5月、那覇市・国際通りの交差点。通勤時間や昼どきになると、働く人たちが行き交う。スーツ姿は少なく、目立つのは、代わりに涼しげなシャツ姿。「かりゆしウェア」だ。 「かりゆし」は嘉例吉とも書き、沖縄の言葉で「縁起が良い」の意味。「琉球絣(かすり)」「紅型(びんがた)」などの伝統柄から、ハイビスカスやシーサー、島バナナといったポップなものまで多種多様ある。 戦後27年間の米軍支配を経て、沖縄が日本に復帰してから15日で51年。かりゆしウェアは、県知事も着る夏の正装としてすっかり定着した。だが、今に至るには、長い苦労の歴史がある。 「客に逃げられる」 最初まったく売れず 1968年、沖縄からやってきた4人が、ハワイ・ホノルル空港に到着した。当時の沖縄はまだ米国統治下。米軍の民政機関・琉球列島米国民政府(USCAR)が、沖縄の人材育成などを目的に派遣した「国民指導員」たちだった。 4人はそろってスーツにネクタイ姿。それを見た現地スタッフから「観光を学ぶのだから、こんな堅苦しいものではいけない」とアロハシャツを勧られた。 派遣された一人、宮里定三さんは、那覇市でホテルを経営していた。沖縄観光が進むべき道は「ハワイから学び、ハワイを超えること」と考えていた。当時、日本本土からの沖縄観光といえば、太平洋戦争末期の沖縄戦で戦死した日本兵たちを弔う「慰霊の旅」。新しい観光の形を模索しようと考えていた。 帰国すると早速「沖縄独自のアロハシャツを作ろう」と提案し、2年後に「おきなわシャツ」が発売された。 ホテル組合の事務局長だった大城吉永さん(86)は、シャツを持ってバスやタクシー会社へ営業に回った。しかし「お客さんに逃げられる」と断られた。派手な柄ものシャツは「チンピラ」のイメージだった。 同じ頃、国際通りの近くに、一軒のブティック「ジュネ」が誕生した。 創業者の石川洋子さん(81… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「メロンパンの自分らしさ」って? パンで性教育を学ぶ異色本が登場
ここ数年、必要性が再認識されている性教育の分野で、少し変わった本が誕生した。性を学ぶ案内役として登場するのは、パン。いったい、なぜパンなのか。 「個性を認め合う食パン」「メロンパンの自分らしさ」「ピザパンのバナナをのせる権利」――。 4月に出版された「パンでわかる包括的性教育」(小学館クリエイティブ)のページをめくると、各項目につけられたユニークな見出しが次々と目に入る。一見、性教育とは無縁に見えるが、これらはユネスコなどが作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が示す包括的性教育の重要なテーマを、パンで表現した内容となっている。 本を企画したのは、同社書籍編集部の柴田麻佑さん(38)。きっかけは、自身が母親として感じた不安だった。 ■「どうして生理が…」 しど… この記事は有料記事です。残り1145文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
名前も知らない赤い自転車の彼女 数秒の「おはよう」が変えた日常
毎朝5時に目が覚めると、まどろみの中で心が弾む。「赤い自転車の彼女は、きょうも元気かな」。3時間後の「出会い」を思い浮かべると、女性は心なしか布団から出る足取りも軽くなる。 1928年生まれの95歳。ずっと愛知県豊橋市で暮らしている。戦後間もなく結婚。3人の子どもに恵まれたが、全員家を出た。70年間連れ添った夫は8年前に他界。現在は、2階建ての自宅で一人暮らしだ。 血圧を測り、ゴミを捨て、パンを食べて牛乳を飲む。午前8時前に家の外に出て、花に水をあげる。晴れの日も雨の日も変わらない朝に、小さな変化が起きたのは約1年前。「彼女」が現れてからだ。 通学時間になると、家の前を… この記事は有料記事です。残り1177文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
レゲエの島、広島との約束忘れない ジャマイカ大使リチャーズさん
いま世界には約1万3千発の核弾頭が存在します。ロシアのウクライナ侵攻によって、実戦で使われる恐れまで浮上しました。そんな中、今月に被爆地・広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、「核兵器のない世界」が主要なテーマの一つになります。その道筋をどう切り開くのか。G7首脳らへの注文を、さまざまな方々に語っていただきます。 ◇ 2005年に、軍縮の専門家を育成する国連のプログラムで広島と長崎を訪れました。初めて被爆者の証言に耳を傾け、核兵器の非人道性を実感しました。核兵器がある世界に未来はないと感じました。 広島での最後の夜、夕食会でのスピーチを任されました。「被爆者に安らぎをもたらし、未来を迎えるため、核兵器のない世界にしよう」と呼びかけました。その言葉は広島との「約束」になりました。スピーチの内容をしたためた紙は大切に持っています。 カリブ海に浮かび、レゲエで知られる小さな島国・ジャマイカも核の問題を深刻に憂慮しています。1962年に英国から独立しましたが、同じ年には「キューバ危機」が隣国で起き、米ソが核戦争寸前にまで至りました。 学生時代を過ごした80年代も、核戦争が勃発するかもしれないという恐怖感が社会に漂っていました。レゲエ歌手のピーター・トッシュは反核を歌詞に乗せました。そんな時代が私に影響を与え、外交官として国際平和や開発に貢献したいと思いました。 2012年に国連ジャマイカ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
熊本市、印鑑登録書のコンビニ交付停止 マイナカード不具合で
2023年5月14日 10時31分 マイナンバーカードを使った証明書のコンビニ交付サービスで誤交付が起きた問題に関連し、熊本市は13日夜から、印鑑登録証明書の交付を停止した。 市によると、システム事業者である富士通Japanから「熊本市でも誤って発行される可能性がある」と連絡があったため。住民票や戸籍関係証明、税関係証明はサービスを利用できるという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
点滅する15の数字を瞬時に 暗算ギネス記録持つ高校生、原点は5歳
【動画】ひとつずつ現れては消える3桁の数字を15個足す「3桁15口」のフラッシュ暗算を正答する辻窪凛音さん=大西英正撮影 暗算のギネス世界記録が日本で生まれた。よく聞くと、さいたま市の高校生だという。3桁の数字が15回、ひとつずつ現れては消え、それらを足し合わせる「フラッシュ暗算」で、認定された記録は1・62秒。なぜ、こんなにも早く計算できるのか。秘密を探るべくたずねた。 塾内 ひしめく猛者たち 4月下旬、さいたま市浦和区にある「そろばん教室USA針ケ谷教室」に入ると、塾内の猛者たちが切磋琢磨(せっさたくま)して暗算のスピードを培っていた。そのなかにいたギネス記録保持者の辻窪凛音(りんね)さん(18)は5歳からこのそろばん塾に通う。 いまでは子どもたちに教えることもある辻窪さんに、試しにフラッシュ暗算をやってもらった。 フラッシュ暗算のソフトが入ったパソコン画面を起動してスタートすると、452、704、642……。数字がめまぐるしく現れて一瞬で消えていく。 記者はメモをすることはおろか、いくつ出たかも追えない。15個の数字が出終えるまで、わずか1・6秒。まばたきできない。 「8735」。辻窪さんが回答の入力画面に打ち込むと、「正解です」という音声がパソコンから流れた。何度か試してもらったが、ノーミスだった。 どうやってこんなに早く計算しているのだろう。 驚く記者に、辻窪さんは「数… この記事は有料記事です。残り1287文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
立ち飲みはディープな会館で 入りにくさが「奥まった隠れ家感」に
有料記事 泡☆盛子=ライター2023年5月14日 12時00分 立呑み・焼きとり てら(京都) 「ここまで入ってくるの、何回も躊躇(ちゅうちょ)したわ~なんてお客さんもいはりますね」と苦笑する、立ち飲み屋「てら」店主の寺迫祐二さん。四条大宮にある「新宿会館」は、細い通路のどんつきに2階建ての建物という一風変わった造りだ。奥にたどり着くまで店の様子が一切わからないため最初は腰が引けるのもやむなし。 「ここは60年くらい前からあるそうで、昔はアパートやったとも聞きましたけど詳細は不明なんです」 寺迫さんが開業した17年前… この記事は有料記事です。残り488文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
遺族や社長らが追悼 後世へ資料残す動きも 信楽高原鉄道事故32年
有料記事 瀬戸口和秀 鈴木洋和2023年5月14日 18時30分 滋賀県甲賀市(旧信楽町)で1991年、信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の列車が正面衝突し、42人が死亡、628人が負傷した事故から14日で32年になった。現場近くで両社による追悼法要があり、社長らが安全への決意を新たにした。 直近3年の法要はコロナ禍で参列者数を絞るなど規模を縮小したが、今年は通常通り営まれた。午前10時半から、遺族や両社の関係者ら約30人が参列して黙禱(もくとう)した。事故発生時刻の午前10時35分ごろ、SKRの列車が警笛を鳴らして付近を通過した。 SKRの正木仙治郎社長は「安全運行を第一に、地域を支える鉄道として走り続けられるよう着実に歩んでいく」、JR西の長谷川一明社長は「信頼して利用いただける鉄道を築き上げることをここに誓う」とそれぞれ追悼の言葉を述べた。 兵庫県の明石歩道橋事故(2001年)で次男を亡くした下村誠治さん(64)も参列した。信楽高原鉄道の事故を受けて遺族らが立ち上げた「鉄道安全推進会議」(19年解散)の共同代表をかつて務めた。法要後、今年1月にJR京都線などで列車15本が雪のため長時間立ち往生した問題に触れて、「事故などは突発的に起こるので、鉄道会社は教訓を一つずつ積み上げ、安全対策に取り組んでほしい」と報道陣に語った。(瀬戸口和秀、鈴木洋和) 事故の資料 後世のために引き継ぎ、保存 信楽高原鉄道事故に関する大量の資料が今春までに関西大法学研究所の書庫に収められた。集めたのは、遺族らが立ち上げた民間組織「鉄道安全推進会議」(TASK)の会長を務めた吉崎俊三さん(故人)。引き継いだ大学教授が退職にあたり後世に残すために研究所に移した。 資料は厚手のファイルで約25冊分。国の航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の設立に大きな役割を果たしたTASKの活動記録や、事故の裁判資料、新聞記事などが含まれる。 吉崎さんが2018年に亡く… この記事は有料記事です。残り576文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
池袋駅の地下にクーラーボックス 爆発物処理班が出動、その中身は
14日午後9時20分ごろ、東京都豊島区の池袋駅地下通路で、「不審物がある」と110番通報があった。警視庁によると、現場に白いクーラーボックスがあり、規制線が張られて爆発物処理班が出動したが、中身は魚4匹と判明。規制は解除された。 池袋署によると、クーラーボックスは駅構内の通称「アップルロード」の壁際に置いてあった。警察官が爆発物ではないと確認したうえで箱を開けると、アカハタとみられる魚3匹、ムツとみられる魚1匹と氷が入っていた。クーラーボックスは釣り帰りの忘れ物とみられ、持ち主の元へ返されたという。 19日からは主要7カ国首脳会議(G7サミット)が広島市で始まる予定。警視庁は都内での警戒も強めている。(御船紗子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「生成AIはチャンス。教育システムに課題も提示」 G7教育相宣言
主要7カ国(G7)教育大臣会合が14日、金沢市内のホテルで開かれ、「富山・金沢宣言」を採択した。宣言は、教育分野での「ChatGPT(チャットGPT)」など生成AI活用について、「生成AIを含めた近年のデジタル技術の進展は、学習や指導に好機をもたらすと同時に、教育システムに対して課題を提示していることを認識する」と記した。 宣言は、コロナ禍が教育システムの脆弱(ぜいじゃく)性を顕在化させ、教育・学習システムを強化する契機になったとし、より強靱(きょうじん)な教育システム構築への取り組みが必要だ、とした。その具体策に、対面教育の補完として年齢や発達段階に応じたデジタルの活用を奨励するとしたうえで、生成AIの利用を含む「教育のデジタル化の推進に伴う課題を継続的に把握し、リスクを軽減することの重要性を認識する」と指摘した。 記事後半では、14日にG7教育大臣会合で採択された「富山・金沢宣言」の全文を紹介しています ロシアのウクライナ侵攻に対… この記事は有料記事です。残り5149文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 G7広島サミット 日本や米国など主要7か国の首脳が広島に集い、意見を交わします。ウクライナ情勢などが議題となる見通しです。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル