過去10年間の若者の自殺を分析すると、コロナ禍では女性のみ顕著に自殺が増えた――。そんな研究成果を横浜市立大と慶応大の共同研究グループ(責任者=堀田〈ほりた〉信之・横浜市立大付属病院化学療法センター長)が22日発表した。10代前半の女性の自殺も増えており、経済的影響だけでなく、家庭内暴力の増加も一因との見方を示している。 コロナ禍では、女性や若者の自殺が増えていることが社会問題化。これを受け、研究グループは2012年7月~22年6月の10年間に国内で自殺した男性9428人、女性3835人の統計データを分析した。 死者数を男女別に10~14歳、15~19歳、20~24歳に分けて6カ月ごとでカウント。20年7月以降のコロナ禍と、それ以前を比べると、男性はいずれの年齢層でも統計的に有意な増減はなかったのに対し、女性はいずれの層でも数割増えていた。 研究グループは要因について… この記事は有料記事です。残り154文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「信仰の対象と芸術の源泉」 富士山世界遺産10周年で共同宣言
黒田壮吉2023年6月22日 21時26分 富士山の世界文化遺産登録決定から10年を迎えた22日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで10周年記念式典が開かれた。「静岡、山梨両県が連携し、富士山の普遍的価値を守り伝えることをめざす」などとする共同宣言が行われた。 静岡、山梨両県と、両県などでつくる富士山世界文化遺産協議会の共催。国会議員や関係者ら約400人が参加した。 あいさつで山梨県の長崎幸太郎知事は「オーバーツーリズムを解消し、信仰の対象と芸術の源泉という富士山本来の価値を取り戻す必要がある」と強調。「富士山登山鉄道構想を含め、地元関係者の意見をいただきながら、富士山のこれからのあり方について最善の解を導き出したい」と述べた。 静岡県の川勝平太知事は「富士山が日本の自然と文化の『顔』となって10周年を迎えた。富士山の顕著な普遍的価値を守り、具体的な課題を地道に解決し、国内外に広くPRしていきたい」などと訴えた。 今年は新型コロナウイルスの5類移行に伴い、山小屋に予約が殺到。夜通しで登頂を目指す「弾丸登山」の急増が懸念されている。川勝知事は報道陣の取材に「弾丸登山は危険なので認めていない。今年の登山状況をみながら対策などを検討したい」と述べた。 式典では、青柳正規・元文化庁長官が「世界遺産としての富士山」と題して基調講演。「世界遺産の目的は国際的に協力して保全し、次の世代へ継承することだ。観光地として多くの人が訪れることは副次的な結果だと確認したい」と指摘。文化遺産は国や国民のアイデンティティーの中核を形作る必要不可欠なものだとし、「世界に認められる富士山をみんなで守っていく必要がある」と話した。 また、「富士山から発信する持続可能な社会の実現」をテーマに有識者らが意見交換した。「保全はこれからが大変。保全などにかかる費用を地元に任せるのは限界がある」「いまの受け入れはキャパシティーを超えている。入山規制も考える必要が出てくるのでは」など活発な議論が交わされた。(黒田壮吉) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奥薗壽子さんが追求する料理の「なぜ」 原点は科学者の父の教え
記事の後半でレシピをご覧いただけます 家庭料理研究家としてテレビや雑誌など多方面で活躍する奥薗壽子(としこ)さん(60)の料理歴は、小学生の頃から始まりました。 料理をしなかった母親が用意してくれたのは、デパ地下の料理が多かったそうです。料理上手の祖母が作ってくれたような家庭料理が食べたいと、小学生の頃から台所に立って、食事を作るようになりました。 奥薗さんは当時の自分をこう振り返ります。「実は私は遊んでいたんです。いやだと思ったことがない」 料理が遊びになっていたのは… この記事は有料記事です。残り921文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
神戸市で6歳児が変死 同居の祖母に暴行加えた疑いで4人を逮捕
2023年6月22日 23時24分 同居する母親を自宅で監禁して暴行したとして、兵庫県警は22日、神戸市西区玉津町居住(いすみ)、無職穂坂大地容疑者(32)と、同居する30~34歳の姉妹3人を監禁と傷害容疑で逮捕し、発表した。 自宅近くの草むらから、大地容疑者の姉の沙喜容疑者(34)の長男、修君(6)の遺体が見つかり、県警は関連を調べている。 捜査1課によると、4人の逮捕容疑は今年3月~6月20日ごろ、自宅で母親(57)を監禁したというもの。また、6月19日ごろ、母親の背中を鉄パイプなどで殴るなどの暴行を加えてけがを負わせた疑いがある。県警は4人の認否を明らかにしていない。 20日夜に母親が同市垂水区内で県警に保護され、容疑者の自宅を訪れたところ、4人は室内にいなかった。22日午後6時過ぎ、捜査中の警察官が草むらで修君の遺体を見つけた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
予備自衛官の金髪やピアスはだめ? なり手不足で防衛省の見解は…
高橋杏璃2023年6月22日 20時07分 有事や大規模災害時に招集される「予備自衛官」らに、金髪やピアスを禁じる必要はあるか――。有識者らが国の予算執行のあり方を検証する22日の行政事業レビューで、なり手が不足する予備自衛官をめぐり、そんな議論が交わされた。 普段は会社などに勤めながら、訓練を受けて有事に備える予備自衛官は昨年度は約3万3千人、定員充足率は69・6%だった。この10年の充足率は7割前後にとどまる。22日に防衛省であったレビューでは、中田るみ子・協和キリン社外取締役が、自衛官らの髪形や髪色、タトゥー、ピアスを制限することについて質問。「自衛官の場合は見直しの議論が行われているが、予備自衛官はどうなっているのか。金髪でも(災害派遣先で)援助している働きぶりで評価すべきではないか」と、防衛省の見解をただした。 防衛省の担当者は「厳しい規律が求められる自衛隊で認めていいのかという意見も根強くある一方、若者の意識、外の世界が変わっているのも事実だ」と説明。「規律に悪影響を及ぼさないように取り入れることは可能なのか検討したい」との考えを示した。(高橋杏璃) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
内密出産11人に 初事例公表から1年半、熊本・慈恵病院
熊本市の慈恵病院は22日、新たに2人が、病院の担当者のみに身元を明かして出産する「内密出産」をしたと発表した。2022年2月の初事例公表以降、11人となった。 10人を超えたことについて蓮田健院長は「軌道にのった感触がある。巣立っていく赤ちゃんが養親に託され、幸せそうな姿を見ると、新しい形ができている実感がある。赤ちゃんとお母さんの命を守るのがもっとも大きな柱だが、愛着障害や虐待など負の連鎖を断ち切る効果を感じている」と話した。 病院によると、10例目は東日本在住、11例目は西日本在住。ともに成人で5月に出産した。 10例目の女性は出産後、自… この記事は有料記事です。残り348文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不当寄付勧誘防止法違反の疑い、2カ月で48件 今月全面施行
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題などを受けて成立した不当寄付勧誘防止法について、消費者庁は22日、4~5月の2カ月で48件の違反が疑われる事例の情報が寄せられたと発表した。旧統一教会を含めた今後の行政処分に注目が集まるが、実効性は未知数だ。 今月1日、同法は全面施行された。あらゆる法人・団体が対象で、霊感商法のように不安をあおって寄付をさせようとするなど七つの行為を禁止し、適切な判断が困難な状況に陥らせないようにするなど三つの配慮義務を課している。違反が確認された場合は、消費者庁が勧告や措置命令を出すことができる。 昨年末成立した同法の大部分は1月に施行され、不当な勧誘により行った寄付を取り消せるようになった。4月には、消費者庁が同法に違反する法人や団体に対して行政処分ができるようになり、6月は、一部の禁止行為の規定が加わり、全面施行となった。 消費者庁によると、4月以降の情報提供数は、計286件。このうち、同法違反が疑われる内容が含まれるケースは48件だった。5月上旬に4月中の件数として発表した18件から増加しているが、集計方法の都合で、前回の発表時に含まれなかった分も入っているといい、消費者庁の新井ゆたか長官は同日の定例会見で、「急増したという状況ではない」とした。(寺田実穂子) 規制と民事ルールの両側面を持つ同法。規制においては、不当な寄付の勧誘に関する情報を集め、違反があれば是正の勧告や命令などを出すことができ、命令に従わない場合は刑事罰の対象になる。民事ルールでは、禁止行為のうちの六つの行為が原因で行った寄付については、本人が取り消して返金を求めることができる。 消費者庁は「寄付勧誘対策室」を4月に新設。捜査の専門家である検察や警察からの出向者を中心に12人態勢でスタートした。全国の消費生活センター、消費者庁のHP上に新設した情報受付フォーム、法テラス(日本司法支援センター)の「霊感商法等対応ダイヤル」の3ルートから、不当な勧誘の情報を集めている。「消費者庁の自前主義にこだわらず、取り締まりのプロが集まった」(同庁幹部)といい、こうした体制そのものが悪質な寄付勧誘の抑止力になるとの期待もある。 一方で、法執行には悩ましさもある。憲法で保障されている「信教の自由」との兼ね合いだ。 不当寄付勧誘防止法は「運用… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【判決要旨】北海道警のヤジ排除訴訟、控訴審 原告1人の請求は棄却
2019年夏の参院選で、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民2人が「警察官に排除され、憲法が保障する表現の自由を侵害された」などとして、北海道に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決の要旨は以下の通り。 【事案の概要】 本件は、非控訴人らが201… この記事は有料記事です。残り1890文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
原発処理水放出、全漁連が「反対」 過去明記の「ある表現」消える
今夏にも始まる東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は22日、「反対であることは変わらない」とする特別決議を採択した。反対の特別決議は4年連続だが、今回は政府が風評被害対策などで打ち出した500億円規模の基金などを「重く受け止める」と一定の評価を下した。 特別決議は「処理水の海洋放出には反対であることはいささかも変わるものではない」と指摘しつつ、「(政府が)信頼関係を積み重ねる対応を行ってきたことは、重く受け止める」と記した。 過去3回の特別決議では、「断固反対」と記していたが、今回は使わなかった。会見で理由を問われた全漁連の坂本雅信会長は、「スタンス自体が変わったのかといえば、そうではない」と強調した。 政府と東電は2015年8月、処理水について「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と福島県漁連に文書で伝えている。原子炉建屋などに流入する前にくみ上げた地下水を海に流すにあたり、交わした約束だ。 会見で「理解が進んでいるの… この記事は有料記事です。残り476文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「どら焼き売る?無謀すぎるで!」京都のハンコ老舗、逆境ゆえの挑戦
コロナ禍でリモートワークが進み、出社を招く無駄の象徴のように語られたハンコ。社会のデジタル化を進める大臣の「脱ハンコ」発言も業界に追い打ちをかけた。逆境の中で、京都の老舗印章店が売り始めたものとは――。 「元々『斜陽』なのに、どうしたらいいんやろ」 京都・四条通の繁華街にほど近い印章店「京都インバン」(京都市中京区)の7代目、高日(たかひ)結美さん(44)は日々、悩みまくっていた。今年で創業111年の老舗だが、コロナ禍で本店の売り上げは半減。京都や大阪のイオンモールに2店舗ある支店の売り上げも、モールの臨時休業でゼロになった。 「どら焼きを売ろう」と言い出したのは父で会長の松原常夫さん(72)だった。フランチャイズのどら焼き店を始めた大阪の同業者に誘われたという。 乗り乗りの父に対し、高日さんは慎重だった。「何もしなければじり貧だ。でも、どら焼き?」。飲食業は未経験。第一、そんなうまい話が、この世の中、転がっているはずなどないと思った。「あせったらあかん。お父さん、無謀すぎるで!」 高日さんは一級印章彫刻技能… この記事は有料記事です。残り1262文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル