北九州市の旦過市場一帯で昨年8月に起きた火災で焼失し、再建を目指している老舗映画館「小倉昭和館」は、スクリーンなど映画館の設備費用に充てる目的で20日からクラウドファンディング(CF)を始める。館主の樋口智巳さん(62)が18日、発表した。3千万円を目標に、4月末まで寄付を募る。 昭和館は現在、12月に開かれる北九州国際映画祭に合わせた再建を目指し、4月の着工を予定している。計画では、新たな映画館は平屋建てで、座席は約135席の1スクリーン。観客以外にもロビーを開放するパブリックスペースを備えるという。 建物は地権者の不動産会社が建てる。昭和館は建物と土地を借り、設備を整えて運営する。今回のCFで集まった資金はスクリーンのほか、デジタルと35ミリの映写設備、座席、舞台設備などに活用する。寄付金額に応じて、昭和館の写真などを収めたフォトブックなどのグッズがもらえる。 樋口館主は「自力での再建は… この記事は有料記事です。残り409文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奈良公園の交差点、「左折可」表示を廃止 県外観光客の混乱に考慮
渡辺七海2023年3月19日 8時59分 奈良公園の県庁東交差点(奈良市登大路町)に設置されていた「左折可」の表示が17日に廃止された。背景には、奈良公園バスターミナルの整備などにより近年、周辺の渋滞が緩和したことなどがあるという。 奈良公園バスターミナルのすぐ南東に位置する県庁東交差点の3方向にあった左折可の表示が撤去され、あらたに「左折矢印信号」に切り替わった。 県警によると、同交差点の左折可の表示は、1959年に設置された。観光地が集中する奈良公園周辺は渋滞が起きやすいため、車の流れを円滑にする狙いがあったとみられる。2019年に同バスターミナルが整備されたことなどにより、同交差点から東大寺や春日大社がある東側へ向かう観光バスが減少し、渋滞が起きにくくなっていたという。 左折可の表示の廃止については、他の方向からの合流が危険との声や、表示になれていない県外の観光客に混乱が生じているといった状況を考慮したという。 17日には、梅谷口南と平城ニュータウン東の両交差点(いずれも奈良市)の左折可の表示も撤去された。 15日現在で県内には、26の交差点に左折可表示が設置されてしたという。(渡辺七海) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
看護師として向き合う臨終 自分に迫った死に激しい恐怖を抱く
僧侶 松山照紀さん シングルマザーになった私は平日、看護師を目指しながら病院に勤務する傍ら、休日になれば福岡のホスピスでボランティアをしたり、死生学のセミナーを受講するために上京したり。マザー・テレサが運営するインドの施設を訪ねたことも。頼るべき伴侶がいなくなった私の胸には、幼少期に芽生えた「死」へ関心がむくむくと湧き上がってくるようでした。 高度化する医療現場に身を置き、死にゆく人に対する医療者の振る舞いにも違和感が膨らんでいきました。例えば80代の患者さんが臨終に近づくと、家族は病室を出され、医者が力いっぱい心臓マッサージを始める。病院経営という観点からは必要な処置でしたが、私は〈自分の身内にはやってほしくないし、自分が死ぬ時にも嫌。家族に手を握られて旅立たせてあげればいいのに〉と思ってしまう。しかし一看護師の立場では、どうすることもできませんでした。 ジレンマを抱えつつ病院で働き、同居する祖母の介護も大変になりつつあった32歳の時、激しい倦怠(けんたい)感に襲われました。病院に駆け込みましたが確定診断がつかず、即入院。その後、「結核性胸膜炎」にかかっていることがわかりました。昔は「肋膜(ろくまく)炎」と呼ばれて恐れられた病気です。 入院してしばらくは病名の診… この記事は有料記事です。残り888文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
公立高校入試で採点ミス933件 6人誤って「不合格」 千葉県教委
千葉県教育委員会は17日、2月21、22日に実施した公立高校入試の学力検査について、98校で計933件の採点ミスがあったと発表した。1教科で本来の得点より10点低いケースもあった。合格なのに不合格とされた受験生が5校6人おり、謝罪して合格を伝えたという。千葉県の公立高校入試で大規模な採点ミスが発覚するのは初めて。 公立高入試の学力検査は国語、数学、英語、理科、社会の5教科で各100点満点。県教委によると、採点ミスがあったのは、県立高校120校中92校と、市立高校7校中6校。学校別では幕張総合(61件)▽津田沼(42件)▽小金(41件)など。ミスは5教科すべてにわたり、正誤の判定の誤り(467件)▽配点の誤り(102件)▽小計や合計点の誤り(301件)があった。 誤って不合格とされた受験生について、すでに私立高に入学金などを支払ったケースがあれば、対応を検討する。点検で合格から不合格に変わるケースはなく、2次募集の定員は変更しない。 受験生からの情報開示請求で発覚 冨塚昌子・県教育長は記者会… この記事は有料記事です。残り365文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「はよ戻ってきなさい!」難病の娘にもらった力 68歳が進む芸人道
福岡市の中心部にある商業施設「キャナルシティ博多」。1階の吹き抜けスペースに集まった30人ほどの観客の前に、漫才コンビ「バリカタめんたいZ(ず)」が走りながらやって来た。 68歳の「まり凜(りん)」こと平川景子さんがマッチングアプリを始めるという設定で、相方の「いしづち君」こと岩口元樹さん(48)がテンポよくつっこむ。 「私、結婚サプリやりようとよ」 「いや、アプリね!」 4分弱、勢いのある漫才を披露すると、会場は笑いに包まれた。 まり凜さんが芸人の道に進んだのは2年前、66歳の時だ。きっかけは、一緒に暮らす長女あいさん(36)の存在だった。 あいさんは1986年、妊娠28週で生まれ、体重は780グラム。半年間、未熟児室で生死の境をさまよった。けいれんや知的障害が特徴の難病「結節性硬化症」を患っていた。 まり凜さんは30代と40代で2度離婚。エレベーターを設置する会社で経理の仕事をしながら、あいさんを自宅で介護し、男女計3人の子どもを育ててきた。 「あいちゃん、何やっとんね!」 あいさんが21歳の時のことだ。両肺の同時気胸を起こし、救急車の中で心肺が停止した。 「あいちゃん、何やっとんね!」「はよ戻ってきなさい!」。まり凜さんが大声で呼びかけ続けると、あいさんは5分後に息を吹き返した。 その後も酸素不足による気絶やけいれんを繰り返し、7年間で14回の入退院を繰り返した。 まり凜さんは難しい判断を迫られ、命を預かる重さに押しつぶされそうになった。病院を出ると、白く光る月が浮かんでいる。「私、どうしたらええんやろうね」。そうつぶやいて涙をこぼした夜もあった。 死と隣り合わせで生きるあいさんといることで、今この瞬間を生きているのは当たり前ではないと気づいた。生きているうちに本当にやりたいことをやらないと。茶道や生け花、ダンスなど、打ち込めるものを探したが、ゴスペルのほかは長続きしない。 お笑いの道「こんな幸せなことはない」 生活の慰みは、テレビで見る漫才やコントだった。クスッと笑えば、気持ちが切り替わった。「私もネタをつくり、人を笑わせる仕事がしたい。66歳で芸人始めてもよかろうもん」 2021年春、福岡市にある吉本興業グループの養成所(NSC)に入学。厳しいダメ出しもあったが、ネタをつくる時間は楽しかった。「どうしたら人に笑ってもらえるかが悩みなんて、こんなに幸せなことはない」と思った。 NSCの卒業が近づいたころ。あいさんが酸素ボンベを引きながら一人で劇場に来てくれた。引きこもりがちだったが、自分でタクシーを呼び、乗ってきたという。「舞台に立っているお母さんの漫才を見たかった」。先輩芸人と笑顔で話すあいさんを見て、まり凜さんは思った。「私が漫才を始めた理由の一つは、あいに元気になってもらうためだったんだな」 スタートは遅かったかもしれない。でも、人生の酸いも甘いも味わってきた経験は、ほかの若手にはない強みだ。 「夢はM―1優勝です。この年齢からめざしても、いいんよね?」(椎木慎太郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「伝えたい」 思いは同じはずなのに 短歌と見出しの違いに悩む
「舞いあがれ!」は、言葉の魔法がかけられたドラマだ。 いま放映中のNHKの連続テレビ小説は、3月31日に最終回を迎える。メインで脚本を手がける桑原亮子さんは、歌人としても知られる。 彼女の筆が紡ぎ出す繊細なセリフに、毎朝癒やされ、胸を打たれている。 特に、ヒロイン舞(福原遥)の幼なじみで、伴侶となった貴司(赤楚衛二)の短歌が、この物語にぐっと深みを与えている。 《君が行く 新たな道を照らすよう 千億の星に 頼んでおいた》 貴司が舞に送ったこの歌が、実は万葉集にある激しい恋心の歌の本歌取りだったことを知ったときには、「五・七・五・七・七」の31文字で描かれる世界の奥深さを、改めて気づかされた。 デジタル記事配信に携わっている立場としては、アクの強い編集者の登場もあって、創作や表現について考えさせられることも多い。 「売れなければ世の中に知られない」と広言する彼らの存在が、心の奥深いところを描く短歌の世界を逆にくっきりと浮かび上がらせているように思う。 桑原さんとはどんな人なのか。 朝日新聞のこれまでの記事な… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「バウムクーヘン」の地層、日本唯一の「砂漠」 噴火と再生の島へ
有料記事 文・伊藤恵里奈 写真・相場郁朗2023年3月18日 15時00分 まるでバウムクーヘン? 高さ30メートル、長さ630メートル。しま模様が重なり、曲がりくねった地層に目を奪われる。この景観を作ったのは、太古より繰り返されてきた自然の営みだった。 東京から120キロメートルの洋上に浮かぶ伊豆大島(東京都大島町)。島中央にそびえる三原山は、太古から噴火を繰り返してきた。 島の周回道路沿いにある「地層大切断面」はまるで幾重にも焼いたバウムクーヘン。過去2万年で約100回噴火した歴史が地層に刻まれている。 溶岩や噴石による独特の景観から2010年、島は「日本ジオパーク」に選ばれた。自然遺産を観光や教育にいかしながら保全する取り組みだ。 記事後半では会員登録すると応募できるプレゼントコーナーもあります。3月27日午前0時まで。 三原山の東部には「裏砂漠」… この記事は有料記事です。残り1033文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ガーシー容疑者らの旅券返納命令を要請 警察庁、外務省に
2023年3月18日 15時46分 動画投稿サイトで著名人らを繰り返し脅迫したなどとして警視庁が逮捕状を取った前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者(51)について、警察庁が外務省に旅券返納命令を出すよう要請したことが関係者への取材でわかった。動画の制作などに関わったとして逮捕状が出ている会社経営者の男(40)についても同じく要請したという。 東谷容疑者はアラブ首長国連邦(UAE)など海外に滞在して国会を欠席し続けたとして、15日に除名処分を受け国会議員の資格を失った。警視庁は16日、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)容疑などで逮捕状を取得した。昨年2~8月、動画投稿サイト「ユーチューブ」上で俳優の綾野剛さんら3人の名誉を傷つけることをほのめかして脅迫したほか、3人のうち1人に対し同サイト上で事業活動を終了するよう強要したなどの疑いがある。会社経営者の男についても名誉毀損(きそん)容疑などで逮捕状を取った。 東谷容疑者は海外に滞在しているが、帰国の意思を示していない。外務省は今後、東谷容疑者らの所在の調査などを進めた上で、本人に旅券返納命令を伝達する。指定の期間に返納しなければ旅券が失効する。ただ、失効が即、不法滞在の状態になるかどうかはその国の制度や運用によるといい、失効しても現地当局に拘束されたり退去させられたりするとは限らない。 警視庁は今後、警察庁を通じ国際刑事警察機構(ICPO)に東谷容疑者の国際手配も申請する方針だ。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「情熱と地元への思いに投じたい」18歳の討論 舞鶴市長選で考えた
学校だけが教育の場ではない。社会や国の問題を自分ごととして考え、皆で最適解を探る主権者教育は特にそうだ。2月5日投開票の京都府舞鶴市長選を巡り地元のコミュニティーラジオ局「FMまいづる」が企画した18歳ら若者の討論会も学びと気づきに満ちていた。(編集委員・曽我豪) ジェネラルマネージャーの時岡浩二さん(55)に頼んで、投開票の1週間前の収録に立ち会った。 自公が推薦する現職に日本維新の会の府総支部が推す元市議が挑戦、共産推薦候補と無所属候補も加わる乱戦だ。正直、半分は選挙の様子を探るのが目的だったが、討論を聞いて自分の考えを改めた。 18歳の2人の討論だ。私立高校3年の松谷玲奈(まつたにれいな)さんは、学校でウクライナ支援のため寄付金を集めた経験を持つ。高専3年の高辻悠生(たかつじゆうき)さんは、同局の番組作りを手伝ってきた。 候補者の動画を見た2人は…… 司会の時岡さんは進行を急がない。前日の候補者討論が収録された動画を2人が見終わるのを待つ。誰に投票するか、市政不信はどうかなど、いきなり結論を求める質問もしない。 ――候補者討論はどう? 高辻さん「商店街の活性化はいいなと思った」 松谷さん「給食費ゼロという(維新系候補の)言葉が具体的で良かった」 ――市長を選ぶ基準は? 高辻さん「やはり話し方がわ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「父に内緒で母に会いに」「ごまかさないで」 12人が語る親の離婚
親の離婚を経験した子どもの心を知ってもらおうと、子どものころに親が離婚した12人の体験談を収めた冊子が発行された。SNS上で約3800人が参加する離婚コミュニティーを運営する管理人がインタビュー。子どものときには言葉にできなかった悲しみや怒りが語られている。 タイトルは「『離婚の子ども』の物語~喪失と成長のプロセス」。SNS「ミクシィ」上で、共通の関心をもつ会員が集う「コミュニティ」の一つ「親の離婚を経験した子ども」の企画としてまとめたものに加筆し、一般向けに改訂版として発行した。 製作したのは、このコミュニティを運営する管理人の男性(52)と、親が離婚した子の相談を受けている公認心理師で出版社を経営する綿谷翔さん(38)だ。 男性は2006年、親の離婚について語り合う場としてコミュニティを開設。「こんなことで悩んでいるのは、私だけだと思っていた」「相談できる場所がなかった」などの書き込みが寄せられ、一時は4千人以上が参加していた。 2012年、離婚した親の会を主宰する知人から「子どもの気持ちを知りたい」と言われ、インタビューを計画すると、コミュニティの20人以上が応じた。2014年と16年に内部で配布した初版と改訂版にインタビューを追加し、今年2月、20代から60代まで12人の体験談と綿谷さんの考察を収めた「改訂2版」を作った。 管理人の男性も、生後半年で親の離婚を経験している。 父の実家で育ち、離別した母… この記事は有料記事です。残り1062文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル