有料記事 谷瞳児 本田大次郎2023年6月9日 7時30分 「カキ殻を捨てるべからず」――。潮干狩りシーズン真っ最中に、そんな全国でも異例の条例が、千葉県市川市で施行された。対象は、東京からほど近い江戸川の河口付近。潮干狩りの人気のスポットだが、地元では過料を徴収してでも、カキ殻を捨ててほしくない深刻な事情があった。 5月下旬の朝。地下鉄東西線の妙典駅(市川市)から歩いて10分ほどの江戸川河川敷に降りると、目の前に無数にカキの殻が散らばっていた。中身はなく、殻は白い。カキを採った人が不法投棄した殻が堆積(たいせき)する山を歩くと足元が埋まり、よろけそうになる。 「カキ殻とその他貝の殻の不法投棄は犯罪」。日本語や中国語でこう書かれた看板が設置されていた。 潮干狩りをする人でにぎわうなか、どのう袋やネット袋いっぱいに殻付きのカキを詰め、荷台を使って持ち帰る男性の姿があった。家族や友人に自ら採ったカキを振る舞うために訪れたという。別の男性は親子で訪れたといい、「味は普通においしい。蒸して食べる」と話した。 急増した「ポイ捨て」のカキ殻、救急搬送される被害も 「カキは昔からあった。ただ… この記事は有料記事です。残り1556文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自民党が無視できない「有権者の塊」に 同性婚訴訟、識者の見方
同性同士で結婚できないのは憲法違反だとして、全国各地の同性カップルらが起こした五つの訴訟で、「違憲」や「違憲状態」とする判決が相次いだ。強い警告メッセージを受けた政治には何が求められるのか。司法の役割とは――。2人の専門家に聞いた。 ■政治学者の菅原琢さん(政治過程論)の話 人権侵害の事実があれば、真っ先に動かなければならないのは政治だ。同性婚容認の世論が過半数になる中、違憲判決が出てもなお検討に応じないのなら、同性婚を認めるとどんな不都合、不利益が生じるか、政府・自民党は積極的に説明する責任がある。 だが、現在は「社会が変わってしまう」などのあいまいな説明にとどまっている。多くの自民党議員は、旧来的な家族観を絶対に守りたいとは思っていないはずだが、党内で発言力が強い保守強硬派に配慮して、党内でのまともな議論すらされていない。 自民党が抱える矛盾、反映 「同性婚に反対はするが、具体的にどんな不利益があるかを示さない」という現状は、自民党の抱える矛盾を反映している。 野党やメディアにもできることがある。 「自民党はなぜ同性婚を認めないのか」「守ろうとしている価値観とは何か」をしつこく追及し、本音を浮き彫りにすることだ。反対の理由が明確になって初めて、有効な反論や対案を提示して議論を前に進められる。 与野党問わず、政治はこの問題に向き合い、本来の役割を果たすべきだ。 選挙を意識 「票にならないことで…」 一方で、同性婚を容認してい… この記事は有料記事です。残り1148文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
佐賀空港へのオスプレイ配備、12日にも駐屯地建設開始へ
成沢解語 板倉大地2023年6月8日 20時46分 佐賀空港(佐賀市)への陸上自衛隊オスプレイ配備計画を巡り、防衛省が12日にも駐屯地の建設工事を始めることが、関係者への取材でわかった。オスプレイは陸自木更津駐屯地(千葉県)に暫定配備されており、その期限の2025年7月までの完成を目指す。 駐屯地が建設されるのは、佐賀空港西側の土地33ヘクタール。そのうち31ヘクタールの民有地について、土地名義人の佐賀県有明海漁協が5月に防衛省と土地売買契約を結んだ。 計画では、オスプレイ17機とヘリコプター約50機が駐機する。工事の契約金額は142億1200万円で、地盤改良のほか、格納庫や駐機場、隊員の庁舎、管理棟、燃料タンクなどを建設する予定。休日を含め、24時間態勢で進める方針だ。 九州防衛局は今月6日と8日、佐賀市内で住民説明会を開き、工事区域の仮囲いや仮設調整池の設置から始める方針を示した。地元住民からは、通学時間帯や夜間に工事車両が行き来することへの懸念の声が出ている。(成沢解語、板倉大地) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
涙をぬぐって聞いた判決 同性婚訴訟、当事者が感じた「前進」と課題
有料記事 大貫聡子 松浦祥子 石垣明真 高橋俊成 杉原里美2023年6月8日 21時00分 同性カップルは婚姻制度を利用できず、重大な不利益を被っている――。8日の福岡地裁判決は、強い言葉で現状を違憲状態にあると指摘しながらも、「違憲」とは判断しなかった。原告団からは「もっと踏み込んでほしかった」と悔しさも漏れた。 憲法24条1項、合憲。13条、合憲。2021年3月の札幌地裁と今年5月の名古屋地裁で「違憲」とされた14条も合憲……。 原告席のまさひろさん(35)=福岡市=は、判決要旨を読み上げる裁判長を見つめたり、うつむいたりしていた。 読み上げが始まって約15分後だ。 「憲法24条2項に違反する… この記事は有料記事です。残り1575文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同性婚認めない制度に合理性はあるか 変わる社会、問うた5地裁判決
同性婚を認めない制度を初めて本格検討した5地裁の判決は、「違憲」が2件、「違憲状態」が2件で、「合憲」は1件にとどまり、権利侵害に強い警告を発した。 「判決の結論は分かれたが、(いずれも)『放置はできない』と言ったと感じる。今回の判決も、そのメッセージを後押しするものだ」。九州訴訟の弁護団の石井謙一弁護士は8日、判決後の会見で5判決を総括した。 5地裁の基本的な問題意識は通底していた。 共通の前提は「社会情勢の変化」。同性婚を認める世界の潮流、パートナーシップ制度を導入する地方自治体の増加、同性婚の賛成派が反対派を上回るようになった国民の理解増進などに着目した。 それでも「伝統的な家族観」に根ざし、異性婚しか認めない制度に今も合理性はあるのか――。 法律婚制度は、男女が子を産み育て、家族として次世代につなぐ関係の保護を目的としてきた。ただ、結婚すれば、子の有無に関わらず様々な法的地位が与えられ、2人の関係が社会的に「公証」もされる。同性カップルがその効果や利益を一切得られない現状は問題がある、という認識はほぼ一致していた。 判決分けたポイント 札幌地裁は法の下の平等を定めた憲法14条に反すると判断 その上で判決を分けたポイン… この記事は有料記事です。残り1440文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「喜び分かち合い深い感謝」 両陛下、結婚30年で感想を公表
【動画】結婚から30年を迎えた天皇、皇后両陛下。長女愛子さまとともに「繭搔(か)き」をした=宮内庁提供 天皇、皇后両陛下は9日、結婚から30年を迎えた。宮内庁を通じて文書で発表した両陛下の感想では、30年間の道のりを「たくさんの方からの助けを頂きながら、二人で多くのことを経験し、互いに助け合いつつ、喜びを分かち合い、そして時には悲しみを共にし、これまでの歩みを進めてこられたことに深い感謝の念を覚えます」と振り返った。 災害や新型コロナウイルス感染症にも触れ、様々な困難を抱える人々の身を案じ、東日本大震災の被災地の更なる復興を心から願う気持ちをつづった。また、上皇ご夫妻の姿を心に刻み、「今後とも国民の幸せを願い、二人で協力しながら務めを果たしていくことができれば」とした。 人々の新たな可能性に言及 世界や社会の変化に応じて自分たちの務めへの要請も変わってくるとし、「これからも各地に足を運び、様々な状況にある人たちに心を寄せていきたい」「この国の人々の新たな可能性に心を開き続けていくことができれば」と述べた。 長女愛子さまについては、「… この記事は有料記事です。残り1467文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山陽新幹線で人身事故 新大阪―広島間で運転見合わせ JR西日本
2023年6月9日 0時50分 JR西日本によると、8日午後10時15分ごろ、新大阪行きの山陽新幹線上り「さくら572号」が岡山―相生間を走行中、運転士が「ガタン」という音に気付いて停車した。点検したところ、人と接触した可能性があることがわかったという。 山陽新幹線は新大阪―広島間で運転を見合わせ、再開は9日午前1時15分ごろになる見込みという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「改悪反対」 国会前で市民ら訴え 入管法改正案が参院法務委で可決
難民認定の申請中でも外国人を送還できるようにする入管難民法改正案が参院法務委員会で可決され、改正案に反対する市民ら約100人が8日夜、国会前で集会を開いた。「人権に国境なし」などと書かれたプラカードを掲げ、「入管法改悪反対。命をおろそかにさせない」と声を上げた。 改正案では、難民申請が3回… この記事は有料記事です。残り270文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「旧統一教会の実態把握を」 多摩市の土地購入で 東京都、国に要望
2023年6月8日 21時30分 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が東京都多摩市内に土地を所有していることに関し、都が8日、都民の安全・安心な生活を確保するためとして、教団の運営実態の速やかな把握と適切な対応を求める要望書を文部科学省に提出した。 教団は昨年4月、国士舘大学キャンパスや都立高校に隣接した約6300平方メートルの土地を民間会社から購入。教団の拠点化を懸念する住民らが撤退の実現を目指して署名活動を始めたほか、阿部裕行市長も「(拠点化を)止めたい」と発言するなど、関連の動きが活発化している。同市も7日、同省と都に、市と連携した対応などを求める要望書を提出していた。 都の要望書では、教団の活動について「過去に違法性が指摘されている」としたうえで、教団の土地所有に関して「日常生活や学校生活への影響について、不安に感じる方もいると思われる」などと指摘した。また、国の質問権行使に基づく対応や判断が示されていないとし、速やかな実態の把握などを求めている。 対応している文化庁の担当者は「(教団について)事実関係を積み上げるため、旧統一教会に報告徴収・質問権を行使しており、今後も引き続き取り組む」と説明した。情報提供を求める都や市の要望に対しては、「現在、法令の範囲内で対応している」と述べた。 教団の広報担当は7日、都などの要望書提出について取材に「受け止めは特にない」と答えた。土地の利用方法は未定とした。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 旧統一教会問題 2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の問題に注目が集まっています。特集ページはこちら。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
軽井沢のバス事故「故意に近いずさんさ」 社長の過失認定、超えた壁
有料記事 村上友里 菅沼遼2023年6月8日 22時00分 大学生ら15人が亡くなったバス事故から7年半。8日の長野地裁判決は「注意義務を尽くしていれば事故は起きなかった」と、運行会社長らのずさんな管理と責任を厳しく指摘した。遺族は実刑判決を評価しつつ、癒えない悲しみを語った。 今回の事故で、運転手は亡くなった。入社から約2週間で、4回目の運行だった。事故原因の特定が難しい中、長野地検は「運転が未熟だった」などとする元同僚運転手の証言などを得て、事故から5年後、社長と運行管理者を業務上過失致死傷罪で在宅起訴した。 事故現場にいない企業幹部らが同罪に問われたケースは過去にもある。乗客ら107人が死亡したJR宝塚線(福知山線)脱線事故では、JR西日本歴代3社長が強制起訴されたが、無罪が確定した。過失を認定する壁は高いとされる。 この日の長野地裁判決は、道路運送法などの関係法令に着目。事業者は輸送の安全確保のため、運転者に必要な技量が備わっていることを確認してから運行させる義務を負っているとした。 その上で、社長らが過去に監査で不備を指摘された際、虚偽の弁明書を提出していたことや、同業他社が運転手の技量を把握してから運行させている状況なども踏まえ、運転手の技量を確認しないまま、スキーツアーの運行をさせた社長らが「刑法上の注意義務を怠っていたのは明らかだ」と結論づけた。 なぜ回避できなかったのか…認められた「予見可能性」に募る悔しさ 元刑事裁判官で法政大学法科… この記事は有料記事です。残り1413文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル