なーはーはーはいー もーほーほーほいー わーはーあはーはいー めーへえーへえー 福島県いわき市の久之浜。昨年8月、伝統芸能「じゃんがら念仏踊り」が、こんなゆったりとした調子の歌で始まった。 じゃんがらは、市内各所に伝わり、新盆の家々を回る供養の踊りだ。十数人の着物姿の楽団が、腹に下げた太鼓と、手に持った鉦(かね)を打ち鳴らして、歌い、踊る。 楽団の一人、遠藤諭さん(46)は、演じる前、遺族に問いかけた。「(生前に)伝えたかった言葉はありませんか」 津波に襲われた浜で遺体と向き合う あの日、2011年3月11… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ふれる」は生きること、コロナ下の視覚障害者 震える腕つかまれた
「ふれる」ことを誰もが不安視した3年間。 「ふれない」と生きていけない視覚障害者は、どう過ごしたのだろうか。 東京・高田馬場。学生街の喧噪(けんそう)が漂うビルのワンフロアに「ふれる博物館」はある。日本点字図書館が2018年に設立した。 現在の企画は「石を感じる」。 アンモナイトやオウムガイの化石を、森登美江さん(72)がいとおしそうに触れていた。両手で覆って全体像を確かめ、徐々に片手で細部を確認する。その間15分。 「こんな所に穴があるのね。縦から見たらどうなのかな。逆から見たら?」 夢枕獏さんの小説「月に呼ばれて海より如来(きた)る」に登場する二つの貝の話を何度も読んで、あこがれていた。 「本が大好きなので、興味を持った物は、なんでも見たいの。子どもの時からそう。何を見ても楽しいの」 1歳半の時に、はしかによる高熱で失明。マッサージの仕事をしながら暮らしてきた。森さんは「ふれる」を「見る」と言う。 コロナの感染者が増え始めた3年前。3カ月は家からほとんど出なかった。 エスカレーターに乗るにも、バスに乗るにも、必ずどこかにふれて、距離感を測る。点字にふれて文字を読む。 「エレベーターのボタンを棒で押すなんてことできないし、ふれるたびにアルコール消毒していたらきりがない。他の人の10倍だもの」 人への恐怖 駅での出来事 でも、外出できない一番の理… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
客足戻ってきた「ふれる博物館」 コロナ下の逆風、でも閉じなかった
江戸川夏樹2023年3月13日 8時00分 展示品に心ゆくまで触ってくださいという博物館が東京・高田馬場にある。「ふれる博物館」。日本点字図書館が2018年に設立した。視覚障害者を中心に、誰もが無料で利用できる。だが、「ふれる」ことに過敏となったコロナ下で、博物館の来場者は5分の1となった。 博物館の入り口には、レオナルド・ダビンチの絵画「最後の晩餐(ばんさん)」の模型版がある。イタリアの作家が創作し、世界に3個しかないという。 「テーブルクロスのしわも指で感じる。細かい描写で描かれた絵画だと、模型を通して知った」と視覚障害者に評判だった。 「視覚障害者にとって、ふれることは見ること。ふれなければ生活できない」と伊藤宣真館長は言う。コロナ下で当たり前となったソーシャルディスタンスも、視覚障害者にとっては距離感がわからない。 博物館はコロナ下でも予約制にして、展示を続けた。「好きにふれていい、そして、外に出るきっかけになる場所を作りたかった」 現在はコロナ前の客数が戻りつつある。 3月18日まで、企画展「石を感じる」を開催中。アンモナイトや地域ごとにさわり心地が異なる軽石、南極の石もふれ放題だ。 視覚障害がない人も、「ふれることで新しい発見がある」と訪れているという。 開館は毎週水、金、土曜の午前10時~午後4時。電話(03・3209・0241)で事前の予約が必要。(江戸川夏樹) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
避難所で身につける黄色いバンダナ 「支援が必要」ひと目で判別
角津栄一2023年3月12日 10時45分 群馬県安中市は、災害時に障がい者や妊婦らが支援を受けやすくなるよう、「支援が必要です」などと記されたバンダナ1500枚を作成した。各避難所に配備し、身に着けることで、支援が必要であることを周囲に伝えられる。 大きさは80センチ四方で、黄色。四隅に「目が不自由です」「耳が不自由です」「体が不自由です」「支援が必要です」と記載されており、このうち自分が該当する部分が首の後ろに来るよう身につける。 「目が不自由です」と記載された角には、裏側にリボンを縫い付けて判別しやすくしている。(角津栄一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マイクで「山梨の人守る」 福島で被災したアナ、12年目に誓う使命
東日本大震災から11日で12年となった。原発事故が起きた福島に、山梨から特別な思いを向け続ける人がいる。(池田拓哉) 「久々に福島の松川浦に行くんですよ」。こう語るのは、マイクの力で災害から人々を守る使命と向き合う、甲府市の山梨放送(YBS)アナウンサー、和泉義治さん(40)だ。 コロナ禍になるまで、妻の実家がある福島市に帰省した時には、福島県相馬市の松川浦漁港まで車を走らせずにはいられなかった。復興がどれくらい進んでいるか、ずっと気がかりになっているからだ。 松川浦を訪れるたび、潮の香りを浴びて船のエンジン音を聞きながら、一緒に写真に納まった取材先の漁師たちの顔を思い浮かべる。身を案じながら「がんばって」と心の中で声援を送る。そして自らに問い続ける。「山梨で災害が起きた時、自分には救える命があるだろうか」と。 「本当の情報を伝えてくれ」避難所でせがまれ 12年前、東日本大震災の発生時、ラジオ福島(福島市)のアナウンサーだった。当時、28歳。発生直後から、水やガソリン、入浴施設の情報などが多数寄せられ、関係先に確認しながら放送した。昼夜を問わず福島県内を取材とリポートで駆け回った。沿岸部は道がうねり、船や家が打ち上げられていた。 取材で訪れた避難所では「原発は大丈夫なのか。本当の情報を伝えてくれ」と何人にもせがまれた。身内に不幸もあった。福島県内で入退院を繰り返していた妻の祖母は余震や停電が繰り返されるなかで体調を崩し、2週間後に亡くなった。 取材で訪れた松川浦は東京電力福島第一原発から北に約40キロ。漁港は県内一の漁獲量を誇る象徴的な場所だ。それが震度6弱の揺れと津波に襲われ、壊滅的な被害を受けた。原発の高濃度汚染水が流れ出した影響で、漁業は一時、全面操業自粛に追い込まれた。 何度も足を運び、漁に出られないたくさんの漁師たちの悲鳴を聴いた。「生きていることは決して当たり前ではない」と、被災した土地や人、親戚に接して身をもって知った。そして、ここに暮らす人たちが、みんなで支え合って生き抜こうとしている。そんな姿が印象的だった。 夢見つけ山梨へ 「避難してきたんですか」 震災は、和泉さんがちょうど新たな夢を見つけ、福島を離れようとした矢先に起きた。8カ月後には転職先の山梨へ。「被災地から逃げたと思われているのではないか」。そんな思いが頭によぎり、後ろめたさをずっと引きずった。 11年末、YBSに入社し、震災前からあこがれていたテレビの世界にも活躍の幅が広がった。都留文科大学(山梨県都留市)の卒業生でもあり、山梨は親しみのある土地だった。 一方、山梨県内で投げかけられる「避難してきたんですか」という何げない一言に傷ついたこともあった。福島に暮らし続ける人たちには「そばで復興の力になれず申し訳ない」という感覚を持つようになった。 「放送を通じて災害から人々を守る」。震災の経験から、そんな強い思いは変わらない。だが、痛恨の思い出もある。 14年2月の豪雪で、山梨県内では1メートルを超える記録的な積雪となり、車内に閉じ込められるなどして5人が死亡した。山梨で雪が人の命を奪うとは思わなかった。「外出を控えるよう放送で呼びかけていれば、救える命があったかもしれない」。災害への想像力が足りなかったと悔やんだ。 いま、富士山の噴火による災害を心配する。「福島もかつては大震災への警戒が薄かった。災害は突然やってくる。山梨の人々を守る力になりたい」。いま一度、福島の海に誓う。 ◇ 2011年3月11日、山梨県内では中央市や忍野村で最大震度5強の揺れを観測。2人が負傷し、住宅4棟が一部損壊した。12日早朝にかけて最大14万世帯以上が一時停電した。 県内では震災や原発事故からの避難をきっかけに、今も県外から452人(3月1日現在)が身を寄せ続けている。中央市が146人で最も多く、甲府市が82人、笛吹市が56人で続く。福島県からの避難者は376人で8割強を占める。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
電車に置き忘れた捜査書類見つかる 70代女性、自宅に持ち帰ったか
岩田恵実2023年3月12日 16時15分 警視庁竹の塚署(東京都足立区)の40代女性巡査部長が捜査書類を電車に置き忘れて紛失した問題で、同庁は12日、この書類が都内の70代女性宅で見つかったと明らかにした。防犯カメラの映像を調べるなどしたところ、女性が自宅に持ち帰っていた可能性が浮上。同日正午ごろ、女性宅で署員が書類を確認した。 署によると、女性は「他の人には見せていない」などと話しているという。署は経緯などをさらに詳しく聴く方針だ。 見つかった書類は「事件記録証拠品送致票(甲)」で、検察庁に送致した容疑者7人の氏名や罪名、送検時に提出した証拠品の目録などが記されていた。 紛失したのは10日午前11時ごろで、巡査部長は東京地検からこの書類を入れたケースを持って署に戻る際、地下鉄日比谷線の電車の座席に置いたまま北千住駅で降車していた。(岩田恵実) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「一生の宝に」 コロナ陽性でバレー高校選手権欠場の就実が特別試合
今年1月の女子バレーボール全日本高校選手権で、新型コロナウイルスの抗原検査で部員が「陽性」となって欠場した就実(岡山市)が12日、昨夏の高校総体覇者、金蘭会(大阪市)と神戸市で特別試合を行った。大会3連覇がかかった選手権の舞台を踏めなかった後輩のため、就実出身の選手が所属するVリーグクラブが企画し、実現した。 Vリーグ公式戦の前に組まれた特別試合。就実3年の岡田愛菜選手(18)が「前日の練習で『あすは楽しんで終わらせよう』と声をかけ合った」と言う通り、神戸市須磨区のグリーンアリーナ神戸のコートで、選手たちは躍動した。 得点を決めるたび、走り回ったり、ハイタッチをしたりして喜びを表現。コロナ禍で高校生活を過ごした選手たちには初めてとなる「声援」も後押しした。 就実は2021年、22年の選手権を制した強豪。3連覇をめざし、シード校として臨んだ初戦の1月5日、試合前の抗原検査で選手20人のうち、1人が「陽性」と判定された。 大会規定では選手らが1人でも陽性となれば欠場となる。その日の再検査で全員が陰性だったが、出場は認められなかった。 こうした事態に、就実出身の石井優希(31)、万代真奈美(24)、深沢めぐみ(19)の3選手が所属するVリーグ1部女子の久光スプリングスが動いた。対戦相手として金蘭会に呼びかけたところ、同校が応じて実現した。 試合は金蘭会が2セットを連取して勝利。その後、15点先取したら勝利となる特別マッチを行い、就実が17―15で競り勝ち、意地を見せた。 最後の1点は主将だった3年の岩本沙希選手(18)のトスを1年生が決めた。 岩本選手は「選手権では悔しい思いをしたが、チーム全員でやりきることができた。こんなに大きな大会を開いてくれたことへの感謝の気持ちを込め、プレーした。一生の宝物になる1日です」と振り返った。 就実の西畑美希監督(45)は試合後、「いいプレーを見せたいと少し堅くなったかな」と笑いつつ、「一度チームが解散するなか、今できる精いっぱいの力を発揮してくれた」とたたえた。 「3年生は色んなことを我慢、我慢してきた。選手権は残念だったが、あの経験でダメになるような練習はしてきていない。これから困難なことがあっても、乗り越えられる」とエールを送った。(山本亮介) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「大丸別荘」前社長が死亡、車内から遺書 湯の入れ替え問題で辞任
2023年3月12日 16時46分 大浴場の湯を年2回しか取り換えていなかったことなどが明らかになった福岡県筑紫野市の老舗旅館「大丸別荘」の運営会社の前社長(70)が死亡したことがわかった。福岡県警が12日、発表した。遺書が見つかっており、県警は自殺の可能性が高いとみている。 県警によると、前社長の男性は12日午前7時ごろ、筑紫野市内の山道で死亡しているのを通行人が見つけた。近くに車があり、車内からは遺書が見つかったという。県警は死因を明らかにしていない。 県などによると、大丸別荘は昨年8月、県保健所の調査に虚偽の管理簿を示し、湯の取り換えや、殺菌用の塩素注入が適切だったと説明した。だが実際は、週1回以上必要と定められた湯の取り換えは年2回のみで、塩素注入も怠っていたことが後に判明した。 前社長は先月28日に記者会見を開き、責任を認めて謝罪。今月2日に社長を辞任していた。 県は虚偽報告があったとして今月8日、公衆浴場法違反の疑いで県警に前社長と法人の「大丸別荘」を刑事告発し、県警は10日、大丸別荘と前社長宅を家宅捜索していた。 県警生活経済課の児玉英治次席は「亡くなられたことは大変残念であり、心を痛めております。ご冥福をお祈りいたします。警察の対応に問題はなかったとみています。今後、引き続き捜査を進めていきます」とコメントした。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
参加できる「せり」が人気 宮城・名取市の「ゆりあげ港朝市」
【動画】津波被害の閖上地区。12年後の朝市の風景=吉田耕一郎撮影 東日本大震災から12年になった宮城県名取市で12日、震災前から日曜日と祝日に開かれてきた「ゆりあげ港朝市」があり、多くの人でにぎわった。数百台が止められる近くの駐車場はほぼ満杯になり、店舗の周りには人だかりができた。 朝市の一番人気は、午前10時から開かれる一般の人を対象にした「せり」。地元の魚介類や野菜だけでなく、コーヒー、花、カニ、めんたいこなど、さまざまな物が安く買える。 ゆりあげ港朝市協同組合代表理事の桜井広行さん(68)が品物と金額を告げると、買いたい人が番号の書かれた札を次々に上げ、桜井さんが番号を読み上げ、落札が決まる。わたがしなどもせりに出され、子どもたちがいっせいに札を上げていた。 震災後の2013年に、海沿… この記事は有料記事です。残り346文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
納豆菌で養殖コイの夏バテ防げる? 水産試験場とメーカーが研究発表
養殖コイの餌に納豆菌を混ぜると、夏バテ防止に効果がある。茨城県水産試験場と納豆製造大手のタカノフーズ(同県小美玉市)がこんな研究結果を発表した。霞ケ浦がある茨城は、養殖コイの収穫量全国一だが、夏の水温上昇によるコイの成長不良が課題となっている。名産の納豆とのコラボで、生産効率の向上につなげたい考えだ。 研究は、霞ケ浦湖岸にある内水面支場(茨城県行方市)で行われた。 最初の7日間は、全長約15センチで体重約60グラムのコイの2歳魚50匹を最適水温の23度で育てた。 半数の25匹に乾燥凍結した… この記事は有料記事です。残り956文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル