有料記事 聞き手・大滝哲彰2023年3月3日 15時00分 戦時中に「日本軍の慰安婦だった」と名乗り出た一人の韓国人女性の軌跡を描いたドキュメンタリー映画「金福童(キムボクトン)」が5日、大阪市内で上映される。4年前に92歳で亡くなった金福童さん。映画の監督で、韓国の調査報道サイト「ニュース打破(タパ)」プロデューサーの宋元根(ソンウォングン)さん(45)に制作への思いを聞いた。 ――映画は、「慰安婦だった」と1992年に名乗り出た後、世界各地で体験を語り、市民葬で多数の市民に見送られた金さんの姿を描いています。どのような経緯で作ったのですか。 「金福童ハルモニ(おばあさん)の短い追悼ドキュメンタリーを作ってほしい」と、元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(正義連)から依頼を受け、ハルモニが亡くなる3カ月前に撮影を始めました。 取材を進めていく過程で私の姿勢は変わりました。短いドキュメンタリーではなく、映画としてハルモニの生き様を残さなければいけないと思ったのです。 慰安婦の問題についてニュースなどで扱ったことはありましたが、特別な関心や責任感は持っていませんでした。日本政府が元慰安婦を支援するための10億円を拠出し、「最終的かつ不可逆的解決」とする文書が交わされた日韓合意が2015年に発表された際も、「やっと解決したんだな」と思ったくらいです。 映画制作の過程で、韓国メディアなどから提供を受けた過去の音声や映像の膨大な資料に目を通しました。そして、今を生きている世代として、この問題をわかっていなかったことを恥じるようになりました。 ――金さんは日韓合意をとり… この記事は有料記事です。残り1142文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山梨県立美術館、全収蔵品の点検を20年怠る 絵画など2点所在不明
山梨県立美術館(甲府市)の収蔵庫から昨夏、時価60万円相当の工芸品が盗まれた問題を受けて、収蔵品の全数点検をしていた同美術館は2日、絵画と銅版画の計2点、総額約170万円相当(購入当時の価格)が新たに所在不明となっていることを明らかにした。同館副館長らは全収蔵品の調査点検を20年以上実施していなかったことが原因と説明したうえで、「毎年点検すべきなのに怠っていた」と陳謝した。 所在不明なのは画家山下新太郎がミレー作品を模写した絵画「母親の心づかい」(160万円)と、フランスの画家ジャン=バティスト=カミーユ・コローの銅版画「イタリアの思い出」(5万~8万円)。 同美術館では昨年8月、消防設備の点検中に、点検会社に勤務していた男が収蔵庫から収蔵品を持ち出し、窃盗の疑いで10月に逮捕されたが、美術館は警察から連絡があるまで収蔵品の盗難に気づかなかった。 これを受けて、県は専門家による第三者委員会を立ち上げて再発防止策を講じる一方、ほかに盗まれたものはないか、全所蔵品1万1569点について、現物を確認する作業を2月まで続けてきた。その結果、データベースにある2作品が見当たらないことがわかったという。 県が物品保管について定めた… この記事は有料記事です。残り352文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジョーシンと取引装い、5億円を詐取容疑で2人逮捕 大阪地検特捜部
浪間新太2023年3月3日 11時30分 融資を受けるため、上場企業と取引があるように装った書類を銀行に出し、計5億4千万円を詐取したとして、大阪地検特捜部は2日、家電販売会社「イースター」(横浜市)の元社長松島康倉(やすくら)容疑者(47)=大阪市港区=と税理士法人元事務員岡山和洋容疑者(53)=大阪府八尾市=を詐欺容疑で逮捕し、発表した。特捜部は認否を明らかにしていない。 特捜部や関係者によると、両容疑者は、家電量販店「ジョーシン」を展開する上新電機(大阪市)など上場企業との取引を装った決算報告書などを神奈川県に本店を置く銀行に提出し、2019年11~12月に5回の融資を受け、計5億4千万円をだまし取った疑いがある。家電製品を仕入れ、上場企業に販売した後、一括返済すると虚偽の説明をしていたという。 特捜部は、イースターと関係のあった会社の破産を端緒に、複数の関係先を家宅捜索するなどしていた。(浪間新太) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災の町にチャンスを求めて 移住した糸職人、より合わせる希望
ずるずるずる。ここでは麺をすする音が、聞こえない。 福島県双葉町の工業団地に、ひときわ目を引く巨大な工場が現れた。中は機械の轟音(ごうおん)で、会話もままならない。職人の竹森剛さん(50)と渋谷菊夫さん(55)が、カップラーメンだけの昼食をとっていた。2人は糸を作り続けて25年を超えるベテランだ。 工場を建てたのは、岐阜が本社の撚糸(ねんし)メーカー「浅野撚糸」。2人は製造拠点の移転にともない、昨年12月に移住してきた。工場の立ち上げ作業に追われている。 「撚糸」とは、糸をよったもの。糸と糸をより合わせれば、様々な特徴を備えた糸ができる。例えばゴムと綿をより合わせると、伸び縮みする線維になり伸縮性のあるジーンズが作れる。 機械に振り回されるのが仕事だ。製造途中に糸が切れることもあり、機械から目を離せない。さらにいったん機械を動かし始めれば、糸をより終えるまでに2日はかかる。4月の本格稼働に向けて試運転が続く。 「案外、移住前に想像していたより普通の暮らしができている。だけど、外食できる店が少ないから、自然とカップラーメンが多くなる」と2人は話す。 なぜ岐阜の企業が福島にやって来るのか? 「無理とは言わない。諦めない。」 繊維業界全体が高齢化してい… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
セクハラ謝罪の弁護士、原発集団訴訟を主導 原告から憤りと失望の声
東京電力福島第一原発事故で被害を受けた福島県民などが国と東京電力に賠償を求めた集団訴訟(生業訴訟)の弁護団事務局長を務めていた馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)弁護士(47)が1日夜、自身のブログで裁判で代理人を務めた依頼者に「セクハラを行ってしまった」などと謝罪した。各地の集団訴訟を引っ張ってきた馬奈木氏に、関係者からは憤りの声が上がった。 馬奈木氏のブログによると、数年来の知人だった相手に好意を抱き、相手も好意を寄せていると思い込み、体を触れたり、性的な関係を迫るなどするメッセージを送ったりしたという。昨年末に所属する弁護士会に相手から懲戒請求書が届き、関係を望んでいなかったことを知ったという。自ら「卑劣で、許されない行為」とつづった。 原発訴訟の原告 「期待と希望を裏切った」 生業訴訟の中島孝・原告団長によると、1月中旬に開かれた原告団の合同会議に、馬奈木氏はオンラインで参加し、セクハラについて謝罪したという。 原告団からは「解任すべきだ」との意見も出た。しかし、中島団長は「問題の全体像が分からない段階なので、解任ではなく、体調不良で交代させる」と決断した。 中島団長は取材に「ブログを読むと、とんでもない内容で、被害者に誠実に謝罪すべきだと思う」と話した。そのうえで、「訴訟を通じ原告一人ひとりが、原発政策をやめさせないと再び事故が起きるという問題意識を持った。我々は馬奈木氏の問題で足を止めるような、情けない原告団ではない」と説明した。 生業訴訟の原告の50代男性… この記事は有料記事です。残り360文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高校の卒業式中、4教室から計79万円盗まれる 生徒71人に被害
2023年3月3日 8時49分 2日正午ごろ、千葉県柏市戸張の日本体育大学柏高校の教員から「卒業式で生徒が不在の教室から現金が盗まれた」と110番通報があった。 柏署によると、2日午前9時20分ごろから同11時40分ごろまでの間、校舎の1階と2階にある4教室で、3年生71人のカバンや財布から現金計約79万円が盗まれたという。 体育館で卒業式が開かれており、教室は無施錠だった。署は窃盗事件として調べている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京・銀座の会社員、海女になる 喜びは「原始的な暮らし」
東京・銀座の会社員から海女へ転身した人がいる。上田茉利子(まりこ)さん(39)。海女は減少の一途をたどっているが、上田さんは一昨年夏に独り立ちして、アワビやナマコを採って生計を立てている。「原始時代から続いているようなシンプルな暮らしができて充実しています」 志摩半島の東端、三重県鳥羽市石鏡(いじか)町。上田さんは41人いる海女のうちの1人。3月から12月にかけて、ワカメ、アワビ、サザエ、ナマコと、各漁期に合わせて1カ月に10~15日、海へ潜っている。 昨夏は1日でアワビ7・7キロの水揚げがあった。水深2~6メートルで、アジロと呼ぶアワビが集まる岩場を見つけられる技量を身につけたからだ。 見習いとして「先輩海女」に連れられ、初めて潜ったのは3年半前。泳ぎに自信はあったものの、海面に浮いているだけで気分が悪くなり、吐いた。怒られてばかり。最初はウニとトコブシが3個ずつ採れただけだった。 「採るこつを地道に教わるう… この記事は有料記事です。残り1030文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教員切りつけ容疑の少年、複数の刃物所持 無施錠の正門から侵入
埼玉県戸田市の市立美笹中学校で1日、男性教員が切りつけられた事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された高校生の少年(17)=さいたま市浦和区=が校内に複数の刃物を持ち込んでいたことが捜査関係者への取材でわかった。所持していたバッグの中に入れていた。少年は「誰でもいいので人を殺したいと思った。確実に学校が開いている時間をねらった」などと供述しており、県警は多くの人を無差別に傷つけようとしたとみて調べている。 少年の逮捕容疑は、1日午後0時20分ごろ、同校の校舎内で男性教員(60)にナイフで切りつけ、殺害しようとしたというもの。男性教員は大けがをしたが命に別条はないという。 捜査関係者によると、同校は普段から正門が無施錠で、少年は「正門から入った」と説明している。少年は3階に上がり、期末試験の試験監督をしていた男性教員ともみ合いになって廊下で切りつけたという。 少年はその後、廊下で別の教員らに取り押さえられた。捜査関係者によると、このとき少年が持っていたバッグの中に複数の刃物が入っていた。また、1日に実施した自宅の家宅捜索で別の刃物が見つかった。 少年は逮捕直後、「以前から人を殺すことに興味があった」「確実に学校が開いている時間を狙った」などと供述。戸田市と隣接するさいたま市で2月、ネコの死骸が小学校の校庭や公園に放置された複数の事件への関与も認め、「動物虐待に関心があった」と説明していた。ただ、その後、事件について詳しい話をしなくなったという。家宅捜索ではネコのエサも見つかった。少年はネコは飼育していなかったという。 少年は現在、通信制の高校に在籍している。県警は家族に事情を聴くなどして、事件の経緯や動機のほか、交友関係や普段の生活状況なども調べる考えだ。 各地の教委、マニュアル徹底求める通知 埼玉県警によると、逮捕された少年は無施錠の正門から侵入した。戸田市教育委員会は2日、詳しい侵入経路は捜査中のため「言えない」としたうえで、ふだん、市内各校に授業中は門扉を閉めるよう指示していたが、施錠までは求めていなかったことを明らかにした。保護者などの出入りがあるためだ。 また、生徒の避難、教職員の応援、警察への通報などについて定めた「不審者対応マニュアル」が各校にあるといい、事件があった美笹中の教員らによる対応について市教委は「基本的な対応はできたと考えている」とした。市内の小中学校では以前から災害の避難訓練のほか、不審者対応の訓練をしているという。 文部科学省によると、2001年の大阪教育大付属池田小での殺傷事件を受け、同省は02年に「不審者侵入時の危機管理マニュアル」を作成。危機管理マニュアルは09年、学校保健安全法に基づき各学校に作成が義務づけられた。18年度時点で危機管理マニュアルを作成している小中高校の割合は97%に上る。 今回の事件を受け、マニュアルに記載された事項の徹底を各学校に求める動きが広がっている。 埼玉県教委は2日、各県立学校や市町村教委などに不審者の侵入に備えた安全管理を徹底するよう通知。横浜市教委も2日、戸締まりや校内の巡回などを求める通知を出した。担当者は「校舎の3階まで侵入されたという報道を見て、戸締まりなどで防ぎきるのは難しいと感じた。校内で不審者を見たら声をかける、素早く他の教員に知らせるなど、侵入された後の対策も重要になってくる」と危機感を示した。 東京都文京区教委は1日、区… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
松江署長がセクハラ 複数の女性職員に不適切発言、島根県警が処分
木元健二2023年3月3日 6時00分 島根県警は2日、女性職員に対してセクシュアルハラスメント行為をしたとして、2日付で松江署長(57)を本部長訓戒処分にしたと発表した。県警は氏名を明らかにしなかったが、関係者によると、処分を受けたのは、鍜冶幸正・警視正。 県警監察課などによると、鍜冶署長は昨年4月ごろから今年2月初旬ごろにかけて、複数の女性職員に対し、容姿や体形、プライバシーに関して不適切な発言をした。いずれも勤務時間内だった。鍜冶署長は「発言がセクハラにあたるという認識に欠けていた。大変反省している。嫌な思いをさせた職員に申し訳ない」と話し、事実関係を認めているという。 また、発言を知りながら報告を怠ったとして同じ署勤務の40代警視を2日付で本部長注意処分にした。 監察課は2月上旬、松江署長によるセクハラ行為の情報を把握し、関係者の調査をしていたという。(木元健二) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
最大3594万円給付の奨学金に応募殺到、倍率10倍 東京都足立区
石平道典2023年3月3日 6時00分 東京都足立区が大学生らを対象に2023年度から始める返済不要の「給付型奨学金」で、第1期の20人分を募集したところ、約10倍にあたる192人から応募があった。書類選考や面談で3月中に採用者を決め、4月下旬に給付を始める。 この奨学金は私立大学の理系で総額約826万円、私大医学系では同約3594万円を支給上限とする。入学金、授業料、施設整備費を全額支給する。対象は区内在住の保護者がいる大学生らで、年間40人程度。高校時の成績が5段階評価の4・0以上で、保護者の年収は800万円以下が条件だ。 区教委によると、第1期の募集は1月4日~2月28日だった。応募の多さに担当者は「これほど反響があるとは」と驚く。期間の終盤に応募が集中したといい、「2500字程度の学修計画表の提出が必要で、準備に時間がかかっていたのではないか」とみる。 第2期(20人)の募集は3月1日~4月14日。1、2期両方の申請が可能で、区教委は今後さらに応募が増えるとみている。 区は貸し付け型の奨学金制度を設けていたが、21年度は80件の枠に対し利用は29件にとどまった。給付型奨学金は成績優秀な若者を支援する狙いがあり、区教委の飯塚尚美学務課長は「若い人が夢を実現できるよう、しっかり支援していきたい」と話す。(石平道典) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル