交通系ICカードの普及で、鉄道各社で回数券の販売をやめる動きが広がっている。一部鉄道では、通信制の学校の生徒が広く利用してきた通学用の割引回数券もなくなる。経済的に余裕がない生徒の負担軽減のため、学校側が見直しや代替措置を求めている。 回数券の廃止は、昨年から今年にかけて全国の鉄道で相次いでいる。ICカードが普及したことで回数券の利用者が減ったことを、主な理由に挙げる鉄道が多い。 通学用の割引回数券は、通信制高校の生徒や放送大学の学生のために各社が販売している。通信制の学校は自習やリポート提出が基本で、定期券を買うほど登校頻度が多くないためだ。通信制高校の生徒は、一般的に運賃が5割引きになる。 普通回数券を廃止しても通学用の割引回数券は引き続き販売しているJR各社のような鉄道もあるが、すでに通学用も含めて廃止した私鉄もある。首都圏では3月17日に西武が販売を終了。近畿では南海や泉北交通が3月末、阪急が4月末で通学用を含む回数券の販売をやめる予定だ。 もし通学定期が廃止なら 「差別」に怒りの声 通学用の割引回数券の廃止について、大阪府内で唯一公立の通信制がある府立桃谷高校(大阪市生野区)の木戸裕二教諭は「しんどい状況で頑張っている生徒たちを見捨てないでほしい」と見直しを鉄道各社に訴える。 同校には15歳から80代ま… この記事は有料記事です。残り537文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
袴田さん再審、検察が特別抗告を断念 再審開始が確定、無罪の公算大
57年前の1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、東京高検は20日、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)=釈放=の再審開始を認めた13日の東京高裁決定について、最高裁への特別抗告を断念したと発表した。再審開始が確定したことになり、袴田さんは今後、静岡地裁で開かれる再審公判で無罪となる公算が大きい。 死刑囚が再審で無罪になれば、80年代の免田、財田川(さいたがわ)、松山、島田の4事件以来、30年以上ぶり5例目。 20日は特別抗告の期限で、東京高検の山元裕史次席検事は「承服しがたい点があるものの、法の規定する特別抗告の申し立て事由が存するとの判断に至らず、特別抗告しないこととした」とコメントした。 事件は66年6月に発生し、同年8月にみそ製造会社の従業員だった袴田さんが逮捕された。公判中の67年8月、工場のみそタンク内から血痕がついたTシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかった。静岡地裁は68年、この衣類を犯行時の着衣として死刑判決を出し、後に確定した。 今回の再審請求審では、静岡地裁が2014年に再審開始決定を出したが、18年に東京高裁が取り消した。最高裁は20年、衣類に付着した血痕の色の変化に争点を絞って高裁に審理を差し戻した。 13日の高裁決定は、弁護側の実験などに基づき、「1年以上みそに漬かれば化学反応が起きて血痕は黒褐色になる」と認定した。赤みが残る5点の衣類は「相当期間経った後に袴田さん以外の第三者が隠した可能性がある」と指摘。「第三者は捜査機関の可能性が極めて高い」と証拠捏造(ねつぞう)の疑いにも踏み込んだ。その上で「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」と評価し、再審開始を決定した。 75年に最高裁が示した「白鳥決定」は、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則は再審にも適用されると明示し、「新旧証拠を総合評価して、確定判決の事実認定に合理的な疑いを生じさせれば足りる」としている。高裁決定はこの判例に基づいており、高検は判例違反とまでいえる証拠評価の誤りは見いだせないと判断したとみられる。 高裁決定については、最高裁が示した唯一の論点に対し、検察側と弁護側が2年近くかけて立証を尽くした経緯もあり、特別抗告しても結論は覆らないとの見方が強かった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌五輪招致、北海道も賛成が上回る 東京は拮抗 朝日新聞世論調査
2030年冬季五輪・パラリンピックの札幌市での開催について、朝日新聞社は18、19日の全国世論調査(電話)で賛否を尋ねた。全国では「賛成」が60%、「反対」が33%と賛成の方が多かった。地域別では地元の北海道も「賛成」が「反対」をやや上回った。都市別では東京で賛否が拮抗(きっこう)した一方、大阪では賛成が反対を大きく上回った。 昨年9月の調査では、北海道だけ「反対」が「賛成」を上回っていたが、半年経って全国と同じ傾向になった。 全国の年齢別では、18~2… この記事は有料記事です。残り344文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
袴田さん無罪へ 姉「このまま真っすぐ」 支援者は涙を流して喜ぶ
事件から57年の時を経て、袴田巌さん(87)が死刑囚の立場から解放される日が現実のものとなった。再審開始の決定に対し、特別抗告しないことを決めた20日の東京高検の判断を受け、支え続けてきた人々の目には涙があふれた。 「昨日までの疲れが吹っ飛んじゃった」 巌さんの無実を信じて支え続けた姉、秀子さん(90)は20日夕、静岡県浜松市の自宅前で報道陣の取材に応じ、笑顔を見せた。 吉報は支援者から届いた。跳びはねて喜んだという。「うれしくて、ありがとうの言葉しかない。検察が(特別抗告を)断念してくれたことについても、一応、敬意を表します。よくぞ決断してくれたと思う。本当にありがとう」 検察官から電話 巌さんは支援者とドライブに… この記事は有料記事です。残り1221文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
オスプレイの佐賀配備計画、防衛局が駐屯地予定地の買収額示す
佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備計画をめぐり、九州防衛局は駐屯地建設予定地の地権者に、土地の買収価格を郵送で提示した。受け取った地権者によると、提示価格は1平方メートルあたり6031円だったという。売却には応じないとする地権者もおり、今後の土地取得交渉は曲折も予想される。 九州防衛局が駐屯地建設予定地として取得を目指している民有地は31ヘクタール。南川副漁協(現在は合併して、県有明海漁協南川副支所)が県から払い下げを受けた土地で、地権者は組合員が約150人、すでにノリ漁をやめたなどの非組合員が約100人の計約250人。内規で土地の管理運営には管理運営協議会があたり、土地使用の際には協議会会員の同意を得ることとなっている。 南川副支所によると、各地区の代表者で構成する協議会の総代会で方向性を協議し、臨時総会を開く意向だが、日程などは未定。 九州防衛局は2021年、一… この記事は有料記事です。残り303文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
タクシーが歩行者らを次々はね4人死傷、歩道で止まる 74歳が運転
2023年3月20日 21時24分 20日午後1時10分ごろ、大阪市生野、東住吉両区の市道大阪環状線(今里筋)で、タクシーが歩行者をはね、自転車や原付きバイクなどに次々とぶつかる事故があった。大阪府警によると、歩行者の女性2人のうち1人が死亡、1人が意識不明の重体という。原付きバイクと自転車の男性計2人も軽傷を負った。 死亡したのは、生野区舎利寺2丁目の原井恵子さん(67)。生野署は、タクシー運転手の斉藤敏夫容疑者(74)=大阪府門真市島頭4丁目=を、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で現行犯逮捕し、発表した。原付きバイクにぶつかり、運転の男性(81)に打撲を負わせて逃げた疑いがあるが、「けがをさせたのはわかったが、逃げたつもりはない」と一部否認しているという。 署によると、タクシーは今里筋を南下。大阪市生野区田島3丁目の交差点で横断歩道を歩いて渡っていた原井さんと女性(73)、自転車の男性(65)をはねた後、約800メートル先の同市東住吉区今林1丁目の交差点でも信号待ちをしていた原付きバイクに後方からぶつかったとみられる。その後、ガードレールなどにぶつかりながらバックやUターンをし、交差点から数十メートル北の歩道の植栽に突っ込んで停車したという。 近くを乗用車で走行中だった飲食店員の女性(38)は、原付きに衝突後だったとみられるタクシーが「突然バックし、近づいてきた」と話す。女性の車の右後部はへこみ、「子ども2人を乗せており、当たり方が少し違えば、けがをしていたかもしれない」と不安そうに語った。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
検察、期限当日に断念 特別抗告を見送った判断の内幕 袴田さん再審
強盗殺人事件で死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判のやり直しが確定し、無罪となることがほぼ確実になった。「証拠捏造(ねつぞう)」の可能性まで指摘した東京高裁決定に不満を募らせていた検察は、なぜ断念を選択したのか。 「法と証拠に基づいて慎重な検討を重ねたが、(特別抗告する)理由があるとの判断に至らなかった」 東京高検の山元裕史・次席検事は20日夜に開いた臨時会見でそう語った。詳細な理由などは「差し控える」と繰り返した。 「やばいという話は聞いていない」。13日の東京高裁決定前、検察幹部は自信を見せていた。関係者によると、再審開始決定は想定外だったという。 「放棄する選択肢ない」 特別抗告できる期間は平日の… この記事は有料記事です。残り2163文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京都、Colaboにバスカフェ中止を指示「安全確保も含め委託」
2023年3月20日 21時51分 虐待や性暴力を受けるなどした若年女性を支援している一般社団法人「Colabo(コラボ)」の活動の一部について、委託元の東京都が20日、支援方法を変更するようColabo側に指示した。妨害が相次いでいることを踏まえ「安心して悩みや不安を相談できる環境が確保されていないため」としている。 Colaboは支援事業の一つとして、東京・歌舞伎町にマイクロバスをとめ、10代の女性を対象に食品や衣類、生活必需品などを提供し、相談に乗る「バスカフェ」を月3回程度開催している。この活動に対して昨年から、ひわいな言葉を叫んだり出入りする少女を撮影したりといった妨害行為が繰り返されていた。東京地裁は3月14日、1人の男性に対してバスへの接近や妨害行為を禁じる仮処分を出している。 都福祉保健局は、事業を「非常に重要な取り組み」とした上で、22日に予定しているバスカフェについて別の方法を検討し、都と協議するよう指示した。担当者は「現状では効果的な支援が難しいと判断した。都は安全確保も含めて委託しているとの立場。妨害活動を注意したり止めたりする権限はない。警察には伝えている」としている。 Colaboは20日、都に「さまざまな誹謗中傷や妨害があるなかでも、50人ほどの少女たちが利用する日もある」「本当であれば、毎日開催しなければならない状況」「継続して開催しなければ、そのような少女たちが放置されることになる」などと文書で訴えていた。仮処分が出たことも踏まえ「バスカフェを(その場所で)開催しなければ(仮処分の)効力を得ることができない」「妨害に屈せず、本事業を守っていただきたい」と伝えていた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
氷川きよしさんも営業で回ったレコード店 1世紀の歴史に終止符
愛知県豊橋市の豊橋駅近くで1世紀近く音楽関係の商品を並べてきた「ツバメ屋楽器店」が20日、店を閉じた。現店主の父親が蓄音機店として始めたのが最初で、時代を追いかけてレコード、楽器、カセットテープ、CD・DVD……と主力商品を変えながら商いを続けてきた。 創業は1926年で、店の外や店内には演歌歌手のポスターがくまなく貼られている。商品棚には演歌のCDがずらりと並ぶ。 半世紀以上前に父親から店を継いだ間瀬敦夫さん(87)は当初、ギターなどの楽器とレコードを扱っていた。父親が「ツバメ印ニットーレコード」からとった店名とともに受け継いだ。 故島倉千代子さんや天童よし… この記事は有料記事です。残り292文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
もはや手詰まりだった? 元裁判官が解説する検察側の特別抗告断念
57年前の1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、東京高検は20日、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)=釈放=の再審開始を認めた東京高裁決定について、最高裁への特別抗告を断念した。袴田さんの年齢などをふまえ、検察側に特別抗告を断念するよう求める声が広がる中での抗告断念について、元東京高裁部総括判事で日本大学法科大学院の藤井敏明教授(刑事訴訟法)に話を聞いた。 ――今回、最高裁で特別抗告が認められる可能性は低かったのでしょうか。 特別抗告ができるのは、憲法違反や判例違反がある場合に限られています。最高裁は法律審なので、追加のみそ漬け実験などをすることもできない。検察側は、その中で「高裁の判断が過去の判例に違反する」という主張を組み立てる必要がありますが、高裁決定が最高裁で覆されるハードルは高いと考えていました。 検察、科学的な反証できず ――なぜでしょうか。 これまでの審理経過を見てみ… この記事は有料記事です。残り1276文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル