法隆寺(奈良県斑鳩町)の金堂で1949年1月26日、火災が起きた。中国・敦煌(とんこう)の莫高窟(ばっこうくつ)やインドのアジャンター石窟群の壁画と並び、「世界美術の至宝」とたたえられ、仏の世界や菩薩(ぼさつ)が描かれた12面の壁画は焼け、色を失った。 寺は2015年に保存活用委員会(委員長=有賀祥隆・東京芸大客員教授)を設け、壁画の調査研究を進めてきたが、焼損前から日本を代表する専門家らが保存に取り組んできた。一般公開へ向けて18日にまとめられた提言などから、金堂壁画をめぐる明治以降の活動を振り返る。 廃仏毀釈(きしゃく)の嵐が吹き荒れ、日本人の価値観が揺らいだ明治初期を経て、社寺の文化財を保存する必要性が唱えられるようになった。桜井香雲が1880(明治13)年に9号壁、84(明治17)年には12面を模写した。 岡倉天心、フェノロサらは8… この記事は有料記事です。残り1881文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
塾帰りの女児にわいせつ容疑、55歳男を逮捕 自転車で後をつけたか
2023年3月19日 13時26分 自宅マンションでエレベーター待ちをしていた女児を駐輪場に連れ込んで体を触ったとして、大阪府警は、大阪府松原市天美北5丁目の職業不詳、西馬良彦容疑者(55)をわいせつ略取や強制わいせつなどの疑いで逮捕し、19日に発表した。「おおむね合っているが、女の子を強制的に違う場所に連れて行ったわけではない」と容疑を一部否認しているという。 捜査1課によると、西馬容疑者は3月上旬の午後、府内のマンションに侵入。エレベーターを待っていた10代の小学生女児に背後から両腕をつかんで抱きつき、マンションの駐輪場に連れて行って体を触るなどのわいせつな行為をした疑いがある。女児は塾帰りで、周辺の防犯カメラには容疑者とみられる人物が自転車で女児の後をつける様子が映っていたという。 帰宅した女児から話を聞いた親族が110番通報した。男は立ち去る際、女児に「誰にも言ったらあかんで」と告げていたという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ぬるま湯」の日本は恵まれている? 国内より海外に希望はあるか
日本の将来を不安視し、沈みゆく経済のリスクを避けようと、外国への移住を考える人が増えているようです。その一方で、「海外脱出」には、言葉や就業の壁も厳然として存在しています。「ぬるま湯と批判されても、日本は相対的に恵まれている」と考える社会学者の鈴木謙介さんに話を聞きました。 ――「海外脱出」に希望を感じる人が増えているようです。 「その選択肢を現実的に考えられる人たちはごく一部でしょう。加えて、『海外』という言葉自体、日本以外の社会をひとまとめにする言い方ですが、アジア、北米、欧州などで条件はまったく異なります」 ――日本の将来に不安を抱く若者が多いのでしょうか。 「そうだとしても、国内よりも海外に希望があるとは必ずしも言えません。韓国は海外志向なのに日本は遅れていると言う人もいますが、これは意識の問題ではない。韓国は内需が小さく、就職も競争が激しいので、海外に出ざるを得ないのです」 「それに比べて日本は国内市場が大きく、必ずしも海外に出る必要はありません。人口が減少していると言っても、世界的に見れば巨大な国内市場を持つ分野も多い。ぬるま湯だと批判する人もいますが、日本は相対的に恵まれていると思います」 ――グローバル化が進む今、若者が海外に活躍の場を見いだすのは悪いことでしょうか。 「海外に行くこと自体は否定… この記事は有料記事です。残り1405文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マッサージ店に強盗、女性店員2人切られる 男は逃走 東京・湯島
比嘉展玖2023年3月19日 13時51分 19日午前8時40分ごろ、東京都文京区湯島3丁目で「女性が血まみれで立っている」と通行人から110番通報があった。警視庁によると、刃物を持った男がマッサージ店に押し入り40~50代の女性店員2人に切りつけ、店員のバッグなどを奪い逃走した。2人は病院に搬送され、意識はあり命に別条はないという。同庁が強盗致傷事件として男の行方を追っている。 本富士署によると、開店準備中の店内で、男が女性店員2人に包丁のようなものを突きつけて「金を出せ」などと脅迫。女性店員の一人は首、もう一人は手首付近を切られたという。客はいなかった。男は20~30歳代くらいの小太りで身長約170センチ。薄茶色の髪で、オレンジ色のコートを着ていたという。 現場は東京メトロ千代田線湯島駅の真上で、繁華街に建つ雑居ビルの4階。(比嘉展玖) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
長野市で住宅全焼、3人死亡 自宅に放火容疑で32歳次男を逮捕
2023年3月19日 15時00分 長野市風間で18日未明、木造2階建て住宅が全焼する火災があり、焼け跡から3人の遺体が見つかった。長野県警は同日夜、自宅に火をつけたとして、この家に住む障害者就労施設作業員の男(32)を現住建造物等放火の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。 県警によると、全焼した住宅は中村均さん(69)方で、家族5人が暮らしていた。男は中村さんの次男で、18日午前1時ごろから午前3時10分ごろの間、自宅に火をつけ、木造2階建て住宅約345平方メートルを全焼させた疑いがある。 家族5人のうち、中村さんと妻由利子さん(60)、母幸子さん(94)の3人と連絡が取れていない。県警は、遺体がこの3人の可能性があるとみて身元を確認している。火災時には、同居する30代の長男も在宅していたが、無事だった。 火災現場はJR長野駅から東に約3キロ離れた住宅街。付近の住宅2棟にも延焼し、窓ガラスなどが焼けた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
廃止の留萌線、活用に向けたいくつかのチャンス 元闘争団長は考える
三木一哉2023年3月19日 15時00分 北海道北部を走るJR留萌線(深川―留萌、50・1キロ)は3月末、石狩沼田―留萌(35・7キロ)が廃止される。残る深川―石狩沼田(14・4キロ)も3年後になくなり、留萌線はその姿を消す。留萌駅近くに事務所があるNPO法人「ワーコレるもい」の理事長、葛西忠雄さん(62)は、地域のためにもっと活用できるチャンスは何度かあったと考えている。 葛西さんはかつて留萌駅の駅員だったが、1987年に解雇された。当時、国鉄解体によって大量解雇された労働組合「国労」の組合員。その後、再雇用を求めて戦った留萌闘争団の団長を務めた。 葛西さんが考える最初のチャンスは、留萌駅近くにある港湾施設の転用だ。 港湾にあった石炭を搬出するための貯炭場は、輸入炭の貯炭に使うこともできた。地元産業界には、広い海岸部に石油タンクをつくって、原油輸入の基地をつくる動きもあった。 「だけど、JRや道、国が一体となって推進しよう、という勢いがなかった」 次にあったチャンスは新駅計画だ。 留萌線の線路に沿って留萌高校、市立病院があったが、最寄りの場所に駅がなかった。市議会での新駅建設の署名や陳情がたびたびあった。 だが、JRや市は首を縦に振らなかった。 「利用者を増やす努力をせず、何もやらない口実を繰り出してきた」(三木一哉) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
部活指導者の体罰、根絶に何が必要? 専門家が重視する行政の役割
公立中学校や高校の部活指導者のうち、顧問の技術指導を補助する「外部指導者」を対象に、参加義務のある体罰防止研修を実施している教育委員会が限られていることがわかりました。末冨芳・日大教授(教育行政学)は「あらゆる大人の脅威から子どもを守るという視点が欠けている」と指摘しています。全ての部活指導者の体罰をなくすため、何が必要なのでしょうか。 ――都道府県や政令指定市、県庁所在市の計98教委のうち、外部指導者を対象に参加義務のある体罰防止研修を実施しているのは25教委にとどまりました。また、4割超の教委が外部指導者に体罰防止の研修をしていませんでした。外部指導者の人数自体を把握していない教委もありました。 外部指導者は学校が個別に雇うケースも多いと聞きます。行政のコントロールの外にある状態で、体罰に関する知識が乏しいまま指導している可能性があります。外部指導者であれ教員であれ、子どもを指導する大人であることには変わりなく、十分な研修を受けてもらう必要があります。 「顧問がいるから大丈夫」は本当? ――外部指導者に研修を実施… この記事は有料記事です。残り1248文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「知る楽しさ伝えたい」18歳の問い、投票後も 舞鶴市長選で討論会
京都府舞鶴市長選に関し地元のコミュニティーラジオ局「FMまいづる」が企画した若者の討論会は、2月5日の投開票の後も終わらない。1週間後に新市長を招いて再開した。今後も定期的に続けるそうだ。(編集委員・曽我豪) 主権者教育の事例 有識者らの話を聞く出前講座や選挙の仕組みを学ぶ模擬投票が一般的だが、創意工夫次第で多様になるのが良さだろう。舞鶴市では、世代や性別の異なる候補者と公約を架空で想定し中学生が投票、選挙結果を皆で議論する「ロールプレイング方式」の模擬投票が行われてきた。 筆者の取材体験でも、実際の議場を使って中学生が市長に論戦を挑む(広島県安芸高田市)、全国の大学生に市長になった気持ちで町おこしの案を競ってもらう(福井県鯖江市)、架空の「まち」で子どもたちが会社や役所の仕事をまねし学ぶ(千葉市)など、実に多種多様である。 13日朝、スタジオを再訪すると、若者5人が興奮気味にジェネラルマネージャーの時岡浩二さん(55)と打ち合わせをしていた。 一番年かさの社会人、草場翔天(くさばしょうま)さん(20)の司会役がその場で決まった。近くラジオのパーソナリティーとしてデビューするが、いきなりの「本番」だ。「維新の話も聞きますか。やはり市政中心ですか」と、時岡さんと作戦を練る。 他の4人はみな私立高校3年の18歳だ。鈴木裕麻(すずきゆうま)さんと霜尾日向(しもおひなた)さん、真下咲華(ましもさはな)さん、松谷玲奈(まつたにれいな)さんは、緊張するなあと言い合いつつもどこかうれしそうだ。 不安点や政策 新市長に直撃 鴨田秋津市長(41)への訴えは、舞鶴の将来への不安から始まった。「遊びに行く場所を相談しても、舞鶴は出てこない」「マクドナルドがなくなって、薬局ばかり増えた」「就活を経験して改めて、舞鶴を選びにくい状況を感じた」 草場さんが皆の考えをまとめる。「大人は育児や教育に関心があるけど、やはり僕ら若者にとって一番の問題は、舞鶴に秀でたところがないということです」 市長も正面から答えようとは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「公害原点」断罪の判決から50年 現実となった裁判長の懸念
「公害の原点」とされる水俣病を巡る最初の訴訟の判決から20日で50年を迎える。加害企業チッソの責任を断罪した判決は、患者への補償制度につながり、その後の一連の裁判では国の責任も認められた。だが、症状に苦しみ、患者認定を求める被害者たちの裁判は今も各地で続く。半世紀前の裁判での問いかけが重く響く。 水俣病患者らがチッソを相手に初めて損害賠償を求める裁判(1次訴訟)を起こしたのは1969年。当時、水俣病への理解はまったく不十分だった。 その年の10月、熊本地裁で開かれた第1回口頭弁論。原告の1人として母親に抱かれて傍聴席にいた13歳の上村智子(かみむらともこ)さん(77年に21歳で死去)が「あー、うー」と言葉にならない声をあげた。母親のおなかにいる時にメチル水銀にさらされ、生まれながらにしてしゃべることもままならない重症の患者。だが、斎藤次郎裁判長は即座に母娘に退廷を命じた。 「今なら猛抗議するところです」。だが、当時は退廷を受け入れざるをえなかったと弁護団の馬奈木(まなぎ)昭雄さん(81)は振り返る。「私たちに力がなかった」 ■公式確認後も拒まれた補償 水俣で「会社」と言えばチッソを指す企業城下町。裁判を起こすには、かなりの覚悟が必要だった。 チッソは56年に水俣病が公式確認された後も、「原因が工場排水とは確認されていない」と補償を拒み、患者たちは59年12月30日、わずかな見舞金と引き換えに、「将来、原因が工場排水と決定しても新たな補償要求は一切しない」という条件をのまされた。 ■■「勝ち目はない」と言われ… この記事は有料記事です。残り2238文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
水俣病訴訟、勝訴50年 患者らが判決の意義を語りあう
今村建二2023年3月19日 18時45分 水俣病の加害企業チッソの法的責任を初めて認め、断罪した水俣病1次訴訟の判決から、20日で半世紀を迎える。訴訟に携わった患者や支援者が19日、熊本県水俣市で集会を開き、判決の意義を語り合った。 第1部では、判決が出た1973年3月20日の熊本地裁前の様子から、患者がこれから生きるための補償を求めた、チッソ本社(東京)での交渉の前半までを記録した土本典昭監督の映画「水俣一揆 一生を問う人々」を観賞した。 映画には、訴訟に中学生で原告として参加した坂本しのぶさん(66)の母フジエさんが登場。しのぶさんの姉で、4歳で亡くなっていた真由美さんの3歳当時の写真を片手に、「真由美の命の値段は決まりました。2番目のしのぶの金額も出ました。しかし、しのぶの古い傷はよくなりません。だから、水俣病患者が生きるために、今からの仕事が残っております」と、早くも次に向けての決意を語る場面が映し出された。 1次訴訟は提訴時、ほとんどの法律家から「とても患者側に勝ち目はない」と言われていた。熊本大学法文学部助教授(当時)の富樫貞夫さん(89)が中心になって、「水俣病研究会」で議論を重ね、これまでとは違う新しい法理論を構築し、勝訴につなげた。 第2部では、研究会で富樫さんとともに活動してきた有馬澄雄さん(76)が講演。チッソの技術者たちは、水俣病の公式確認前に水銀汚染に気づく機会が何度もあったと指摘した上で、「法理論では、富樫さんが目の前の悲惨な状況に向き合った。一方、科学者たちは何もしなかった」と専門家の姿勢に疑問を投げかけた。 また、チッソとの「自主交渉」で闘った佐藤武春さんの息子で、今も未認定患者の救済を求めて福岡高裁で係争中の佐藤英樹さん(68)もあいさつし、「今の裁判官は国の委託のよう。でも水俣病は終わらないという気持ちで闘う」と語った。(今村建二) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル