大山稜2023年3月8日 16時01分 遺伝子が組み換えられた赤いメダカを違法に飼育するなどしたとして、警視庁は、埼玉県春日部市のメダカ販売店経営者の増田富男容疑者(67)のほか、観賞魚愛好家の60~72歳の男4人の計5人を遺伝子組み換え生物使用規制法違反(未承認使用)の疑いで逮捕し、8日発表した。 これらのメダカは東京工業大の研究所(横浜市)で飼育していた遺伝子組み換えメダカの卵が2009年に男子学生によって違法に持ち出され、繁殖したものだという。文部科学省は同日、東工大に対してメダカの取り扱いが不適切だったとして厳重注意した。 生活環境課によると、逮捕された5人は2021年7月~22年8月、遺伝子の一部がサンゴに由来する成分に組み換えられ、赤色になったミナミメダカを環境相の承認を受けずに販売目的で運搬したほか、飼育するなどした疑いがある。 5人は個人取引や展示会で遺伝子組み換え生物であることを伏せて「珍しい光るメダカ」などと説明し、1匹150~10万円で販売。いずれも容疑を認め、「見たことのないきれいなメダカなので手に入れたかった」などと話しているという。 同課は、メダカがこれらのルートで約50人に流通していたとみて、関係先から計約1400匹を押収。研究所から持ち出した当時学生だった男性(35)ほか流通に関わったとされる61~70歳の男女3人も同法違反容疑で書類送検した。 遺伝子組み換え生物は、既存の生物のエサや生息場所を奪ったり、交雑して生態系に影響を及ぼしたりする恐れがある。04年施行の同法は、遺伝子組み換え生物を安全に取り扱うためのルールを定めている。この分野の安全対策について話し合われた南米コロンビアの都市カルタヘナでの国際会議にちなみ、「カルタヘナ法」とも通称される。 同法違反容疑で逮捕者が出るのは全国初という。(大山稜) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
遺伝子組み換えメダカ違法飼育容疑 東工大の研究所から卵持ち出しか
大山稜2023年3月8日 13時05分 遺伝子が組み換えられた赤いメダカを違法に飼育するなどしたとして、警視庁は、埼玉県春日部市のメダカ販売店経営者の増田富男容疑者(67)のほか、観賞魚愛好家の60~72歳の男4人の計5人を遺伝子組み換え生物使用規制法違反(未承認使用)の疑いで逮捕し、8日発表した。 これらのメダカは東京工業大の研究所(横浜市)で飼育していた遺伝子組み換えメダカの卵が2009年に男子学生によって違法に持ち出され、繁殖したものだという。文部科学省は同日、東工大に対してメダカの取り扱いが不適切だったとして厳重注意した。 生活環境課によると、逮捕された5人は2021年7月~22年8月、遺伝子の一部がサンゴに由来する成分に組み換えられ、赤色になったミナミメダカを環境相の承認を受けずに販売目的で運搬したほか、飼育するなどした疑いがある。 5人は個人取引や展示会で遺伝子組み換え生物であることを伏せて「珍しい光るメダカ」などと説明し、1匹150~10万円で販売。いずれも容疑を認め、「見たことのないきれいなメダカなので手に入れたかった」などと話しているという。 同課は、メダカがこれらのルートで約50人に流通していたとみて、関係先から計約1400匹を押収。研究所から持ち出した当時学生だった男性(35)ほか流通に関わったとされる61~70歳の男女3人も同法違反容疑で書類送検した。 遺伝子組み換え生物は、既存の生物のエサや生息場所を奪ったり、交雑して生態系に影響を及ぼしたりする恐れがある。04年施行の同法は、遺伝子組み換え生物を安全に取り扱うためのルールを定めている。この分野の安全対策について話し合われた南米コロンビアの都市カルタヘナでの国際会議にちなみ、「カルタヘナ法」とも通称される。 同法違反容疑で逮捕者が出るのは全国初という。(大山稜) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
朝日新聞社、河北新報社への印刷委託を拡大 南東北全県へ
2023年3月8日 13時07分 朝日新聞社は、河北新報社(本社・仙台市青葉区)に委託している朝刊印刷を20日付から拡大する。宮城、山形、福島の南東北3県について、一部印刷から全県分の印刷に切り替え、岩手県南部の部数と合わせて約11万7千部を委託することになる。これまでの4県での委託部数約3万8千部から約3倍となる。 南東北3県向けの朝日新聞朝刊を印刷してきた仙台工場(仙台市宮城野区)が、建物や生産設備の老朽化などを理由に今春をもって閉鎖することになり、宮城県を中心とする東北地方に安定した基盤を持つ河北新報社に、仙台工場で印刷している朝刊部数を追加委託することにした。 印刷場所は、引き続き仙台市泉区の河北新報印刷センター。これまで仙台工場で印刷していた日刊スポーツも12日から同印刷センターで印刷を開始する。 朝日新聞社は11年11月から河北新報社へ朝刊印刷を委託している。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新任の大使ら送迎の馬車列、3年ぶり再開 信任状捧呈式
多田晃子2023年3月8日 13時15分 新任の外国大使らを皇居に送迎する馬車列が8日、3年ぶりに再開した。この間、新型コロナの影響で、運行を見合わせていた。沿道では多くの人が立ち止まり、華やかな馬車列を見守った。 午前10時ごろ、フィジーのフィリモネ・ワガバザ大使を乗せた馬車列が東京駅を出発。皇居に向かって、ひづめの音を響かせながら、行幸通りを通過した。皇居・宮殿の南車寄せに到着した大使は「大変快適でした」と話した。しばらくして、パキスタンのラザー・バシール・ターラル大使も馬車列で到着した。 宮内庁によると、馬車列の運行は2020年3月以来。公道などに人が密集するのを避けるため見合わせてきたが、感染状況が落ち着いてきたことから、再開した。 馬車列は、宮内庁、警視庁、皇宮警察本部の計十数頭の馬で構成される。皇居内の厩舎(きゅうしゃ)には、乗用馬17頭と馬車をひく輓用馬(ばんようば)14頭の計31頭がいて、コロナ下で馬車列の運行が出来なかった期間も日々、速度やフォーム、技術などの様々なカリキュラムに従って調教を重ねてきたという。宮内庁の担当幹部は「何より普段の訓練や管理が大事。普段から馬とコミュニケーションを取って信頼関係を築いていなければ、『人馬一体』のような動きは出来ない」とし、「今後も伝統の接遇を大事にしていきたい」と話す。(多田晃子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「忘れないために伝えないと」 防災学ぶ大学生、被災体験を子どもに
東北で被災したときに小学3年生だった女の子はいま、大阪の大学で防災を学び、被災体験や備えの大切さを子どもたちに語る。「忘れないために伝えていかないと」 関西大社会安全学部3年の赤間桃乃さん(21)=大阪府高槻市=は、津波で町の3分の1が浸水した宮城県沿岸部の七ケ浜町出身。12年前の東日本大震災が起きたのは、学校の教室で大掃除をしている時間だった。 床にしゃがんでぞうきんがけをしていると、尻餅をつくぐらいの大きな揺れに襲われた。震度5強。校舎の窓ガラスがガタガタと大きな音を立て、停電。泣いている子もいた。校庭に避難すると雪が降ってきた。「寒いし、暗いし、怖かった」。親が迎えに来てくれるのを不安な思いで待ち続けた。 祖父母宅は全壊 自宅のアパートは1階部分が… この記事は有料記事です。残り661文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
プロ野球観戦しない元球児、WBCのヌートバー選手に送るエール
8日に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日系外国人として初めて日本代表入りした大リーグ・カージナルスのラーズ・ヌートバー選手(25)。東京ガス社員の塩沢佑太さん(34)は17年前、米国のヌートバー家でともに過ごした。 帝京高校の主力として甲子園で活躍した塩沢さんは2006年夏、高校日本代表に選ばれ、米国遠征へ行くことになった。 そのとき、ホームステイ先として受け入れてくれたのがヌートバー家だった。 ヌートバー選手は、父親がオランダ系米国人で、母親が日本国籍の久美子さん。 到着した空港で、大きなウェルカムボードを掲げる一家の姿に感動した。 「あの光景は今でも覚えてい… この記事は有料記事です。残り989文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
津波避難タワーが三重県沿岸に続々 志摩では10基予定 訓練が課題
海辺の住宅地に津波避難タワーが続々とできている。三重県沿岸では2011年の東日本大震災前に1基だったが、34基まで増えた。県はさらに設置を促すため新たな補助制度も設ける。自治体にとっては完成後の「活用」も課題だ。 太平洋に面した三重県志摩市大王町の畔名。海岸から約100メートル足らずの住宅地に避難タワーの建設が進む。高さ10メートル。最上部の広さは50平方メートルで、36人が避難できる。近くに住む80代の女性は「地震が起きたときは、遠くまで逃げんでもええようになるんか」と話す。 市内では志摩町和具でも約290人が避難できるタワーが間もなくできる。建設費は2基合わせて3億2千万円。 震災後、市内で新基準に基づいた避難タワーは浜島町で14年に1基できただけだったが、今年度以降、急ピッチで建設が進む。今年度が2基、23年度は3基、24年度は1基、25年度は3基と計10基になる。 県がまとめた南海トラフ地震の被害想定に基づく市の防災計画によると、志摩市には地震発生後20分以内に最大10メートル以上の津波が襲い、死者数は約7700人に上るとされる。ほか建物の倒壊による死者数は約1千人。 近くに高台などがない住宅地の住民にとって、すぐ逃げられる場所がタワーになる。「特定避難困難地域」と呼ばれ、約1900人がおり、タワー10基と避難路の改修で解消できるという。橋爪政吉市長は「安心して暮らし続けられる地域をつくるため、想定される被害を少しでも減らす防災対策は市政の最重要課題」と話す。 ただ難点は費用だ。今後の建設で10億円以上かかると見込まれている。 県防災企画・地域支援課によ… この記事は有料記事です。残り607文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
警察部隊が大規模災害訓練 トルコ・シリア大地震派遣の11人も参加
吉沢英将2023年3月7日 19時00分 大規模災害の被災地に派遣されて救助活動にあたる警察の広域緊急援助隊(広緊隊)の訓練が、東京都立川市で先月あった。警視庁のほか埼玉、千葉両県警の隊員ら約100人が参加し、土砂の中や倒壊した建物に取り残された被災者を救出する訓練をした。 広緊隊は1995年の阪神大震災を受けて発足。全都道府県警に隊員約5600人がおり、救助活動のほか、緊急交通路の確保や亡くなった被災者の身元確認などの任務にあたる。近年では2021年7月に静岡県熱海市であった土石流災害で活動した。 この日は5万人超の死者が出たトルコとシリアの大地震で救助活動にあたった11人も参加。高所に取り残された被災者を担架に乗せて搬送したり、暗闇の中で被災者を捜索したりする訓練にあたった。 視察した露木康浩・警察庁長官は「国内でも様々な災害が懸念されている。色々な事態を想定して引き続き訓練を重ねつつ、装備の充実も努めていきたい」と話した。(吉沢英将) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
JR東、大井町駅前にオフィスやホテル入るツインビル、3年後開業へ
JR東日本は7日、JR大井町駅前(東京都品川区)で進める再開発の概要を発表した。オフィスやホテル、商業施設などが入るツインタワー型ビルを建設するほか、災害時に広域避難所として機能する公共広場を設ける。4月に着工し、2025年度末の開業をめざすという。 再開発の対象は、同駅北側から東急大井町線に沿って品川区役所付近まで広がる社宅跡地約3万平方メートル。JR東は大規模複合施設を整備し、区は隣接区域に新庁舎を建設する計画だ。 新たに建設するビルのうち、オフィス棟は地上23階建てで、1フロアあたりの貸室面積は約5千平方メートル。もう1棟は地上26階建てで、14階より上層には計290戸の賃貸住宅、下層には客室数285室のホテルが入る。 JR大井町駅のコンコースを北側に広げ、新たに再開発エリアに直結する改札を設ける。エリア内は重層的に歩行者デッキを設けて立体的に行き来できるようにし、そのルートに面して商業施設を展開する。 また、エリア内に3カ所の広… この記事は有料記事です。残り198文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
官が生み出すワーキングプアの苦境 非正規公務員の4分の3は女性
職場での「無視」が始まったのは2021年5月の連休明け。非常勤職員として公民館に勤め始めて1カ月が経ったころだった。 女性(47)は東日本の海辺の市で、公募していた会計年度任用の公民館主事の試験を受け、21年度に採用された。以前から、地域に関わる仕事を希望していた。同僚は女性館長と1年先輩の非常勤の女性主事、定年後再雇用の男性の3人だけだった。 仕事を始めて間もなく、公民館の講座案内などの文章を書いた。主事は細かなチェックを入れ、何度も書き直させた。仕事が進まなくなった。主事はパソコンをたたきながら、「このパソコンがバカなのか?」と言った。思わず「そんなわけないじゃないですか。私にバカだと言っているんですか?」と聞き返した。それが口答えと受け取られた。 以後、主事は女性と口をきかなくなり、存在を無視するようになった。公民館勤務が初めてで主事を頼りにしていた館長も同調した。業務連絡が来なくなり、主な行事の連絡網からも外された。企画立案などの仕事から遠ざけられ、重い会議机を裏返して備品の管理番号を調べたり、消費期限切れの非常食を分別して廃棄したりなどのきつい仕事を一人でするように命じられた。一方で、2人は電話や窓口での応対を監視した。常に緊張を強いられた。 公務員の人減らしに伴って増えた非正規の公務員は有期雇用で、身分が不安定。その多くが女性です。官が生み出しているワーキングプアについて考えていきます。 「誰にも助けてもらえない」 館長からは「仕事について聞けるのは、着任してから1カ月までだから」と何度も言われていた。無視が始まって以降は、わからないことがあっても聞けなくなった。 市役所からの来客があると、館長は女性に聞こえるように「私はパワハラ保険に入っているから、非常勤から訴えられても大丈夫だ」と言った。そんな保険はないはずだと思ったが、「誰にも助けてもらえないのだ」と絶望感が募った。 秋ごろには不眠や不安などの症状が出て、通院するようになった。同僚と話す必要があっても、怖くて目をそらしがちになった。すると館長から「話す時、人の目を見ないね」と指摘された。 職場での様子をメモに残し、労組や労働局に相談したが、動いてはくれなかった。1年がまんしたら異動になる、と念じながら耐えた。でも、翌年2月、公民館を担当する市役所の課長は、女性に告げた。「任期を更新しません。館長からの評価で決めました」。課長には何度も職場の状況について相談していたが、女性にヒアリングすることはなかった。 女性は今、国の出先機関で非常勤職員として働く。最初の半年は「またいじめられるのではないか?」と不安だったが、業務も人付き合いも問題なくできている。でも、今でもふとした弾みに公民館時代を思い出し、苦しくて涙が出る。 市は新たな非常勤職員を公募した。女性は「非正規公務員には、命綱的なものが何もない。評価者の一存で簡単に首を切られるなんて……」 3年前、非常勤職員を対象に会計年度任用の制度が導入された。労働契約が単年度更新となり、多くの自治体が3年を上限とする有期雇用とした。 給料は正職員の4分の1「やりがい搾取だ」 15年以上前から東北の市の教育委員会や公民館で、非常勤で働く50代の女性もその一人。この春、市は非常勤職員を一斉解雇し、新たに公募した。女性も公募試験を受けた。 東日本大震災後、人の出入りが多い地区で、公民館を拠点にした新たなコミュニティーづくりに奮闘してきた。だが、待遇は低く据え置かれた。週29時間のパート扱い。昇給はほとんどなく、年収は230万円。手取りだと150万円程度にしかならず、民間団体とのダブルワークが欠かせない。 数年前、公民館職員には専門職の知識が必要だと感じ、社会教育主事の資格を取りたいと上司に申請した。正職員からは応募がなかったにもかかわらず、「非常勤に資格取得のための予算は使えない」という理由で却下された。休日に独学で社会教育に必要なスキルを学んだ。 教育委員会に在籍中は公民館職員の研修企画を担当し、「発達障害」などをテーマに新聞記事を読み、深掘りする講座を企画した。職員らは真剣に学び合い、地域の見えづらい課題を見いだす力をつけていった。だが、上司から「税金は一人でも多くの人のために使うもの。マイノリティーのことを取り上げるのはやめて」と言われ、この講座はなくなった。 公民館の仕事は面白い。やればやるほど地域が変わっていく。専門職として誇りを持って働いている。でも、雇用は不安定だ。突然解雇されても抗弁できない。「地域の課題が見えてくるのに3年かかる。そのタイミングで公募のふるいにかけられる。モチベーションが下がってしまう」 正職員の4分の1の給料で、専門知識を持たない正職員を非正規職員が育てている状況は、率直におかしいし、「やりがい搾取だ」とも感じている。(阿久沢悦子) 増えた非正規公務員、4分の3が女性 1990年代半ば以降、公務員定数の削減が進んだ。自治労の調査では、94年に過去最多の328万人だった定数内公務員は2016年には274万人まで減った。減員を補うように、定数外の職員は23万人から64万人へと約3倍に増えた。事務職員や教員、保育士、図書館職員が非正規に置き換わった。 保育士や看護師、図書館職員、給食調理員などはもともと女性が多い。女性や子どもに関する相談業務も、資格が必要な専門職にもかかわらず、夫の「扶養の範囲内」で非正規の女性が担うケースが多かった。 こうした背景が重なり、2020年の総務省の調査では非正規公務員の4分の3を女性が占めた。 公務員の男女の賃金格差は男性を100とした場合に女性は89と、民間より小さいが、正規と非正規の格差は2倍強と大きい。女性が大半を占める非正規公務員の「官製ワーキングプア」とは、すなわち女性の労働問題ともいえる。 「公から真っ当な雇用を」 国は待遇改善に向け、17年に法改正し、臨時職員、特別非常勤、一般非常勤とまちまちだった非正規公務員を、年度ごとに労働契約を結ぶ「会計年度任用職員」に統一し、賞与が出せるようにした。 20年に運用が開始されたが、時給を下げたり、パート扱いにしたりした自治体も多く、収入増にはつながっていない。また、「契約更新は2回まで、3回目は公募」などの条件が付けられ、かえって雇用の先行きが不安定になったとの指摘もある。 非正規公務員として働いた経験が長い埼玉大ダイバーシティ推進センターの瀬山紀子准教授は「女性は経済的自立が必要ないと思われ、低賃金で非正規公務員の職を担わされてきた。これは構造的な問題だ」と指摘する。 瀬山准教授がかかわった公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)の22年のアンケートでは、有効回答705件のうち、女性が92%を占め、年齢も50代が38%、40代が25%を占めた。21年の就労収入は250万円未満が79%に上り、100万円未満も23%いた。 本来はジェンダー格差を解消する旗振り役である自治体が、格差を作り出している。立教大の上林陽治・特任教授は、非正規を正規化し、女性公務員を増やすことを提唱する。「公から真っ当な雇用をつくっていかないと、最終的に困るのは住民。男女平等社会の実現のためにも、今こそ政策転換をするべきです」(阿久沢悦子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル