原爆の悲惨さを描いた丸木位里、俊夫妻の連作「原爆の図」の第1部「幽霊」の修復作業が、丸1年以上をかけて大詰めを迎えている。 和紙に描かれた水墨画の「幽霊」は屛風(びょうぶ)に仕立てられており、縦1・8メートル、横7・2メートル。広島に原爆が投下された直後の光景が描かれ、1950年に発表された。経年劣化からの傷みや染みが目立つようになっていた。 所蔵する「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)の「学生が触れることで、次の世代へつなぎたい」との意向から、愛知県立芸術大の文化財保存修復研究所(同県長久手市)で2021年12月から修復が始まった。 最初に画材の素材や内部をX線や赤外線で分析。作品が描かれた和紙を補強する裏打ち紙をはがして新しくしたり、黄ばみを取り除いたりした。3月末には新しい屛風に貼り付ける工程が行われた。5月までに修復を終える予定だという。 修復を担当した研究員の磯谷明子さんは「この作品に関われたことは誇り。未来につなぐため、作品が継承されていくことを願っています」と話した。(長島一浩) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
酒井くにお、旅立ちも笑って 「とおるちゃん」と横山やすしと西成と
酒井くにおは、知られているようで知られていない。 上方を代表する兄弟漫才師でありながら、素顔は謎多きまま、昨秋旅立った。 生まれは岩手。東京でデビューし、なぜかアウェーの大阪へ。コントに漫才としゃべくりはもちろん、歌も踊りも何でも。天下の漫才師横山やすしとも縁深く……。 一体何者だったのか。 2月、心斎橋角座(大阪)での追悼公演は、そんな異色の人生を多くの芸人仲間が振り返った。 漫才、トーク、漫談。それぞれの芸を通して「酒井くにお」を語り尽くした。 森脇健児によると、いつどこでも芸人らしく。 立ち飲み屋で酔っ払いに絡まれてもひるまない。ちゃっかり1千円払わせ、「とおるちゃん!」を連発した。 地獄耳なのか、「うわさ話をすれば必ず現れる」(チキチキジョニーら)。 たいていは「弟とおるはハンサム」という話題で、「とおるばっかりほめて」。他人を褒めるともっとほえた。 偏食家でもあった。 クレープは具だけ食べてあとはポイ。カニ嫌いで、ロケの仕事でも身をほじるだけ。 クセ強めでも愛されたのは、あの風貌(ふうぼう)からか。 「フンコロガシのよう(な見た目)でかわいい」(とおる)、「セキセイインコみたいやったな」(シンデレラエキスプレス)。 追悼の場でも、遠慮なし。変に持ち上げられたり神格化されたりしない。 会場で配られたくにおの年表もあっぱれだ。 舞台も私生活も踏んだり蹴ったり、功績よりヘマの羅列。成し遂げたことよりしでかしたことが芸人を作る、といわんばかりに。 関東なまりで「上方でない」と干され続けた芸が日の目を見たのは50歳近く。 「1997年4月 第32回上方漫才大賞受賞」 年表の膨大な文字列に埋もれる、たった1行の重み。 公演の最後は、弟とおるが漫談をした。 引っ越しセンターのCMメロディーにならい、「♪さかい~くにお~仕事さっぱり~」。 遅咲き芸人の悲哀を笑いに。 芸人に涙はいらない。 そして言った。 「明日になったらもう忘れま… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
桃や桜の下を走りませんか? 春の山梨で企画、JR東日本八王子支社
荷物を預けて駅からランニングする「旅run×鉄道」企画をJR東日本八王子支社が始める。舞台は山梨。花の咲き乱れる甲斐路の魅力を走って感じてほしいと、特急あずさなどの運転士や車掌らがコースを考案するなどした。駅伝の強豪・山梨学院大も企画に協力している。 ランニングが好きな運転士らが、初級や上級などのレベルに応じて九つのコースを考えた。甲府市内では武田神社、湯村温泉、昇仙峡など、笛吹市内ではピンク色に染まる桃畑の中を走る春日居コースや、眺めのいい山すそを走るフルーツラインコースなどがある。甲府駅起点のコースは、山梨学院大の選手の練習コースを参考にした。 参加無料で、期間は4月1日~5月8日。申し込みは甲府駅か石和温泉駅の観光案内所で受け付ける(午前9時半~午後3時)。参加者は甲府市ではホテル談露館で、笛吹市ではホテル花いさわ、石和びゅーホテル、春日居びゅーホテルで手荷物を預けることができ、笛吹市内のホテルについては入浴料の割引や入浴剤プレゼントのサービスもある。オリジナルキーホルダーももらえる。 担当者は「春の山梨は桜や桃の花が咲き誇り、爽快に走ることができ、おすすめのシーズン」としている。(平山亜理) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【マンガ動画】どうする?巨大地震でスマホが使えなくなったとき
2023年4月1日 11時00分 【マンガ動画】生活から切り離せなくなったスマホ、災害時に使えなくなったらどうなるのでしょうか 災害が起きたとき、電気、水道、ガスが使えないのはもちろん困りますが、通信インフラとして欠かせないスマートフォンが使えなくなることは想像以上に困ることになるでしょう。 スマホは通話だけでなく、ネットで調べ物をしたり、アプリを使ったり、私たちの生活に欠かせないものになっています。 巨大地震が発生したことを舞台にスマホが使えなくなったらどうなるかを解説しています。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「うちのかかはちょっとへん」小1娘が調べた母の障害と笑顔のひけつ
うちのかかはちょっとへん。はじめにそうおもったのは、ねん中のときでした。 「いっしょにあそぼう。」 とさそうと、かかはいつもニコニコうなずいてくれます。でも、あそびはなかなかはじまりません。わくわくしてまっていると、そのうち、かかはこまったかおでゆれはじめました。右へ左へ、ゆーらゆら。そしてそのまま、手をはなしちゃったふうせんみたいに、ふわーっとどこかへとんでいってしまいました。 ◇ 3月に発表された北九州市主催の第14回子どもノンフィクション文学賞で、小学生の部の大賞に名古屋市立八事東小学校1年生(当時)の藤本千尋さん(7)の作文「ゆらゆらゆれる、かかのこと」が選ばれた。 千尋さんの母、有希那さん(33)は自閉スペクトラム症(ASD)という発達障害がある。そのため、ほかのお母さんとはちょっと違うところがある。千尋さんは近く生まれてくるきょうだいに、お母さんのことを説明してあげられるようになりたいと思い、ASDについて調べてみた。 ◇ 苦手なことを質問、予想外だった母の答え ≪ASDの人のにがてなこと… この記事は有料記事です。残り1293文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
千葉大飛び入学、研究者、そしてトレーラー運転手 研究者の現実とは
物理の才能を見いだされ高校2年で千葉大学工学部に飛び入学し、今はトレーラー運転手として働く佐藤和俊さん。なぜ研究者の道をいったん諦めることになったのか。政府が科学技術立国の実現を掲げるなか、学ぶ側や研究者にどんな現実が立ちはだかっているのか聞きました。 高校は物理、化学、数学だけ勉強 ――物理に興味を持ったきっかけは何ですか。 「中学3年生の初めに、授業で『光』についての話を聞いたことです。いま見ている星はすでに消滅しているかもしれない。光が地球に到達するには時間がかかると。日常生活の中で音の速さは感じるけれど、光の速さは感じないですよね。それから光ってなんだろうと感じ、学んでみようと思いました」 ――急に興味を持ったのですか。 「中学2年まで、勉強はまったくしていませんでした。高校受験があるので、2年生の終わりから本気で勉強して、そのときに光にも興味を持ったという感じです」 「高校受験は、親から自転車で通える範囲と言われ、成田高校に進学しました」 ――その頃から物理など興味のある分野で大学に進学することは考えていたのですか。 「中学3年の頃から行きたいなと思っていました。高校のときにも親に伝えたのですが、『ダメ』『そんなに勉強してどうするのか』と。金銭的な事情があったのだと思います。大学進学は諦めていました」 「そんな経緯もあって、高校に入ってからは『自分の好きなことだけやります。後は知りません』と親に伝えて、物理、化学、数学だけ勉強していました。テストでは物理や数学は100点だけれど古典や世界史は一ケタでした」 ――高校の物理や化学、数学の授業は面白かったのですね。 「面白いですよ当然。波動や光、原子核のこともやって。物理と化学の境目くらいがとても面白かったですね。ただ、物理、化学、数学と科目ごとに切り離されている高校の授業では限界があると感じていました」 「ブルーバックスのような科学の雑学書を読んだり、図解雑学の量子力学に挑戦してみたりということもしていました」 ――千葉大への飛び入学の話はいつごろあったのでしょうか。 「2年生の6月くらいに、朝の会で担任から千葉大が飛び入学の試験をすると聞きました。千葉大なら通える範囲で、国立大だし、科目は物理。これなら親を説得できるかなと思いました」 研究は充実 無一文の現実 ――大学生活はどうでしたか。 「3年生のときに研究室に入… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
私の「典型的な東洋リアクション」なぜ? 心理実験から見える文化差
メディア空間考 原田朱美 有名な心理学実験がある。 被験者は、魚が入った水槽のアニメ動画を見せられる。しばらく眺めた後、自分が見たものを説明する。この時に話す内容が、日本人とアメリカ人では全然違うのだという。 第一声から違うらしい。 「池のようなところでした」と環境から話し出すのが日本人。「多分マスです。左に泳いでいきました」と中心にいる魚から話し出すのがアメリカ人。 日本人は、石や水草、泡、カエルなど、背景要素を答えた数が、アメリカ人より6割以上多かったそうだ。私もこの動画を見たが、第一印象は「魚の後ろの水草が大きいなあ」だった。 この実験は、リチャード・E・ニスベット著「木を見る西洋人 森を見る東洋人」に詳しく書いてある。文化の差で、物事のとらえ方がどう変わるのかを調べる「文化心理学」というジャンルだ。 専門の一橋大学の宮本百合教授に、話を聞いた。 欧米では、まず中心になるもの、しかもその属性を見るのだという。冒頭の実験で言うと、「魚は多分マス」とか、模様とか、魚が何者なのかをじっくり見ている。 一方、日本を含めた東洋人は… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伊達政宗像が仙台城跡に帰還、湧く地元 地震で損傷した馬の足を修理
福岡龍一郎2023年4月1日 8時18分 【宮城】昨年3月の福島県沖地震で損傷し修理を終えた「伊達政宗公騎馬像」の帰還式が3月31日、仙台城跡(青葉区)であり、集った約600人が「殿」の帰還を祝った。 騎馬像は1964年に再建された2代目。昨年3月の福島県沖地震により馬の脚がひび割れ、右に傾いてしまった。東京都内の工房で修理され、3月21日に仙台に戻っていた。 31日の式典では最後の仕上げとして、かぶとに弦月形の前立(まえだて)が取りつけられると、観衆から大きな拍手が湧いた。 近くに住む竹内澄子さん(71)と一緒に訪れた孫の谷口孝太郎君(10)は「政宗がいないとやっぱり寂しかった。仙台の人にとっては大事な像なんだと思いました」と話した。 騎馬像は仙台の観光スポットのひとつ。今後は4月26日から始まる「全国都市緑化フェア」や、5月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の科学技術相会合など、大きなイベントが立て続けに予定され、観光客の増加が見込まれる。仙台市の担当者は「帰還が間に合ってよかったです」と胸をなで下ろしていた。(福岡龍一郎) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル