくり返っていて、ゆったりと過ごしているようで、かわいかった」。シャンシャンに「今までありがとう。向こうでも元気でね」と伝えたという。 16:00 「じゃあね、シャンシャン」 公開終える 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」(メス5歳)が21日に中国に渡ることが決まり、19日に最終公開された。公開は事前の抽選制で19日朝から始まり、午後4時45分に終わった。 最後の公開時間帯、最大70倍の倍率をくぐり抜けた約100人が別れを惜しんだ。ファンらは涙ながらに「じゃあね、シャンシャン」「ありがとう」などと声をかけた。シャンシャンは部屋の中を時折移動しながら、タケを食べて過ごしていた。 17:00 動物園は閉園、園の看板と写真撮る人の姿も 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」(メス5歳)が21日に中国に渡ることが決まり、19日に最終公開された。公開は事前の抽選制で午後4時に終わり、同5時には閉園した。 閉園時間を過ぎても、園内には多くの観覧者が写真を撮るなどして名残惜しそうに残っており、職員に案内されて出口から出てきた。パンダ舎に向かって、「バイバイ、シャンシャン」「またね!」と手を振り、涙ぐむ人もいた。 ゲートが閉まった正門前では、ライトアップされた「上野動物園」の看板をバックに、多くの人が写真を撮っていた。 17:10 動物園職員「笑顔で送り出したい」 21日に成田へ 上野動物園(東京都台東区)で生まれ育ったジャイアントパンダ「シャンシャン」(メス5歳)が21日に中国に渡ることが決まり、19日に最終公開された。 最後の観覧者になった東京都品川区のグラフィックデザイナー水口奈津季さん(37)は、「いつもと同じようにかわいかった。でも、最後だからつらい気持ちもありました。シャンシャンの存在が励みになっていたから、最後に会わせてくれたのかな」と話した。 17時の閉園後、園の大橋直哉教育普及課長が報道陣の取材に応じた。「多くの人が来てくれて、皆さんのシャンシャンを愛する気持ちがひしひしと伝わった」と振り返り、「シャンシャンはパンダの保全に貢献する大事な役割を担っている。無事に笑顔で送り出したい」と話した。 シャンシャンは21日、トラックで成田空港へ向かう予定だ。 […]
暴力に訴えた誤り認めるべきだった あさま山荘事件、銃調達役の悔恨
有料記事 聞き手・鶴信吾2023年2月19日 21時00分 51年前の2月19日、長野県軽井沢町の保養施設で過激派グループ「連合赤軍」のメンバー5人が人質をとって立てこもった。10日間に及ぶ銃撃戦で、警察官ら3人が殺害された「あさま山荘事件」。雪野建作さん(75)は、使われた銃の調達役だった。「暴力に訴えたのは明らかな誤りだった」。半世紀を過ぎた今、事件を振り返る。 「この戦いは負けた」 「敗北した」。あさま山荘事件が起きたこと伝えるニュースを拘置所の中で知ったとき、私はこう感じました。山荘には仲間が立てこもっている。でも、籠城(ろうじょう)は、永久にはできない。いつかは捕まる。警察官を射殺したってどうにもならん、この闘いは負けた、と。 私は、銃を強奪した罪で勾留され、ニュースは新聞で読みました。まさか仲間が真冬の雪山にいるとは思いも寄らなかった。てっきり皆、都会のアジトにいるものだとばかり思っていました。それに私たちは、警察官を殺すために銃を強奪したわけではなかったんです。 警察官を撃ち殺すためではなかった――。雪野さんがそう語った一方で、奪われた銃によって警察官2人を含む3人が殺害されてしまいます。なぜ目的が変わったのか。銃を手にしていく過程で組織の「変化」があったといいます。 私が通った都立大学附属高校… この記事は有料記事です。残り3428文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル