大下美倫2023年4月17日 17時00分 乗客ら107人が亡くなったJR宝塚線(福知山線)の脱線事故から25日で18年を迎えるのを前に、被害者を思い、事故の記憶を伝え続けたいと、負傷者や家族らが兵庫県尼崎市の事故現場付近の沿線を歩く「メモリアルウォーク」が16日にあった。 この日、集まったのは一般の参加者を含む約30人で、初参加の人も10人ほどいた。午後1時半にJR塚口駅近くの公園を出発し、尼崎駅に向け、事故車両の道のりをたどるように約2キロを歩いた。 地元の萩本啓文さん(69)が犠牲者を追悼するために作っているダイコンの花文字「生」を線路越しに見学。事故現場に整備された追悼施設「祈りの杜(もり)」にも立ち寄り、白いカーネーションをたむけて祈りを捧げた。 イベントは「負傷者と家族等の会」(空色の会)が主催し、2010年から続けている。以前は「電車を見るのもつらい人もいる」と線路の見えないルートを選んでいたが、2年前からは沿線を歩くようになった。 この日参加した60代の女性は娘が事故で負傷し、何度もメモリアルウォークを歩いてきた。「JRも世代交代し、世間でも事故のことが風化する中で、この時期だけでも思い出してもらえたら」 会の中島正人さん(59)は「私たちの願いは、あの日を決して繰り返さない、安全な社会を実現することです」と話した。(大下美倫) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「事前予測は難しい」 テントに倒木、相模原のキャンプ場で2人死傷
原晟也2023年4月17日 19時00分 相模原市緑区寸沢嵐(すわらし)の新戸(しんど)キャンプ場で16日午前3時15分ごろ、高さ約18メートルの巨木が倒れ、夫婦が寝ていたテントを直撃した。神奈川県警によると、東京都武蔵野市八幡町1丁目、会社員中村まりなさん(29)が胸を強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認された。夫(31)も肋骨(ろっこつ)が折れる重傷を負った。 津久井署は同日、キャンプ場で実況見分し、業務上過失致死傷の疑いも視野に木が適切に管理されていたか調べている。従業員の一人は「毎朝、木を確認していた」と説明したという。 署によると、キャンプ場は15日夜まで比較的強い雨が降ったが、倒れた時は小雨でほぼ無風の状態だった。木は根腐れか立ち枯れした可能性があるという。 立ち木の状態を確認 新戸キャンプ場はJR相模湖駅から南約6キロの道志川沿いにあり、当時約20人が利用していた。日本オートキャンプ協会(東京)の関係者は「事故は非常にまれなケース」と指摘。事前に予測して倒木から身を守ることは難しいとしつつ、「天候不良や、天気が急変したときには、避難をするなど臨機応変に対応することが望ましい」と話した。 相模原市は17日、市内の民間キャンプ場18カ所に立ち木の状態などの確認を要請し、市営キャンプ場2カ所では造園業者と危険な木がないか確認した。市営キャンプ場では早急な対応が必要な木は確認されなかったという。(原晟也) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地回り、被災者と向き合ってきた…くたびれた防災服にこもる記憶
防災服の左胸にあった市名と市章はすっかりすり切れている。熊本地震の前から10年あまり、熊本県阿蘇市の佐藤義興市長は防災服を一度も新調しなかった。復旧復興事業が終了した後も「対策本部」の看板は市庁舎玄関に残っている。「まだ地震から立ち直れない人もいる。それを忘れてはいけない」 16日午前、佐藤市長は幹部職員ら約30人とともに、熊本地震で被害が大きかった西に向いて黙禱(もくとう)を捧げた。市民だった大学生、大和晃(ひかる)さん(当時22)が犠牲になった南阿蘇村の斜面崩落現場もその方角にある。 7年目の4月16日は日曜日、昨年は土曜日だった。追悼行事を取りやめた自治体があるなか、佐藤市長は幹部職員を集め、追悼の言葉を読んできた。「住民の健康と暮らしを守るのが私たちの役割。その決意を確認しあってきた。やめる気はありません」 2016年4月16日午前1… この記事は有料記事です。残り948文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自衛隊員5人発見、2人の死亡確認 ヘリの引き揚げは6月末までに
成沢解語2023年4月17日 20時17分 沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊の隊員10人が乗ったヘリが消息を絶った事故で、深海に潜る「飽和潜水」で海底を捜索した海上自衛隊のダイバーが16日午前、事故機の機体と隊員5人の姿を確認した。防衛省はこのうち2人を引き揚げて死亡を確認し、17日にも新たに2人を引き揚げた。 防衛省は18日以降も、見つかっていない隊員5人の捜索を進める。海底に残る1人の引き揚げも検討する。機体の引き揚げについては民間業者が参加する入札を16日に公告しており、入札日の21日にも契約を結んで6月末までに引き揚げる。 飽和潜水は、水圧に体を慣らしたダイバーが特殊な装置とともに海中に潜り、深海を潜水する手法。防衛省によると、海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」のダイバーが16日朝から飽和潜水を始め、午前8時半ごろ機体と5人を発見。伊良部島の北約6キロ、深さ約106メートルの海底で、機体は主要部分が損壊し、周辺に5人が確認されたという。 16日はこのうち2人をダイバーが引き揚げ、海上保安庁の巡視船に乗せて宮古島の平良港に運び、陸自の医官が午後7時ごろ死亡を確認した。17日にはさらに2人を引き揚げた。生体反応がない状態で、18日にも死亡確認を進める。 第8師団長ら10人が乗ったヘリは6日にレーダーから消失。13日夜、この機体と見られるものがソナー探査で確認された。翌14日から飽和潜水のダイバーによる捜索が予定されたが、14日は機器の不具合で中断、15日は天候不良で実施されていなかった。(成沢解語) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
バス降りた男は迷わず漁港へ 首相襲撃の容疑者か、カメラがとらえた
岸田文雄首相が訪れた演説現場に爆発物が投げ込まれた事件。近くの複数の防犯カメラには、木村隆二容疑者(24)=威力業務妨害容疑で現行犯逮捕=とみられる男が現場へ向かう姿が記録されていた。容疑者の足取りが少しずつ見えてきた。 事件現場から直線距離で約300メートル離れた高台にある、和歌山バスの「雑賀崎(さいかざき)」バス停。そばに住む80代の女性は15日午前11時過ぎ、到着したバスから1人の若い男が降りるのを見かけた。時刻表によると、南海電鉄和歌山市駅を午前10時37分に出発し、雑賀崎を11時13分に出るバスだ。 男は黒っぽい服装で、右手にスマホを持ち、左腕に傘をかけていた。女性は「地元の人ではないので、観光だろうと思った」。 男は急ぐ様子も迷う様子もなく、漁港へ向かう階段を下りていった。「普通、初めて来た人はバスを降りたら辺りを見回すけど、そんな様子はなかった」 その日の夕方、テレビのニュースを見て女性は気づく。「髪形も服装も同じ。もしかして、あの人が?」 木村容疑者とよく似た男が事件現場へ向かって歩く姿は、複数の防犯カメラに映っていた。 午前11時17分、現場まで約200メートル。バス停から続く道を歩く男がカフェ「青天の洞窟」の防犯カメラに映っている。同じ店の別のカメラにも映っており、岸田首相を乗せたとみられる車列が漁港へ向かう様子を眺めている。男は慌てるふうもなく、そのまま道路を横断する。 容疑者に似た男、聴衆の中へ 同18分、現場から約100… この記事は有料記事です。残り577文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
民家の玄関先に血だらけの男性 宮城県警が殺人事件とみて捜査
2023年4月17日 20時25分 17日午前6時50分ごろ、宮城県柴田町西船迫1丁目の民家で、「玄関先で男性が倒れている」と近くの住人から119番通報があった。県警によると、倒れていたのはこの家に住む会社員村上隆一さん(54)で、その場で死亡が確認された。刃物による傷のようなものがあることから、殺人事件とみて捜査している。 捜査1課によると、村上さんは自宅玄関先で血だらけの状態で見つかった。腹部には刃物で傷つけられたような跡があったものの、周囲から凶器は見つかっていないという。司法解剖をして詳しい死因を調べる。 現場はJR東北線船岡駅から北約700メートルの住宅地。村上さんは一人暮らしだったという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
陸自ヘリ「もがくように飛行か」 「短時間で墜落」想定覆す発見地点
沖縄県宮古島沖で消息を絶った陸上自衛隊のヘリが、事故からおよそ1週間後に見つかった。レーダーから消失した地点から北北東に約4・2キロ離れた水深106メートルの海底。南方面に向かっていたとされるヘリは、進行方向の反対側に沈んでいた。 「想定とは全く違うところじゃないか」。13日夜、機体が見つかった地点を確認した防衛省幹部は驚いた。「レーダーロスト(消失)のポジションからあそこまで離れているなんて」 事故機となった「UH60JA」の重さは約8トン。スライドドアが外れるなど破損していたとはいえ、相当程度の重量があるはずだ。現場海域の海底は岩礁が広がっており、この幹部は「激しい潮流があったとしても、1週間程度でこの距離を移動したとは考えづらい」と話す。 レーダーで捉えられないほど低空で? 事故機と外部とのやりとりは… この記事は有料記事です。残り542文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「大広」元執行役員が無罪主張 「公務員になる前の約束」 五輪汚職
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に賄賂を渡したとして贈賄罪に問われた広告大手「大広」元執行役員の谷口義一被告(58)の初公判が17日、東京地裁であった。谷口元役員は「元理事がみなし公務員になる前に交わした約束に基づいて金を支払っただけ」と賄賂性を否定し、無罪を主張した。一連の公判で贈賄側が起訴内容を否認するのは初めて。 組織委はスポンサーの獲得業務を広告最大手「電通」に委託。電通は組織委の承認を得たうえで、一部業務を「販売協力代理店」として他の広告会社に再委託できる仕組みだった。 起訴状によると、谷口元役員は組織委の高橋治之元理事(79)=受託収賄罪で起訴=に対し、大広が協力店として英会話大手のスポンサー契約を担当することや協賛金の減額などを依頼した。高橋元理事は知人のコンサル会社を受け皿に2019~22年に計約1520万円の賄賂を受け取ったとされ、谷口元役員は公訴時効を踏まえて約650万円分で起訴された。 検察側は冒頭陳述で、谷口元役員が14年1月までに高橋元理事から「組織委理事に就任する見込み」と伝えられ、同月にはスポンサー契約締結によって大広が電通から得る手数料を折半するよう持ちかけられて了承したと指摘した。 弁護側の反論は 同年6月に理事に就いた高橋元理事は、大広が担当する英会話大手がライバル社と共にスポンサーになれるよう電通に指示し、英会話大手には五輪とラグビーW杯日本大会のセット販売を持ちかけたという。 特に問題になったのは協賛金の額で、検察側は谷口元役員が18年に高橋元理事に「減額を考えてほしい」と求めて実現したと指摘。こうした行為はみなし公務員である組織委理事への「請託」にあたり、谷口元役員は「元理事による様々な後押しへの対価」と認識しながら賄賂を送金したと主張した。 一方、弁護側は冒頭陳述で、五輪特措法の施行で高橋元理事がみなし公務員になったのは15年6月である点を強調した。送金は「公務員になる前の高橋元理事と合意した約束に基づいて支払ったに過ぎない。対価性はなく賄賂ではない」と反論した。 みなし公務員について元理事から説明はなく、理事就任後も「贈賄罪の適用対象者になる認識はなかった」と述べた。協賛金の減額などは谷口元役員ではなく英会話大手からの要望で、「請託にあたらない」とも強調した。(横山輝) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
反ワクチン団体「神真都Q会」理事、初公判で無罪主張 会場侵入事件
2023年4月17日 21時45分 新型コロナウイルスのワクチン接種に反対する目的で集団接種会場に侵入したとして、建造物侵入の罪に問われた反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」の理事の浜田和彦被告(49)の初公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。弁護側は「暴行や脅迫には及ばず、目的も手段も正当だった」などとして無罪を主張した。被告は昨年12月、罰金10万円の略式命令を不服として、正式裁判請求をしていた。 起訴状によると、浜田被告は昨年3月13日、同会のメンバーら7人と共謀し、静岡県焼津市の集団接種会場に侵入した。検察側は冒頭陳述で、「会場には『ワクチン接種に来られた方以外の立ち入りはご遠慮ください』と書かれた立て札があった」と指摘。8人は立ちふさがった現場責任者の胸を押すなどした上で、「接種ブース内にいた医師に詰めより、逃げる医師を追いかけ回した」と述べた。 検察は会場での映像を公開。メンバーらが「殺人を犯してんだよ」「逃げてもだめですよ、どこまでも追いかけますよ」と医師らに迫る様子が記録されていた。 弁護側は「ワクチンは人口削減のために開発された」「とんでもない殺人ワクチンだ」などと述べ、集団接種の中止を目的とした侵入は、正当な行為だと主張した。 公判はメンバーや、メンバーの子どもら15人ほどが傍聴。傍聴していた男性メンバーは「集団接種会場で、安全性が証明されていないワクチンを目の前で打たれていたら冷静でいられないのは当然だ」と話した。 本部を同県袋井市に置く神真都Q会は、21年秋ごろからネット上で支持を集め、その後に反マスク・反ワクチンを訴える全国同時デモを始めた。 事件をめぐっては、浜田被告ら8人は昨年12月に逮捕され、建造物侵入の罪で静岡簡裁から罰金10万円の略式命令を受けた。浜田被告のみは「医療相談の目的で立ち入った」と命令を不服とし、静岡地裁に正式裁判請求をしていた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
投稿を機に文通10年余り 思い起こした戦後の相模湾の風景
青い海面の先に白い灯台と赤い鳥居が見える。右手には江の島。はるか向こう、雲の上にうっすら稜線(りょうせん)をのぞかせているのは富士山だ。3月半ばの平日、神奈川県葉山町から望む相模湾はのどかだった。さざ波の上をパドルボードが滑っていく。 78年前の8月、この海にアメリカ海軍の艦隊が現れた。敗戦直後で占領軍を率いるマッカーサーが厚木に降り立つ前のことだ。当時12歳で葉山町に住んでいた鈴木満里さん(90)は「高台から相模湾を見渡すと、海いっぱいに米軍の軍艦」が見えたと2月6日の「声」欄の投稿に書き、「子ども心にもアメリカはすごいと思いました」と結んだ。 異様な光景は広く沿岸の子どもたちを驚かせたらしい。同じ12歳で葉山の隣の逗子市に住んでいた石原慎太郎は後年、アメリカの大艦隊が「海を塞ぎ水平線も見えぬ程(ほど)だった」と記している。圧倒されつつ「たまらぬ解放感があった」のは、米軍の本土上陸を想定して利用が制限されていた海が「ようやく私たちの手にもどってきた」からだった。石原裕次郎、加山雄三、サザンオールスターズ……。戦後、沿岸の湘南ゆかりのスターが活躍し、相模湾に昭和の若者文化が花開くことになる。 その相模湾に昨年11月、自衛隊と米豪韓など12カ国の軍の艦艇約40艇が集結した。海上自衛隊創設70年を記念した国際観艦式である。岸田文雄首相は訓示で北朝鮮の核やミサイルの開発に触れ「断じて容認できない」と語った。3日前に日本海に向けてミサイルが発射され、宮城、山形、新潟の3県でJアラートが鳴ったばかりだった。 実は、このJアラートが鈴木さんの投稿につながった。 新潟県新発田市には鈴木さん… この記事は有料記事です。残り639文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル