沈黙が続く委員決め、仕事を休んで参加する会議、前例踏襲の活動――。ネガティブな印象がつきまとうPTAを変えようと、埼玉県所沢市PTA連合会(市P連)が「理想のPTA規約」を作った。 主な内容は、保護者らの自主的な参加によって運営する▽役員が総会までに決定しない場合、後日選出後に会員への連絡をもって決定する、など。 規約と合わせて示された概要版では、「本人の意思に反する参加は強要しない」「役員が定数に満たず活動が困難な場合、役員が決定するまでの間、活動は休止となる」などと、規約の解釈についても明示している。また、非会員の子どもを区別しないという意図で、「すべての児童の健全で幸福な成長をはかることを目的とする」とした。 市P連に加入する45小中学校PTAに参考規約として示し、各校の規約に採り入れてもらうねらいだという。学校単独では柔軟な運営をするPTAも広がりつつあるが、各校が加入する上位組織として方針を示す例は珍しいとみられる。 前年度の役員が上座? 参考規約作りを提案したのは… この記事は有料記事です。残り1743文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生活保護の扶養照会、仕送りは0.7% 申請の妨げ?識者は批判
生活保護を受ける人の親族に対して、仕送りができるかどうかを自治体が尋ねる「扶養照会」について、全国74自治体を調べたところ、親族から受給者への仕送りにつながった例が、照会したうちの1%未満にとどまることがわかった。朝日新聞が、2021年度まで2年間の実績を調べた。 扶養照会されたら、生活に困っていることを親族に知られてしまう――。そんな思いから生活保護の申請をあきらめる人もいます。仕送りにつながるケースがわずかでも、扶養照会を続けるべきか。記事後半では、専門家の提言を紹介します。 扶養照会は、民法上で「扶養義務」がある3親等までの親族が対象。主に親や子、きょうだいに照会する自治体が多く、厚生労働省は、高齢の親族などは対象から外しても「差し支えない」としている。 今回の調査で、各自治体が照会対象としてリストアップした親族のうち、実際に照会した割合(照会率)を計算すると、数%から約8割まで差があることもわかった。 照会では、仕送りのほか、定期的な訪問や電話などによる「精神的な支援」が可能かも聞く。 親族に知られることを理由に申請をあきらめる人がいるとして、生活困窮者の支援団体などの間では批判の声が強い。 朝日新聞は扶養照会について、全国の県庁所在市、政令指定市と東京23区の計74市区にアンケートや情報公開請求を実施し、今年1月までに回答を得た。調べたのは、20、21年度に保護の開始が決まった世帯に関し、照会した親族の数▽照会を受けて仕送りした親族の数▽仕送りの金額など。 74市区では、両年度に開始が決まった計20万6513世帯について、親族のべ22万7984人に扶養照会をしていた。その結果、仕送りをした親族はのべ1564人(約0・7%)だった。1千人への照会で、仕送りにつながったのは7人に満たない計算になる。両年度に74市区で保護の開始が決まった世帯数は、全国の5割強にあたる数字になる。 照会したうち仕送りが得られた割合を自治体別にみると、全体の8割にあたる60市区で1%未満だった。うち水戸市など8市区は、2年ともゼロだった。 「家族頼みの制度、時代遅れ」 親族からの仕送りの有無は生… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ズレている国のリスキリング策、日本に必要なスキルは 小島慶子さん
育休・産休中のリスキリング(学び直し)を「後押しする」とした岸田文雄首相の国会答弁に、多くの批判の声が上がりました。エッセイストの小島慶子さんは「実態と大きく乖離(かいり)している」と指摘しつつ、日本に必要なリスキリングがあると話します。一体どのようなリスキリングでしょうか。 育休中にリスキリング 簡単に言うけれど ――岸田首相の答弁は、産休・育休の期間にリスキリングや学位を取ることでキャリアの停滞を最小限にしたり、逆にキャリアアップしたりできるようになる――という自民党の大家敏志議員の質問に対するものでした。このやりとりをどう見ましたか。 「産休・育休中は暇だろう、という前提に立っているのではないかと感じました。実態からあまりにも乖離していますよね」 ――ご自身もアナウンサーだった頃、第1子と第2子を出産し、産休と育休を取得されています。 「第1子を産む前は、積読(つんどく)になっている本を育休中にゆっくり読もうなんて思っていました。でも、甘かった」 「日中は、赤ちゃんと二人きりで、子どもが寝ている間は家事。でも息子はあまり母乳を飲まず、すぐ起きてしまう。授乳ばかりでほぼ半裸のまま一日を過ごすような状態でした。夜も授乳でろくに眠れません。精神的・肉体的に追い詰められ、産後うつ気味に。この先ずっとこの生命体に振り回されて生きるのかと、絶望を感じました」 「命に責任を持つ重圧は大きく、親になることへの不安もあった。こんなにも体力を奪われ、精神的にも負荷が高いものだとは思いませんでした」 ――第2子のときはどうでしたか。 「産後のホルモンバランスの変化による抑うつ、睡眠不足、仕事復帰の不安に加え、夫との信頼関係にも問題が生じ、不安障害という精神疾患を発症しました。復帰後は、治療と育児と仕事の三つを成り立たせねばならなかった」 「家族が増えれば、生活のリズムも変わります。産休・育休の間に身体、心、生活の三つの大きな変化に適応しないといけないのです。『休』どころか寝る間もないですよね」 ――そうした状況への無理解が批判につながったと。 「多くの親が、子育ての苦労が世の中から顧みられていないというやり切れなさを感じています。世間は子連れに冷たく、公的支援も足りない。だから『育休中にリスキリングできるよね?』なんて簡単に言うなという批判が起きた。たしかにリスキリングの支援は必要ですが、大事なところがずれているのです」 働くのはロボットではなく、人間 ――どのようなところですか。 「働く人のことを考えている… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マスク取ったらメイクどうする?「個人判断」で百貨店売り場にも変化
新型コロナウイルス対策としてのマスクの着用が「個人の判断」に委ねられるようになったことで、口まわりの美容への関心が強まっている。百貨店の化粧品売り場では、「脱マスク」を見据えた変化が生じている。 JR名古屋高島屋(名古屋市中村区)の化粧品売り場。新作の口紅などを女性客らが手にとって品定めしていた。友人と訪れた名古屋市の大学4年の女性(22)は「マスクに付きにくい口紅を使っていたけど、マスクを外すのでツヤのあるものが欲しい」。 売り場にある化粧品ブランド「NARS(ナーズ)」の販売員本田郁(かおる)さん(30)は「マスクを外す選択ができるようになり、口紅を見に来る方が多い」と話す。 コロナの感染拡大で政府がマ… この記事は有料記事です。残り192文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中学受験が過熱? 公立は? 東京都「私立生10万円助成」を考える
東京都が、私立中学生のいる世帯に生徒1人あたり年間10万円を新年度から助成する。事業費は40億円。都は、東京ならではの事情を理由に挙げるが、中学受験の過熱を心配する声や公立校の充実を求める意見もある。 都の助成は、世帯年収910万円未満で、私立中に子どもを通わせる都内の家庭が対象。都は約3万6千人の生徒が対象になると見込む。 私立中学生がいる家庭への支援は、国もすでに取り組んでいる。ただ、入学後に所得が激減した場合のもので、都も同様の家庭に授業料減免をする学校などを支援している。 今回の助成はそれらと違い、対象が幅広い。都内の私立中学生は約8万人で、5割弱が助成対象となる計算だ。助成制度を設ける理由について都生活文化スポーツ局の担当者は「4人に1人が私立中を選択している現実がある。経済的事情で断念する子どもを少しでも減らしたい」と話す。近年、中学受験者数は増えており、文部科学省の調査(2022年度)では、都内の中学生全体に占める私立生の割合は全国最高の25・5%に上る。 一方、助成には、「910万円未満」という所得制限を設けた。「私立の高校生を対象とした先行制度に合わせた」と都は説明する。都は、国の制度に上乗せする形で世帯年収910万円未満の私立高生に対し、都内私立高校の授業料平均額を助成して「実質授業料無償化」とする制度を20年度から取り入れている。都内の私立は中高一貫校も多く、「そろえるべきだと判断した」(都の担当者)という。 私立中学生の割合が全国最高の東京都ですが、最大10万円の学費助成をめぐってはSNSや都議会などで様々な意見が出ました。都の説明や中学受験に詳しい方々の声を紹介します。 ただ、全国の統計ではあるが… この記事は有料記事です。残り1166文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宮城・岩手でM5.2の地震、東松島や一関で震度4 津波の恐れなし
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仕事も家庭も失い向かった断崖 救われた命、今度は「助ける側に」
どうせなら、最期は大好きな海で――元漁師の男性(54)は、死に場所を探すようにさまよい歩き、福井県の景勝地・東尋坊にたどり着いた。 昨年9月の平日の午後だった。観光客でにぎわう岩場を避け、少し離れたベンチで横たわっていた。10日間ほどかけて、故郷の石川県から歩いてきたが、ここ数日で口にしたのは、アメ玉、木の実、水道水。空腹の限界は優に超えていた。 ズボンのポケットには小銭712円だけ。岩場が静まる夜を待って、身を投げようと思っていた。すると、突然声をかけられた。命の恩人との出会いだった。 海の町で生まれ育った。漁業関係の仕事をしていた父と母。家庭内では、幼い頃から長男優先の慣習が強く、次男である自分はいつも「二の次」扱い。居心地は悪く、水産高校を卒業後には実家を飛び出した。 二十歳過ぎで漁師になり、船に乗って北海道沖や太平洋へ。「波が荒れた大しけの海での漁は、迫力があって面白かった」。景気は良く、半年で800万円ほど稼いだこともあった。 38歳で、新しい漁船を求めて九州に移った。その頃、実家への仕送りをめぐって母親から嫌みを言われ続け、「帰ってくるな」と突き放された。 40歳を過ぎてから、3人の息子がいる女性と結婚。数年経った頃にはその息子に子ができ、突如、祖父になった。「じいじ、じいじ」。連れ子や孫から懐かれ、幸せを感じた。 一方、年を取るごとに雇ってもらえる船が小さくなっていき、30万円弱だった手取りの月給は約15万円に。生活が苦しくなるごとに、自然と夫婦の会話も少なくなっていく。そして、2020年末に離婚した。 借金を抱え、職も失った。追い出されるように九州を出たが、行く当てはなく、母と兄が暮らす石川の実家に戻ることに。地元で漁業関係の仕事を探し歩いたが、どこにも受け入れてもらえなかった。 腹を立てた母からは「(働い… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
1本おいくら? 世界市場狙う高級玉露のボトルティー「YAME」
中身はワイン? いいえ、緑茶です――。福岡県特産の八女茶の最高級玉露を使い、ボトルに詰めた緑茶「YAME」が誕生した。世界的なソムリエが「アルザスのワインをほうふつとさせる」と評した緑茶のこだわり、そしてお値段は。 生産者や八女市などで作る「八女伝統本玉露推進協議会」(江島一信会長)が開発した。 八女伝統本玉露は国の「地理的表示(GI)保護制度」に登録されている。世界市場を狙って、2016年から香港やニューヨークなどで試飲会を開き、味は高く評価されてきたが、茶葉の扱いに慣れていない海外の人が急須でお茶をいれる難しさが課題だった。 日本でもペットボトルの茶が人気となる中、高品質の味を安定して提供し、高級ワインのように高級店に流通させる狙いでボトル化を思いついたという。 試行錯誤の末、半年がかりで完成させたというYAMEは1本(500ミリリットル)税込み2万7千円。 使ったのは、八女茶の全生産量1650トンのうちの0・0075%(124キロ)しかない最高級の玉露。1キロ30万円相当という4品種の茶葉をブレンドし、マイナス1~2度の冷水で約10時間かけて抽出した。 世界的ソムリエのフランソワ・シャルティエ氏に監修を依頼し、味やラベルから流通経路まで助言を受けている。 今回生産したのは100本で… この記事は有料記事です。残り343文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
幻の新幹線を間近で 大宮駅でJR東「East i」見学のイベント
【動画】「East i」の内部を見学したり普段は入れない駅ホームの下から眺められたりする体験イベントが開かれた=福留庸友撮影 鉄道開業150年を盛り上げようと、JR東日本は26日、大宮駅でE926形新幹線電気・軌道総合検測車「East i」(イーストアイ)の内部を見学したり、普段は入れない駅のホーム下から車両を眺めたりするイベントを開いた。 イーストアイは線路や架線を点検しながら走る専用車両で日本で1編成しかなく、運行日程が公表されないため「見ると幸運」「幻の新幹線」などと人気を博している。 イベントは有料で、午前は親子2人の15組、午後は中学生以上の30人と計60人が参加した。保秘のため撮影は出来なかったが、参加者は車両内を歩いて巡り、車両ごとの役割などJR東職員の説明に熱心に耳を傾けた。 また、普段は駅員も立ち入らない大宮駅の新幹線ホーム下に入り、イーストアイや東北新幹線の車両を眺められる機会も設けられた。5分程ではあったが、参加者は今までにない角度からの新幹線の撮影を楽しんだ。 ホーム下に関係者以外が入る事は大宮駅では初めてで、他の駅でもほとんど例のない貴重な機会だという。(福留庸友) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
南海トラフ想定被災地が関心 大船渡の市街地復興「差し込み型」移転
東日本大震災後、岩手県大船渡市で採られた市街地復興の手法「差し込み型」移転に関心が寄せられている。住宅を浸水区域から、高台にある既存の集落の空き地に1戸ずつ移転するもので、大規模な工事が不要で工期が短く、事業費も抑えられるためだ。南海トラフ地震による津波の被害が想定されている地域では、被災前に復興方針をあらかじめ決めておく「事前復興」の参考にする動きが出ている。(宮脇稜平) わずかな平地の背後に山々が迫る大船渡市三陸町越喜来(おきらい)。折れ曲がった坂道を上ると、新しい住宅が点在しているのが目に入る。津波で自宅を流された人たちが、同じ地区の高台に再建した家々だ。 住民の60代男性は「山を崩して大きな宅地を造ると、寄せ集めになって震災前の小さなコミュニティーが崩れる。ここでは町内会の祭りを開くメンバーも変わらず、住みやすい」と笑顔を見せる。 大船渡市は、震災で住宅約4千戸が全半壊。市街地の復興を防災集団移転促進(防集)事業で図ったが、この事業で国から補助を受けるには、当初10戸以上の移転が要件だったうえ、大規模に造成しないと十分な用地を確保できなかった。 そこで考え出されたのが、差し込み型移転だ。 市の復興計画策定委員会の委… この記事は有料記事です。残り1898文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル