東京電力福島第一原発事故の避難途中に体調が悪化したり、長引く避難生活で心身が衰弱したりして亡くなり、福島県内で「災害関連死」と認定された人は2335人に上る。東日本大震災の地震や津波で亡くなった「直接死」の約1・5倍に相当する。一方、関連死について研究する常磐病院(いわき市)の沢野豊明医師は、この数字も氷山の一角に過ぎないと指摘する。 ――福島県内の市町村が災害関連死と認定した人は計2335人です。2020年以降に亡くなり、認定された人もいます。 「04年の新潟県中越地震で関連死を判断する基準として作られ、国の通知にも示された『長岡基準』は、発災6カ月以上経過して死亡した場合は『関連死ではないと推定』としています。それに比べ、放射線災害による関連死はタイムスパンが相当長くなっています」 「ただし、災害関連死は遺族… この記事は有料記事です。残り1051文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
統一地方選の選挙違反、全国で13人逮捕 大阪などで買収事件も
23日に投開票の統一地方選後半戦を前に、警察庁は22日、選挙違反の取り締まり状況を発表した。21日現在で9事件(前回比5件減)を摘発し、逮捕者は13人(同3人減)だった。 このうち、前半戦の摘発は8事件(同3件減)、逮捕者は12人(同1人減)。買収容疑の摘発は2件で、和歌山県警が特定の候補者への投票の依頼で飲食を提供したとして2人を逮捕したほか、大阪府警が陣営で選挙運動を手伝う見返りに報酬の支払いを約束したとして3人を逮捕した。後半戦での摘発は1事件(同2件減)で、逮捕者は1人(同2人減)だった。 警告件数は前回の同時期と比べて586件減り、2826件。インターネットを利用した選挙違反への警告は13件増の54件だった。(吉沢英将) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
外国籍の子どもの不就学、背景にあるものは? 田中宝紀さんに聞く
有料記事 聞き手・山本知佳2023年4月22日 17時30分 小中学校に通う年齢の外国籍の子どものうち、昨年5月時点で8183人が学校に通っていない可能性があることが、文部科学省の調査で分かりました。背景に何があるのか、どう改善していけばいいのか。海外にルーツを持つ子どもたちに日本語教育や学習支援をしている「YSCグローバル・スクール」を運営するNPO法人青少年自立援助センター(東京)の定住外国人支援事業部責任者である田中宝紀(いき)さんに聞きました。 ――なぜ学校に通っていない可能性のある、外国籍の子どもがいるのでしょうか。 外国籍の子どもの保護者には、就学義務がありません。そのため、とっている対応も自治体でばらばらです。「受け入れ態勢がないから日本語ができるようになったら学校に来てくださいと、学校や自治体から言われた」というケースもありました。 最も問題だと感じているのは、「除籍」という対応が珍しくないことです。学校と保護者の間で連絡が取れないまま欠席が続くと、学校側で一方的に、名簿から外国籍の子どもを外してしまうことがあります。 保護者が、無国籍や在留資格… この記事は有料記事です。残り1612文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
首相「勇気と行動力に感謝」 容疑者を取り押さえた漁協関係者と面会
榧場勇太2023年4月22日 17時39分 岸田文雄首相は22日、衆院補欠選挙の応援で和歌山市を訪れ、15日に同市の雑賀崎漁協での演説の前に発生した襲撃事件で、首相の近くに爆発物を投げ込んだとされる容疑者を取り押さえるなどした地元漁協の関係者14人と面会した。 面会は首相側の希望で行われた。首相は「一歩間違えれば多くの方がけがをされる、身の危険にさらされる状況だったわけですから、みなさま方の勇気と行動力に心から感謝申し上げます」と伝えた。(榧場勇太) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
特殊詐欺、被害を防ぐあの手この手 警視庁が「月間」で取り組み推進
特殊詐欺の被害防止に向けた様々な取り組みを、警視庁が進めている。同庁は今月を「詐欺被害防止月間」と位置づけており、その取り組みは警察署ごとに工夫されている。 蒲田署(東京都大田区)が全国で初めて導入したのは、詐欺電話に関する通報を覚知したら、即座に地域の金融機関に情報を共有するシステム。NTT東日本が提供し、AIによる音声読み上げや録音した肉声を、指定の電話に一斉伝達することができる。本来は災害時の安否確認などに使われていたサービスだが、署は特殊詐欺の被害防止に応用することにした。 詐欺電話は同じエリアに連続してかかってくる傾向があり、ある住民が犯罪と気付いて通報しても、ほかの近隣住民がだまされるおそれはある。詐欺電話から実際にお金をだまし取られるまで、数時間しかかからないというケースも多い。 これに対し、このシステムを使えば、1本の通報をきっかけに、地域の金融機関に一斉に警戒を呼びかけることができる。連絡を受けた金融機関側は引き出しが多額に上るなど、不審な客がいれば積極的に声をかけ、被害を防ぐことが期待されている。 19日には城南信用金庫六郷支店(大田区)で、システムを使った訓練があった。署の木村和弘・生活安全課長は「周囲の方の被害を防ぐためにも、電話があればすぐに警察に通報してほしい」と呼びかけた。 受け子の移動手段に注目 城東署(江東区)は、特殊詐… この記事は有料記事です。残り851文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
複雑な地下街を足早に 木村容疑者が通ったとみられるルートをたどる
22日午前7時49分。兵庫県川西市の閑静な住宅街はまだ肌寒く、さえずる鳥の声が響いていた。ちょうど1週間前、岸田文雄首相の近くに爆発物を投げ、演説を妨害したとして現行犯逮捕された木村隆二容疑者(24)は、ここから和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港へと出発した。グレーのリュックを背負って――。 和歌山県警の捜査で、木村容疑者の事件当日の足取りがしだいに明らかになってきた。同じ土曜日の同じ時間帯、実際に通ったとみられるルートをたどった。 4月15日の同時刻、自宅近くの防犯カメラに木村容疑者とよく似た人物が映っていた。最寄りの阪急バスの停留所「けやき坂三丁目」に向かっていたとみられる。容疑者宅から歩くと3分弱でバス停に着いた。 バス停では、制服姿の高校生らしき男性ら3人が並んでいた。すぐに午前7時52分発のバスがやってきた。 車内には20人くらい乗っていた。若者が多かった。ある女性は「ほかの乗客の顔は見ないから、木村容疑者がいたとしても気づかないよね。マスクもしていたでしょうし」と話した。 午前8時9分。バスが阪急川西能勢口駅に着き、乗客の多くは駅の改札に向かった。大阪梅田駅行きの急行は12分発。ホームに着いたのは発車1分前だった。電車内の乗客はまばらだったが、終点に近づくにつれて増えていった。 捜査関係者らによると、木村容疑者は終着の大阪梅田駅で降り、地下鉄御堂筋線に乗り換えたという。なんばまで行き、南海なんば駅を午前9時10分に出る特急サザンに乗ったとみられる。 梅田の地下街は入り組んでい… この記事は有料記事です。残り724文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
坂本龍一さんの遺志継ぐ アジカン後藤さんら神宮外苑再開発に抗議
2023年4月22日 21時14分 神宮球場と秩父宮ラグビー場の建て替えを含む明治神宮外苑地区(東京都)の再開発事業の見直しを求める集会が22日、神宮外苑であった。多数の樹木伐採を予定する計画に反対しながら先月亡くなった音楽家の坂本龍一さんの遺志を継ぐとして延べ6千人(主催者発表)が集まった。 集会は、坂本さんが共同で主宰していた市民団体が催した。参加した人気バンド「アジアン・カンフー・ジェネレーション」の後藤正文さんは「坂本さんは、ミュージシャンがこういうステイトメントを発信しなくてもいい、そういう社会がきたらいいと常々おっしゃっていた」と振り返り、「有名な、坂本さん、忌野清志郎、ジョン・レノン、そういった有名人に全てを預け、代弁させて終わりにしてはいけない。坂本さんが残してくれた言葉のように、一人ひとりがこの問題を知って、直視して、将来がどのような姿であるべきか、話し合うことが必要だと思います」と呼びかけた。クリエーターのいとうせいこうさんらもメッセージを寄せた。 坂本さんは亡くなる1カ月前に、「目の前の経済的利益のために、先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々(きぎ)を犠牲にすべきではない」などと書いた手紙を小池百合子都知事らに送っていた。 再開発は三井不動産や明治神宮などによる民間事業で、2月に都が施行認可した。事業費約3490億円。高木を中心に少なくとも700本以上の木を伐採して若木を植える計画で、事業者は「緑地面積は増える」などと説明している。2036年に完成予定。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
多治見市長選候補者の首をつかんだ疑い、男を逮捕 演説終えた直後に
22日午後6時ごろ、岐阜県多治見市のスーパーの駐車場で、同市長選に立候補している無所属新顔の高木貴行氏(45)が演説した直後、近くにいた男に襲われた。周囲にいた人が男を取り押さえ、身柄を県警に引き渡した。県警は男を公職選挙法違反(選挙の自由妨害)の疑いで現行犯逮捕した。高木氏に大きなけがはないという。 多治見署によると、男は多治見市市之倉町2丁目、無職小笠原秀春容疑者(71)。小笠原容疑者は高木氏の首をつかむ暴行を加えた疑いがある。認否を明らかにしていない。 高木氏らによると、高木氏が演説を終え、次に演説をする支援者にマイクを渡した直後、近寄ってきた男に首を絞められたという。高木氏は朝日新聞の取材に「首が痛い。(男は)全く知らない人だ」と話した。 同市長選には、無所属新顔の山本勝敏氏(59)=自民、公明推薦=も立候補している。選挙運動はこの日が最終日で、23日に投開票される。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「雄大な自然をこの目で」願っただけ 船に乗り、帰らなかった26人
千葉県松戸市の会社員、橳島優(ぬでしまゆう)さん(34)は北海道・知床へ、3泊4日の一人旅を計画した。 週末のたび、各地を旅してきたが、知床は初めて。目当てのひとつが、船上から野生のヒグマを見ることだ。4月23日から今シーズンの運航を始める観光船があった。雪と氷に閉ざされていた知床は、一歩ずつ春へと向かい始めていた。 ただ、ネットから乗船を申し込んだのに、予約完了のメールがなかなか届かない。「ちゃんと予約できているのかな」。母(58)から「そんな会社のツアー、大丈夫なの?」と言われたが、「世界遺産の観光地だし、きっちりしているはず」と気にとめなかった。 同じ時期、母と妹(29)も北海道を旅行するという。「よかったら一緒に3人で行かない? レンタカーを借りて一緒に回ろう」と誘われたが、断った。 「回りたいところをもう手配しているんだ」。お互い、いい旅にしようね、と言い合った。 「帰ってきたら渡そう」父に用意した退職祝い 出発前日の21日。仕事帰りは雨だった。母が傘を持って駅に迎えに来てくれた。帰宅の道すがら、内緒の相談をした。 23日は父の65歳の誕生日。定年退職のお祝いも兼ねて、プレゼントにドローンを用意した。ドローンでの撮影は外に出かけるきっかけになるし、映像編集は頭も使う。定年後のよい趣味になると思う。「旅行前に渡したい。お父さんの喜ぶ顔が早く見たくて」。でも、母から「旅行から帰って家族みんなが集まったときに渡そうよ」と言われ、そうすることにした。 22日午前7時42分。 「楽しんでくるよ。お土産話、楽しみにしててね」 母にそう言い残し、通勤電車の時刻にあわせて家を出た。1カ月前の誕生日に家族からプレゼントされた紺色のウィンドブレーカーに、リュック姿。金曜日のこの日、仕事を終えると、その足で知床へ向かった。 「絶景を見てくる!」父に送ったLINE 同じ日、カンボジア在住の小… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
観光船事故、進む再発防止 国の66項目に「やっていけない」の声も
有料記事 角詠之 長谷川潤2023年4月22日 19時00分 北海道・知床半島沖で昨年4月、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受け、各地で安全対策が進められている。国土交通省は具体的な項目を打ち出し、関連法の改正をめざす。26人が死亡・不明になった事故から1年。再発防止に向けた取り組みが続く中、零細業者へのしわ寄せを懸念する声もある。 景勝地として知られる福井県坂井市の東尋坊。断崖絶壁を海から眺める遊覧船が観光客に人気だ。 4隻を保有する「東尋坊観光遊覧船」は知床の事故後、保管場所に止めている船を、営業のため20分ほど離れた船着き場に移動する際に無線のテストをするようになった。以前は客を乗せる船着き場に着いてから行っていたが、それでは遅いと判断したという。調子が悪い機材を交換したこともある。 事故を起こした知床遊覧船の… この記事は有料記事です。残り1519文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル