「沖縄出身ですか?」 私の名字「比嘉」は「沖縄の名字」として多くの人に知られている。記者になって6年目。これまで幾度も名刺交換をしてきたが、そう聞かれることが多い。 両親は沖縄出身だが、私は東京で生まれ育った。「私は東京出身で……」という決まり文句で応じる。 私は沖縄を知らない。 沖縄の日本復帰から5月15日で51年を迎えるのを前に、基地のない平和な沖縄の実現を訴える「5・15平和行進」が13日にあった。沖縄を歩きながら、土地を知り、他の参加者らと語り合う。 私は極東最大級の米軍嘉手納基地前などをめぐる12キロのコースを歩くことにした。 スタート地点の読谷村は1945年4月1日、米軍が沖縄本島で最初に上陸した地だ。村役場前の広場には、県内外の平和団体や労働組合の人々が、さまざまな色ののぼりを立てて集まっていた。 午前9時半、行進がスタートした。 米国人記者の質問、答えに詰まった 米国人のベサニー・アーレン… この記事は有料記事です。残り2059文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
武田軍を破った「設楽原の戦い」 鉄砲玉が示す徳川家康の独立性
1575年5月に織田・徳川連合軍と武田軍が戦った「長篠・設楽原の戦い」。NHK大河ドラマ「どうする家康」でも間もなく描かれる、徳川家康にとっては節目の合戦だ。その合戦跡にたつ愛知県新城市の市設楽原歴史資料館には、周辺で見つかった鉄砲玉が17個収蔵されている。うち3個は徳川軍が自ら調達した鉛でつくったものとみられ、調べていくと家康と信長の力関係が透けて見えるという。 資料館では収蔵品展「しんしろ~家康紀行~」が7月16日まで開かれている。展示されている3個はいずれも発見者の名前にちなんでいる。「本田玉」は1991年、「熊谷玉」は97年と2001年にいずれも敷地内で見つかった。 同館の湯浅大司館長(53)らが21年、これらの鉄砲玉の原料となった鉛の成分を分析。この3個は、家康の時代に鉛などの鉱石を産出していた新城市内の鉱山のものと成分が一致したという。 鉱山は同市睦平(むつだいら)の「鉛(かな)山」で、家康が大切に管理するよう命じていたことが古文書に残っている。 湯浅館長は、さらにこの3個が徳川軍のものとする根拠を示す。 玉が落ちていた場所だ。資料館の敷地には武田軍が布陣していた。3個は資料館背後の斜面や、斜面に近い場所で見つかっている。川を挟んだ先には徳川軍の陣地があったとされる。湯浅館長は「徳川方から発射された可能性が非常に高い」とみる。 また、設楽原では、外国産の鉛と成分が一致する玉も3個見つかった。タイ産が2個、中国産が1個。湯浅館長によると、戦国時代には外国産の鉛を入手できるのは大阪・堺を押さえていた織田信長ぐらいで、玉は信長が家康に譲ったものという見方もできる。 そうなると、家康は信長から外国産の鉄砲玉を譲られながら、自身が管理する鉱山の鉛も使っていたことになる。それはなぜか。 本来、鉄砲や弓矢は自前で用意するもの。湯浅館長は「信長と家康は同盟関係にあったが、家康はできるだけ自前で調達するルートを作っていたのでは」と推測する。 玉を撃つには火薬が不可欠だが、当時は国内ではほとんど製造されていなかったとされる。火薬も南蛮貿易で堺からで、信長の助けがなければ、家康も調達ができなかったと、湯浅館長はみている。「火薬を押さえていた信長は、鉄砲に関する家康の軍事力をコントロールしていたと思う。だから、家康が鉱山を持ち、鉄砲玉の原料となる鉛を自前で調達しようとしたことも許したのではないか」(戸村登) 織田・徳川軍の勝因は火薬の量? 織田・徳川連合軍が武田軍を破った勝因は、馬防柵や鉄砲の数の差だけではなかったようだ。 織田・徳川連合軍が使った鉄砲は3千丁、武田軍は500~1千丁といわれる。その差は圧倒的だが、新城市設楽原歴史資料館の湯浅大司館長(53)は「鉄砲の数よりは、玉の数と火薬の量が大きな問題になってくる。いかにして鉄砲玉と火薬を用意するかが、この戦いの勝敗をわける、大きなポイントだった。それは、家康がどうやって鉛を確保するかを非常に重視していたことにつながる」と話す。 当時、全国的に鉛は供給が逼… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
巧みな話術で盛り上げ、高額商品を販売 「ハイハイ学校」にご注意
無料の粗品につられて参加した集まりで、熱気に押されて高額商品の契約を結ばされる。「催眠商法(SF商法)」や「ハイハイ学校」などと呼ばれる販売方法についての相談が、今年度に入り熊本市の消費者センターに多く寄せられている。「安易に会場に近付かず、勧誘されてもその場ですぐに契約しないように」と注意を呼びかけている。 催眠商法は以前からある販売方法だが、市消費センターに昨年度は4件しかなかった相談が、今年度は5月23日の時点で5件が寄せられたという。 相談は例えば次のような内容だ。 「近々店を出すので、宣伝で回っています」。団地に戸別訪問してきた業者に誘われ、団地横の通路にほかの住民と集まるとティッシュなどが無料で配られた。そこで「ここに午後1時に集まってください」と書かれた紙を渡され、その時間に足を運ぶと団地内の一室に案内された。 健康にまつわる話の合間に靴下などが無料で大量に配られて熱中した。最後に30万円弱の敷きマットが出てきて「病気が治る」「本日は特別に値引きする」と売り込まれ、26万円で契約してしまった……。 こうした商法では、閉め切った部屋に大勢を集めて、販売員が巧みな話術で盛り上げる。無料や格安で日用品を配る際などに「はい」「はい」と何度も参加者に手を挙げさせたり、声を出させたりする。高揚した雰囲気をつくって冷静な判断力を奪うのだ。 業者は短期間で販売する地域を変えて、あちこちで高額商品を売り歩く。被害に遭うのはほとんどが高齢者だが「参加して楽しかった」という印象が残り、被害が表面化しにくい。市消費者センターへの相談は、高額商品を売られた高齢者の家族や友人からという。 市消費者センターは「無料の商品などの誘いに乗って、安易に会場に近づかないように」「商品購入の契約を結んだ。クーリングオフをしたいなどの悩みがあれば、相談を」と呼びかけている。 相談は専用電話(096・353・2500)で平日午前9時~午後5時に受け付けている。(吉田啓) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
一期一会の週替わりカレー フレンチやスペイン料理のレシピがベース
有料記事 小林明子=ライター2023年5月28日 12時00分 Mカッセ(大阪) 駅前ながら「人通りが少ない。難しいのでは」と知人らから言われたと明かす店主の吐山(はくやま)勇輝さん。キッチンカー営業の基地にするとのプランもあったが、魅力のあるスパイスカレーが作れれば地の利は二の次と考えて、店をオープンさせた。 フランス料理店やイタリアン、洋食店などで腕を磨いてきた吐山さんは、10年ほど前に小麦粉不使用のカレーに出合う。 「スパイスカレーって言葉を… この記事は有料記事です。残り455文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
リニア非常時、南アルプスの谷間へ避難も 住民「ここは災害で孤立」
南アルプスのふもと、急峻(きゅうしゅん)な谷が入り組む長野県大鹿村。村の中心部から川沿いの細い道を10分ほど進むと、リニア中央新幹線のトンネル工事現場が見えてきた。 付近は山梨・静岡・長野3県にまたがる全長25キロの南アルプストンネルの出口にあたる。開通すれば、リニアは谷間を一瞬で抜け、名古屋に向け次のトンネルに入る。 長大なトンネルが多いリニア中央新幹線では、トラブル時の避難が課題になる。車両での移動が難しければ、最後の手段として徒歩で非常口から出ることになる。 「もし乗客が出て来られたらもちろん避難するのを助けたい。でも、この地域で地上に避難してこない方が、乗客の皆さんも安心できるかもしれません」 近くの釜沢集落に住む中村政子さん(65)は、行き交う工事車両を眺めながらこう語った。 「災害時にはおそらく孤立する集落ですから」 超高速で山岳地帯を貫くリニア中央新幹線。大災害への備えや安全対策はどうなっているのか。 孤立集落に乗客数百人? 大鹿村の人口は約1千人。中村さんによれば、釜沢集落の人口は普段は13人で、集会場は20人入ればいっぱいになる。付近では土砂災害がたびたび起き、3年前の大雨でも1週間にわたり集落が孤立した。村内に消防署はなく、管轄の消防署からは車で40分かかる。 そこに、多ければ1列車あたり数百人の乗客が避難できるのか、心もとないという。 本州と北海道を結ぶ青函トンネル(全長約54キロ)で2015年に起きた特急の発煙トラブルでは、乗客124人がケーブルカーで地上に避難するのに6時間近くかかった。 リニア技術を「確立」とした国土交通省の技術評価委員会でも、残る課題として長大トンネルの火災リスクが議論になったという。パンタグラフのないリニアは、車内で使う電気を得るために発電機と燃料の灯油を積んでいたからだ。 これは、地上のコイルから非接触で電気を送る「誘導集電」を導入することでクリアした。「リニアの安全性は従来の交通機関と比べて同等なレベルになっている」と、技術評価に携わった専門家は話す。 とはいえ、乗客が思わぬ足止めに遭う可能性は否定できない。考えられるのが大地震のときだ。 村の中央構造線博物館顧問で学芸員の河本和朗さんは「トンネルの出入り口や非常口周辺で崩壊がおき、埋まってしまうことも想定した避難体制を考えるべきだ」と指摘する。 JR東海によると、地震や設備の故障でトンネル内に停車した場合、安全を確認した上で運転を再開させることが原則だという。動かない場合は対向の線路に別の列車を手配するなどし、それも難しければ非常口を使う。 山岳部で車両を使えない状況になれば、長い距離を歩き、傾斜のある非常用のトンネルを上って地上へ出ることになる可能性がある。 地元での受け入れや避難支援体制の検討は、これからの状況だ。 昨年3月の福島県沖地震では東北新幹線の高架橋の柱が損傷して40センチ沈み、激しい揺れで脱線が起きた。リニアの場合はどうなのか。 車両がU字形のガイドウェイに囲まれているため、「脱線することはない」というのがJR東海の説明だ。土木構造物も「最新の基準を踏まえて十分な耐震性を有する」という。 車両から側壁までの距離は台… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
京都市バス、車内で寝ていた生徒を誤って閉じ込め 操車場で10分間
2023年5月28日 8時37分 京都市交通局は26日、市バス内に一時、女子生徒を閉じ込める事案があったと発表した。座席で寝ていた生徒に運転士が気づかず、操車場内で扉を閉めたという。生徒にけがや体調不良はないとみられる。 同局によると、閉じ込めのあった市バスは終点のバス停に到着後、26日午後5時10分ごろ京都市北区の衣笠操車場に到着。運転士が車内点検をしたが、バス前方の座席で寝ていた生徒に気づかず下車したという。約10分後に別の運転士が車内で立っている生徒に気づき、扉を開けたところ無言で走り去っていった。生徒は制服姿で、中高生とみられるという。 同局は「座席をしっかり確認しながら車内点検をすることを周知徹底していく」としている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
里山に80メートルの縁側 大人も子どもも「ごちゃまぜ」のケア
美しい木の梁(はり)を備えた縁側が、ドーンとどこまでも続く。長さは約80メートル。縁側と一体化するように、オープンな造りのリビングと工房を兼ねたカフェの建物が南北に延びる。千葉県八千代市の里山に完成したデイサービス施設「52間(けん)の縁側のいしいさん家(ち)」だ。ここでのデイサービスは、昨年12月に稼働した。 完成までに足掛け6年。竹やぶを切り開くところから始めるや、たまたま土器が出土して工事が止まった。完成前にはコロナ禍での木材価格の高騰する、いわゆる「ウッドショック」に見舞われ、足りない資金をクラウドファンディングなどで補った。 この建物を依頼したのは県内で宅老所「いしいさん家」を展開する石井英寿(ひでかず)さん(48)。地元で自主保育を実践するNPO法人「わっか」理事長の宮本亜佳音さん(41)や設計を担当した建築家の山﨑健太郎さん(46)らともコラボし、地域の世代間共助を育む「52間の縁側プロジェクト」を企画した。大勢で汗を流した一大労作だ。 「地域の関わりこそが財産」… この記事は有料記事です。残り1527文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「全員に同じ宿題」疑問抱いた先生たち 提出やめた学校で起きた変化
先生が児童・生徒に一律の課題を出し、提出させる。そんな従来の宿題の在り方を再考する動きが生まれています。東海地方の2校を訪ね、その取り組みを聞きました。 2月上旬。岐阜市立岐阜小学校の3年生の教室では、先生の周りに子どもたちが集まっていた。 先生が「今日は何をやってきたの?」と尋ねると、子どもたちは持ってきたタブレット端末やノートを得意げに見せた。興味のある生き物についてまとめた子、自分が住んでいる街のお店について調べた子、ドリルや問題集をやってきた子……。 岐阜小が「宿題」に代わって取り組む「家庭学習」だ。何をやるかは子どもたち自身が決める。 同小は昨年度から、子どもたちに一律の課題を出すことをやめた。「やらされている」との語感がある「宿題」という呼び方もやめた。呼称を「家庭学習」と改め、何に取り組むかは家庭で相談して決める。自分に必要な学習や興味関心について考えることで、自ら進んで学ぶ力をつけるのが狙いだ。 「忙しくて見られない」 保護者の不安に学校は 学校は「家庭学習の手引き」… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
下水道に赤ちゃんの遺体、遺棄容疑でベトナム国籍の女逮捕「怖くて」
宮島昌英2023年5月28日 3時47分 出産した赤ちゃんを遺棄したとして、兵庫県警は28日、ベトナム国籍の会社員の女(21)=同県丹波篠山市=を死体遺棄容疑で逮捕し、発表した。 容疑を認め、「怖くて怖くてこんなことをしてしまいました。命の大切さは分かっていて、悪いことだと分かっています」と供述しているという。 篠山署によると、女は5月18日午前から翌19日午前までの間に、自分で出産した生後まもない男児を遺棄した疑いがある。 今月25日、丹波篠山市内の下水道を定期点検をしていた業者が、下水管内に浮いていた遺体を発見し、110番通報した。 遺体は身長約25センチ、体重約240グラム。へその緒が付いた状態で衣服は着ておらず、外傷はなかった。死産で死後数日たっていたとみられるという。 周辺の聞き込み捜査などから女の関与が浮上。DNA型鑑定で、女と男児は親子とみて矛盾はないとわかったという。 女は昨年10月に技能実習の資格で入国したという。(宮島昌英) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自称医師が立てこもり 福岡県警が閃光弾使って突入、身柄を確保
伊藤未来 太田悠斗2023年5月28日 4時27分 福岡県糸島市波多江駅北4丁目の医院で27日夜、男が立てこもった事件で、県警は28日未明、閃光(せんこう)弾1発を使うなどして医院に突入し、男の身柄を確保した。けが人はいなかった。 警部補への公務執行妨害容疑で逮捕、「疲れていて覚えていない」と話す 県警糸島署は28日、自称医師前田隆一郎容疑者(50)を公務執行妨害容疑で逮捕し、発表した。容疑について、前田容疑者は「私がやったことかもしれません。疲れていて覚えていない」と話しているという。 署によると、前田容疑者は27日午後9時25分ごろ、1階が医院、2階が学習塾の建物の駐車場で、塾にいた子どもを迎えに来た保護者に刃物を突きつけ、その後、医院に立てこもったとみられる。署は周辺の立ち入りを規制し、署員らが前田容疑者を説得していた。 逮捕容疑は、27日午後9時35分ごろ、医院の窓から同署地域課の男性警部補(54)に刃渡り約11センチの刃物を突きつけ、職務を妨害したというもの。 県警は28日午前1時ごろ医院に突入した。前田容疑者は「(塾の子どもの保護者に対し)料理用ナイフを持って外に出たことはよくないことだと思っている」とも話しているという。 目撃の男性、閃光弾に「ズドンと大きな音、衝撃伝わってきた」 現場は、JR波多江駅の近くの住宅街。医院と道を挟んで立つ居酒屋にいた男性(49)は「塾の子どもを心配していたが、(立てこもり発生直後に)警察官が誘導して10人ぐらい外に出てきた」と振り返った。その後の警察官と容疑者とのやりとりも見ており、「建物入り口で警察官が『先生話せますか』と語りかけていたが、激しい怒号が聞こえた」と話した。 閃光弾を使った突入の後、同じ居酒屋にいた男性(21)は「ズドンと大きな音がし、店の方まで衝撃が伝わってきた」と話した。(伊藤未来、太田悠斗) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル