道路の真ん中をまるで滑るように進む黄色と黒の車体――。宇都宮市などで26日に開業する次世代型路面電車(LRT)の報道機関向けの試乗会が21日にあり、愛称「ライトライン」の乗り心地を記者が初めて体験した。 宇都宮市の平石トランジットセンター(乗換駅)を出発し、始発駅となる宇都宮駅東口へ。そこから約14・6キロ離れた終点の芳賀・高根沢工業団地駅まで向かい、もう一度平石に戻る。約2時間のコースだ。 乗換駅を出発すると、すぐに高架の坂道にさしかかった。傾斜を上りながら、ぐんぐんスピードを上げていく。 思い出した運転士の言葉 「新しい車両だけあって、加速がいいんです」。数日前に取材させてもらった運転士の清水建太郎さん(33)の言葉を思い出した。 運転席と客席の間に仕切りはなく、運転士の手元も見ることができる。 左手のレバー一つでアクセルとブレーキの両方を操作するのが、LRTの特徴だという。速度メーターをみると、時速は40キロ。運転士は目の前の複数のモニター画面にも気を配っている。 道路上を自動車と並走しながら、車両は宇都宮駅東口へ。大きな窓からビルの風景が後ろへ流れていく。車両は、まるで滑るようなスムーズさで駅に到着した。 窓に近づきシャッターを切る少年たち 駅に着くと、一眼レフのカメ… この記事は有料記事です。残り669文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同僚女性に毒入りの液体を飲ませた疑い 放射線技師の男を逮捕
増山祐史2023年8月22日 17時51分 同僚の女性に毒成分入りの液体を飲ませた疑いがあるとして、警視庁は、診療放射線技師の男(27)=東京都足立区=を傷害の疑いで逮捕し、22日発表した。「持っていた薬物が混ざってしまっただけだ」と容疑を否認しているという。 尾久署によると、男は6月8日午前、勤務先の都内の病院で、毒成分のアコニチンを溶かした液体を、同僚の20代女性のペットボトル内に注射器を使って注入。女性にペットボトル内の飲料水を飲ませて急性毒物中毒などの傷害を負わせた疑いがある。 体調不良を訴えた女性が不審に思い、「飲み物にゴミが浮いていた」と6月中旬に署に相談。捜査員が警戒していたところ、男が再び女性のペットボトル内に注射器で液体を入れる様子を目撃したという。 同署によると、男は粉末状のアコニチンをインターネットで購入しており、職員の待合室で人がいない隙をみてペットボトルに混入したとみられるという。女性に好意を抱いていたといい、同署は動機を調べている。(増山祐史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
塾講師からの性被害、どう防ぐ 専門家が指摘する「親の重要な役割」
大手中学受験塾「四谷大塚」の元講師が、在職中、教え子の女児を教室に呼び出し、わいせつな言動をさせたうえ盗撮した疑いで逮捕された。塾では大人と子どもが1対1になる場面も少なくない。性被害から子どもを守るにはどうすればいいのか。子どもの性被害に詳しい桜井鼓(つつみ)・追手門学院大准教授(犯罪心理学)に聞いた。 ――学習塾では、講師が子どもの体を触ったり、盗撮したりといった事件がたびたび起きています。防ぐ方法はありますか。 四谷大塚の事案について詳細を把握しておらず、これを受けて塾が取るべき対策には事案の内容によるので一概には言えません。ただ、過去の性被害の事案を踏まえて言えるのは、子どもが「いやだ」といえるようにすることが、予防につながるということです。 加害者に直接「いやだ」と言うこと、その場から逃げること、加害行為がエスカレートする前に少しでも「いやだ」と思ったら大人に相談することが大事だと、日ごろから言い聞かせておく必要があります。特に一緒にいることの多い保護者はこうした相談の受け手になりやすく、重要な役割があると言えます。 「何となく不快」 相談するよう言い聞かせて ――保護者が子どもに伝えておくべきことは。 水着で隠れるところなど、体の「プライベートゾーン」は他人に触らせないことをよく言って聞かせることです。そのうえで、自分が「いやだ」と思ったことは何でも話していいと、よく言い聞かせてほしいですね。 性的な被害に発展する前兆として、頭や手などプライベートゾーン以外への接触が増えるというケースがあります。この時点で保護者が把握できれば、被害を未然に防げるかもしれません。接触が頻繁になるなど、子どもが「何かおかしい」「何となく不快だ」と感じたら何でも相談するよう言っておくとよいでしょう。2人きりのときに無断で撮影されるといった場合なども同様です。 SNSで講師とつながり 「基本は控えた方が」 ――塾講師や教員など子どもと接する立場の大人が、SNSなどで個人的に子どもとつながろうとするケースもあるようです。SNSやスマートフォンの管理はどうするべきですか。 子どもと2人きりになるためにSNSを悪用する大人もいるので、基本はつながること自体を控えた方が良いと思います。ただ、保護者が全てのやりとりをチェックするのも物理的に難しく、保護者に断らずに大人とやりとりする子もいるかもしれません。 その場合に備え、トラブルなどがあったら保護者に相談するよう言い聞かせておくのがいいでしょう。 その際、大事なのは、普段からよく話を聞くよう心掛けるなど、子どもと何でも正直に話せる関係を築いておくことです。その方が、保護者がスマホの使い方を厳格に管理するより被害に遭いにくいという研究もあります。 SNSなどでのやりとりで対処が必要なのは、大人の側が2人きりで会おうとするケースや、性的な言動をするケースです。内容を問わず「誰にも言っちゃ駄目」などと口止めをしてきた場合も注意が必要です。 子どもが打ち明けにくい場合も ――子どもが恥ずかしく思ったり、加害者との関係が崩れるのを恐れたりして相談しにくいこともあるのでは。 そういうことがないように、子どもが話しやすい関係性を普段から築いておくのが大事ですが、どうしても打ち明けにくいということもあるでしょう。 そこで、子どもをよく観察することも意識してほしいと思います。 いつもより元気がないとか、ものを食べない、口数が少ない。そんなちょっとした変化を見過ごさず、「何かあったの」と声をかけてほしい。 何度も体を触られている子は、触れようとする手をとっさに避けることもあります。そうした異変も見逃さないようにしたいものです。 ■子どもの相談、聞き流さない… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
犯罪収益9千万円をマネロン疑いで5人を逮捕 警察庁の捜査隊が解析
野口駿 仁村秀一2023年8月22日 14時00分 詐欺で得た約9千万円を暗号資産に換金し、海外の取扱業者に送り「資金洗浄(マネーロンダリング)」したとして、埼玉、京都、福岡などの9府県警は22日、男女5人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の容疑で再逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。マネーロンダリングの流れは、警察庁が昨年4月に新設した「サイバー特別捜査隊」が最新技術を活用して解明したという。 捜査関係者によると、逮捕されたのは宮城、滋賀、京都、福岡、熊本の5府県の20~40代の男女5人。5人は別の人物と共謀し、2021年8月~22年1月ごろの間に複数回、詐欺行為で得た犯罪収益を国内で暗号資産に換え、海外の取扱業者の口座に送って隠した疑いがある。9府県警は今後、サイバー特別捜査隊と連携し、暗号資産の行方を解明する方針。 捜査関係者によると、暗号資産に交換された現金は、詐欺事件の被害金の可能性が高いという。警察は5人の上位に指南役がいるとみて調べている。 警察は7月、フリーマーケットアプリ「メルカリ」と「ヤフオク!」のアカウントを持つ人をウェブ上の「闇バイト」で募ってメルカリの約150のアカウントなどを悪用して架空の取引を繰り返し、出品者に支払う代金を運営者に立て替えさせて詐取し、他人名義の多数のクレジットカード情報で商品を買って転売したなどとして5人を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕。被害総額は計約1億800万円に上るとみている。(野口駿、仁村秀一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不正対策に半年で32億円計上 フィッシング詐欺の損失負担、誰が?
偽サイトに誘導し、クレジットカードの決済情報などを盗み取るフィッシング詐欺の被害が後を絶たない。こうした情報をもとにした不正な買い物で経済的な損失を被るのは、誰になるのだろうか。 「決済に使われるカード情報をその場で偽物だと見破ることは極めて難しい」。ネット上でCDショップを運営する会社の関係者はそう話す。 この店では数カ月にわたり、カードの名義人になりすました「何者」かにCDやDVDを買われ続けたことがあった。カードの名義はしばしば変わったが、送り先が同じことなどから同一の詐欺グループが背後にいるとみられるという。 1回あたりの被害は10万円程度だが、これを何十回と繰り返され、被害総額は数百万円にも上った。 そこで対策として、1回あたりの決済額の上限を引き下げたり、一度に購入できる商品の数量を限定したりしたほか、対面で支払うコンビニ決済を導入。ただ、決済が不便になるため、売り上げにも影響が出かねない。 「利便性か不正防止か、最適解をなかなか見つけられない」 半年で32億円計上の例も 客によるカードの不正利用が… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日大アメフト部の寮に2度目の家宅捜索 別の部員も違法薬物所持疑い
日本大学アメリカンフットボール部の学生寮(東京都中野区)から大麻と覚醒剤が見つかり、部員1人が逮捕された事件で、警視庁は22日、別の部員も違法薬物を所持していた疑いがあるとして、学生寮に大麻取締法違反容疑(所持)などで家宅捜索に入った。寮への捜索は8月3日以来で2回目になる。 前回の捜索の2日後となる8月5日、警視庁は、アメフト部の学生寮で7月6日に覚醒剤約0・198グラムと乾燥大麻約0・019グラムを所持したとして、部員の男子学生(21)を覚醒剤取締法違反と大麻取締法違反の容疑で逮捕した。捜査関係者によると、この捜査の過程で、他の部員が違法薬物を所持している可能性が浮上したという。 アメフト部をめぐっては、昨年から大麻使用の情報提供があり、警視庁が日大へ事実確認を依頼していた。日大の調査で今年7月6日に寮から覚醒剤とみられる錠剤のかけらと乾燥大麻とみられる植物片が見つかり、日大が12日後に警視庁に報告していた。 8月5日の部員の逮捕を受け、日大は同部の活動を無期限停止処分としていたが、10日に解除。理由を「部全体に連帯責任として負わせることは、学生の努力を無に帰する」と説明し、無期限活動停止処分は逮捕された部員1人だけに対して継続とした。(御船紗子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「皇室献上のミカン」市サイトの記載削除し、おわび 神奈川・小田原
村野英一2023年8月22日 11時45分 「皇室に献上する」として福島市などで農産物がだまし取られたとされる事件をめぐり、神奈川県小田原市は21日、市内にある農園のミカンが皇室に献上されたと紹介した市ウェブサイトの記載について、実際には献上されなかったとして取り消し、関係者におわびすると発表した。 市サイトは「小田原のみかん、皇室に献上」「(市内の農園が)皇室献上みかん生産農園に認定された」と1月と6月に紹介。市農政課によると、いずれも男=詐欺容疑などで逮捕=らが農園に伝えた情報だったが、市は献上や認定に関する事実関係を宮内庁に確認していなかった。 また、農園関係者が昨年4月、皇室献上品に関し、守屋輝彦市長を表敬訪問したと紹介したコラムの文もサイトから削除した。 市は「虚偽の勧誘による篤農家の被害を未然に防ぐことができなかった」と陳謝している。(村野英一) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「いらち運転」やめましょ! バイク愛好家の三船美佳さんが一日隊長
編集委員・中島隆2023年8月22日 11時49分 バイクのライダーのみなさん、「いらち運転」をやめましょう――。タレントの三船美佳さんが20日、大阪府門真市にある門真運転免許試験場で、そうマイクを持って呼びかけた。 交野、寝屋川、四條畷、門真の4警察署が共同で行った緊急キャンペーン「やめよう! いらち運転」の一幕。イライラしながら自分本位で運転して事故を起こすのを防ぐのが目的だ。 4署管内では今年、7月末までに12件の交通死亡事故が発生し、うち半分がバイク事故。そのため、大阪在住でバイク愛好家の三船さんに「一日広報啓発隊長」になってもらった。 三船さんは18歳で大型二輪免許を取り、大型バイク「ハーレーダビッドソン」が愛車だった。低い姿勢でゆっくりと走り、足元のエンジンから「ドッドッドッドッ」という鼓動を感じることが好きだった。「そもそも幅が広いので、車と車の間をすり抜けることができないんです」 趣味は、制限速度ぴったりで走ること。「安全ルールを守るのが、一番かっこいい。時間に余裕を持って、おうちを出ましょう」と呼びかけていた。(編集委員・中島隆) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消えた腰洗い槽、シャワーは温水に 学校プール「もう地獄ではない」
学校の「アレ」は今(2) 腰洗い槽 1990年7月1日に放送されたアニメ「ちびまる子ちゃん プールびらき」。プール授業を前に、まる子たちは、震えながら冷たいシャワーを浴びる。水を掛け合ったり、滝修行を始めたり、髪を洗ったり。そんな児童の様子を描きつつ、キートン山田さんのナレーションが入る。 「シャワーの後は消毒である」 まる子たちは腰洗い槽へ。 「この消毒液の臭いをかぐと、プールの時間だなって思うよ」「今お尻のばい菌、死んでるかな?」 そんなまる子たちの会話は、当時小学4年生だった記者にとって日常そのものだった。 灼熱(しゃくねつ)の太陽で温まったプール。それに対して、日陰にある「腰洗い槽」。 「30秒はつかれよ~」と先生は言うものの、塩素が入ったただの冷水。まる子の同級生の藤木君じゃなくとも、唇が青くなる。ちなみに、この回で藤木君はタオルを腰洗い槽に落としてしまうのだが……。 「地獄」「極寒」「罰ゲーム」。そんな思い出を持つ人も多い「腰洗い槽」は今、多くの小中学校で使われていない。 水泳授業ボイコット 腰洗い槽の塩素が…… 小中学生のころ、学校でよく使っていた「アレ」。まだあるのかな。今はどうなっているのかな。20~40代の記者たちが、懐かしみながら探ってみると…教育や社会の変化が見えてきました。 腰洗い槽は、プールに入る前… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「称賛されなかった人生」が激変 日本の「オーバー・ザ・トップ」へ
シルベスター・スタローン主演の映画の世界を地で行くような男がいる。 山形市中野目のトレーニングジム経営、植松政憲さん(42)だ。 隆々とした左腕にすべてを注ぎ、腕っ節一つで勝負をするアームレスリングの国内大会の王者。6月、日本国内の大会で3階級制覇を成し遂げた。 そして9月、カザフスタンで開かれる第44回世界アームレスリング選手権大会に出場する。 自身も見たことがあるスタローンの映画の題名は「オーバー・ザ・トップ」(1987年公開)。息子との絆を取り戻そうと、世界アームレスリング選手権大会に挑む男の物語だ。 「主人公と同じように、自分も世界のてっぺんに挑みたい」 曲折があった。 まずは高校時代にさかのぼる。 野球では山形県内の強豪、日大山形で白球を追った。 野球で立ちふさがったのはあの選手 「腕力はチームのだれにも負けない」と思っていたが、2年生の夏、チームが出場した甲子園大会では、アルプススタンドで応援するばかりだった。 視線の先のグラウンドに彼がいた。 「バッティングセンスもパワーも自分とはまったく違った」という同学年のその選手は、のちにプロ野球広島カープに入団し、強打者として鳴らした栗原健太さんだった。 大好きな野球で、1度目の挫折を味わうことになった。 高校卒業後、しばらくしてから家業の古紙回収業を手伝うようになった。 分厚い段ボール紙の束や新聞紙などを車の荷台に積んでは下ろす日々。さらに腕力が強くなったと感じた。 「ちょろい」はずがコロリと… 友人や仕事仲間らと懇親する居酒屋では、決まって腕相撲を挑んだ。 ほとんど負け知らず。友人のそのまた友人らにも声をかけ、腕っ節の強さを競い続けた。 「もはや山形には自分よりも腕相撲が強い人間はいないんじゃないか」 自信をみなぎらせ、27歳で臨んだ北日本のアームレスリング大会。決勝は自身より細身の選手だった。 「これはちょろい」と思い、手をがっちりと組み合った直後、コロリと負けた。 指や手首の使い方など、アームレスリングのテクニックを何ら身に付けないまま、出場した結果。ショックは大きかった。 それが2度目の挫折だった。 居酒屋での腕相撲をやめ、人… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル