教員の長時間労働や、各地の学校での教員不足の改善に向けた議論が文部科学相の諮問機関、中央教育審議会で続いていることを受け、労働問題に取り組む弁護士らでつくる日本労働弁護団が18日、意見書を発表した。 公立学校教員の給与は現在、労働時間に応じた残業代が支給されない代わりに、基本給の4%分が「教職調整額」として上乗せ支給される仕組みになっている。「教員給与特措法」(給特法)という法律で決められている。 弁護団は意見書で、使用者側に残業代を支払わせることを通じて労働時間を抑制する観点から、給特法の廃止などで教員に残業代を払う仕組みに改めるべきだと指摘。教員の労働時間の厳格な把握も求めた。 さらに、給特法の改廃によって教職調整額がなくなっても給与が減らないような仕組みとすることや、勤務と勤務の間に一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」を導入することなども求めた。 給特法をめぐって政府は、6月に閣議決定した骨太の方針で、教職調整額の引き上げなどについて検討を進め、「2024年度中の改正案の国会提出を検討する」と明記した。だが、弁護団は「調整額の引き上げでは、働き方は改善されない」と批判。今後、中教審委員らに意見書を渡すなどして、議論に反映してもらうことをめざすという。(編集委員・増谷文生) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
娘に食事を与えず低血糖、母親が傷害罪の無罪主張 共済金詐取事件
山本逸生 田添聖史2023年8月18日 19時43分 娘(9)に食事を与えず入院させ、共済金をだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われた母親の元パート従業員、縄田佳純被告(34)=大阪府大東市=の公判が18日、大阪地裁であった。この日は、娘を低血糖症にさせたとされる傷害罪の審理があり、被告は「体調を悪化させようとして食事を与えなかったことはない」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。 検察側は冒頭陳述で、娘は幼少期から、低血糖になりやすいとされる糖原病や低血糖症の疑いで入退院を繰り返しており、縄田被告は医師らから食事の重要性を頻繁に指導されていたと指摘。その上で、体調を崩していた娘に対して1月20~22日、LINEなどで「ゲー吐くからやめとき」「たべたりのんだりせんと待ってて」などと伝え、3日間、必要な食事をとらせず低血糖症で入院させたと主張した。 一方、弁護側は「娘の低血糖症は糖原病に起因するものだ」と主張。被告が食事を与えなかった事実もないと訴えた。 縄田被告はこの日の傷害罪のほかに、娘に下剤を飲ませて下痢をさせた傷害罪や、共済金をだまし取った詐欺罪などで起訴されている。縄田被告は下剤による傷害罪について、6月の初公判で否認。公判後に取材に応じた弁護側は、詐欺罪も無罪主張する方針を明らかにした。(山本逸生、田添聖史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
機器の故障偽装、島津製作所子会社に改善命令 「抜本的改革を」
大貫聡子2023年8月18日 19時46分 X線診断装置に一定期間が経つと故障したようになるタイマーを仕掛けて不正な修理をおこなったとして、熊本県は18日、熊本市南区の「島津メディカルシステムズ」熊本営業所に、医薬品医療機器法に基づく業務改善命令を出した。 県薬務衛生課によると、2016~18年に同営業所の修理責任技術者(当時)が、県内5カ所の医療機関に設置されたX線診断装置に一定期間経過すると照射されなくなるようなタイマーを設置。故障を偽装し、不正に修理を行っていた。健康被害は確認されていないという。 親会社の島津製作所(京都市)は2月、外部調査委員会による調査報告書を公表。それによると、1件約150万~200万円で部品を交換。内部通報で不正の報告を受けた執行役員は調査などを見送っていた。県は今年2月に立ち入り検査を実施した。 県は、必要な登録をせずに医療機器の改造行為を行ったなどとして、体制の抜本的な改革や組織の構築、実効性のある内部通報制度の整備などを命じた。1カ月以内に再発防止策などを明記した改善計画を提出するよう求めている。担当者は「医療機器への信頼を失墜させる行為。全社をあげて抜本的な改革に取り組んでほしい」としている。 島津製作所の広報担当者は「二度と同様の事態を引き起こさないよう、当局の指示に従い改善に取り組む」としている。(大貫聡子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女性殺害、妹らを強盗殺人容疑で逮捕 姉になりすました詐欺の疑いも
鈴木優香2023年8月18日 19時56分 福岡県水巻町のパート辻つぐみさん(52)が自宅で殺害された事件で、県警は18日、つぐみさんの妹で、住所不定、無職辻和美容疑者(51)ら3人を強盗殺人容疑で逮捕し、発表した。認否を明らかにしていない。 逮捕されたのはほかに、和美容疑者の知人の無職岡村恵美容疑者(46)と長女・愛香容疑者(24)=いずれも北九州市小倉北区今町1丁目。 捜査1課によると、3人は6月2日午後0時50分ごろから同日午後1時半ごろ、辻さんの首を圧迫して殺害し、銀行の預金通帳と印鑑を奪った疑いがある。和美容疑者が殺害し、岡村容疑者親子は和美容疑者を犯行現場に送り届けるなどしていたと県警はみている。 和美容疑者は同日午後2時半以降、同県中間市の銀行で辻さん名義の払い戻し請求書1通を偽造し、現金73万8千円をだまし取ったとして、7月3日に詐欺と有印私文書偽造・同行使の罪で起訴された。 恵美容疑者は5月22日、和美容疑者になりすまし、北九州市小倉北区内の銀行で預金通帳を作成したとして、7月28日に詐欺容疑で逮捕されていた。(鈴木優香) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
最低賃金の全国最下位は岩手に 昨年は下に10県、なぜ追い抜かれた
18日に全国47都道府県の最低賃金の引き上げ額が出そろい、岩手の最低賃金が単独の最下位となる見込みになった。元々、岩手の最低賃金は全国で下から2番目に低い854円だったが、1円低い853円は10県あった。なぜ、単独最下位になってしまったのか。 岩手地方最低賃金審議会は8日、国の中央最低賃金審議会による引き上げ額の目安である39円を引き上げることを答申。このまま行けば10月4日に発効され、岩手県内の最低賃金は893円になる。 国の審議会は全国の最低賃金を3ランクに分けており、岩手を含む13県が最も最低賃金が低いCランクに分類されている。今回、Cランクの県で目安通りの引き上げを行ったのは岩手だけで、そのほかの県は軒並み目安から4円以上の引き上げを行ったため、岩手が単独最下位に沈んだ。 なぜ、このようなことが起きたのか。 流れを作ったのは、7日に答申を行った秋田だ。 秋田、目安を上回る答申 秋田はこれまで最低賃金85… この記事は有料記事です。残り704文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【そもそも解説】使用済み核燃料の中間貯蔵施設って何?なぜ必要?
中国電力の提案に応じて山口県上関町が調査の受け入れを表明した「中間貯蔵施設」。どういう施設で、どうやって原発の使用済み核燃料を保管するのでしょうか。 Q 使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」とは。 A 核燃料を再処理する前に、一時的に貯蔵する施設のこと。すでに東京電力と日本原子力発電の共同出資会社が青森県むつ市に「リサイクル燃料備蓄センター」をつくっていて、今年度中の使用開始をめざしている。 Q どうやって保管する。 A コンクリート製の建屋の中で金属製の専用の容器(キャスク)に入れて保管する乾式貯蔵という方法だ。むつ市の施設で使うキャスクは筒状で高さ5・4メートル、直径2・5メートル。一つのキャスクに10トンの使用済み核燃料が入る。 使い終えたばかりの核燃料は高熱で放射線量も高いため、原発内のプールの水の中で保管する(湿式貯蔵)。中間貯蔵施設で保管するのは、湿式で冷やした後の使用済み核燃料。キャスクに入れて施設に輸送し、保管する。 Q 乾式の利点は。 A より冷えた使用済み核燃… この記事は有料記事です。残り505文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
介護施設で新型コロナ感染者に対応 うつ病発症の事務職員が労災認定
新型コロナウイルスに感染した入所者への対応でうつ病を発症したとして、兵庫県宝塚市の介護施設に勤務する事務職員の60代女性が、労災認定されたことがわかった。女性の代理人の谷真介弁護士(大阪弁護士会)によると、コロナ対応の心理的なストレスが原因で労災認定されるのは珍しいという。 谷弁護士によれば、女性は2017年に施設を運営する社会福祉法人に事務員として採用され、入所希望者の相談や入所手続きを担っていた。新型コロナ「第4波」に入った21年4月、施設でクラスター(感染者集団)が発生し、入所者36人、職員17人が感染。医療機関の病床逼迫(ひっぱく)で感染者を搬送できず、施設内で8人が亡くなった。 この間、介護職員が不足したため、女性は感染者の介護業務を指示され、計6日間、隔離されたエリアで防護服を着用し、認知症の感染者らの配膳やおむつ交換などを行った。看護師と一緒に透明のポリ袋に包まれた遺体も運んだ。 同年5月に事務職に戻った後も、間近で見た遺体を思い出して落ち込む日々が続き、不眠などに悩まされた。翌6月にうつ病との診断を受け、現在も休職中という。 女性は22年8月、西宮労働基準監督署に労災を申請。同労基署は今年5月、労災と認定した。女性が感染リスクにさらされた環境下で、未経験の、緊張を強いられる業務に長時間当たっており、心理的負担は大きかったと判断した。 女性は弁護士を通じ、労災が認められたことについて、「安心しました」とコメントした。「コロナ感染の最前線に放り込まれ、孤独でつらさを感じた。ご遺体に対面した時は経験したことがないショックで、いま思い返しても頭痛がします」と振り返った。 施設を運営する社会福祉法人は取材に対し、「コメントは差し控えさせていただきます」としている。 谷弁護士は「コロナ対応に伴う長時間労働が原因で労災と認定された事例はあるが、業務そのもののストレスが原因で認められるケースは珍しい。医療や介護従事者らのコロナ対応の負担が適切に認められた意義は大きい」と評価した。 精神障害の労災認定をめぐり厚生労働省は今年9月から、心理的負荷の基準に「感染症など危険性が高い業務への従事」という事例を追加予定だ。谷弁護士は「今後、同様の事例がさらに認められやすくなるだろう」と話した。(堀之内健史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中間貯蔵施設の調査受け入れ 上関町議会の全10議員の賛否の思い
山口県上関町は18日、使用済み核燃料の中間貯蔵施設設置に向けた調査を受け入れる意向を中国電力に伝えた。この日の町議会臨時会で西哲夫町長が「行政報告」をおこない、議員10人が意見を表明したうえで、町長が結論を出した。どんな議論が交わされたのか。議会周辺でのできごとや関係者の動きとともに詳報する。 町長「住民説明尽くすよう要請する」 8月2日に中国電力から新たな地域振興策の要請について回答があった。使用済み燃料中間貯蔵施設の検討にあたって、調査を進めたいとのことだった。 国は原発活用を表明したが、新増設が不透明な状況に変わりはなく、福島第一原発事故後の12年間、町は急速に疲弊が進んでいる。 人口は年間約100人の減少が続き、高齢化率も約59%と中国5県で一番高い。毎年、財政調整基金などを取り崩しながらの予算編成で、住民支援策も近い将来できなくなり、住民へ負担をお願いすることが懸念される。 調査申し入れは、施設の設置を認めてほしいと言っているわけではない。調査に半年程度を要し、具体的な計画は改めて提示するということなので、住民説明会などで説明を尽くすよう要請する考えだ。 疲弊していく町の将来を思う… この記事は有料記事です。残り1521文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「泣いて笑って育てた宝物なのに」 自死した医師の遺族、病院を批判
神戸市東灘区の甲南医療センターの医師、高島晨伍(しんご)さん(当時26)が昨年5月に自殺したのは長時間労働による精神疾患が原因として労災認定された問題で、遺族が18日、大阪市内で記者会見を開いた。亡くなるまでの約3カ月間休みがなく、直前1カ月の時間外労働が200時間を超えていたといい、「労災認定を受けても、あの心優しい大事な息子は私たち家族のもとには帰ってきません。センターにとっては医師の代わりはいくらでもいるのでしょうが、家族にとっては泣いて笑って大切に育てた、かけがえのない宝物なのです」と訴えた。遺族はセンターに慰謝料を求める提訴を検討しているという。 母の淳子さん(60)と兄(31)によると、高島さんは2020年4月に研修医としてセンターで働き始め、22年4月から消化器内科の専門医をめざす「専攻医」として勤務していた。昨年5月17日夕、退勤後に神戸市内の自宅で自殺しているのを、連絡が取れなくなったのを心配した淳子さんが発見した。 高島さんは、医師である父や兄の背中を追って医師の道へと進んだという。幼い頃から動物や年下の子どもを可愛がる優しい人柄で、最近は音楽を聴いたり、野球を見たりするのが趣味だったという。 しかし、昨年4月下旬ごろから、多忙で表情が暗くなり、趣味を楽しむ余裕もなくなった。5月に入ると、淳子さんに「楽しいことが一つもない」「しんどい。誰も助けてくれない」ともらすようになったという。 高島さんは両親あてに、自筆のメモを残していた。メモには感謝の言葉とともに、今後の生活を案じる文言がつづられていたという。 遺族は昨年9月、西宮労働基準監督署に労災を申請。今年6月に認められた。認定によると、高島さんの死亡直前1カ月の時間外労働は207時間50分で、3カ月平均でも月185時間超に上った。国が定める精神障害の労災認定基準である「発病直前の1カ月におおむね月160時間以上の時間外労働」を大きく上回っていた。 高島さんの死後、センターは第三者委員会を設置して対応を検証。しかし、センター側は第三者委の報告書を外部へ公表しないことを遺族に要求。遺族が断ったため、現在まで開示していない。淳子さんは「息子の死を軽視している。息子の人生を傷つけたことに向き合い、誠実に対応してほしい」と訴えた。 センターは17日の記者会見で、第三者委の報告書が認定した高島さんの昨年4月の時間外労働時間(197時間)について、「知識や技能を習得する自己研鑽(けんさん)の時間も含まれており、全てが労働時間ではない」と主張。具英成(ぐえいせい)院長は「過重な労働を課した認識はない」と説明している。 センター側の説明について、高島さんの兄は18日の会見で、高島さんが死の直前まで学会発表の準備に追われていたことをあげ、「学会発表は自らの意思によるものではない」と反論。「担当患者のカルテ作成だけが業務なはずはなく、3年目の医師にとってほとんど全てが業務だったはずだ」と訴えた。「センターでは同様の働き方が常態化していたのではないか」と疑問を呈した。 遺族はセンターが違法な残業や休日労働をさせたとして、西宮労基署にセンターの運営法人などを労働基準法違反の疑いで告訴したことも明らかにした。(山本逸生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学生がはねられて大けがでも「物損事故」?警官が不適切発言、謝罪
長野県警上田署の警察官が、子どもが車にはねられてけがをした交通事故の捜査を担当した際、被害者の家族に対して「物損事故」として処理を済ませようとしていると思わせるような、不適切な発言があったことがわかった。署は、県警本部に報告の上で家族に謝罪したという。 この事故について署は人身事故として捜査し、車の運転手を書類送検している。 署によると、長野県上田市内の路上で4月、小学生の男児が乗用車にはねられ、目の辺りを骨折するけがを負った。 この時、現場で捜査にあたった上田署員は、男児が骨折した事実を知った上で、男児の家族に対して「人身にするか物損にするかは、検討した方がよいのでは」などと発言したという。 その後、男児の家族からの抗議を受けて、署は「物損事故として処理すると受け取れる発言があったのは事実」として謝罪。この警察官に指導を行ったという。 「不適切発言」の理由 署幹部の説明は 事故については後日、加害者… この記事は有料記事です。残り304文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル