大山稜2023年6月23日 12時26分 東証スタンダード上場の不動産会社「リベレステ」(埼玉県)の前社長らが、違法な高利貸をしたとして警視庁に出資法違反容疑で逮捕された事件で、前社長が社内の担当者から「違法になる」と指摘を受けていたことがわかった。警視庁は前社長が指摘を聞き入れず、価値が低い不動産の高額販売と融資を組み合わせる「抱き合わせ融資」をしたとみている。 捜査関係者によると、同社の貸金業務担当の男性(59)=同県越谷市=は2012年10月ごろ、社長だった河合純二容疑者(74)から抱き合わせ融資について相談された。男性は「不動産の販売額も利息になるので違法な高金利になる」と進言したが、河合容疑者は融資を始めたという。 男性は同庁生活経済課の任意聴取に、「他社から転職した弱い立場で従わざるを得ず、違法融資に加担した」という趣旨の説明をしたという。同課は23日、この男性を出資法違反の容疑で書類送検し、発表した。容疑を認めているという。 男性の送検容疑は、河合容疑者らと共謀し、東京都渋谷区の不動産会社など2社に、相場より高額で不動産を購入させることを条件に計7億6千万円を貸し付け、18年9月~19年8月に約3107万円の違法な利息を受け取ったというもの。(大山稜) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「落ちたー!」防波堤に響いた叫び声 力を合わせた6人の釣り人たち
日曜夕方、10人ほどが散らばって釣りを楽しむ防波堤に女性の叫び声が響いた。「落ちたー!」。海中に転落した男性を救出しようと、近くにいた当時70代の男性3人が動き、40、50代の男性3人も加勢した。 5月14日午後4時半ごろ、愛媛県伊方町亀浦の漁港。防波堤の上で釣りをしていた男性(74)=西予市=が突然、約4メートル下の海中に転落した。一緒にいた妻が大声で周りに知らせた。男性は妻が差し出した釣りざおをつかんだが、体が思うように動かない。潮は沖へ流れていた。 近くにいた松山市の奥出浩敏さん(80=当時79)、山本孝行さん(74)、大西正司さん(79)の3人は、釣り仲間でこの防波堤の常連だ。 奥出さんがたも網を男性に差し出し、釣りざおから持ち替えさせた。たも網を操って男性を防波堤の海側に積み上げられた波消しブロックの山に寄せた。 山本さんと大西さんは、波消しブロックの山の裾野へ下りた。大西さんがたも網をつかみ、「大丈夫よ、大丈夫よ」と何回も呼びかけた。 少し離れた場所で糸を垂れていた、西条市の磯野充さん(57)、今治市の木村正臣さん(46)、東温市の篠原北斗さん(45)の3人も駆けつけ、裾野にいる大西さんと山本さんと合流した。 海中の男性は意識ははっきりしていて会話もできるが、全身に力が入らない状態。裾野の5人も波消しブロックが足場で力を出せない。男性は大柄で衣服に海水がしみ込み、かなり重い。それでも5人で力を合わせて裾野に引き揚げた。 男性の脇の後ろから手を入れて右腕を篠原さん、左腕を磯野さん、男性の両足と腰を山本さん、大西さん、木村さんが持ち、山頂の防波堤の上をめざした。 各自が足場をしっかりと定めた後、「せーの」のかけ声に合わせて、男性を持ち上げ、上の段に座らせる。この手順を3、4回繰り返し、頂上まで運び切った。男性は病院に搬送され、無事だった。 松山海上保安部は6人に感謝状を贈った。6月3日にあった贈呈式で、大西さんは「この人らあがおったけん、揚げられたんよ。年寄りばっかりやったら……」と40代、50代の3人をたたえた。木村さんは「人生の先輩方が落ち着いていろいろ言ってくれ、僕も冷静でおれたんやと思う」と感謝した。(中川壮) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「あと2時間で停電」 電力会社装う不審電話相次ぐ 高松総局にも
今月20日午前10時すぎ、朝日新聞高松総局に不審な電話がかかってきた。ナンバーディスプレーには120から始まる12桁の番号が表示されていた。 スタッフが電話をとると、「お客様の電気料金は未払いのため、あと2時間で電気が停止します」という自動音声が流れた。畳みかけるように、電話機の「1」のキーを押すよう指示された。「怪しい」と思ったスタッフは、そこで電話を切った。 同様の電話は、翌日の21日にも2度かかってきた。自動音声が流れてしばらく経つと、実在の一般社団法人を名乗るオペレーターに切り替わった。スタッフが新聞社だと伝えると、電話は突然切れた。 香川県警生活安全企画課によると、こうした不審な電話がかかり個人情報を聞き出されそうになったという相談が、今月に入り10件以上あったという。 手口はこうだ。まず「電気が止まる」といった、不安をあおる趣旨の自動音声が流れる。続いて、電力会社の関係者を名乗る人物が氏名や住所を聞き出そうとする。現時点で、金銭的な被害は確認されていないが、うっかり個人情報を伝えた場合、悪用される可能性があるという。 四国電力が6月1日に家庭向け規制料金を値上げしたことに乗じたと思われる不審な電話も相次いでいるという。 県警には値上げ後の2週間で、四電やその関連会社を装った不審な電話に関する相談が5件寄せられた。「電気料金が安くなる」「割引になる」といった「お得な話」を持ちかけて、家族構成や財産について聞き出そうとしたといった内容だった。「割引になるか確認に行きます」と言って住所を聞き出そうとしたケースもあったという。 四国電力の広報担当によると、同社は停電に伴う工事をする場合や、顧客からの電話に折り返し連絡する場合などを除いて、顧客に電話をかけることはない。自動音声を使った電話をかけることもないという。 県警生活安全企画課の担当者は「不審だと感じたら電話を切り、周囲の人や警察に相談してほしい。個人情報は絶対に伝えないで」と注意喚起している。(内海日和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
足立区の市民団体、募金で「非戦」憲法9条のプレートを世界に贈呈へ
東京都足立区内に憲法9条を彫り込んだ碑を設置した市民団体が、9条を多言語に翻訳したプレートを作成し、各国の平和団体に配る「『九条』を世界に贈るプロジェクト」に取り組む。22日に同区千住で発表した。 「『九条の碑』を建立する会」が昨年6月、足立区柳原の病院近接地に設けた球状の碑は問い合わせが相次ぎ、30~40団体が見学に来たという。 建立する会は「岸田政権はウクライナ戦争を口実に軍拡と戦争への道を進めている。武力ではなく平和外交の努力をすべきだ。9条の非戦の誓いを広め、世界の人々と連帯したい」と、プロジェクトを発足させた。 プレートは45センチ四方で… この記事は有料記事です。残り144文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「琉球人お断り」の時代乗り越え 大阪「リトル沖縄」に生きた3世代
【動画】人気サッカー漫画「ブルーロック」原作者の金城宗幸さんが、祖母の経験した沖縄戦を描いていた 大阪市南西部の大正区。JR大阪駅から電車で10分ほどの地域には、数多くの沖縄料理店や物産店が点在している。住民の4人に1人が沖縄にルーツをもつとされ、「リトル沖縄」と呼ばれるゆえんだ。 週刊少年マガジン(講談社)で連載中の人気サッカー漫画「ブルーロック」の原作者、金城宗幸さん(35)は、ここで生まれ育った。父の宗和さん(65)は今も大正で暮らし、地域に残る沖縄関連の場所を案内する活動を続けている。 「沖縄慰霊の日」(6月23日)を前にした6月上旬、宗和さんと一緒に大正の「沖縄」を歩いた。 「ソテツ地獄」で沖縄を追われ、大阪でも… 家の門柱に置かれたシーサー、商店街で流れる沖縄の歌謡曲、沖縄の名字の表札……。大正区中心部の平尾地区には沖縄ルーツの住民が区内でも多く集まっているといい、沖縄の雰囲気が色濃く表れている。アーケード型の「平尾本通商店街(サンクス平尾)」には沖縄関連の店が並び、周辺地域では沖縄空手や舞踊、三線(さんしん)、エイサーなど伝統芸能を受け継ぐ活動も盛んだ。 大正区北部の三軒家公園には、「近代紡績工業発祥の地」と記された石碑があった。大正では1883年、当時の大阪紡績(現・東洋紡)が工場の操業を開始し、働き手を募集。沖縄出身者が集まるきっかけの一つになったと言われている。金城さんの祖母・幸子さんもその一人で、沖縄から大正界隈(かいわい)に移り住み、紡績工場で働いた。 大正区内を見渡せるのが、地下鉄の掘削工事で出た土砂などを積み上げて生まれた「昭和山」だ。山のふもとに、ソテツが生い茂っていた。 「ソテツには毒があり、沖縄では飢えて口にしてしまい、亡くなった人もいました」と宗和さん。沖縄では1920年代、黒糖価格の暴落などで、ソテツを食べざるを得ないほどの不況「ソテツ地獄」に見舞われた。数多くの人たちが海を渡り、沖縄を離れるきっかけの一つになったとされる。 仕事や家探しで差別、「沖縄的なこと」隠す生活 だが、移り住んだ先の大正区では戦後になっても沖縄出身者は苦しい生活を強いられた。 朝日新聞ポッドキャストでは大正区での取材に同行し、沖縄戦や沖縄移民の歴史を語り継ぐ父・宗和さんの思いを収録しました。記事中盤の音声プレーヤーで聞くことができます。 宗和さんが育った小林地区(… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
仲岡しゅん弁護士寄稿 トランスジェンダー「モンスター」という偏見
私の視点 仲岡しゅん弁護士 トランスジェンダーに対する差別や偏見をあおる動きは、ここ数年の間に急速に広まっている。トランス差別をあおる団体は複数存在しており、積極的にロビイング活動を行うなど、政治やマスメディアに対しても徐々に影響を及ぼし始めている。 そうした団体の主な主張の一つは、トランスジェンダーなどという存在を認めると、女性用のトイレや浴場などに、「自分は女だ」とかたった犯罪目的の男性が入れるようになってしまう、というものだ。 たしかに、そうした場に悪意ある男性が入ってくるというのは、少なからずの女性からすれば懸念を抱かざるを得ない事態だろう。これは、トランスジェンダーの実情を知らない人たちからすると一定の説得力があるらしく、インターネット上でこうした投稿があふれかえり、トランスジェンダー脅威論とも言うべき差別扇動が繰り広げられている。 しかし、冷静になっていただきたい。ある男性が、「自分は女だ」と言いさえすれば、直ちにあらゆる女性用の場を使えるかのような想定が、そもそも日本の法律実務からすれば荒唐無稽なものでしかない。 トランスジェンダーの「トラ… この記事は有料記事です。残り573文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「火元の店」ネットでデマ、心折れかけたけど 大火乗り越えた夫婦愛
北九州市小倉北区の旦過市場一帯で起きた大規模火災で店を失った夫婦が、23日に仮設店舗で営業を再開する。一時は閉店も考えたが、「2人で店がやれるのもラストチャンス」と再起の一歩を踏み出す。 多くの買い物客が往来する旦過市場。すぐ横には、真新しい「旦過青空市場」のプレハブが整然と並ぶ。その一画に今月中旬、「お食事処あらまき」の真新しい緑色の看板がかかった。 6月中旬、店内では、店主の荒巻廣行さん(75)が旧知の料理人とだしの仕込みに奮闘していた。妻の松美さん(54)は「やっぱり主人は料理人。いきいきしている。前の店より狭いが、それでもまたお店ができるのがうれしい」と目を細める。 廣行さんは福岡県築上町の出身。中学卒業後、主に関西の和食店などで修業し、京都の老舗料亭「下鴨茶寮」や外資系ホテルの料理長などを務めた。北九州に戻り、旦過市場にある松美さんの実家の鮮魚店を継ぐかたわら、2018年に市場内に「あらまき」を開店した。念願の2人の店だった。 だが昨年8月10日夜、旦過は2度目の大火に襲われた。 前日から連休だった2人は急いで現場に駆けつけたが、火勢を見守るうちに廣行さんが体調不良を訴え病院へ。肺に穴が開き、緊急手術を受けた。翌朝、店は完全に焼け落ちていた。 さらに火災の2日後、知り合いから連絡があった。 「あらまきが火元の店として… この記事は有料記事です。残り850文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
48時間マラソン何キロ走れるか 徹夜覚悟で参加、精いっぱいの笑顔
青森県弘前市の市運動公園で5月26~28日、48時間で走った距離を競うマラソンの大会に記者(53)も参加した。24時間の部に参加した昨年は左足に激痛が走り、全力を出し切れなかった。今年は再び実力を試してみようと、2晩の徹夜を覚悟して申し込んだ。 コースは1周1・25キロをグルグル回る。高低差はない。コースの一部に陸上競技場のトラックもあり、走りやすいこと、この上ない。48時間と24時間のほか、12時間や100キロウルトラマラソンもある。初心者も参加でき、ランナー同士の交流も盛ん。「がんばらなきゃ」と刺激になる。 主催はNPO法人「スポーツエイド・ジャパン」(埼玉県毛呂山町、舘山誠代表)。同NPOの大会はボランティアのスタッフの大半がランナーで、常に笑顔で接してくれ、心強い。 エイドステーションにはカレーやシチューに加え、筋子やおそばなど津軽の郷土料理も並んだ。スイカやメロンなどのフルーツ、地元有名店のうぐいす餅なども提供された。毎回、「体重が増えた」という参加者も出る。 走りやすさでは文句のつけようがない。この状況の中、一体、どれくらい走れるのか。事前に送られてきた出場者リストには、世界レベルの選手が何人もいた。一緒に走れるなんて光栄だ。 ワクワクと不安が入り交じったまま走り出した。 走るのにはちょうどよい天候。体調も悪くない。1時間で10キロのペースで進んでいくと……。 時間走は過去6回出場した… この記事は有料記事です。残り1601文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
西武池袋本店の改装、セブン&アイ側が素案を提示 豊島区長が明かす
JR池袋駅そばの百貨店「西武池袋本店」(東京都豊島区)の低層階に、ヨドバシカメラの出店が検討されていることについて、同区の高際みゆき区長は22日、西武池袋本店の改装計画の素案が同店を傘下に持つ「セブン&アイ・ホールディングス(HD)」から示されたと説明した。従来通り低層階にヨドバシが入るとの内容だったという。ただ「私からは申し上げることができない」として、それ以上の詳細は明らかにしなかった。 補正予算案に関する会見で説… この記事は有料記事です。残り293文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「神戸まつり」直後の繁華街、警察が一時封鎖 騒然となった理由は…
杉山あかり 小川聡仁2023年6月22日 21時00分 飲食店内で客をビール瓶で殴ったとして、兵庫県警は22日、ベトナム国籍の会社員の男(24)=神戸市灘区=を傷害の疑いで逮捕し、発表した。「ビール瓶を使ったかどうかは覚えていない」と容疑を一部否認しているという。 国際捜査課によると、男は5月28日午後8時10分ごろ、同市中央区北長狭通2丁目のベトナム料理店で飲食中に、居合わせたベトナム国籍の30代の男性客2人の頭などをビール瓶で殴り、軽傷を負わせた疑いがある。何らかのトラブルがあったとみられるという。 男は事件直後に逃走。店から「ベトナム人同士でけんかをしている」と通報があり、「包丁を持っている」との情報もあったことから、県警は周辺の道路を規制線で一時封鎖した。 この日は同区内で「神戸まつり」が開かれた後で、現場の繁華街は人通りが多く一時騒然となった。 防犯カメラの捜査などから男の関与が浮上。包丁の情報は誤りだったと同課はみている。(杉山あかり、小川聡仁) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル