三木一哉2023年3月19日 15時00分 北海道北部を走るJR留萌線(深川―留萌、50・1キロ)は3月末、石狩沼田―留萌(35・7キロ)が廃止される。残る深川―石狩沼田(14・4キロ)も3年後になくなり、留萌線はその姿を消す。留萌駅近くに事務所があるNPO法人「ワーコレるもい」の理事長、葛西忠雄さん(62)は、地域のためにもっと活用できるチャンスは何度かあったと考えている。 葛西さんはかつて留萌駅の駅員だったが、1987年に解雇された。当時、国鉄解体によって大量解雇された労働組合「国労」の組合員。その後、再雇用を求めて戦った留萌闘争団の団長を務めた。 葛西さんが考える最初のチャンスは、留萌駅近くにある港湾施設の転用だ。 港湾にあった石炭を搬出するための貯炭場は、輸入炭の貯炭に使うこともできた。地元産業界には、広い海岸部に石油タンクをつくって、原油輸入の基地をつくる動きもあった。 「だけど、JRや道、国が一体となって推進しよう、という勢いがなかった」 次にあったチャンスは新駅計画だ。 留萌線の線路に沿って留萌高校、市立病院があったが、最寄りの場所に駅がなかった。市議会での新駅建設の署名や陳情がたびたびあった。 だが、JRや市は首を縦に振らなかった。 「利用者を増やす努力をせず、何もやらない口実を繰り出してきた」(三木一哉) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
部活指導者の体罰、根絶に何が必要? 専門家が重視する行政の役割
公立中学校や高校の部活指導者のうち、顧問の技術指導を補助する「外部指導者」を対象に、参加義務のある体罰防止研修を実施している教育委員会が限られていることがわかりました。末冨芳・日大教授(教育行政学)は「あらゆる大人の脅威から子どもを守るという視点が欠けている」と指摘しています。全ての部活指導者の体罰をなくすため、何が必要なのでしょうか。 ――都道府県や政令指定市、県庁所在市の計98教委のうち、外部指導者を対象に参加義務のある体罰防止研修を実施しているのは25教委にとどまりました。また、4割超の教委が外部指導者に体罰防止の研修をしていませんでした。外部指導者の人数自体を把握していない教委もありました。 外部指導者は学校が個別に雇うケースも多いと聞きます。行政のコントロールの外にある状態で、体罰に関する知識が乏しいまま指導している可能性があります。外部指導者であれ教員であれ、子どもを指導する大人であることには変わりなく、十分な研修を受けてもらう必要があります。 「顧問がいるから大丈夫」は本当? ――外部指導者に研修を実施… この記事は有料記事です。残り1248文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「知る楽しさ伝えたい」18歳の問い、投票後も 舞鶴市長選で討論会
京都府舞鶴市長選に関し地元のコミュニティーラジオ局「FMまいづる」が企画した若者の討論会は、2月5日の投開票の後も終わらない。1週間後に新市長を招いて再開した。今後も定期的に続けるそうだ。(編集委員・曽我豪) 主権者教育の事例 有識者らの話を聞く出前講座や選挙の仕組みを学ぶ模擬投票が一般的だが、創意工夫次第で多様になるのが良さだろう。舞鶴市では、世代や性別の異なる候補者と公約を架空で想定し中学生が投票、選挙結果を皆で議論する「ロールプレイング方式」の模擬投票が行われてきた。 筆者の取材体験でも、実際の議場を使って中学生が市長に論戦を挑む(広島県安芸高田市)、全国の大学生に市長になった気持ちで町おこしの案を競ってもらう(福井県鯖江市)、架空の「まち」で子どもたちが会社や役所の仕事をまねし学ぶ(千葉市)など、実に多種多様である。 13日朝、スタジオを再訪すると、若者5人が興奮気味にジェネラルマネージャーの時岡浩二さん(55)と打ち合わせをしていた。 一番年かさの社会人、草場翔天(くさばしょうま)さん(20)の司会役がその場で決まった。近くラジオのパーソナリティーとしてデビューするが、いきなりの「本番」だ。「維新の話も聞きますか。やはり市政中心ですか」と、時岡さんと作戦を練る。 他の4人はみな私立高校3年の18歳だ。鈴木裕麻(すずきゆうま)さんと霜尾日向(しもおひなた)さん、真下咲華(ましもさはな)さん、松谷玲奈(まつたにれいな)さんは、緊張するなあと言い合いつつもどこかうれしそうだ。 不安点や政策 新市長に直撃 鴨田秋津市長(41)への訴えは、舞鶴の将来への不安から始まった。「遊びに行く場所を相談しても、舞鶴は出てこない」「マクドナルドがなくなって、薬局ばかり増えた」「就活を経験して改めて、舞鶴を選びにくい状況を感じた」 草場さんが皆の考えをまとめる。「大人は育児や教育に関心があるけど、やはり僕ら若者にとって一番の問題は、舞鶴に秀でたところがないということです」 市長も正面から答えようとは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「公害原点」断罪の判決から50年 現実となった裁判長の懸念
「公害の原点」とされる水俣病を巡る最初の訴訟の判決から20日で50年を迎える。加害企業チッソの責任を断罪した判決は、患者への補償制度につながり、その後の一連の裁判では国の責任も認められた。だが、症状に苦しみ、患者認定を求める被害者たちの裁判は今も各地で続く。半世紀前の裁判での問いかけが重く響く。 水俣病患者らがチッソを相手に初めて損害賠償を求める裁判(1次訴訟)を起こしたのは1969年。当時、水俣病への理解はまったく不十分だった。 その年の10月、熊本地裁で開かれた第1回口頭弁論。原告の1人として母親に抱かれて傍聴席にいた13歳の上村智子(かみむらともこ)さん(77年に21歳で死去)が「あー、うー」と言葉にならない声をあげた。母親のおなかにいる時にメチル水銀にさらされ、生まれながらにしてしゃべることもままならない重症の患者。だが、斎藤次郎裁判長は即座に母娘に退廷を命じた。 「今なら猛抗議するところです」。だが、当時は退廷を受け入れざるをえなかったと弁護団の馬奈木(まなぎ)昭雄さん(81)は振り返る。「私たちに力がなかった」 ■公式確認後も拒まれた補償 水俣で「会社」と言えばチッソを指す企業城下町。裁判を起こすには、かなりの覚悟が必要だった。 チッソは56年に水俣病が公式確認された後も、「原因が工場排水とは確認されていない」と補償を拒み、患者たちは59年12月30日、わずかな見舞金と引き換えに、「将来、原因が工場排水と決定しても新たな補償要求は一切しない」という条件をのまされた。 ■■「勝ち目はない」と言われ… この記事は有料記事です。残り2238文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
水俣病訴訟、勝訴50年 患者らが判決の意義を語りあう
今村建二2023年3月19日 18時45分 水俣病の加害企業チッソの法的責任を初めて認め、断罪した水俣病1次訴訟の判決から、20日で半世紀を迎える。訴訟に携わった患者や支援者が19日、熊本県水俣市で集会を開き、判決の意義を語り合った。 第1部では、判決が出た1973年3月20日の熊本地裁前の様子から、患者がこれから生きるための補償を求めた、チッソ本社(東京)での交渉の前半までを記録した土本典昭監督の映画「水俣一揆 一生を問う人々」を観賞した。 映画には、訴訟に中学生で原告として参加した坂本しのぶさん(66)の母フジエさんが登場。しのぶさんの姉で、4歳で亡くなっていた真由美さんの3歳当時の写真を片手に、「真由美の命の値段は決まりました。2番目のしのぶの金額も出ました。しかし、しのぶの古い傷はよくなりません。だから、水俣病患者が生きるために、今からの仕事が残っております」と、早くも次に向けての決意を語る場面が映し出された。 1次訴訟は提訴時、ほとんどの法律家から「とても患者側に勝ち目はない」と言われていた。熊本大学法文学部助教授(当時)の富樫貞夫さん(89)が中心になって、「水俣病研究会」で議論を重ね、これまでとは違う新しい法理論を構築し、勝訴につなげた。 第2部では、研究会で富樫さんとともに活動してきた有馬澄雄さん(76)が講演。チッソの技術者たちは、水俣病の公式確認前に水銀汚染に気づく機会が何度もあったと指摘した上で、「法理論では、富樫さんが目の前の悲惨な状況に向き合った。一方、科学者たちは何もしなかった」と専門家の姿勢に疑問を投げかけた。 また、チッソとの「自主交渉」で闘った佐藤武春さんの息子で、今も未認定患者の救済を求めて福岡高裁で係争中の佐藤英樹さん(68)もあいさつし、「今の裁判官は国の委託のよう。でも水俣病は終わらないという気持ちで闘う」と語った。(今村建二) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
馬場ももこさん「ヘルメットで命守る」 自転車の死者の7割が頭負傷
4月から自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化されるのを前に、警視庁板橋署は19日、地元の「ハッピーロード大山商店街」(東京都板橋区)で交通安全パレードを行った。フリーアナウンサーの馬場ももこさんが一日署長を務め、道行く人にヘルメット着用と交通安全を呼びかけた。 同庁によると、昨年の都内の交通事故の死者132人のうち30人は自転車乗車中で、約7割が頭を負傷していた。努力義務化の周知や、ヘルメット着用率を上げることが課題となっている。 板橋署管内では今年、2月末時点で75件の人身事故があり、うち33件が自転車関連だった。馬場さんは「自分の頭をヘルメットで守ることは命を守ること。みなさんもしっかりかぶって」と呼びかけた。(御船紗子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄の公設市場が新装オープン 3代目が「市民の台所」に立つ理由
那覇市中心部にある「第一牧志(まきし)公設市場」が老朽化に伴う建て替え工事を終え、19日にリニューアルオープンした。旧市場は観光名所として人気を集めてきたが、市場関係者は「『市民の台所』という原点も大事にしていきたい」と意気込む。仮設市場での約4年の営業を終え、本土復帰51年目に「沖縄の食文化の象徴」として新たな一歩を踏み出す。 市場前では19日、式典が催され、知念覚(さとる)・那覇市長が「人と人がつながる新しい拠点が歩み出し、那覇の街場の発展のさらなる契機になると期待している」とあいさつ。関係者がテープカットをして祝った。 新たな市場は3階建てで、8… この記事は有料記事です。残り903文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
スクールバスに児童置き去り 運転手「急きょ帰らなければならず」
戸田和敬2023年3月19日 16時56分 広島県の東広島市教育委員会は19日、市内の小学校のスクールバスで18日昼、児童が約30分間、置き去りにされたと発表した。バスは児童22人を乗せて小学校を出発、運転手は終点の駐車場で後方座席を点検しなかったため、寝ていた児童に気づかず下車し、ドアを施錠したという。 児童が帰宅しないことから、保護者が学校に連絡して発覚した。運転手は「家庭の事情で急きょ帰らなければいけなかった」などと話しているという。市教委は「児童や保護者、心配させた皆さまに心からおわび申し上げる」とのコメントを出した。(戸田和敬) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
花見はやっぱり「飲み食いしながら」 上野公園で4年ぶり宴会解禁
笹山大志2023年3月19日 17時05分 東京都心で桜が開花してから迎えた最初の週末。桜の名所で知られる上野公園(東京都台東区)では19日、家族連れや観光客らがレジャーシートを広げて花見を楽しんでいた。 新型コロナウイルスに伴う制限が解除され、4年ぶりに園内で花見宴会が解禁された。この日昼過ぎ、夫と2人で酒を酌み交わしていた千葉県松戸市の藤田弘子さん(61)は「花見はやっぱり飲み食いしながらが楽しいですね」。10年前から毎年、フライドチキン片手に夫婦で花見するのが恒例だったが、この3年間は来られなかった。「久しぶりだけど、にぎやかな上野公園の雰囲気が好きです」 園内の桜は三分咲き程度。この日は前日の雨から一転、青空が広がった。高校時代の同級生3人で楽しんでいた東京都荒川区の三浦満晴さん(27)は「来るのが少し早かったけど、天気が良くて気持ちが良いです」と話した。(笹山大志) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
半世紀ぶり生まれ変わった校歌 北海道の「歌姫」、生徒とともに作る
札幌市にある通信制・単位制の北海道有朋高校の校歌が、半世紀ぶりに生まれ変わった。詩と曲を手がけたのは地元出身の「ショッピングモールの歌姫」だ。かつては「働きながら学ぶ」生徒が中心だったが、今は何らかの事情で全日制高校に通えなくなった生徒が多い。「子どもに伴走できる校歌を」。そんな思いを受けとめて完成したのが新校歌の「朋(とも)よ」だ。 ♪踏み出した1歩は果てなく美しい 未知なる広野へと挑む輝き 19日、「朋よ」が卒業式の終了後、初めて披露された。歌ったのは、市出身のシンガー・ソングライターの半﨑美子さん(42)。 ショッピングモールでのライブなど個人で17年間歌い続けて、36歳でメジャーデビューした。これまでにも道内初の公立夜間中学、札幌市立星友館中学校などの校歌を手がけている。 ■「たくましさと強い意志」感… この記事は有料記事です。残り851文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル